The Daily NNA中国総合版【CHINA Edition】 第04624号

2015 年(平成 27 年)3 月 31 日(火)
The Daily NNA 中国総合版【CHINA Edition】 第 04624 号[15]
非標準労働時間制の残業代支払い
第 100 回(執筆担当:許文実)
中国では労働者に対し、1日に8時間、1週間に 40
時間の標準労働時間制を実施しており、企業は労働者
の労働時間を延長する場合、残業代を支払う必要があ
ります。しかし、一部の企業、職場はその特殊性によ
り、企業が審査認可を取得した上で非標準労働時間制
を実施できることを法律は規定しており、勤務時間総
合計算制(中国語:総合計算工時工作制)、フレックス
タイム制(不定時工作制)などが含まれます。
い弁法」は、承認を経てフレックスタイム制を実行する雇
用企業が法定祝祭日に労働者に勤務を手配する場合、賃金
の 300%以上の残業代を支払うものと規定しています。よ
って、実務では企業がその雇用場所に応じて、各地の規定
を理解する必要があります。
このほか、企業がフレックスタイム制を採用する場合、
必ず労働行政部門の審査認可を取得しなければなりません。
企業が法に従い審査認可を取得せずに、フレックスタイム
制の適用を主張する場合、原則として企業の主張は支持さ
れません。
非標準労働時間制で、企業が残業代を支払う必要がある ただし、その厳格度は地域によってばらつきがあります。
か、いかにして残業代を計算するかは、企業および従業員 ある地域では、高級管理者など標準労働時間に基づくこと
が高い関心を寄せる問題です。
が難しく、かつ年収が比較的高い労働者、あるいはタクシ
ー運転手、販売員など特殊な職場の労働者は、原則として
(1)勤務時間総合計算制、すなわち週、月、四半期、 残業代の支払いが支持されません。安徽、北京などの裁判
年などを周期として勤務時間を総合計算する労働時間制は、 所が、これに類似する意見を出しています。
交通、鉄道など連続作業を必要とする業種、地質、旅行な ある地域では、労働者の職場がフレックスタイム制の特
ど季節、自然条件による制限を受ける業種に通常適用され 徴を有し、標準労働時間制により残業代を計算することが
ます。
明らかに不合理である場合、実際の状況を斟酌して残業代
勤務時間総合計算制が適用される労働者の場合、総勤務 を計算し、例えば運転手などの待機時間は 50%に換算する
時間が法定基準労働時間を超える部分は延長労働時間とさ とし、江蘇省の裁判所はこの種の態度を維持しています。
れ、かつ法に従い残業代を支払う必要があります。
また、ある地域では、超過時間の全ての労働時間を残業
具体的に言うと、企業が半年間の勤務時間総合計算制を 時間として計算し、例えば上海の裁判所の一部の判例に、
申請し、かつ承認を得た場合、労働者の半年の総勤務時間 この種の傾向がみられます。
が半年の法定基準の総時間を超えなければ、残業代を支払
う必要はありません。
<筆者紹介>
反対に、労働者の半年の総勤務時間が半年の法定基準の
労働法チーム担当パートナー:陳軼凡、王林柱、董
総時間を超える場合、企業は超過時間について賃金の
輝、翁維維、袁凱、諸韜韜、孫海萍
150%以上の残業代を支払う必要があります。特に注意すべ
上海労働法チーム:紀樺・厳静安・徐開元・殷利
きは、企業が労働者に法定祝祭日に勤務手配する場合、賃
華・紀悦穎・朱誉鳴・魯建偉・黄翼ミン
金の 300%以上の残業代を支払う必要があります。
北京労働法チーム:盧偉・王娜・許文実
広州労働法チーム:朱園園
(2)フレックスタイム制は、勤務の開始、終了および
世澤法律事務所は北京・上海・広州・香港・東京に
連続性が固定的ではない労働時間制で、高級管理者、外勤、
拠点を展開。主な業務分野は、外商直接投資および
営業、当直人員など標準労働時間に基づくことができない
M&A、企業日常法務、労働問題、不正競争・独占
労働者および長距離輸送人員、タクシー運転手、鉄道、港
禁止、知的財産権、債権回収、訴訟および仲裁、会
湾、倉庫積載員など機動性を求められる労働者に適用され
社の解散・清算および破産などが挙げられます。
ます。
Web: www.broadbright.com
フレックスタイム制を適用される労働者は、1995 年に発
E-mail: [email protected]
効した「賃金支払い暫定規定」により、残業代の規定を執
【上海オフィス】
行しないと明確に規定されており、2012 年に公布された
Add:淮海中路 93 号大上海時代広場 1109 室
「特殊労働時間制管理規定(意見募集稿)」もこの見解を引
Tel:021-5386-1618、021-5386-1109(日本語専用)
き継いでいます。
しかしながら、ある地方法規はなおも前述の規範性文書
を適用せず、例えば 03 年に発効した「上海市企業賃金支払
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