ベトナム民営化ファンド2 (投資事業匿名組合)

ベトナム民営化ファンド2 (投資事業匿名組合)
ベトナム民営化ファンド2投資事業匿名組合の最終償還のお知らせ
出資者の皆様へ
2011年9月30日
拝啓 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のお引き立てを賜り、ありがたく厚く御礼申し上げます。
さて、2006年7月31日に事業を開始いたしました、ベトナム民営化ファンド2投資事業匿名組合(以下、「本匿名
組合」と言います。)は、2011年6月30日をもちまして契約期間を満了し、償還となりました。償還金は、2011年9月
30日にお客様の匿名組合口座へ入金させていただきます。
本匿名組合は、皆様から総額9億5,610万円の出資金をいただき、2006年8月より、主にベトナムの上場・未上場
株式等へ投資を行って参りましたが、2011年6月末における最終的な1口当り組合員持分は19,440円となり、この
金額に、第1期の分配金を加えた最終的な投資回収額は、64,166円(税考慮:55,220円)で、当初1口当り
100,000円を40%近く下回る結果となりました。これまで投資収益を拡大すべく事業運営に邁進してきましたが、最
終的に出資元本を毀損する結果での償還となったことは大変遺憾であり、出資者の皆様には、ご期待に沿うこと
が出来ず、深くお詫び申し上げます。
運用開始から第2期半ばまでは、保有していた未上場株式の上場等により一定の成果を残すことが出来たものの、
2007年10月以降はベトナムマクロ経済の急激な悪化、世界的リスク資産市場の急速な圧縮の動きから、ベトナム
株式の流動性が大幅に奪われていき(過去最高値からの下落率は約80%)、収益機会は限定されました。また期
中を通じては、米ドル・ベトナムドンで約31%のドン安(ドル高)、米ドル・円で約30%のドル安(円高)と為替動向も
運用に大きくマイナス影響を及ぼしました。結果としまして、投資収益が、ベトナム株式の大幅な調整による株式譲
渡損失、ドン安、ドル安による為替差損、国内外経費を上回ることが出来ず、契約期間終了を迎えることになりまし
た。
以下に償還内容及び運用状況をご報告申し上げます。また、償還までの運用の詳細につきましては、ユナイテッド
ワールド証券株式会社ホームページに掲載の有価証券報告書及び事業報告書をご高覧いただきますようお願い
申し上げます。償還までの長いご愛顧に対し心より深く御礼申し上げます。
敬具
運用状況
決算 期
(事 業 開 始 日 )
平 成 18 年 7月 31日
1 期 (平 成 19年 6月 3 0日 )
2 期 (平 成 2 0 年 6 月 3 0 日 )
3 期 (平 成 2 1 年 6 月 3 0 日 )
4 期 (平 成 2 2 年 6 月 3 0 日 )
(償 還 日 )
5 期 (平 成 2 3 年 6 月 3 0 日 )
1口 当り純資 産額
1口 当り分配 金額
純 資産額
1 0 0 ,0 0 0
−
9 5 6 ,1 0 0 ,0 0 0
1 0 4 ,7 5 7
6 2 ,0 4 5
4 7 ,9 4 3
4 7 ,7 1 1
−
−
−
1 ,0 0 1 ,5 8 1 ,9 6 9
5 9 3 ,2 1 9 ,9 9 0
4 5 8 ,3 8 8 ,1 8 6
4 5 6 ,1 7 2 ,1 5 3
1 9 ,4 4 0
−
1 8 5 ,8 6 6 ,6 8 4
4 4 ,7 2 6
本匿名組合の決算(6月末日)は、投資先会社の決算(3月末)を反映させたものです。
1 口 当 り 基 準 価 額 と V N 指 数 推 移 (2 0 0 6 年 7 月 末 ∼ 2 0 1 1 年 6 月 末 )
円
1 6 0 ,0 0 0
V N指 数
1 ,2 0 0
V N指 数
一 口 当 り 価 額
第 1 期
1 口 当 り 価 額 : 14 9,48 3 円
1 ,1 0 0
1 4 0 ,0 0 0
1 ,0 0 0
第 3期
1 口 当 り 価 額 : 9 2,66 9 円
第 4期
1 口 当 り 価 額 : 9 2 ,4 3 7 円
1 2 0 ,0 0 0
9 00
1 0 0 ,0 0 0
8 00
第 2期
1 口 当 り 価 額 : 1 0 6,77 1円
7 00
80 ,00 0
6 00
60 ,00 0
当 初 設 定
1 0 0 ,0 0 0 円
5 00
40 ,00 0
4 00
第 5期
1 口 当 り 価 額 : 6 4 ,1 6 6 円
3 00
為替データ:ブルームバーグ
2 00
20 06 / 7/ 3 1
2 0 07 / 1/ 3 1
20 07 / 7/ 3 1
※1口当り価額は分配金込みの金額
2 0 08 / 1/ 3 1
20 0 8/ 7 /3 1
2 00 9 /1 / 31
20 0 9/ 7 /3 1
2 01 0 /1 / 31
20 1 0/ 7 /3 1
2 01 1 /1 / 31
20 ,00 0
0
為 替 レ ー ト の 推 移 (2 0 0 6 年 7 月 末 ∼ 2 0 1 1 年 6 月 末 )
U S ド ル
円
13 0
6 .5
ド ン ・ ド ル
ド ル ・円
12 0
6
11 0
5 .5
10 0
5
90
4 .5
80
4
2 0 06 / 7/ 3 1
70
2 00 7 /1 / 31
2 0 07 / 7/ 3 1
2 00 8 /1 /3 1
2 00 8/ 7 /3 1
2 0 09 / 1/ 3 1
20 0 9/ 7 /3 1
2 0 10 / 1/ 3 1
20 1 0/ 7 /3 1
2 0 11 / 1/ 3 1
運用経過
第1期(2006/7/31∼2007/6/30):「株式市場に資金流入:VN指数は2倍に上昇」
・2006年10月末までに、ポートフォリオの50%を株式で保有。上場株式1銘柄(15%)、未上場株式
3銘柄(39%)、現金(46%)
・2006年12月には保有2銘柄が新規上場、保有株式全体で評価益を計上。
・期末資産構成(投資先会社):上場株式49%、未上場株式24%、現金預金等27%
・当期の投資先会社の騰落率(米ドルベース)は+48.3%、VN指数の騰落率(ドンベース)は153.7%
(422 → 1071)。
第2期(2007/7/1∼2008/6/30) : 「国内マクロ経済の急速な悪化と外部要因から、ベトナム株式は調整へ」
・通期で上場株式4社と未上場株式4社を新規で取得、保有上場株式を前半に大きく売却
・期末資産構成(投資先会社):上場株式20%、未上場株式58%、現金預金等22%
・当期の投資先会社の騰落率(米ドルベース)は−24.5%、VN指数の騰落率(ドンベース)は−51.8%
(1071 → 516)。
第3期(2008/7/1∼2009/6/30) : 「世界金融危機からベトナム株式は大暴落、一時、235ポイントまで下落」
・前期後半から続く国内の「高インフレと巨額な貿易赤字」、9月にはリーマン・ショックによる世界的リ
スク資産圧縮から、ベトナム株式市場の流動性は急激に低下していき、上場株式の一部を売却した
以外は大きな売買行動は取れず、後半はキャッシュ創出が困難に。
・期末資産構成(投資先会社):上場株式20%、未上場株式50%、現金預金等30%
・当期の投資先会社の騰落率(米ドルベース)は−19.1%、VN指数の騰落率(ドンベース)は−45.7%
(516 → 280)。
第4期(2009/7/1∼2010/6/30) :「世界景気回復期待から反騰、中盤は金融引締め、ドン切下げから軟調に」
・ 未上場株式として保有していたBVH、PHCが上場するも、取得時期が高水準(VN指数で800-1,000)
であったため、上場後の価格は取得価額を下回っての推移。
・保有上場株式は前期末より総じて上昇し評価益を享受するも、高い投資比率であった未上場株式2銘
柄の上場による時価評価替えによる損失(BVH−42%、PHR−29%)が大きく、全体の収益率は限定。
・期末資産構成(投資先会社):上場株式41%、未上場株式31%、預け金・現金預金28%
・当期の投資先会社の騰落率(米ドルベース)は+8.8%、VN指数の騰落率(ドンベース)は+78.2%
(280 → 499)。
第5期(2010/7/1∼2011/6/30):「需給懸念、インフレ率上昇、ドン減価から、膠着相場が続く」
・2011年2月より償還に向けて全保有資産を売却・現金化。
・保有株式の売却損失額(約210万米ドル)のうち、上場株式15銘柄による損失額(前期末評価額との
差)は 約61%、未上場株式2銘柄による損失額(当初取得価額との差)は約39%。
・全売却・清算を終えた当期の投資先会社の騰落率(米ドルベース)は−41.4%、VN指数の騰落率(ドン
ベース)は−13.4%(499 → 432)。
資産別の最終投資結果(資産別の買いと売りの各合計額と損益率(米ドル・ドンの為替差損益を含む))
上場株式:
投資総額6,881,651米ドルに対し、売却総額9,483,948米ドルで、損益率は+37.82%(売買時の手数料、諸費用
を考慮。配当収入は含まず。また未上場株の上場後の売買を含む。)。
未上場株式:
投資総額2,480,352米ドルに対し、売却総額1,414,849米ドルで、損益率は−42.96%(売買時の手数料、諸費用
を考慮。配当収入は含まず)。
本匿名組合の最終償還金額(第1期の分配金を除く)
出資者の皆様への利益分配後の、本匿名組合の最終償還金額につきましては、海外投資先会社清算に伴う
損失(①株式売却損等による投資先会社の米ドルベースでの純資産の毀損、②投資先会社の最終純資産額に
対する米ドル・円の為替差損失)、③最終期の内外費用(単年分)、④国内組合の累積損失(主に経費要因)に
よって、最終組合損失金額は△770,233,316円となりました(損失金額の内訳としては、①で約70%、②で15%、
③④で約15%となります。)。
結果、最終的な純資産総額(償還額)は185,866,684円となり、1口当たり組合員持分(1口当たり最終償還金
額)は、 19,440円となりました。
この最終償還金額にこれまでの分配金を考慮した投資回収額は、
44,726円(第1期分配金)+ 19,440円(最終償還金額)=64,166円(税考慮:55,220円)
組合損失額の主な要因
本匿名組合(1口100,000円の出資)は、運営開始時に、出資総額956,100,000の約92%で米ドル(116円水
準)を取得した後(投資先会社への出資)、ベトナムの上場及び未上場株式等(いずれもベトナムドン建て)への
投資を拡大させていきました。
開始時期に420ポイントであったベトナム株式(VN指数を参考)は、半年後には1,000ポイントを超える急上昇を
見せて、本匿名組合も第1期で、総額427,631,552円の利益分配を行い、出資元本の約45%を回収できましたが、
その後、国内の脆弱なマクロ経済を背景にドン資産の流動性は大幅に低下し、ベトナム株式市場は急激な資金
流出がおき、高値水準から14ヵ月後には約1/5の水準まで下げる大幅下落となりました。このように流動性が枯
渇した環境で、比較的資産規模の大きい本匿名組合等のファンド勢は、損失を限定するための機動的な売却が
出来ず、流動性が回復し反騰する時期を待つことを余儀なくされました。2009年3月以降は売買代金が急速に回
復して本格的反騰を期待させましたが、国内マクロと株式市場の構造問題は根強く、8ヶ月の上昇後は長いレン
ジ相場が続き、2011年5月には一時400ポイントを割り込むなどし、大幅調整による損失を取り戻す機会は相対
的に限定されました。また、為替要因(円→米ドル→ドンで投資)も運用成果に大きく影響し、 2006年7月の運用
開始時はベトナムドン・円レートは、1万ベトナムドン=72円水準でしたが、本匿名組合契約終了時期の2011年6
月には1万ベトナムドン=39円水準と約46%の円高ドン安が進行しました。一方、投資先会社(米ドルベース)の
最終回収額に、直接的影響を及ぼす米ドル・円レートは約30%の円高となりました。
結果、利益分配総額427,631,552円と最終組合損失額770,233,316円の差額は△342,601,764円となり、1口
当りでは△35,833円となりました。
なお、詳細は別途掲載しております「第5期事業報告書」および「有価証券報告書」(平成23年9月30日に関東財
務局長へ提出)をご覧ください。