Hyper Works を用いたソーラーカーのサスペンションの機構解析 金沢工業大学 工学部 教授 山部 機械工学科 昌 大学院機械工学専攻修士 1 年 上野 智之 1. はじめに 本研究では、夢考房ソーラーカープロジェクトで製作した(Fig.1 参照)ソーラーカーの足回りを対象と している.プロジェクトでは,安全面からレースにおける車両レギュレーションが大幅に変更となった為, 新車両の設計に着手している.そこで,現車両となる KIT Golden Eagle 4 のサスペンションについて Hyper Works の Motion view を用いて調査して次期車両のサスペンションに役立てることを目的とし ている Fig.1 KIT Golden Eagle 4 2. サスペンションについて 本節では,対称としているソーラーカーのサスペンションについて簡単にのべる.ソーラーカーのサス ペンションは前後プルロッド式のサスペンションとなっている.今回は,フロントサスペンションのみモ デルを製作して解析を行った. Tire Knuckle arm c a b Upper arm Knuckle c Z a b Lower arm X Z Spindle X Y Fig.2 サスペンション 1 Y 3. 解析方法 3. 1 解析モデル 本研究で,製作した解析モデルを示す.また,モデルを作る際の座標は Table.1 に示す.タイヤ接地点を 原点として符号及び点は Fig.2 に示したものと対応している. Fig.3 解析モデル Table 1 Point X Y Z Global Origin 0 0 0 a_ Upper arm 153.78 -335.11 428.48 b_ Upper arm -20.22 -116.22 432.44 c_ Upper arm -146.22 -335.11 428.48 a_ Lower arm 153.78 -384.9 203.7 b_ Lower arm 4.44 -50.99 192.8 c_ Lower arm -146.22 -384.9 203.7 Tier 0 0 240 Knuckle arm -98.12 -116.22 458.36 Pull rod -20.22 -159.89 412.93 Knuckle 0 -63.79 240 a_ Rocking arm -20.22 -310.98 169.75 b_ Rocking arm -20.22 -383.4 204.5 c_ Rocking arm -20.22 -287.51 256.75 Shock absorber -20.22 -335.61 425.48 Unit [mm] 2 4. 2 拘束条件 解析するに当たり,本来のロットエンド部に拘束を与える必要がある.そのため,各座標に拘束を与え た.拘束を Fig.4 に示す.サスペンションアームの付け根,ショックアブソーバの付け根について,本来は シャシが存在するが今回の解析ではモデリングしていないので背景と拘束した.タイヤとスピンドルは 動かない様に完全固定した.また,ステアリングレイアウトにおけるアライメント変化は今回見ない為, ナックルアーム先端にはないも拘束を与えていない.今後はタイロッドを追加してロールステアも見た ほうが良いと考えている. Ball joint Free Fixed joint Revolute joint Ball joint Ball joint Z Z X X Y Y Origin Fig. 4 拘束条件 5. 解析結果 解析では,はじめにショックアブソーバとなる Hyper works の中の Spring に強制的に動きを与えて振動 させることでアライメント変化を調べようとした.動きを与えた座標点は Table 1 の「c_ Rocking arm」 である.(Fig. 5(a) 参照) しかし, Spring の設定がしっかり出来ていないのか分からないが解析を実行す ることが出来なかった. 強制的に動きを与えた 強制的に動きを与えた Z X Y Force (b) パターン2 (a) パターン1 Fig.5 解析パターン 3 次に Fig.5(b)に示すようにタイヤ接地点に力を与えることでサスペンションを移動させた.パターン 2 ではバウンド時のみの解析となるがパターン 1 の方法では解析できなったので今回はバウンド時のみ のアライメント変化を見た.解析は 10s 行い,サンプリングは 0.1s で行った.解析結果を Fig.6 に示す. 解析は,縦軸にタイヤの z 方向の移動量、横軸に y 方向の移動量をプロットした. 18 16 Wheel stroke [mm] 14 12 10 8 6 4 2 0 0 0.05 0.1 0.15 0.2 Tread change [mm] Fig.6 スカッフ変化 今回の解析では,時間に対するキャンバ角変化を出力することができなかった.なお,ショックアブソ ーバがバウンドしきったときのキャンバ角はトレッド方向の変位量が 0.18mm 時、0.55deg となった. また,トレッド方向の変位量が 0.18 以降はバネが振動してタイヤも振動した為,値が戻ったと考えられる. ここで,一般車におけるスカッフ変化量は,ホイールストローク量-20~20mm で-2~2mmとなっている. 今回解析したソーラーカーのスカッフ変化は一般車の適正範囲に納まっていることから次期車両のお いてもこの程度のスカッフ変化で十分であると考えられる. 6. 今後として 今後の解析として、まず解析方法の見直しを図る必要がある.今回の解析ではタイヤに直接力を与え ていたが,タイヤもしくはショックアブソーバに移動量を時間の関数で与えることで後半タイヤが振動 してしまうことがなく,良い軌跡を描いた結果を得ることが出来ると考えられる. 4
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