(本文)※平成22年度(262KB)(PDF文書) - 養父市

はじめに
アメリカのリーマンショックに端を発した世界同時不況は、ようやく回復基
調にあるものの、地域経済の低迷、雇用の不安、新卒者の就職内定率の低さな
ど、まだまだ冬の時代を脱していない。
国の財政状況は、国債及び借入金債務現在高が 900 兆円を越える中、国債は
スタンダード・アンド・プアーズ社により「AA-」と格付けされ、財政赤字が
今後も数年にわたって高止まりすることが懸念されている。
また、TPP(環太平洋経済協定)への参加は、TPP が原則として例外を認めな
い貿易自由化の協定であることから、養父市においては、農林業が壊滅的な打
撃を受ける可能性が懸念される。既に、昨年の中国レアアースの輸出制限強化
によって、養父市の企業が大きな影響を受けるなど、国際情勢が養父市の将来
を大きく左右しかねない状況が起こっている。
一方で、養父市の財政状況は「第2次養父市行政改革大綱」(21.3.31 策定)、
「公債費負担適正化計画」(22.8 更新)に基づき運営された結果、22 年度末の
実質公債費比率が 21.6%(3 ヶ年平均:当初計画 22.2%)と、一定の健全化が
図られ、健全レベルとされる 18%の達成が、当初計画の 27 年度より 3 年早い、
24 年度の見込みとなっている。
今年度の進捗状況は、全体的に、牛歩ではあるが着実な取り組みが見られ、
財政状況の改善につながっていることが伺われる。このことは、本委員会とし
て評価したい。
今後も、国では地方分権・地方交付税の削減等が進み、ますます養父市の自
立・自律が求められることが予想される。また、現在策定中の「養父市第 2 次
総合計画」では「総合計画・予算編成・行政評価の一体化」と明記されている
ように、引き続き財政の健全化に向けた「廃止・休止・縮小」は進めつつ、総
合計画に謳われるビジョンに向かって「維持・拡大」も進めるという、二律背
反の難しい行政運営が求められることが予想される。
最後に、本委員会の活動により、養父市の全ての職員が業務に対して、明確
な目的意識と目標を持ち、有益な成果を挙げられることを期待し、本年度の提
言を以下に示す。
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平成 22 年度の行政改革の取り組み状況について
本委員会は、関係資料※と市当局の説明に基づき「第 2 次養父市行政改革大
綱」に掲げられている 62 の重点改革事項について、平成 22 年度の取り組み
状況を検証した。結果の概要を以下に示す。
(1)
「財政の健全化」について
9 の重点改革項目のうち、4 項目はほぼ順調に取り組まれているが、5 項
目について遅れが見られるため、取り組みの強化が必要である。
(2)
「事務事業の選択と集中」について
19 の重点改革項目のうち、13 項目はほぼ順調に取り組まれているが、6
項目について遅れが見られるため、取り組みの強化が必要である。
(3)
「執行方法及び組織の効率化」について
22 の重点改革項目のうち、15 項目はほぼ順調に取り組まれているが、6
項目について遅れが見られるため、取り組みの強化が必要である。
※1 項目(課単位のグループ化・フラット化の実施)は平成 21 年度で完了済み。
(4)
「市民とのパートナーシップ(協働)の推進」について
6 の重点改革項目全てがほぼ順調に取り組まれており、一定の評価が出来
る。引き続き目標達成に向けて取り組みを進めること。
(5)
「信頼される行政運営」について
6 の重点改革項目全てがほぼ順調に取り組まれており、一定の評価が出来
る。引き続き目標達成に向けて取り組みを進めること。
※
検証に使用した資料
・
第 2 次養父市行政改革大綱
・
第 2 次養父市行政改革大綱・行政改革実施計画(平成 21~25 年度)
・
平成 22 年度
・
平成 22 年度取り組み工程表(1月末時点の進捗状況)
行政改革推進の基本方針
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平成 23 年度の行政改革に向けた提言
平成 22 年度の取り組み状況を検証する中で出された提案・意見を集約・整
理し、平成 23 年度の行政改革に向けて、以下のとおり提言する。
(1)財政の健全化
①
引き続き実質公債費比率の適正化に努めること。
平成 18 年度の段階では、将来 25%を越え、地方債の発行など、まちづ
くりに大きな制限を受ける見込みであった本市の実質公債費比率が、予
定より 4 年も早く、平成 23 年度に国の指導や規制を受けない水準である
18%以下を達成する見込みとなったことは高く評価できる。引き続き、
地方債残高の抑制、基金の計画的な積み立てと併せて、一層の逓減に努
めること。
②
遊休資産の処分を進めること。
平成 22 年度の目標 5,000 万円に対し、見込みは約 2,400 万円で、実質
48.3%しか達成していない。最終目標は 2 億円以上を掲げているが、具
体的な売却方針・計画が未策定であるため、早急に策定し、計画性のあ
る資産の売却を推進されたい。
③
市有資産の有効活用を図ること。
一部についてのリストアップはされているが、市有資産全体を一括管
理できる台帳が整っておらず、活用方法や売却の検討以前の課題である。
早急に台帳を整え、企業・個人を問わず、利用希望者に情報提供が図れ
るよう努めること。また、簿価は取得価格でなく実勢価格を記入のこと。
(2)事務事業の選択と集中
①
物件費の抑制を徹底すること。
物件費を毎年度 3%削減するという目標に従い、予算編成方針でこれを
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示すなど、削減の努力をしているが、前年対比 0.5%増で未達成の見込み
となっている。原因を分析し、次年度以降は抑制を徹底されたい。
②
公用車の適正な管理を行うこと。
庁舎単位での一元管理体制が整えられたことは評価できる。今後は、
さらなる管理コストの抑制のため、各部局の職員数と業務、使用頻度を
精査し、出来る限り保有台数を削減するよう努められたい。
③
さらなる施設の統廃合を進めること。
今年度 6 月に、311 ある公の施設の管理適正化方針が定められ、移管作
業に着手されたことは高く評価できる。それぞれの施設が整備された事
情や経緯もあり、困難なものもあろうが、引き続き強力に推進されたい。
(3)執行方法及び組織の効率化
①
成果重視の任用方法の定着を図ること。
副主幹昇任試験を整備・実施したことは高く評価できる。今後は、現
在の制度の定着とともに、職員のやる気を喚起し、より一層、困難な課
題に挑戦する職場風土を培うため、課長級の任用・登用のシステムも早
急に整備されたい。
②
複線型人事制度の定着を図ること。
本制度が整備・実施されたことは評価できるが、職員の応募が無く、
事実上運用されていないのは課題である。この結果を検証し、多様化す
る市民ニーズに適切に対応できる組織づくり、職員の育成のためにも、
制度の趣旨を十分に周知して応募者を確保し、制度の定着を図られたい。
③
明確な人事戦略を確立すること。
管理的職の民間からの登用、民間企業等への派遣、中途採用者確保の
ための採用・任用制度の導入などついて、一定の検討と制度づくりが進
められてはいるが、養父市として、どのような職員を育成したいのか、
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どのような能力やノウハウを持った人材を得たいのかなど、人事戦略が
不明確である。理想とする養父市が求める職員像や将来の職員体制を示
した人事戦略を早期に確立されたい。
④
事務事業の民間委託を進めること。
今年度は「大屋スポーツセンター」、来年度に向けては「とが山自然
文化園」の全施設、「西南但馬障害児通園事業施設エスポワールこじか」
を指定管理に移行するなど、出来るところから、民間委託が進められて
いることは評価する。今後も引き続き、施設の指定管理を進めるととも
に、正規職員数の減尐に合わせた業務の民間委託も検討すること。
(4)今後の行政改革推進委員会のあり方
行政改革推進委員会は、市長の諮問に基づき、大綱案の審議や事務事業
評価への参画などの活動に取り組み、その結果、養父市は財政の健全化な
ど一定の成果を上げた。
一方、現在策定中の第2次養父市総合計画では「総合計画」「予算編成」
「行政評価」の一体的運営が明記されており、総合計画に示される施策の
成果目標の進捗管理が中心となるため、委員会が今まで担ってきた「行政
改革」「事務事業評価」はこれらと一体化することが望ましい。
今後は、行政改革推進委員会を発展的に解消し、総合計画に基づくまち
づくりを監視する新たな委員会を設置すること。
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資料1
養父市行政改革推進委員会
委員名簿
(敬称略)
会
長
辻
本
職務代理者
足
立
恵
職務代理者
白
岩
ひとみ
委
員
植
木
真理子
委
員
川
見
玲太郎
委
員
谷
村
純
子
委
員
寺
前
尊
文
委
員
豊
田
潔
委
員
羽
渕
三枝子
委
員
福
波
良
道
委
員
村
上
彰
男
委
員
森
本
秀
也
6
康
次
資料2
「平成23年度の行政改革に向けた提言書」検討経過
平成23年
2月
3日
第2回養父市行政改革推進委員会
・提言書の作成について
・平成22年度の行革課題の進捗状況について
3月15日
第3回養父市行政改革推進委員会
・提言書(案)について
・提言書の提出について
3月15日
平成23年度に向けた提言書を市長に提出
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