KURENAI : Kyoto University Research Information Repository Title Author(s) Citation Issue Date URL ゲルの膨潤比とキネティクス : イオン化ゲルと拘束ゲル (基研研究会「ソフトマターの物理学」,研究会報告) 鈴木, 淳史 物性研究 (2002), 79(2): 190-190 2002-11-20 http://hdl.handle.net/2433/97367 Right Type Textversion Departmental Bulletin Paper publisher Kyoto University 研究会報告 ゲルの膨潤比とキネテイクスーイオン化ゲルと拘束ゲル* ( 横浜国立大学大学院環境情報研究院) 鈴 木 浮 史 ゲルの膨潤比 とキネティクスについては これ までに多 くの研究報告があ り、その基本原理は確立 し た と考え られている。 しか し、最近になって、理論的に説明のできない相挙動や動的性質が数多 く観 測 されているのも事実である。 ここでは、イオ ン化ゲルの特異な膨潤挙動や拘束されたゲルの膨潤 ・ , 収縮の動的性質 に関する最近の実験結果 を示 し、ゲルの膨潤比とキネティクスについて再考 したい。 イオ ン化ゲル イオン化 された円柱状Nイソプロピルアクリルアミ ド (NI PA) ゲルは、純水中で一定の温度範囲で 安定な二相共存現象が現れると報告 されている。 しか し、 この現象が、相転移ゲルに普遍的な もので PA とアク リル酸ナ トリウム ( SA) の共重合イオ ン化ゲル あるかは明 らかにされていない.一方 、 NI PAゲルの膨潤比付近 にまで、イオン化度 によ らず に の膨潤比は、流動溶媒下では時間と共に中性のNI 減少することが示 された。 この現象は、流動溶媒下でナ トリウムイオ ン (Na+) がゲル外 に拡散す る ことと、分子間引力が新たに形成される ことによる ことが示唆されている。最近、溶媒の くり返 し交 換 によ り溶媒中のNa+濃度変化 を測定するな ど、 これ らの予測 を実証する実験 を行 った。膨潤特性お よび複雑な体積相転移現象 を考 える際 に本質的に重要な因子 について、巨視的な体積変化 ( 図1) を 元 に考察 し、 この系の二相共存状態の出現 との関連 を調べた。 イオン化ゲルの膨潤比には、溶媒体積が本質的に重要であることが明 らかになった。 拘束ゲル ゲルの膨潤速度は、田中I Fi l l mor eによる球状のNI P Aゲルの実験 と理論が報告されてか ら、多 くの実 験結果が このモデルによ り議論 されてきた。また、 1軸 を拘束された高分子ゲルの膨潤比 とその変化 を測定することによ り、 自由なゲルの挙動 と著 しく異なることも報告 されている。例えば、熱応答性 P Aゲルでは、単軸の長さを拘束 した状態で温度変化させ ると、長さの増加 と共に膨潤相の の円柱状NI 膨潤比が増大 し、相転移温度が上昇する。 この 1軸拘束下での挙動は、状態方程式を用 いて現象論的 図2) の相転移 に関す る研究は少な く、その基本 に理解 されている。一方、 2軸 を拘束 されたゲル ( 原理の理解 は十分 とは言えない。最近、 この拘束ゲルの膨潤特性 を測定 した結果、ゲルの膨潤比 と膨 潤 ・収縮速度 は、ゲルの拘束条件 ( 両面拘束/片面拘束)、ゲルの合成時の厚 さ ( 図3) に強 く依存 図4) 。 すること、また両面拘束の場合 には、緩和は2次元の拡散 によ り支配 されることが分かった ( 拘束ゲルの緩和速度は、ゲルの自由表面か ら緩和する長 さに依存す ることが明 らかになった。 参考文献 I )A.Suz ukian dT.I s hi i , J our nalofChe mi c alPhys i c s ,I l o券, 4号, 2289頁 ∼2296頁,1 9 99年 2)G.Ba ian dA.Suz uki , J our n alofChe mi c alPh ys i c s ,1 1 1 巻, 22号,1 0338頁 ∼1 03 46頁,1 99 9年 3)A.Suz ukia n dT.Har a , J ouma lofChe mi c a lPh ys i c s ,11 4巻,11 号,501 2頁∼501 5頁, 2001 年 *講演 は、研究室の学生 ・卒業生である白 剛君、呉 細栄 さん、原 実験や学位論文を元にしている。 -1 90- 拓君、町頭正浩君、平島 由美子 さんの
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