●サンヨー･プロダクト･トピックス● 優れた洗浄力でコンパクト型液体洗剤に対応する衣料用液体洗剤基剤『イオネット EP-300S』液体洗剤に「湯水のように」と、無駄遣いの例えにもされる水ですが、近年はエコ志向を背景にした節水意識が高まってきています。一般家庭におけるその現れの一つがドラム式洗濯機の普及です。洗濯物を出し入れする扉が手前側に付いたドラム式洗濯機の最大の特長は、使用する水の量が少なくてすむ節水型であることです。このドラム式洗濯機の普及に伴い、衣料用洗剤も粉末洗剤から液体洗剤へと大きくシフトしてきました。衣料用液体洗剤液体洗剤は、洗剤の溶け残りがなく、冬場の冷たい水を使った洗濯でも安心であり、使い勝手のよさから、欧米ではかなり以前から主流になっていました。二三㌻のグラフに示すように、日本でも、ここ一〇年ほどで衣料用洗剤に占める液体洗剤の比率は大幅に伸びており、二〇一一年の推定値で約五三％、今後もますます伸長すると予想されます。一般に衣類の主な汚れは皮脂汚れであり、脂肪酸や油脂、たんぱく質、泥などの無機質からなります。主成分である脂肪酸や油脂の除去率を上げることが、洗浄力を向上させるうえで重要なポイントとなります。粉末洗剤には、主成分となる非イオンまたはアニオン界面活性剤の洗剤基剤のほかに、皮脂汚れに対する洗浄力を高める炭酸ナトリ 21 2012 春 No.471 エンジンルームドラム式洗濯機天然系界面活性剤の原料となるパーム樹林とパームの実ウムなどのアルカリビルダー、洗浄力を阻害する水中のカルシウムイオンなどを捕捉する金属イオン捕捉剤、汚れの再付着を防止するカルボキシメチルセルロースやポリカルボン酸塩といった再汚染防止剤が添加されています。しかしながら、液体洗剤では配合できるアルカリビルダーが限定されており、かつ大量に配合することもできないため、洗剤基剤そのものに高い洗浄力を付与しなければなりません。このため液体洗剤では、粉末洗剤に比べ、汚れを引きはがす性能に優れた界面活性剤が必要となります。今回紹介する三洋化成の液体洗剤基剤『イオネットＥＰ３ - ００Ｓ』は、天然アルキルアミン系の非イオン界面活性剤で、①皮脂汚れに対する界面張力低下能に優れ洗浄力が良好、②低温流動性に優れる、③泡切れ性に優れる、④生分解性に優れ環境にやさしい、などの特長をもっています。コンパクト型液体洗剤にも対応最近、液体洗剤ではコンパクト化のニーズも強くなっています。コンパクト型液体洗剤は従来と比べ、洗濯一回当たりの洗剤使用量を低減させるため、界面活性剤をより高濃度で配合することが必要となります。このため、洗剤基剤である界面活性剤には、高濃度で配三洋化成ニュース 22 ■三洋化成の主な衣料用液体洗剤基剤 ( 天然系非イオン界面活性剤 ) 製品名主成分特　徴第一級アルキルアミンのアルキレンオキシド付加物。すすぎ性、浸透性良好。イオネットEP‐300S ポリオキシアルキレンアルキルアミン冷水への溶解性良好。ゲル化領域がなく、コンパクト液体洗剤基剤に適するエマルミンNLシリーズポリオキシエチレンラウリルエーテル天然アルコールのエチレンオキシド付加物エマルミンFLシリーズポリオキシエチレンラウリルエーテル天然アルコールのアルキレンオキシド付加物。冷水への溶解性良好第一級アルキルアミンのエチレンオキシド付加物。泡切れ性、浸透性良好。ピュアミールCCS‐80 ポリオキシエチレンアルキルアミン '11 年 ( 推定値 ) 冷水への溶解性良好グラフは、液体洗剤が 39 万㌧、トータルが 73 万㌧、液体洗剤基剤比率が 53％で追加してください。 ■国内の衣料用洗剤市場の推移粉末洗剤 ( 左目盛 ) 液体洗剤 ( 左目盛 ) 液体洗剤比率 ( 右目盛 ) 50 180 80 160 40 30 ) 40 20 120 液体洗剤比率％( ) 販売数量万( ㌧ 60 140 100 80 60 40 20 20 10 0 0 その他 0 薄膜多結晶 03 04 05 06 07 08 09 10 11 年単結晶 ( 推定値 ) 出所：経済産業省統計データ ( 出所：太陽光発電協会 HP より ) 合しても液体洗剤そのものの流動性を低下させない機能が要求されます。『イオネットＥＰ３ - ００Ｓ』は、こうしたコンパクト型液体洗剤のニーズにも対応した洗剤基剤で、前述の特長だけでなく高濃度で配合しても優れた流動性を示します。さらに、少量で高い洗浄力を発揮し、また低温での水溶性も高いことから、衣類への残留も少なく泡切れ性のよさとも相まって、すすぎ回数を低減できる節水型洗剤の基剤としても優れています。ドラム式洗濯機の進歩によって、よりいっそう節水化の流れが加速しています。液体洗剤もこの節水化の流れに伴い、すすぎ回数を低減できるコンパクト型タイプの普及が急速に進んできており、大きくシェアを伸ばすと予測されます。今後、さらなる節水化、洗剤のコンパクト化など、環境負荷低減に貢献できる洗剤基剤が求められるなかで、より少ない使用量で高い洗浄力を発揮し、節水に伴って問題となる汚れの再付着を防止する界面活性剤の開発が必要となります。三洋化成は、長年蓄積した界面活性剤に関する高い合成技術を駆使して、今後ますます市場が拡大すると予想される液体洗剤のニーズに対応した高性能な洗剤基剤の開発に注力していきます。トロポニン T 高濃度 2012 春 No.471 23