エストロゲン受容体陽性/ ヒト上皮増殖因子受容体 2 陰性転移性 - 光製薬

海 外 最 新 文 献
ヘルスデーカスタム(編集協力 HealthDay) 2014-07
エストロゲン受容体陽性 / ヒト上皮増殖因子受容体 2
陰性転移性乳癌におけるレトロゾールとpan-class I
ホスホイノシチド 3 キナーゼ阻害剤 buparlisib の
併用療法の Stand Up to Cancer 第 Ib 相試験
Stand up to cancer phase Ib study of pan-phosphoinositide-3-kinase inhibitor buparlisib with letrozole in estrogen receptor-positive
/human epidermal growth factor receptor 2-negative metastatic breast cancer.
Mayer IA.et al.: J Clin Oncol 32(12):1202-9,2014
背 景
ホスホイノシチド 3 キナーゼ(PI3K)経路は、癌において最も変異の頻度が高い経路である。この変異は、エストロ
ゲン受容体(ER)陽性乳癌患者の 40% に認められる。この経路の活性化は、癌の内分泌療法に対する抵抗性を増加させる。
PI3K シグナル伝達は、ER 陽性乳癌細胞の増殖を促進する。buparlisib は、経口投与で用いる可逆的な PI3K 阻害剤である。
最大耐用量での buparlisib の第 I 相試験では、抗腫瘍活性の明確なエビデンスが認められ、buparlisib の安全性および
良好な忍容性が示された。
目 的
本第 Ib 相試験の目的は、内分泌療法に抵抗性を示す ER 陽性転移性乳癌患者を対象に、アロマターゼ阻害剤である
レトロゾール経口剤と buparlisib との併用療法の安全性、忍容性、および有効性を評価することであった。抗腫瘍活性
および腫瘍の代謝反応の評価を、ベースラインおよび治療開始後 2 週目に、[18F] フルオロデオキシグルコース陽電子放
射断層撮影 / コンピュータ断層撮影(FDG-PET/CT)を用いて評価した。PI3K 触媒サブユニット(PIK3CA)の変異の有無
を臨床転帰と相関させた。
方 法
本研究の患者に対して、2 つの異なる投与スケジュールでレトロゾールおよび buparlisib を投与した。全患者とも閉
経後であり、内分泌療法抵抗性の ER 陽性 / ヒト上皮増殖因子受容体 2 陰性転移性乳癌が確認されていた。本試験は、
2010 年 8 月∼ 2012 年 1 月に多施設共同オープンラベル試験として実施した。PI3K 変異解析のために腫瘍ブロックを
採取した。患者 51 名に、4 週間ごとのスケジュールで buparlisib を継続的または間歇的に投与した。全患者にレトロゾー
ル 2.5mg/ 日を投与した。
結 果
buparlisib の最大耐用量は 100mg/ 日であった。一般的な副作用として、高血糖、悪心、疲労、高トランスアミナーゼ血症、
気分障害が認められた。 6 カ月以降に疾患の増悪が認められなかった患者は、治療群にかかわらず全患者の 31% で
あった。2 週間目に [18F] フルオロデオキシグルコース陽電子放射断層撮影 / コンピュータ断層撮影(FDG-PET/ CT)で
代謝疾患の増悪を示した患者は、治療中に急速な疾患増悪を示した。臨床効果は PIK3CA 活性と無関係であった。
結 論
buparlisib とレトロゾールの併用療法は安全であり、忍容性が高く、有効であることが分かった。この結果は、継続
的な投与群でも間歇的な投与群でも同様であった。毒性は可逆的であった。本試験は、内分泌療法に抵抗性を示す ER
陽性進行乳癌における PI3K 阻害剤と抗エストロゲン剤の併用療法に関する初めての第 Ib 相試験である。buparlisib 併用
または非併用での内分泌療法の第 II 相よび第 III 相試験が進行中である。
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