第16回 企業年金の必要年金額 - 中国日本商会

2009年
(平成21年)
1月9日
〈金曜日〉
読んでナットク!
日本と中国の
The
Daily
年金比較
NNA
【中国総合版】
第3124号
[10]
年金コンサルティング部 位田周平
E-mail:[email protected]
<筆者プロフィール>
年金数理人、日本アクチュアリー会副理事長、
海外職業訓練協会(OVTA)国際アドバイザー
第 16 回 企業年金の必要年金額 1.日本の企業年金
2.中国の企業年金
(1)
老後の必要生活費
日本では、種々の調査で、老後に必要な生活費は約25
∼28万円、ゆとりある生活に必要な生活費は約38∼39万
円と発表されています。
老後の生活費を賄う基礎的部分として公的年金があ
り、2008年度に新規裁定される夫婦2人の標準的年金月額
は約23万円
(注)
と厚生労働省は発表しています。
(注)
夫は40年間就労し、その間の平均的収入は36万円、妻は
その期間すべて専業主婦
(国民年金に40年加入)
の場合の年金
月額。
年金月額の実質価値は、2004年改正によるマクロ経済
スライドにより、今後、約15%引き下げられる予定のた
め、現在の標準年金月額約23万円の将来の実質価値は約
20万円となります。
(2)
企業年金の必要年金額
上記の内容から、老後の必要生活費のうち公的年金で
20万円賄われるとして、企業年金の必要年金額を算出す
ると、必要生活費を賄うためにあと約5万円、ゆとりあ
る生活費を賄うためにはさらに約18万円
(38万円−20万
円)
が必要になります。
(注)
60歳∼65歳の再雇用時の給与水準は低くなると考えら
れ、企業年金の支給開始年齢は60歳とした。
(3)
必要年金原資
上記の必要年金額を20年間受給するための必要年金原
資は次表のとおりとなります。
年金原資の運用利回りの前提となる利率は、2%と3%の
2案としました。
《図表》企業年金の必要年金月額
②ゆとりある生活費との差(約13万円)
38 万円
25 万円
60 歳
公的年金20万円
8 0歳
65 歳
年金月額
支給期間
退職時
給与
従業員
基本養老保険
基礎
年金
個人
口座
合計
所得
代替率
A
3,000
1,200
485
1,685
56.2%
B
7,000
2,000
910
2,910
41.6%
C
15,000 2,400
1,542
3,942
26.3%
基本養老保険は所得再分配機能を持つため、上表のとお
り、給与の高い従業員ほど所得代替率は低くなります。
(2)企業年金の必要年金額、必要原資
仮に、退職時所得の80%を必要生活費とした場合、各従
業員に対する企業年金の必要年金額、必要年金原資は下表
の通りとなります。
《図表》企業年金の必要年金額と必要年金原資
①必要生活費との差(約5万円)
再雇用等
(1)基本養老保険の所得代替率
中国では、老後の必要生活費という概念はまだ乏しいと
思いますので、現役時代の収入の一定割合を公的年金+企
業年金で確保すると仮定して、企業年金の必要年金額を求
めてみます。
はじめに、3名の従業員モデルについて、基本養老保険
の年金月額および所得代替率を求めます。
《前提》
①基本養老保険の加入期間:40年(20歳加入60歳退職)
②地域前年度平均月収:3,000元
③入社時給与:3名とも1,000元とし、退職時まで均等に
昇給するものとする。
(ベアはなしとする。)
退職時給与:従業員Aは3,000元、従業員Bは7,000元
従業員Cは15,000元
④個人口座年金の運用利回り:実質利回り3%(ア−イ)
ア:名目運用利回り(5年物定期預金)約6%
イ:過去5年の中国の平均インフレ率約3%
⑤基本養老保険基数:9,000元とする。
利率2%の場合 利率3%の場合
①5万円
20年
989万円
904万円
②18万円
20年
3,561万円
3,253万円
従業員
必要年金月額
必要年金原資
A
715元
約104千元
B
2,690元
約390千元
C
8,058元
約1,169千元
(注)1.必要年金月額=必要生活費−基本養老年金額
2.年金支給期間 15 年、運用利率 3%の場合
Copyright (C) NNA All rights reserved.