台湾の知的財産権制度と侵害対策 - 外国産業財産権侵害対策等支援事業

台湾の知的財産権制度と侵害対策
弁護士
李文傑
理律法律事務所
電話:886-2-2715-3300 ext.2707
電子メール:[email protected]
主
実
催: 特 許 庁
施:(社)発明協会
1
*面積:3.6万KM 2
*人口:2400万弱
*WTOを除き、如何
なる国際条約や協定
にも入っていない。
2
1
台湾進出の日本企業

小売:
3
台湾個人・会社の登録例
4
2
台湾個人・会社の登録例
5
台湾個人・会社の登録例
6
3
第一部
台湾知的財産権制度の
現況について
7
知的財産権関連法令







專利法(特許、実用新案、意匠を含む)
商標法
著作権法
集積回路配置保護法
営業秘密保護法
公正取引法
知財案件審理法
8
4
台湾司法制度
司法院
最高行政裁判所
最高裁判所
知財裁判所
知財裁判所
訴願
公平会
地方裁判所
知財裁判所
知的財産局
特 許 出願
商 標 出願
著 作 権登録
不 正 競争に関する行政処分
商標著作権、
刑事訴訟
特許、商標
等民事訴訟
9
台湾の主な知的財産権関連官庁
行
経済部
(経済産業省)
内政部
警察
政
院(内閣)
法務部
検察署
財政部
公正取引
委員会
(財 務 省)
不 正 競争
税関

独占禁止
国際貿易局
貿易法上の処分
知的財産局




特許
商標
著作権
営業秘密
刑事起訴
 商標権侵害
 著作権侵害
 不正競争行為
税関登録
商標・著作権
侵害品の輸
出入の差止め
10
5
日本企業が台湾で直面している問題
模倣事情
日本・象印
vs.
象印実業
11
模倣事情
2010/02/08 台 湾 中 央 社
模倣品
真正品
12
6
模倣事情
Familymart
13
解決対策

台湾では使用主義でなく、先願・登録主義を
採っているので、早めに登録出願を行い、権
利を取得する必要がある。
14
7
商標、特許制度の概要について
台湾商標制度について
15
検索
登録出願
審査
登録査定
商標出願から権利取得まで
拒絶理由通知
意見書提出
登録公告
商標権設定登録
拒
絶
査
定
訴願
行政訴訟(知的財産裁判所)
行政訴訟(最高行政裁判所)
異議
無効審判
不使用取消審判
更新登録
16
8
商標の態様について

商標とは、自己の取扱に係る商品または役
務を他人のそれと区別するために、商品や
役務に付けるマークである。

商標の種類:
文字商標
図形商標
17
商標の態様について
結合商標
音声商標
HI SA M I TSU
立体商標
台北101ビル
18
9
二、審査


形式審査
書類完備、商品区分、指定商品表現法*
実体審査
(1)顕著性の有無*
(2)先願先登録と同一、類似
(3)その他の不登録事由*
19
*指定商品表現法
*認められない表現法
「そのほかに属するすべての商品」
「測定機械器具」など
*認められる表現例
「工業用化学品、科学用化学品」
「医療器具」、「金属加工機械」、
「実験室用機器」など
20
10
*指定商品表現法
*最大の保護を図る方法
▲商品及服務近似検索参考資料
(和訳:類似商品及び役務の検索参考資料)
▲類似群のタイトル+実際使用商品
▲類似群タイトルが表記として認められなけれ
ば、その類似群に属するいくつかの商品を
指定する
21
商標出願の審理について
登録要件:
1.識別力がある。
2.先願先登録と同一、類似でない。
3.その他の不登録事由がない。

22
11
識別力欠如の実例

i.アルファベット一文字
(a)[
]-半田など
(b)[
]-マッサージ機器など
*アルファベット二文字 ?
[ SR ]-植物飲料製剤など
23
識別力欠如の実例


ii.アルファベットと数字の組合せ
(a)[ LU-933 ]-自動裁断巻き機 など
(b)[ KX-3 ]-塗装機械 など
iii.デザインされていないアラビア数字
(a)[ 315 ]-総合穀類繊維粉 など
(b)[
]-バッグ など
24
12
識別力欠如の実例

iv.簡単な線、幾何学的図形、装飾図案
(a)[
]-ジャケットなど
(b)[

]-お皿 など
v.商品自体の図形
(a)[
]-ランドセル
(b)[
]-化粧品
25
識別力欠如の実例
vi.地理的名称、地理的由来を表す標識
(a)[東京本舗]-トーストなど
(b)[
]-植物飲料 など
 vii.苗字、会社又は法人の名称、ドメイン・
ネーム
(a)[羅氏]-飲食店
(b)[…株式会社]
(c) [www.tocin.com.tw]

26
13
識別力欠如の実例

viii.スローガン・キャッチフレーズ
(a)[水是最好的薬] (水が最良の薬)-炭酸
飲料 など
(b)[幫助您找到更好的解決方法 ] (より良
い解決方法が見つけ出せるようお手伝いを
する。教育、訓練提供
27
その他の不登録事由とは、

同一、類似商品役務における先願、先登録
と同一、類似

i.著名商標と同一、類似で、混同誤認又は希
釈化のおそれがある

ii.著名な名字、著名な法人の名称と同一
28
14
商標出願審理期間

商標登録出願の審理は、特殊な事情がない
限り、通常出願してから登録査定または拒
絶査定を受けるまでに約十ヶ月を要する。

登録にならないと、権利は発生しない。
29
三、意見書提出
a.非類似主張
(1)商標非類似
(2)商品非類似
(3)誤認混同を生じない
b.顕著性の有無
c.商品・役務の削除
d.権利放棄(disclaim)
e.分割
f. 同意書提出*
30
15
f.同意書提出
(1)同一・類似商品における他人の先願、
登録と同一・類似
(2)商標及び商品が全く同じではない
31
四、登録査定
a.登録料納付
(1)一括払い
(2)分割払い
(3)割増料金
32
16
五、異議
a.権利付与後異議制度
(1)利害関係は不問
(2)登録公告日から3ヶ月以内
33
六、無効審判
a.除斥期間
(1)五年
i.識別性がない
ii.著名商標と同一、類似(§23 I-12)
iii.他人の同一、類似商品における先願、登録と同一、類似
(§23 I-13)
iv.他人が同一、類似商品に先に使用する商標と同一、類似
(§23 I-14)
v.著名な名字、法人の名称と同一(§23 I-15)
vi.他人の知的財産権を侵害(§23 I-17)
vii.商標権取り消し後、同一、類似商標による登録
(§57 I-1、§57 I-6)
b.利害関係
34
17
七、不使用取消審判
a.登録後満3年
b.使用停止満3年
c.商品役務ごとに
d.駆け込み使用*
e.同一性*の使用
35
d.駆け込み使用
 他人が不使用取消審判を請求
しようとすることを知った後、
審判請求前3ヶ月内に使用を開
始する
36
18
e.同一性
 社会通念上同じ商標と認められる
37
登録商標の使用に該当する例

横書きから縦書きに
亜都

亜
都
書体の変更
BABY CARE

baby care
主要部分の変更でない
BSM
BSM
38
19
登録商標の使用に該当する例
iv.モノクロからカラーへの変更
v.簡体字と繁体字の相互変更(認識可能なもの)
資生堂
资生堂
39
登録商標の使用に該当しない例
i.カラーからモノクロへの変更
40
20
登録商標の使用に該当しない例
ii.結合商標の一部分のみを使用
iii.社会通念上、同じ商標でない
(a)”ライオン図形”
”LION” 、 ”獅”
(b) 簡体字と繁体字の相互変更(認識不可能
なもの)
纖躍
纤跃
41
八、更新登録
a.使用状況不審査
b.期間
(1)存続期間満了前6ヶ月以内
(2)存続期間満了後6ヶ月以内
c.割増料金
d.商品書き換えは不可*
42
21
e.商品書き換えは不可

商品書き換え
▲商品分類の推移
43
商 品 : 103類
役 務 : 8類
103類
70項
( 小 分 類)
1931.1.1
商 品 : 95類
役 務 : 12類
72項
( 小 分 類)
1960.3.18
1973.6.13 1982.5.6
1987.10.19
国
際
分
類
導
入
42
類
1994.7.15
國
際
分
類
42
類
↓
45
類
2002.4.10
44
22
台湾特許制度について
45
行政訴訟
最(高行政裁判所
)
実用新案は形式審査のみ。
※
特許出願から権利取得まで
公告及び登録
)
意見書提出
訴願
知(的財産裁判所
再審査拒絶理由通知
行政訴訟
再審査
再審査拒絶査定
初審拒絶査定
審査請求も不要。
実用新案と意匠には出願公開制度なく、
※
意見書提出
公告決定
初審
審査請求
出願公開
方式審査
出願
拒絶理由通知
46
23
特許の審査
特許
実体審査
実用新案
方式審査
出願公開
請求による早期公開制度/
早期公開の補償金制度
X
意匠
実体審査
X
47
権利存続時間
特許
出願日から起算して20年間
実用新案
出願日から起算して10年間
意匠
出願日から起算して12年間
48
24
発明特許制度
同質の審査(初審査と再審査)は2回繰り返される。審判請求
制度がない。但し、再審査の廃止と日本の審判請求制度の導
入は検討中である。
無効審判制度があるが、実際には、知的財産裁判所は有効
性を自ら判断でき、判断の速度も速いので、無効審判よりも、
裁判所の判断のほうが重要である。
間接侵害の規定はない。
2010年の出願件数は47,442件で、2009年の出願件数より約
1%増加した
49
実用新案制度
無審査ではあるが、台湾では依然として重要な制度である。
2010年の出願件数は25,832件、技術報告書の請求件数は
2,566件であった。
実用新案権を行使する際には、実用新案技術報告を提示し
て警告しなければならない。
実用新案権が取り消される前に、当該実用新案権に基づき、
権利行使することにより他人に与えた損害については、賠償
責任を負わなければならない。
実用新案技術報告の内容に基づいて、又は相当の注意を
払った上で権利を行使した場合には、過失がなかったものと
推定する。
50
25
台湾の意匠制度(日本との相違点)
部分意匠制度がない
(日本の部分意匠の図面における点線の部分を実線にする、
又は削除するように補正する必要がある。何れの場合も部
分意匠の優先権を主張できる)
 類似意匠制度はあるが、関連意匠制度はない。
 組物意匠制度はない。
 秘密意匠制度はない。
 2010年の出願件数は7,220件で、2009年の出願件数よ
り約7%増加した。

51
審査官
審査官
内部審査官は約380名いるが、新人が多い。
外部審査官は約78名いるが、特殊分野にのみ起用され
ている。
先行技術調査のアシスタントが配置されているが、十分
に機能していない。先行技術調査を外部へ依頼すること
はできない。
毎年の新規出願件数が7万件、審査待ち案件数が16万
件もあるのに、現在の審査能力は、年間5万件(方式審査
のみの実用新案登録出願を含む)に止まっている。
審査官は外国の審査結果を極めて重視する。
52
26
明細書作成に関する幾つかの注意点
多数従属項は多数従属項に従属してはならない。但し、訂正
の審査が厳しく、登録後は従属関係の変更が殆どできないの
で、できるだけ多くの従属項を作成しておく必要がある。
外国語(日本語を含む)明細書でも出願でき、外国語明細書の
フォーマットに関しての規定は厳しくない。日本出願の明細書
に図、式、表を記入すれば(翻訳の補正は可能)、すぐに出願
できる。但し、明細書の中国語訳を所定期間内に提出すること。
できるだけ読みやすい日本語で明細書を作成することが望ま
しい。
新しいクレームで分割出願を提出するときは、明細書による明
確なサポートが必要であるので、できるだけ多くの実施態様を
最初から発明の詳細な説明に記載しておく必要がある。
53
無効審判の手続き
請求人
何人も証拠を添付して無効審判を請求することができるが、権利帰
属に係る無効審判は利害関係人に限り請求することができる。
請求期間
公告日から請求できる。利害関係人は、特許権の取消により回復で
きる法律上の利益がある場合、特許権の存続期間満了後又は消滅
後においても、無効審判を請求することができる。
答弁
無効審判請求受理後、特許主務官庁は、無効審判請求書の副本を
特許権者に送達し、答弁させなければならない。
面談、実験、模型又は見本の提出、実地検証
原則は書面審理であるが、特許庁は請求又は職権で、面談又は必
要な実験の実施、模型又は見本の補充提出、実地検証を実施する
ことができる。
訂正請求が可能である。
54
27
無効事由
特許を受けることができない発明
新規性、進歩性、産業上利用性要件に係る違反
先願主義に係る違反
拡大先願に係る違反
記載要件に係る違反
補正要件に係る違反
特許権者が特許出願権者ではない場合
特許出願権が共有のものであるのに、共有者全員により出
願が提出されていない場合
55
新たな理由及び証拠の提出
新理由と新証拠は、無効審判審決前に提出された場合
も 参酌される。
事実上、理由と証拠の提出期限はない。
無効審判決定に係わる行政不服審判訴訟においても、新理由
又は新証拠の提出が認められる。
同一の事実又は同一の証拠をもって、無効審判を再請
求す ることはできない(一事不再理)。
同一の事実とは、同一のクレームと同一の無効理由(進歩性な
ど)との組合わせを指す。
同一の証拠とは、証拠の該当部分を指す。
56
28
現在の無効審判制度の特徴
請求項ごとに無効審決を下してはいけな
い
数件の無効審判請求を併合して審理する
ことができない
特許法改正後は、上記のいずれも可能と
なる
(2011年11月29日に改正特許法が国会を通過し
たが、施行日は未定)
57
特許の加速審査制度
(実体審査開始後かつ公開済みの出願が次の事由を
有する場合は加速審査を請求できる)
事由1
事由2
事由3
対応外国出願が実 対応日米欧出願が拒 業として実施が必
体審査を経て許可さ 絶理由通知書を受け
要なもの
れたもの
たことがあるもの
初回のOAまで
6ヶ月
費用なし
初回のOAまで
6∼9ヶ月
費用なし
初回のOAまで
9ヶ月
NT$ 4,000
58
29
発明特許の補償金制度について
1.発明特許
2.出願公開後
3.書面を以って出願内容を通知
或いは
相手方が公開の出願を明らかに知っている
4.登録公告後、公告前に業として実施する者
5.時効は2年、登録公告日から起算
59
特許表示
1.特許物品或いは包装パッケージに特許
証書の番号を表示する。
2.表示しなかった場合、侵害者の故意を
証明できなければ、損害賠償を請求で
きない。
60
30
改正商標法について


2011年6月29日に改正商標法は公布され
たが、まだ施行されていない。
2012年6月頃に施行される予定。
61
改正商標法の概要
(1)におい、動く商標、位置商標、ホログラムは登録
可能
(2)共願の明文化
(3)同意書制度の調整(明らかに不当な事情がなけ
れば、初めて受理)
(4)登録料分納の廃止
(5)無効審判請求時に、無効理由に引用した登録商
標が登録日から満3年を経過している場合、請求
人は、その登録商標を「審判請求前3年以内に使
用している」という証拠を提出する必要がある。
(6)法定賠償金の500倍を廃止
62
31
特許法改正案について

特許法改正案は、2009年12月3日に台湾
の行政院(内閣に相等)にて審議が終わり、
2009年12月11日に立法院(国会に相当)に
上程され、2011年11月29日に通ったが、施
行の期日は未定である。
63
主な改正項目
出願実務に関する改正
動物・植物の発明
グレースピリオド
出願の補正
登録後の誤訳の訂正
明細書
分割出願
無効審判
期限
二重出願
意匠権
特許権に関する改正
特許権存続期間
特許権の効力
権利消尽
強制実施権の許諾
特許表示
64
32
動物・植物自体の特許の解禁
現在特許を受けることができない動物及び植物
自体が、特許を受けることができるようになる
改正法でも特許を受けることができない発明
人間又は動物の診断、治療、又は外科手術の方法
公共秩序又は善良風俗を害するもの
65
進歩性の例外規定(グレースピリオド)の新設
新規性の例外規定が進歩性にも適用されるようになる
即ち、次の各号の事情のいずれかに該当し、その事実
の発生から6ヶ月以内に出願する場合、当該事実は新規
性又は進歩性を阻害する事由にならない
実験のための公開
刊行物発表
政府が主催又は認可した展覧会で陳列したもの
出願人の意に反して漏洩したもの
66
33
誤訳の訂正が可能になる
現行法では、出願が許可されるまでは誤訳を補
正することができるが、一旦許可された後は、外
国語明細書に基づいて誤訳を訂正することがで
きない
改正法により、登録後の誤訳の訂正も可能となる
登録後も、出願時に提出した外国語明細書に基づいて誤訳を訂
正することを可能とする。
ただし、登録後の訂正は、公告時の特許請求の範囲を実質的に
拡大又は変更してはならない。
67
登録又は拒絶後にも分割出願が可能となる
現行法では、一旦出願が登録査定された後は、分割出
願ができず、問題となっている
改正法
初審査の特許登録査定書が送達された日から30日以内にも、
分割出願を提出することができる。
初審査の拒絶査定書が送達された後、再審査を請求すること
により、分割出願が可能となる。
但し、再審査の特許登録査定を受けた後は、分割出願をするこ
とができない。
68
34
無効審判の実務変更
職権での無効審決制度を廃止する
職権での無効審決とは、当該特許に無効理由がある場合、第三者
の審判請求がなくても、審査官が審査しその特許権を無効とするこ
とができる制度である
無効審判を審理する際に、審査官は職権で無効理由を審理
す るこ とができる
無効審判の請求事由として以下を追加する
特許権と実用新案権の選択の規定に違反する
分割出願又は出願変更後の出願が、原出願の出願時に開示した範
囲を超えている
補正、訂正が出願時に開示した範囲を超えている、又は公告された
特許請求の範囲の実質を拡大又は変更している
請求項ごとに無効審判を請求することができる
同一特許権に対する複数件の無効審判請求を併合審理す
るこ とができる
69
法定期限の緩和
優先権の請求期限について
出願人が出願時に優先権を主張せず、それが故意によるも
のでない場合、最初の優先権日から16ヶ月間以内に、費用を
納付して優先権の回復を請求することができる
登録料の納付期限について
出願人が期限内に登録料と1年目の年金を納付せず、それが
故意によるものでない場合、納付期限満了後6ヶ月以内に、登
録料と1年目の年金の2倍を納付することにより、登録を受け
ることができる
年金の納付期限について
特許権者が2倍の年金納付期限内(即ち、元の期限後の6ヶ月
以内)に2倍の年金を納付せず、それが故意によるものでない
場合、期限満了後1年以内に、3倍の年金を納付し、特許権の
回復を請求することができる
70
35
特許出願と実用新案登録出願の二重出願制度
同一人が同一の発明又は創作について、同日に発明特許
及び 実用新案登録をそれぞれ出願することができる。
特許庁が特許出願を許可しようとするとき、実用新案権がす
でに登録されている場合、出願人に特許と実用新案権のい
ず れかを選択させる。
特許が選択された場合、実用新案権は最初からなかったも
のとみなす。
71
意匠権制度の改正
部分意匠制度を導入する
組物意匠制度を導入する
アイコンとグラフィックインタフェース(GUI)
の意匠を登録できるようにする
関連意匠制度を導入する
72
36
権利行使に関する改正
特許表示
特許表示は損害賠償を請求するための要件としない。
間接侵害
当初、間接侵害の規定を導入しようとしたが、公聴会の段階
で業界の反対が多数あったため、今回の導入は見送られた。
73
第二部

台湾における侵害対策について
74
37
他人による出願、権利取得のウオッチング

情報取得の方法
特許公報
商標公報
知的財産局のデータベース(無料)
75
他人による出願、権利取得のウオッチング

対抗手段
登録前に、
情報提供
登録後、
特許—無効審判
商標—異議、無効審判
76
38
権利の行使
(一)刑事訴訟
(商標権の場合)
(二)民事訴訟
77
告 訴 提起
模 倣 品 発見
強制捜査
特許
権利確認
警 告 書 送付
訴訟提起
水際作戦
上告
送検
商標
取り調べ
刑事訴訟
起訴
不起訴
付 帯 民事訴訟
民事訴訟
差 し 止 め損害賠償
控訴
公判
有罪 / 無罪
控訴
起
訴
猶
予
再議
裁 判 交 付請求
確定
78
39
一、模倣品の発見
a.発見方法
(1)権利者の代理店、支店、取引先等
(2)調査会社
i.実地調査
ii.侵害容疑者の張込、尾行
(3)証拠資料入手
i.模倣品サンプル
ii.領収書、レシート、見積書、価格表など
iii.証拠保全*
79
*iii.証拠保全
(a)権利有効性
(b)侵害事実の釈明
(c)保全の必要性
(i)証拠或いは保全対象に滅失の虞
(ii)証拠或いは保全対象に使用困難の虞
(iii)相手方の同意
80
40
*iii.証拠保全
(d)保全対象
(i)帳簿
(ii)製品サンプル
(iii)出荷伝票、レシートなど
(e)保全方法
(i)検証
(ii)記録
(iii)保存
(f)相手が正当な理由なく、拒絶した場合、裁判
所は強制力をもって実施することができる。
81
二、権利確認
(1)権利の有無
(2)侵害の有無
(3)商標の場合:使用の有無
特許の場合:有効性
翻訳ミス
特許表示
82
41
三、警告書送付
a.方法:内容証明郵便
b.効果:時効中断
c.注意事項:営業妨害*
d.告訴要件ではない
83
*c.営業妨害
(1) 侵害者又は侵害者と取引している相手方
(取引先)への警告書送付
(2)リスク回避
i.事前或いは同時に取引先に警告書を送付
ii.警告書に権利の内容、期間、範囲を記し、侵害
事実を明示
iii.侵害者による行為が侵害と認められた判決を添
付
84
42
四、刑事訴訟(商標権侵害の場合)
(1)親告罪でない
(2)侵害事実
i.同一商品について同一商標を使用
ii.類似商品について同一商標を使用し、消費者の誤認
混同を引き起こす虞がある
iii.同一、類似商品について類似商標を使用し、消費者
の誤認混同を引き起こす虞がある
iv.侵害品と知りながら、販売、陳列、輸出入
v.登録商標の文字を会社、商号名称として使用
―みなし侵害、刑事罰なし
85
四、刑事訴訟(商標権侵害の場合)
(3)告訴の提起
i.提出先
(a)司法警察
(b)調査局
(c)検察官
ii.捜索令状の下付
86
43
四、刑事訴訟(商標権侵害の場合)
(4)強制捜査
i.立ち入り捜査
ii.侵害物品の押収
(5)起訴猶予
i.事情軽微
ii.被害者への謝罪、賠償金の払い、誓約書提出等
iii.1年乃至3年の期間内に起訴猶予が取消されない
場合において、再審事由がないときは、同一案件
に対し再起訴することができない
87
四、刑事訴訟(商標権侵害の場合)
(6)付帯民事訴訟
i.訴訟費用なし
ii.起訴されてから高等裁判所の口頭弁論終了前
(時効に注意)
88
44
五、民事訴訟
a.訴訟費用*
b.仮処分*
c.仮差押え*
d.訴訟費用の担保*
e.時効*
f.損害賠償の計算*
g.特許訴訟の留意点*
89
a.訴訟費用
地裁
訴額の1%程度
高裁・最高裁
訴額の1.5%程度
90
45
b.仮処分
重大な損害を防止、又は急迫の危険を回避する必
要がある
a.疏明必要
b.担保金提供を以って疏明に代えることは不可
担保金提供
侵害容疑者の資本金又は年間利益
91
c.仮差押え
(1)債務者による財産隠匿、浪費を防ぎ、将来の執
行を保全するため、債務者の財産を差し押さえる。
(2)担保金提供
差押え対象の価値の三分の一
92
46
d.訴訟費用の担保
a.外国企業が民事訴訟を起こす
b.台湾国内に住所、営業所、事務所を有さない
例外:商標、特許など無形資産を有する場合
c.高裁と最高裁の費用を併せて予納
93
e.時効
(1)侵害行為及び賠償義務者を知ってから
2年
(2)侵害行為をなしたときから10年
(3)中断
i.請求
ii.起訴
iii.承認
94
47
f. 損害賠償の計算
(1)商標の場合
i.受けた損害又は失った利益
ii.通常得られる利益から侵害後得た利益を差し引い
た額
iii.侵害行為により得た利益
iv.押収品の小売価格の500倍から1500倍
95
f. 損害賠償の計算
(2)特許の場合
i.受けた損害又は失った利益
ii.通常得られる利益から侵害後に得た利益を
差し引いた差額
iii.侵害者が侵害行為により得た利益
iv.専門機構の鑑定
v.故意による侵害の懲罰的賠償
(立証された損害額の3倍を越えない)
96
48
g.特許訴訟の留意点
(1)特許表示
a.特許物品或いはその包装に特許証書番号を表記
しなければ、損害賠償を請求できない。
b.ただし、侵害者が特許物品であることを知っていた
場合、又は特許物品であることを知り得ることを証
明できる場合。
c.過失推定はない。
97
g.特許訴訟の留意点
(2)実用新案技術報告書
実用新案権利者が権利を行使する際、「実用新案
技術報告」を提示して警告しなければならない。
(3)特許有効性
98
49
水際作戦—税関での侵害品押収
(1)商標権侵害
(2)侵害事実を釈明
(3)担保提供
i.税込み価格
ii.本船渡し価格(FOB)
iii.押収措置解除の担保金
(4)侵害訴訟提起---押収通知から12日以内
99
水際作戦—税関登録
(1)登録対象
i.台湾で登録済みの商標
ii.著作権
(2)登録期間
一年
(3)必要書類
i.登録証書のコピー
ii.真贋判別方法を示す書類や説明
100
50
商標侵害疑義物品輸出入差止め手続きのフローチャート
*模倣品らしきものを発見*
a.権利者又はその代理人に通知
b.空運による輸出- - 4 時間以内
c .空運による輸入或いは海運による
輸出入- - 2 4時間以内
101
税関通知
102
51
編 號: 1 00 005 09A 0 000 000 0
內 政 部 警 政 署
保安 警 察第 二 總 隊
警察通知
第 一 大 隊 刑 事 案 件 紀 錄 (通 報 ) 單 ( 初 報 )
(5)被 害人 姓名、 年籍 、職業、 住址 、電 話
點 (6)傷 亡損 失情 形
報
(10)贓 、證物 來源
事
項 (7)現 場勘 查情 形
(11)有 無政治 因素
(8)犯 罪方 法
案
(2 )
時
報告
(3 )
間
(12)處 理情形
單
類
發生
(4 )
破獲
管
□列 列 管
( 9)涉 嫌人姓 名、 年籍 、職 業、 住址 、特 徵
重
查
(1 )
□列
違反 商標 法 (網 路 )
位
職別
姓
第 一大 隊
隊員
? ○○
名
報告者
1 0 0 年 06 月 2 9 日 1 9 時 3 0 分
10 0 年 05 月 1 0 日 08 時 0 0 分 地 台中 市新 社 區 ○ ○路 ○ ○ 號
點
1 0 0 年 06 月 2 9 日 1 6 時 0 0 分
台中 市新 社 區 ○ ○路 ○ ○ 號
一、 臺中 分 隊小 隊長 邱 ○ ○及 隊 員 溫 ○○ 、 黃○ ○ 、曾 ○ ○ 、張 ○ ○等 5 員 ,
持臺 灣 臺 中 地方 法 院 所 核 發 100 年 聲 搜字 ○ ○○ ○ 號 搜索 票 至 上 述時 、 地 執
行搜 索 ,查 獲 犯 罪 嫌 疑人 王 ○ ○ 於露 天 拍 賣網 站 以 帳 號: 「a b cd1 234 」 張貼 拍
賣頁 面 ,違 法販 售 仿 冒 任 天堂 公 司 及 so ny 公 司等 商 標 商 品 ,涉 嫌 違 反 商標 法
全案 依 法偵 辦。
二、 嫌疑 人 :王 ○○ 、男 、6 6 年 ○○ 月 ○ ○日 生 、身 分 證 統一 編 號: L 0000000、
大 學畢 業、 住 址 :台 中 市 新 社區 ○ ○路 ○ ○ 號。
三、 查獲 證 物: 仿冒 任 天 堂 公 司及 s ony 公 司 商標 商品 共 2 箱 。
四、 侵權 市 值 待 鑑定 中。
五、 報 請 鑒 核 。
案
情
摘
要
處 理 及
指
事
復
項
備考
受理 人
轉報:
執勤 官
年
執勤 員
內 政 部 警 政 署
保 安警 察 第 二 總 隊
月
日
時
分填
勤 務指 揮 中 心
103
権利侵害のクレームを受けた場合

他人の権利状況を確認
1.商標の場合:
①商標類似、商品類似を構成するか
②先使用権はあるか
③先取り登録か
④一般名称としての使用か
⑤時効
104
52
権利侵害のクレームを受けた場合
2.特許の場合:
①権利侵害を構成するか
②他人の権利による拘束を受けない場合:
出願前、既に国内で使用されていた、又はその必要な
準備を既に完了していた場合。
③権利の有効性
④特許表示の有無
⑤時効
105
権利侵害のクレームを受けた場合


警告を受けても、必ずしも訴訟になるわけでは
ない。適切な処理により侵害訴訟を回避できる
場合がある。
相手方に返事をする前に、弁護士に相談する。
106
53
知的財産裁判所

From 知的財産裁判所公式サイ ト
http://ipc.judicial.gov.tw/
107
知的裁判所審理モデル

「手続審理」及び「実体審理」に分かれ、それ
ぞれ「審査法廷」及び「裁判法廷」が審理を
担当する 。
108
54
知的裁判所審理モデル
 手続審理手続き
裁判所は案件受理後、審査法廷が手続
審査を行い、必要な補正を行うよう当事
者に命じる。
109
知的裁判所審理モデル
 審理手続き
案件が裁判法廷に移った後、審理を担
当する裁判官は直ちに開廷して関連争
点について調査及び弁論を行う。
110
55
知的財産裁判所民事一審勝率
勝率
勝率
(2010年1月∼12月)
(2011年1月∼9月)
著作
37.04%
41.43%
商標
36.11%
34.78%
特許
8.74%
14.04%
60.00%
33.33%
その他
計
18.63%
24.00%
(総件数153件の中、勝訴ケースは
28.5件)
(総件数150件の中、勝訴ケースは
36件)
111
知的財産裁判所行政一審勝率
2010年1月∼2011年
9月
2010年1月∼2010年
12月
2011年1月∼2011年
9月
商標
特許
商標
特許
勝率
10.87%
28.78%
9.72%
29.45%
商標
特許
12.50%
27.83%
112
56
知的財産裁判所特許無効率
特許
66.34%
無効率
実用新案
62.93%
(2008年7月∼2011年9月)
113
具体事例の紹介
(一)商標権侵害
(二)特許権侵害
114
57
∼商標権侵害∼
商標法第82条—
商標コピー品であることを明らかに知りなが
ら、該商品を販売、又は販売を意図して展示、
輸出又は輸入した者は、1年以下の懲役、拘
留又はNT$50,000以下の罰金に処する又は
併処する。
115
∼商標権侵害∼
「販売」とは、『売却』だけを指すか、
『購入』を含むか?
116
58
∼商標権侵害∼
《台北地方裁判所2011年度智易字第16号》
「いわゆる販売行為とは、商品を仕入れた後、さ
らに売却することを要件とするものではない。営
利を目的として、商標コピー品を購入又は売却す
る、そのいずれかの行為があれば、商標法により
処罰される販売行為に属す」と判示している。
117
∼商標権侵害∼
商標法第63条1項3号—
調査して発見した商標権侵害に係る商
品の小売り単価の500倍から1500倍ま
での金額。但し、調査して発見した商品
が1500点を超える場合は、その総額を
賠償額とする。
118
59
∼商標権侵害∼
「500倍から1500倍の倍数の斟
酌」?
119
∼商標権侵害∼
《知的財産裁判所2011年度民商訴字第6号》
原告: 飄逸實業有限公司
被告:甲(個人)
中華民国「飄逸 」「 PIAO I 」登録商標
請求額:9万台湾元
判決言い渡し:被告は原告に9万台湾元を支払う
べきである。
120
60
∼商標権侵害∼
1.商標法第63条1項3号「商品の小売り単価」とは、「模倣品
の小売り単価」であり、「真正品の小売り単
価」ではない。
2.被告が売り出した模倣品は60台湾元である。
3.賠償金額の計算は、以下を考慮すべきである。
*模倣品販売価額の原告損害への影響
*被告の仕入れ及び販売数量
*被告の故意・過失の程度
*被告が模倣品の仕入先情報をどの程度提供したか。
4.模倣品の販売価額、販売数量などを斟酌した結果、裁判官
は「1500倍で計算するのが適切である」と認めた。よって、
損害賠償額は9万(60×1500=90,000)台湾元である。 121
∼商標権侵害∼
商標法第62条1項1号—
商標権者の同意を得ずに、他人の著名な登録商
標であることを明らかに知りながら、同一又は類
似の商標を使用し、又は該著名商標中の文字を
自己の会社名称、商号名称、ドメインネーム、あ
るいはその他の営業主体又は供給元を表彰する
標識とし、著名商標の識別力又は信用を損なう
場合は、商標権の侵害と見なす 。
122
61
∼商標権侵害∼
《知的財産裁判所2010年度民商訴字第32号》
原告:瑞士商香奈兒股份有限公司(CHANEL SARL)
被告:香奈爾當舖 (質舗)
香奈爾珠寶銀樓有限公司
中華民国「 CHANEL」「香奈兒」「香奈爾」登録商標
請求:被告らは「香奈兒」「香奈爾」と同一又は類似する文字を
会社の名称に使用してはならない。
判決言い渡し:被告らは「香奈兒」「香奈爾」と同一又は類似す
る文字を会社の名称に使用してはならない。
123
∼商標権侵害∼
1.看板、名刺及び宣伝書類に「香奈兒」「香奈爾」を表示することは、
商標としての使用に該当する。
2.著名商標の識別力を損なうとは、同じ又は類似の商品ではない
が、著名な登録商標が他人によって多く使用されることにより、
当該商標の識別力又はそれが代表する信用が希釈化されること
を指す。
3.被告の使用により、著名商標「 CHANEL」「香奈兒」「香奈爾」の
識別力又は信用が損なわれると認められた。 .
124
62
∼特許権侵害∼
被告の侵害行為による利得
《知的財産裁判所2010年度民専訴字第139号》
原告:山石地磚工業有限公司
被告:連星建材有限公司
中華民国第181438号 実用新案権
請求額:300万台湾元
判決言い渡し:被告は原告に181万4508台湾元を
支払うべきである。
125
∼特許権侵害∼
1 被告は侵害製品のコスト、必要経費について立証しなかったので、
侵害製品の販売金額を侵害製品の利益とする。
2 被告の税金申告書により、総販売額は計3,282,680台湾元(製品A)
及び1,360,937台湾元(製品B)を算出。純利益率は、0.286%(製品A)
及び0.199%(製品B)である。
3 損害賠償額:
3,282,680× 28.6% + 1,360,937 × 19.9%=1,209,672
4 懲罰的損害賠償金:1.5倍(被告の侵害期間、態様、販売数量などを斟
酌する ) 1,209,672 ×1.5=1,814,508
126
63
∼特許権侵害∼
被告の侵害行為による利得
《 知的財産裁判所2010年度民専訴字第223号》
原告:甲(個人)
被告:政相工業有限公司
中華民国第222066号 実用新案権
請求額:100万台湾元
判決言い渡し:被告は原告に8万9337台湾元を支払うべきである。
損害賠償の計算:
原告は、被告の100万台湾元を立証できず、一方、被告はコスト・必
要経費を立証したので、原告の主張を認めなかった。
計算方法は:
被告の販売総額 −コスト・必要経費 ×販売数量
127
∼特許権侵害∼
裁判所の判断で損害額を認定
原告が侵害行為で被った被害を主張したが、
認められなかった
《知的財産裁判所2010年度民専訴字第66号》
原告:甲(個人)
被告:慷嘉企業股份有限公司、乙(個人)、丙(個人)
眼經廣告行銷整合股份有限公司、丁(個人)
中華民国第193706号 実用新案権
請求額:100万台湾元
判決言い渡し:被告慷嘉企業股份有限公司及び乙、丙は原
告に12万台湾元を支払うべきである。被告眼經廣告行銷整
合股份有限公司及び丁は原告に18万台湾元を支払うべきで
ある。
128
64
∼特許権侵害∼
原告は、「被告が侵害製品を販売したせいで、原告は値下げして製品を販売するこ
1 とになった。かかる差額の3,539,457台湾元は原告の損失である」と主張した。
2
しかし、以下の理由で、裁判官は、「原告の主張は採るに足らない」と認定
した。
①製品を値引きする原因は、被告が侵害製品を販売したからだけではなく、
市場の供給と需要、業界の競争、景気なども起因しているかもしれない。
② 原 告 が値引きする行為と被告の侵害行為との間に因果関係があることを立証
できない。
3
よって、裁判官は全ての状況を斟酌し、損害額を判断した:
①原告の損害額は、侵害期間において、支払われるべき合理的なロイヤリ
ティーである。
②ロイヤリティーは、実施者が実施より得られる利益より低いはずであるの
で、被告が支払うべきロイヤリティは各 4万、6万台湾元である。
③懲罰的損害賠償金: 3倍(4万× 3=12万;6万× 3=18万)
129
∼特許権侵害∼
ロイヤリティー
《知的財産裁判所2009年度民専訴字第77号》
原告:甲(個人)
被告:世潮企業股份有限公司
中華民国第127442号 実用新案権
請求額:240万台湾元
判決言い渡し:被告は原告に120万台湾元を支払う
べきである。
130
65
∼特許権侵害∼
原告は本件実用新案権を他社に非独占的実施権を許諾したこと
1 があり、その裏づけとしてライセンス契約書、銀行の送金証明書
を提出し、ライセンス料が120万台湾元であることを証明した。
被告が権利侵害により得た利益は、原告と非独占実施権のライ
2 センス契約をした場合に支払うべきライセンス料とすることが妥
当で、損害賠償額を120万台湾元とした。
被告は原告の警告状を受け取った後、直ちにその製品の設計を
3 回避した。設計回避された製品は原告権利の侵害を構成しない
ので、懲罰的損害賠償金を処する必要はない。
131
∼特許権侵害∼
「損害額」と
「故意による侵害の懲罰的賠償」との関係?
132
66
∼特許権侵害∼
専利法第85条第3項
前二項の規定により、侵害行為が故意であ
る場合、裁判所は侵害状況により損害額以上
の賠償額を定めることができる。但し、損害額
の3倍を超えてはならない。
133
∼特許権侵害∼
原告が請求できる賠償額の総額は、
①「立証された損害額」+「懲罰的賠償」
合計が損害額の3倍を超えてはならない?(最高3倍)
②「立証された損害額」+「損害額の3倍を超えない懲罰的
賠償」?(最高4倍)
実務:
《知的財産裁判所2010年度民専訴字第139号》、《知的財産裁判所
2010年度民専上字第66号》は①を採る。
しかし、「損害額と懲罰的賠償は別々に計算すべきである」と主張
し、②を採る学者もいる。
134
67
ありがとうございました
135
68