Page 1 京都大学 京都大学学術情報リポジトリ 紅

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スピン擬ギャップとフェルミ液体描像の問題点(基研研究
会「強結合超伝導-Pseudogapを中心として-」,研究会報告
)
伊藤, 豊
物性研究 (1999), 72(4): 450-455
1999-07-20
http://hdl.handle.net/2433/96661
Right
Type
Textversion
Departmental Bulletin Paper
publisher
Kyoto University
研究会報告
スピン擬ギャップとフェルミ液体描像の問題点
超電導工学研究所 伊藤 豊
高温超伝導体の性質のいくつかは 2次元反強磁性庄界点近傍のフェル ミ液体理論によって解明され
てきた。しか し、モツト転移近傍を含めて相図全体 の捉え方について十分な合意には至っていない。
最大の栽間の一つはスピン擬ギ ャップの形成機構 とその役割である。本稿では 2つの話題 について紹
介する。まず最初は、CuNMR法によって見出されたHg鮎 2
CuO4
+8系 (
Hg1
201:単位胞に 1枚の
CuO2
平面)とHgBa
2
払 Cu2
06
+8系 (
Lt
g1
21
2:単位胞に 2枚のCuO2平面)
のス ピン擬ギャップ。こ
セ1
201とHg1
21
2はHgO層の較素量の増減 によ り不足 ドープ域 か ら過剰 ドープ域まで電子状
こで、Ⅰ
態を大きく変化させることが出来る系である。最適組成でHg1
201はTr97KをHg1
21
2はTc
∼1
27K
を持 つ。次に、スピン擬ギャップへの不純物効果 としてY鮎 2
(
Cul
x
Mx)
4
08(
Y1
248:M=
Ni
,Zn)
のCuNQR研究である。
Ⅰ
. 単位胞に 1枚だけCuOゥ
平面をもった高温超伝導体Hg1
201
-そのスピン擬ギャップ発見の意義 スピン擬ギャップとは、そもそもCu核ス ピン格子緩和率 (
1/
TI
T)が Tcよ り十分高温の温度Ts
か
ら著 しく抑制されることか ら推測された磁気励起の擬ギャップである[
1]
。現実の反強磁性絶縁体のネー
ル状態ではスピン波励起にスピンギャップが存在するが、Tsでは相転移はなくクロスオーバーとして
スピン擬ギ ャップ状態に移行 していくと考えられる。 ところが、その後 しばらくスピン擬 ギャップは
2枚層Y1
237系のみで観測され 1枚層L
SCO21
4系で は観測されなかったため、それは 2枚眉間の磁
気的相互作用が原因であって高温超伝導体一般の性質ではないのではないか、と信じられるようになっ
ていた [
2]
。か く言う筆者もそ う考えた一人であった。面間 にイオンサイズの大きいものを置換する
ことで面間結合を緩和させ本来 の 1枚の性質をあらわにできないかと考えていろいろと実験 してみた
りもした。
ところで、これとは別の重要なテーマの一つとしてNMRのデータだけか らス ピンゆちぎのすべての
パラメータを評価するということがあったのだが、高い精度で測定できるYBCO系にはスピン擬ギャッ
プが立ちはだかっていた。 2次元スピンゆちぎの理論では、ゆらぎの波数空間での広が り (
振幅)を
表すパラメータ TA とスピンゆらぎエネルギー (
特性エネルギー)Toの二つが反強磁性スピン相関関
数を特徴付けていた [
3]
。守谷先生らによるSCR理論では電気抵抗の直線的温度変化の傾きか らToが
TlからTAが評価されていた [
3]
。筆者はCu核ス ピン格子緩和時間 Tlとスピン
そ してCuNMR1/
Gの 2つ を使えばNMRのデータだけか ら TA と Toを評価 できることに気づき、
スピン緩和時間 T2
早速データ解析を行ったところ、スピン擬ギャ ップ状態の Tlを除いて はうまく行 くことがわかった
[
4]
。 しか し、このとき評価 したス ピンゆらぎパラメータ と組成との間には単調な関係があったもの
の,Tcとの間には理論が示すような関係がなくその解釈 に困ってしまった [
4]
。その後、筆者の評価
方法のアイデ アを違 う物質群で違 うスピンゆちぎ模型にあてはめた仕事 [
5]が現れたが 、その事実の
-4
5
0-
「
強結合超伝導 - Ps
e
udo
ga
pを中心 として-」
捉え方には納得がいかない。さらにその後、よくよく考えてみると Tlあるいは T2
G のいづれかの温
度変化 だけか らでも二つのパ ラメタを評価出来 ることに気づ き、その方針で論文 も書いてみた 〔
6]
。
がしか し、やはり一つの物質群 で而もきれいな 1枚層の系で出来れば較素量だけで不足 ドープ域か ら
過剰 ドープ域まで全域変化する高温超伝導体に対 して、 Tlと T2G の実験データを集めなければ確実
な議論が出来ないのではないか、と考えるようになっていた。ちょうどその頃SRLのNMRP究者 (
町)
SSPに所属)Hg1
201系の測定 を行 うことが 出来た。
と共同研究す る機会 に恵まれ (
筆者 は当時I
Hg1
2
01はまさに望みの物質であった。また、SRLは良質のHg1
201を合成出来る今 日においても世界
∼50K の不足 ドープの試料か ら測定を開始 したのだ
の数少ない研究機関の一つである。そ こで、Tc
が、Tl
の測定 を開始 して筆者は度肝を抜かれて しまった。Tlが低温 では長いので ある。T50K(
∼
Tc
)の低温か ら測定を始めて室温まできたとき、それまで観測されたこともない高温の Ts
∼260Kの
スピン擬ギャップが現れたのである。 1枚層にもスピン擬ギャップがあったのである。
cuNMRの測定結果か ら6
3
cuナイ トシフ ト KICu核ス ピン格子緩和率 (
1
/
TI
T)
c
c及び Cu核スピ
1
/
T2
G)
c
cの各温度変化にスピン擬ギャップ的振る舞いを観測 し
ン ・スピン緩和率のガウシアン成分 (
●
(
q,
o
)
∼0)の波数平
た。それぞれの物理量は一様ス ピン帯磁率 x(
0)、低周波数の動的スピン帯磁率 x'
均および静的スピン帯磁率 x(
Q)を見ている。図 1にHg1
201、図 2に‡
垣1
21
2の一連の測定結果を
示す。蕉くことに、Tc∼5
0Kの試料では室温の1
/
TI
TがTcでは 1
/1
0の値にまで減少している !
)
C
,
0 20 3m
1
3
0
T(
K
)
▲
▲▲
l
▲
3
1ぎ
T(
K)
(O
2
0
L
.
a
呈
図2Hg1
21
2[
1
0]
J
L
)
C
,
0
10
▲▲
・
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・:
T
.
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1
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黒緋 .
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1
(
N
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0
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0
図1Hg1
2
01[
7]
[
8] T㈹
君
o
oo o。。
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OT
rl
C3K仲山 l
叫 I
▲T
P1
2
TK伽か叫
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z
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3K㈱
)
1
00
2
0
0
(
刀
3
T(
K)
不足 ドープ域 の単層Hg1
201のスピン擬ギ ャップは文献 [
7
]で最初 に報告 された。図 1は文献
[
7
]
〔
8]に基づくものである。ちなみ に、 5ケ月後にオルセー大学のr
m Rグループでも1
7
oNMRによ
-
4 51
-
研究会報告
るナイ トシフ トの温度変化において擬ギャップの存在 を観測 している [
9]。また 、 2枚層高温超伝導
TI
T と 1/T2
G]か ら総 合的に
体のス ピン擬ギャ ップの組成変化 を全組成域で 3つの物理量 [K・1/
1
0
]しかない。
報告 しているのは文献 [
ス ピン擬ギャップの特徴的温度 として (
1/
TI
T)
c
cが極大をつ くる温度 Tsの組成変化 を下図に示す。
Hg1
2
01とHg1
21
2とではTsの組成変化は異なってお り、普遍的な関数形ではなかった [
1
0]。
スピン擬ギ ャップがフェル ミ
面近傍の何 らかの対形成である
...
.
.
.
.
.
I
.
I
.
.
.
.
.
.
.
H
.
g
1
.
2
.
0
.
1
.
.
.
五
一H
g
1
2
1
2
. .
i
.
*
.
と考えれば、基礎 となるフェル
ミ面の トポロジーが異なればそ
T
s
の組成変化にも違いが現れて く
⊥
Tc
′.
▲
:
4...
▲
0
.
2
0
P
s
H
ることが容易に想像できる。普
0
.
4
遍的な関係を追及する試みは実 り
多い努力とは思えない [
1
0]。
ef
or
med Cooperpai
r説 [
11
]、
ス ピ ン擬 ギ ャ ッ プ の起 源 と して 3つ の説 が あ る 。pr
pr
ecur
sorSDW 説 [
1
2]とス トライ プゆ らぎ説 [
1
3]である。最初の説 は、電子対形成温度 Tsと
そのボーズ凝縮温度 TB(
≦
Tc
)が分裂 した というもの。現実の理論 として どこまで計算可能か、モ ツ ト
転移に向けて反強磁性相関が増 大す ることとどう関係付けるかが課題 と思われる。次の説 は、モ ッ ト
転移近傍で 反強磁性ゆ らぎの増 大が期待 されるわけだが,現実 には金属反強磁性長距離秩 序がないこ
とか ら理論 としてSDWゆ らぎを取 り入れるべきとい う要請か ら生まれ た もので、 F
U三
Ⅹ近似 によって
ある程度計算がされている。モ ツ ト転移 とどうつながるか今後に期待 される。最後の説は、ホールを
ドープした ネール秩序状態の安 定解 として現在ス トライプ解が知 られ ているわけだが、超 伝導相で も
その解がゆ ちぎとして残 り、ゆ らいでいるス トライ プ内の磁気励起にはス ピン梯子のス ピンギャップ
と類似 した擬ギャップが生 じて いるはずである、 というかな り野心的 な理論予想である。 具体的な計
算が望まれる。
Ⅱ. スピン頼ギャップ_
の不純物 (
M〒
N,
Zr
l
)
_効果
不純物効果の研究において重要な実験的課題は、いかにして母体の電子状態と不純物の誘起状態を区別するか
m QR研究
であるが、これまで十分な努力がなされてきた感がない。銅酸化物高温超伝導体の不純物効果のNh
は、阪大基礎工 (
朝山 ・北岡研究室)、高知大 (
山形 ・松村研究室)及びオルセー大 (
アルール研究室)の各グ
ループが中心となって活発になされてきたが、母体と不純物の寄与を明確に区方け ることに成功したのはごく限
Z
Z
この起源の解明は微視的なZ
nの作用を理解
られたケースであった。 n添加されたY1
2
3
7の平面サイ トC
u核スピン回復曲線において、 nに誘起 された長
い r
Tl
」成分が報告されたが [
1
4]
、その起源は謎に包まれて来た
する上で重要である。
我々はこれまで不純物 M(
N,
Zn)
を添加 したスピン擬ギャップ物質Y1
2
4
8:
MC
r
d)
8
2K)の C
u核スピン格
子緩和時間をいかに正しく評価するかという研究を行ってきた。最近、これまで見落とされてきた不純物緩和の
畢論を用いて、母体電子のスピン揺らぎと不純物誘起による緩和の2つを明確 に区方け ることに成功 したので、
その研究結果を紹介する[
1
5
]
。
-
4
52-
「
強結合超伝導 - ps
e
udo
g
a
pを中心 として-」
Ⅱ.
1. N とZ
hの違い
nの置換は微視的にどのような違いを与えるのか ? Y1
2
3
7
やY1
2
48系にはそもそも置換サイ トが平面サ
N tZ
イ トか鎖サイ トか という問題が存在する。現在ではY1
2
3
7:
N は主 として鎖サイ トに置換されていることが、
C1
:
(
1
)&CL
・
(
2
)
NQR[
1
6
]と光学伝導度のe
t面内の異方性の測定[
1
7
]から確かめられている。一方、Y1
2
4
8:
N と:
Z
nは平面サイ トに置摸されて いることが ラマン散乱 によるフォノンモー ドのシフ トの有無か ら示唆されている
[
1
8
]
。このY1
2
48は酸素の出入 りがほとんどないため酸素量の変化を心配する必要がないという大きな利点があ
り、また典型的なスピン擬ギャップ系として知 られている。
まず、cur
W 法により平面サイ トα 核スピンの回復曲線を&l
促 したところ、T>>Tc
で・
Ni
によって短いTl成分が、Z
hによって長いTl成分が誘起される、
1
2
]
。ただ し、
という違いを発見 した[
Zn置 換 に よる 長 いT
l成 分は既 に
Y1
2
37において発見されたものである
1
[
1
4]が 、N の短いTl成分は これ まで
にない全く新しし嘆 験事実である[
1
5
]
。
右図に回復曲緑のNとZ
h添加依存性
3
E:
30
.
1
=
一
をそれぞれ示す。N添加とともに短い
▼
■
■
1
●
≡
l
Tlが誘起される一方、Zn添加ととも
lが誘起され 更 に全体の回
に長い T
2
48よりも長くなって
復時間が元のY1
0
.
0
1
0 000
1
2
00
t(
ps
e
c
)
3
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
t
(
ps
e
c
)
5
1
5
0
0
いる様子がわかる。 これは母体の T
l
自体がむ1によって変化 して いるとい
う重大な事実を示す。
不純物緩和理論では、核スピンの回復曲轟は母体 の指数緩和に双極子相互作用とR
m
分極を通じた 「
引き伸
ばされた」 (
s
t
l
e
t
C
kd)指数関数の積で表される [
1
9
]
。図中の実績はこの関数のフイットの結果であり概ね良好
である。
N 添加による短いTl成分は、ほぼ全部のCL核スピンが観測されているとして説明出来た。つ まり、ワイプア
ウト 蜘
Z
)半径 Rc∼aである。一方、 n添加による長いTlは、有限のワイプアウ ト領域を考慮に入れた
不純物緩和の「般式で説明出来た。ワイプアウ ト半径 乾 はZn周 りおよそ4
5aというかな り大 きい値を得た。
ワイプアウ ト領域内の電子状態は極めて磁気相関が増大 していて、CuNQRでは観測にかからなくなってお り、
その最外殻の核スピンのTlが長いTlの起源と解釈される。ただ し、単にむ1が路化して周 りにW
を及ぼすと
2
0
]ではワイプアウ トの理 由にはならないので・1
′rl
,
2
Gの増大した電子状態が広がっていると考え
いうモデル [
1
′r
l
T)
H。ST が元のY1
2
48よりも小さいという重要な結果も得た。以上をまとめ
ざるを得ない。 また、母体の (
ると、Z
nの周 りの半径 鞄 のかなりの広い領域を境に電子状態が一種の 「
相分離状態」にある、と考 えざるを得
Z
Z
ない。 nがなぜユニタ リ極限 [
1
4]の強散乱体か ?という問いに対する答えの一つは、 nによって誘起 された
「
相分離」である。有限サイズの散乱体が実質的に強い散乱を引き起こし、電気抵抗に現れる巨大な残留抵抗や
キュリー帯磁率を誘起 していると考える。
-45
3-
研究会報告
H.
2. 不純物誘起緩和 と母体 のス ピン揺 らぎによる緩和時間の分離 :Ni
添加
母体の指数緩和と 「
引き伸ばされた」指数関数の積で表される回復曲
叱
)は単純な指数関数 を無理 に回復曲線にフイッ トして得た緩和率
(
1
〝1
T)
AV である。あたかもスピン擬ギャップがN 添加とともに壊れ
甘F
L
T
)
N
を評価した。右図 (
a
)にその温度変化を N 添加量Ⅹごとに示す。右図
ヂ§
uNQR緩和率 (
1
′
r
1
℃ H。ST
線を用いて、母体スピン揺 らぎによる C
'.II-''
.]---'[-Ni
A
Aモ≡i:K
●T
c
=6
3K
OT
c
o
=8
2K
て行くかのように見えるが、それは母体 の本当の姿ではない。図 (
a
)に
0 15
示したように、母体のスピン揺らぎはほとんど変わっていない [
1
5
]
。
な低励起状態が存在 しなくそq
)
ため N 不対スピンの十分な遮蔽がされ
(
,
E.
プと近藤効果の競合で[
21
]
、スピン擬ギャップのためフェル ミ面に十分
阜y
F
Lが
.
)
なせた。 これに対 して 2つの可能性が考えられる。まずスピン擬ギャッ
■'Jl
■●一I-I
gr
e
Exp
o
ne
nt
i
a
l
▲
Fi
t
'
▲● ■●I'.
今回の測定において、N電子スピンはほぼ自由な局在モーメントと見
A A Sj
n
㌧
●
(
⊃
O
A
A
A等 趣
き. さ
さ...
(
b
)
なかった可能性である。もう一つはフント結合と近藤効果の競合で [
2]
、
N2
十の S;
1
が部分的に遮蔽され残 りの S1
/
2
が見かけ上はば自由な局
在モーメントになったという可能性である。いづれか一方というよりは
0
0
1
0
0
2
300
T(
K)
2つの機構が同時に生じている可能性が考えられる。
皿 まとめ
1
2
01のスピン擬ギャップ発見の意義につ
スピン擬ギャップに関する 2つの話題を紹介 した。まず、 1枚層 Hg
いて述べた。鞄 1
2
01とf
i
g1
21
2の CuNMR研究からスピン擬ギャップ温度Tsの組成変化が 2つで異なることを
見出し、その違いがフェルミ面の トポロジーの違いに起 因する可能性を述べた。次に、これまで見落 とされてき
た不純物緩和理論を用いて母体のスピンゆちぎと不純物 誘起緩和を明確に区別することに成功したこととその結
nが N よりも広いワ
果について述べた。磁性不純物 N はスピン擬ギャップを破壊 しないこと、非磁性不純物のZ
イプアウ ト領域を作っていることを発見 した。
謝辞 :共同研究者である超電導工学研究所の町敬人(
Ⅰ
セ 系と不純物)
、渡辺宣朗(
Ⅰ
セ 系と不純物)
、腰塚直己(
I
i
g系
Ⅰ
セ系)
、山本文子(
I
i
g系)
、田辺圭」 Ⅰ
セ系)
と東京大学物性研究所の安岡弘志(
Ⅰ
セ系)
の各氏に
と不純物)
、安達成司(
感謝するとともに、同所の田島節子、富本晃書の両氏との議論i
こ感謝します。 また、高知大学の山形英樹、松村
政博の両先生には不純物緩和についていろいろとご教示 していただきまして感謝 します。なお、本研究は新エネ
ルギー産業技術総合開発機柄から委託されたものである。
参考文献
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4 54 -
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強結合超伝導 - Ps
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5
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朝山、北岡 :日本物理学会誌第 5
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