Lenampicillin(KBT-1585)

CHEMOTHERAPY
20
NOV.
Lenampicillin(KBT-1585)に
1984
関 す る細 菌 学 的 評 価
西 野 武 志 ・尾 花 芳 樹 ・谷 野 輝 雄
京 都薬科大学 ・微生物
Ampidllin(ABPC)のprodrugで
あ るLenampicillin(KBT-1585,LAPC)に
価 に つ い て,ABPC,Bacampicillin(BAPC)お
行 な い,以
関 す る細 菌学 的 評
よ びTalampicillin(TAPC)を
比 較 薬 物 と し検 討 を
下 の よ うな成 績 を 得 た 。
1.Estefase無
処 理 のKBT-1585を
し た と こ ろ,ABPCよ
2.抗
用 い て,臨
り若 干 劣 り,TAPCと
床 分 離6菌
種 に つ い て,in
ほ ぼ 同 等 で あ り,BAPCよ
vitro抗
菌 力 に 及 ぼ す 諸 因 子 の 影 響 に つ い て 検 討 した と こ ろ,Staphylococcus
馬 血 清 添 加,接
種 菌 量 の 影 響 を 受 け,Escherichia
cotiで
は,い
菌 力 を検 討
りは 優 れ て い た 。
aureusで
は 培 地PH,
ず れ の影 響 もほ とん ど受 け な い こ
とが 認 め られ た。
3.マ
ウ ス 実 験 的 腹 腔 内 感 染 症 に 対 す るKBT-1585の
優 れ て お り,BAPC,TAPCよ
PCと
4.感
与 後,ABPCの
臓 器 移 行 に つ い て 検 討 し た と こ ろ,AB-
の も の よ り移 行 性 は 良 好 で あ っ た が,BAPC,TAPCよ
鐘 紡 株 式 会 社 薬 品研 究
りも悪 か った。
検 討 を 行 な った の で報 告す る。
所 に お い て 合 成 さ れ たAmpicillin(ABPC)のProdrugで
I.実
学 名 は(5-methy1-2-oxo-1,3-dioxolen-4-yl)
methyl-(2S,
5R,
1.使
6R)-6-[(R)-2-amino-2-phenylaceta-
heptane-2-carboxylatehydrochloride,分
り,構
子 量497.95の
子 式C21H23N3O7 ]
のcarboxylに
podrugの
esterで
あ る が
そ の 位 置 に 炭 素 原 子 が 結 合 す る と い う新 規
な 構 造 を 有 し,こ
の た めKBT-1585は
よ う にaldehyde体
に 加 水 分 解 さ れ,ABPCと
そ こ で 今 回,ABPC,BAPC2}お
薬 物 と し て,KBT-1585に
Fig. 1
Chemical
収
天 然 物 質 で あ るacetoin
し て 抗 菌 力 を 示 す1)。
よ びTAPC3)を
coli 42株,
mirabi1is
31株
aureus
Streptococcus
Kleb5iella
41株,
StrePtococ-
pyo8enes
20株,
pneumoniae
お よ び11aemophilus
42株,
influenzae
用 薬物
(Ampicillinと
Ampicillin(ABPC;力
PC;
Anpicillinと
(TAPC;
し て の 力 価670μg/mg),
価875μg/mg),Bacampicillin(BA
し て の 力 価670μg/mg)お
Ampicillinと
よ びTala-
し て の 力 価652μg/mg)
の い ず れ も 標 準 品 を 使 用 した 。
な おinvitro抗
定 の 際,各prodrugはesterase処
菌 力測
理 を行 な わ な い で用 い
た。
比較
関 す る細 菌 学 的 評価 に つ い て
structure of KBT-1585
1株,
KBT-1585
mpicillin
従 来 のABPCの
を 形 成 す る こ と な く,吸
過 程 に お い て,速 や か にABPCと
Proteus
2.使
隣 接 す る炭 素原 子
に 酸 素 原 子 が 直 接 結 合 し た 形 のdouble
pneumoniae
40株 を 使 用 し た 。
Bacampicillin(BAPC),Talampicillin
(TAPC)はABPC2位
cus
Escherichia
示 し た 。 従 来 のABPCのProdrug
で あ るPivampicillin,
KBT-1585は
2,01
白色 な い し淡 黄 白 色 の粉 末 で あ
造 式 をFig.1に
験 材 料お よ び実 験 方 法
用菌 株
臨 床 由 来 のStaphylococcus
mido]-3,3-dimethy1-7-oxo-4-thia-1-azabicyclo[3,
S・HCl,分
り
り優 れ て い た 。
Lenampicillin(KBT-1585)は
あ り,化
効 果 は,BA-
りは 明 ら か に 優 れ て い た 。 呼 吸 器 感 染 症 で は,BAPCよ
染 マ ウ ス を 用 い て,KBT-1585投
PCそ
ほ ぼ 同等 か 若 干
り劣 っ て い た 。 上 行 性 尿 路 感 染 症 で は,KBT-1585の
ほ ぼ 同 等 か 若 干 優 れ,ABPCよ
劣 り,ABPCよ
治 療 効 果 で は,ABPCと
3.感
受性測定法
前 培 養 に 感 受 性 ブ イ ヨ ン 培 地(栄 研),測
デ ィス ク用 培 地(栄
性 測 定 法4)に
は10%馬
研)を
用 い,日
本 化 学 療 法 学会 感 受
準 じ て 行 な っ た 。 な おStreptococcus属
脱 繊 維 血 液 を,H.infuenzaeは3%Bado-
Fildesenddhment
(Difoo)を
含 ん だ感 受 性 デ ィス ク用 培
地 を 用 い た。
4.抗
定 用 に感 受 性
菌 力 に及 ぼ す 諸 因子 の影 響
VOL.32
CHEMOTHERAPY
S-8
抗 菌 力 に 及 ぼ す培 地pH,馬
血清添加 および接種菌量
の影 響 につ い て,S.aureusお
よ びE.coli各10株
を
被 験 菌 と して,感 受性 デ ィス ク用 培 地 を 用 い た 寒 天 平 板
希 釈 法 に よ り検 討 を行 な った 。
5.抗
21
臨 床 由 来 のS.aureus
よ びH.influenzae
mlの
普 通 ブ イ ヨ ン培地(ニ
ッス イ)で 前 培 養 したE.coli
444を 同 培地 に移 し,対 数 期 中期 ま で振 と う培 養 した。
この菌 液 を同 培 地 で 希 釈 し,約106cells/mlに
調 整 後,
Fig.2に
0.05お
は,ABPCよ
腹 腔 内 感 染 モ デ ル に は,S.aureus
moniu
KC-1を
KC-14,E.coli
SMITH,
ピ ー ク は
よ び0.39
い ず れ も 二 峰 性 を 示 し,KBT-1585の
抗菌力
り若 干 劣 っ て い た が,TAPCと
で あ り,BAPCよ
S.pneu-
感 受性
Fig.2
ほ ぼ 同等
り優 れ て い た 。
Sensitivity
distribution
S.aureus
of clinical isolates
40 strains
用 い た 。 い ず れ も一 夜 培 養 菌 を普 通 ブ
gastric mucin(Orthana
マ ウ ス(17∼18g)の
外 の 菌 株 は,6
Kemisk
等 量 混合 した。 この菌 液 を1群10匹
に1回,滅
お
場合
示 す よ う に,KBT-1585の
444お よびK.pneu-
イ ヨ ン培 地 で希 釈 し,S.pneumoniae以
%hog
積 分 布)
よ び0.39μg/ml,ABPCは<0.05お
け,経 時 的 に生 菌 数 を測 定 した。
moniaeIII,E.coli
30株
に 対 す る 感 受 性(累
示 し た 。 な お これ ら は 接 種 菌 量106cells/
a)S.aureusの
μ9/mlの
ウス 実験 的 腹 腔 内感 染症 に対 す る治 療 効 果
20株,E.
40株,P.mirabilis
成 績 で あ る。
所 定 の 濃度 に な る よ うに薬 物 を 添加 し,以 後 培 養 を続
6.マ
40株
をFig.2∼7に
菌作 用 型 式
40株,S.pyogenes
coli 40株,K.pneumoniae
Fabrik A/S)と
のStd-ddY系
腹 腔 内 に接 種 し,感
雄性
染2時 間 後
菌 水 で 溶 解 した薬 物 を 経 口 投 与 した。 そ の
後,腹 腔 内生 菌 数 の消 長 お よ び7日 間 生 死 観 察 を 行 な
い,LITCHFIELD-WILCOXON法5)に
よ りED
50値 を算 出
した。 さ ら に感 染 マ ウ ス を用 い て,薬 物 投 与 後 の 血 清 中
お よび腹 腔 内 浸出ABPC濃
ATCC
6633を
度 に つ い て,Bacillus
検 定菌 とす る薄 層Paper
subtilis
disc法 に よ り測
E.coli
示 す よ う に,KBT-1585お
0.05μg/mlで
験 的 上 行 性 尿 路 感 染 症 に対 す る治 療 効 果
444お
Fig.3に
場合
よ びABPCの
受 性 ピ ー ク は,≦0.025μg/ml,TAPCお
定 を行 な っ た。
7.実
b)S.pyogenesの
よびP.mirabilis
434を
普通 ブイヨン
培 地 で 一 夜 培 養 後,同 培 地 で 希 釈 し,既 報6)の よ うに,
あ り,KBT-1585はABPCと
り,TAPC,BAPCよ
Fig.3
感
よ びBAPCは
同等 で あ
り優 れ た 抗 菌 力 を 示 し た 。
Sensitivity
経 尿 道 的 に接 種 し腎 盂 腎 炎 を惹 起 させ た 。 菌 接 種4時 間
distribution
of clinical
isolates
S.gyogenes 20 strains
後 に,各 薬 物 を経 口投 与 し48時 間 後 腎 臓 を 無 菌 的 に 摘 出
し,homogenize後,生
物 投 与後,ABPCの
菌 数 測 定 を 行 な った。 ま た各 薬
腎 内 移 行 を 検 討 す るた め に,感 染 マ
ウ スに 薬 物 を 投 与 後,腎
度 を 薄 層Paper
8.実
臓 をhomogenizeし,薬
物の濃
disc法 に よ り測 定 を行 な っ た。
験 的呼 吸 器 感 染 症 に対 す る治 療 効 果
K.pneumoniae
B-54(長
崎 大 学 熱 研 内科 松 本 慶 蔵教
授 分与)を 普 通 寒 天培 地(ニ
ッス イ)で 一 夜 培 養 後,普
通 ブ イ ヨ ン培 地 に浮 遊 させ,既
報7)の よ うに,噴 霧 感 染
させ た。 噴 霧 終 了15時 間後 に,薬 物 を1回 経 口投 与 し,
以後 肺 臓 を無 菌 的 に摘 出 し,homogenize後,生
定 を行 な っ た。 さ ら に投 与 後,ABPCの
肺 内移 行 を検 討
す る た め に感 染 マ ウ ス に 薬 物 を投 与 後,肺
nizeし,薬
物 濃度 を薄 層Paper
臓 をhomoge-
disc法 に よ り測 定 を行
な っ た。
Fig.4に
6.25お
験
結
果
床 分 離 株 に対 す る感 受 性 測 定
場合
示 す よ う に,KBT-1585の
感受 性
μg/mlの
よ び>100μg/ml,ABPCは3.13お
ピ ー クは
よ び>100
い ず れ も 二 峰 性 を 示 し,KBT-1585の
は,ABPCよ
抗菌力
り若 干 劣 っ て い た が,TAPCと
で あ り,BAPCよ
合 も,約1/3の
II.実
1.臨
菌数測
C)E.coliの
ほぼ同等
り優 れ て い た 。 ま た い ず れ の 薬 物 の 場
菌 株 が>100μg/mlの
た。
d)K.pneumoniaeの
場合
耐 性 を示
して い
CHEMOTHERAPY
22
Fig. 4
Sensitivity
distribution
E. coli
of clinical isolates
NOV.
Fig. 6
Sensitivity
40 strains
干 劣 り,BAPCよ
Fig.5に
PCの
示 す よ う にKBT-1585,ABPCお
よ びTA
感 受 性 ピ ー ク は,50μg/ml,BAPCは>100、
で あ り,KBT-1585の
干 劣 り,BAPCよ
μg/ml
抗 菌 力 は,ABPC,TAPCよ
り若
り優 れ て い た 。 ま た>100μg/mlの
Sensitivity
distribution
Fig.7に
場合
示 す よ う にKBT-1585お
K.pneumoniae
あ り,KBT-1585の
Sensitivity
distribution
of clinical isolates
40 strains
よ びTAPC
2.抗
の 感 受 性 ピ ー ク は,1.56μg/ml,BAPCは6.25μg/ml
Fig. 8
同 等 で あ り,BAPCよ
場合
示 す よ う にKBT-1585,ABPCお
で あ り,KBT-1585の
抗 菌 力 はABPC
40 strains
H.influenzae
e)IR5nimbilisの
感
り優 れ て い た 。
Fig. 7
Fig.6に
よ びTAPCの
受 性 ピー ク は0.39μg/ml,ABPCは0.2μg/ml,TAPC
よ り若 干 劣 っ て い た が,TAPCと
of clinical isolates
of clinical isolates
30 strains
り優 れ て い た 。
f)H.influenzaeの
は1.56μg/mlで
耐 性 菌 も存 在 してい た 。
Fig. 5
distribution
P.mirabilis
1984
抗 菌 力 は,ABPC,TAPCよ
Effect of medium
り若
pH on the antibacterial
S.aureus
菌力に及ぼす諸因子の影響
S.aureusお
activity
10 strains
よびE.coli各10株
of KBT-1585
を用 い て,抗 菌 力 に
and other penicillins
VOL.
32
CHEMOTHERAPY
S-8
及 ぼす 培 地pH,馬
23
血 清 添 加,接 種 菌 量 の 影 響 に つ い て
検 討 した結 果 をFig.8∼13に
培 地pHの
BAPCお
示 した 。 なお 培 地pH,
馬 血清 添 加 の 検 討 にお け る接 種 菌 量 は106cells/mlと
し
Effect of medium
pH on the antibacterial
E.coli
Fig. 10
Effect of serum concentration
Fig. 11
Effect of serum concentration
and other penicillins
activity of KBT-1585
and other penicillins
10 strains
on the antibacterial
E.coli
ほ とん ど影 響 を 受 け な い
10 strains
on the antibacterial
S.aureus
は ほ とん ど影 響 され な か った 。
場 合KBT-1585は
activity of KBT-1585
場 合,KBT-1585,
は アル カ リ側 で 抗 菌 力 が 上 昇 す
るの に 対 して,ABPCで
Ecoliの
た。
Fig. 9
影 響 で は,S.aureusの
よびTAPCで
10 strains
activity of KBT-1585
and other penicillins
CHEMOTHERAPY
24
Fig. 12
Effect of inoculum
size on the antibacterial
S.aureus
Fig. 13
Effect of inoculum
and other penicillins
activity
of KBT-1585
and other penicillins
10 strains
の に対 して,他 薬 物 の場 合,若 干 影 響 を 受 け,ABPC,
ア ル カ リ側 で,BAPCは
activity of KBT-1585
1984
10 strains
size on the antibacterial
E.coli
TAPCは
NOV.
Fig. 14
酸性側で 若 干抗菌 力
Effect of KBT-1585
and ABPC on the viability
of E. coli 444
が低 下 す る傾 向 にあ った 。 馬 血 清 添加 の 影 響 で は,S.
mreusの
場 合,KBT-1585は,10%添
止 濃 度(MIC)の
加 で は最 小 発 育 阻
変 動 は ほ とん ど認 め られ な いが,25%
で は 大 きな 影 響 を 受 け,他 薬 物 も同様 の傾 向 で あ っ た。
ABPCで
は10%添
め られ た。E.coliの
加 に お い て も影 響 を受 け る ことが 認
場 合,KBT-1585は
響 を ほ とん ど受 けず,ABPC,TAPCは
血清添加の影
若 干 影 響 を 受 け,
添 加 量 の増 加 に伴 い,抗 菌 力 が 低 下 した 。 またBAPCで
は10%の
血 清 添 加 に よ り抗 菌 力 が 良 くな る傾 向 に あ っ
た。 接 種 菌 量 の 影 響 で は,S.aureusの
場 合,い
ずれ の
薬 物 も菌 量 の増 加 に よ り,そ の 抗 菌 力 は低 下 す る傾 向 に
あ っ たが,E.coliの
場 合,ほ
とん ど接 種 菌 量 の 影 響 を
受 け な か った 。
3.抗
菌 作用 型 式
E.coliに
対 す る抗 菌 作 用 型 式 を検 討 した結 果 をFig .
14に
示 した 。ABPC1.56μg/mlの
っ た が,3.13μg/ml以
作用 で は 静 菌 的 で あ
上 の 作用 濃度 で は 殺 菌 的 作用 が
認 め られ た 。 しか し な が らKBT-1585で
は1.56∼3.13
VOL.
32
μg/ml作
CHEMOTHERAPY
S-8
用 で は ほ と ん ど 殺 菌 作 用 が 認 め ら れ ず,625
μg/ml作
用 で は,作
用4時
間 後 に生 菌 数 の 滅 少 が わ ず か
ウ ス 実 験 的 腹 腔 内 感 染 症 に対 す る 治 療 効 果
a)S.aureus感
S.aureus
SMITH感
染 症 に対 す る 治 療 効 果 に つ い て 検
討 を 行 な っ た 結 果 をTable
1に
示 し た 。KBT-1585お
0.0032mg/mouse,TAPCは0.0048mg/mouseで
効 果 はABPCと
比 べ2∼3倍
Table
1
あ り,
同 等 で あ り,BAPC,TA-
の 効 果 はABPCと
444感
よ
あ り,KBT-1585
同等 で あ った。
染 症 に対 す る治 療 効 果 につ い て検 討 を 行
な っ た 結 果 をTable
4に
よ び10,000LD50の
時 のKBT-1585のED50は
示 し た 。 感 染 菌 量100LD50お
それぞ
mouse,BAPCは0.28,1.40mg/mouse,TAPCは0.19,
1.05mg/mouseで
1585の
劣 っていた
Therapeutic
efficacy
of KBT-1585,
and TAPC on experimental
infection
with S. aureus SMITH
*95%confidence
示 し た 。KBT-1585お
れ0.40,1.70mg/mouse,ABPCは0.56,3.20mg/
よ びABPCのED50は0.0095mg/mouse,BAPCは
PCに
3に
びABPCのED50は0.56mg/mouse,BAPCは0.48mg/
B.coli
染 症 に対 す る治 療 効 果
KBT-1585の
を 行 な っ た 結 果 をTable
mouse,TAPCは0.42mg/mouseで
に 認 め られ た 。
4.マ
25
ABPC,
BAPC
あ り,い
効 果 はABPCよ
ず れ の 菌 量 の 場 合 も,KBT-
り 若 干 優 れ,BAPC,TAPCよ
り若 干 劣 っ て い た 。
Table
3
Therapeutic
efficacy
of KBT-1585,
ABPC
BAPC and TAPC on experimental
infection
with E. coli KC-14
limits
b)S.pneumoniae感
染症 に対 す る治 療 効 果
$pnmmmiae皿
感 染 症 に対 す る治 療 効 果 に つ い て
検 討 を 行 な っ た 結 果 をTable
2に
*95%
Table
示 し た 。KBT-1585の
confidence
4
limits
Therapeutic
efficacy
of KBT-1585,
ABPC
BAPC and TAPC on experimental
infection
with E. coli 444
ED50は0.062mg/mouse,ABPCは0.068mg/mouse,
BAPCお
-1585の
よ びTAPCは0.011mg/mouseで
効 果 はABPCと
あ り,KBT
同等 で あ り
,BAPC,TAPCに
比 べ劣 って い た。
Table
2
Therapeutic
efficacy
of KBT-1585,
ABPC,
BAPC and TAPC on experimental
infection
with S. pneumoniae
III
*95% confidence limits
c)E.
coli感 染 症 に対 す る治 療 効 果
E.coli KC-14感
染 症 に対 す る治 療 効 果 につ い て検 討
*95% confidence
limits
ま た腹 腔 内 感 染 菌 の 消 長 に つ い て 検 討 し た 結 果 を
Fig15に
示 した 。 い ず れ の 薬 物 もdose
dependencyの
CHEMOTHERAPY
26
Fig. 15
Therapeutic
peritoneal
efficacy of KBT-1585,
ABPC
cavity of mice infected
与 で は,BAPCと
あ り,1mg/mouse投
場
り,い
比べ若干効果は
1585投
間 以上 の再 増 殖 抑 制 が 認 め られ た。
d)K.pneumoniae感
染 症 に対 す る治 療 効 果
Kpneumoniae
KC-1感
5に
示
し た 。KBT-
1585のED50は0.66mg/mouse,ABPCは1.10mg/
mouse,BAPCお
TAPCに
Table
効 果 はABPCよ
あ り,
り優 れ て い た が,BAPC,
比べ 劣 っ てい た 。
5
ず れ も投 薬15分
of bacteria
in the
あ
後 で あ っ た 。 こ の よ う にKBT-
与 後 の 血 清ABPC濃
度 はABPCに
比 べ,ピ
ー
ク 値 お よ び 持 続 性 で 優 れ て い た が,BAPC,TAPCよ
り
度 で は,Fig.17に
す よ う にKBT-1585,BAPC,TAPCと
μg/mlを
あ り,ABPCで
は30分
示 し た 。KBT-1585のArea
(AUC)はBAPC,TAPCよ
示
も に 投 薬15分 後
に ピ ー ク を 示 し,そ れ ぞ れ4.3μg/ml,7.0μg/mlお
8.1μg/mlで
よ びTAPCは0.26mg/mouseで
KBT-1585の
on number
劣 っ て い た 。 腹 腔 内 浸 出ABPC濃
染 症 に対 す る治 療 効 果 につ
い て 検 討 を 行 な っ た 結 果 をTable
BAPC
ml,BAPCは14.1μg/ml,TAPCは12.7μg/mlで
ほ ぼ 同等 の 効 果 で
与 で は,BAPCに
劣 る が,約8時
and
1984
with E. coli 444
あ る生 体 内 殺 菌 作 用 が 認 め ら れ た が,KBT-1585の
合,2mg/mouse投
NOV.
よび
後 に ピ ー ク の1.5
Under
the
り も 低 く,ABPCよ
Curve
り高 い
こ と が 認 め られ た 。
Therapeutic
efficacy
of KBT-1585,
ABPC
BAPC and TAPC on experimental
infection
with K. pneumoniae
KC-1
5.実
験 的 上 行 性 尿 路 感 染 症 に 対 す る治 療 効 果
a)腎
内菌 数 の 測 定
B.coliお
よ びP.mirabilisに
よ る実 験 的 尿 路 感染 症
に 対 す る 効 果 に つ い て 検 討 し た 結 果 をFig.18,19お
びTable
Fig. 16
6に
示 し た 。 菌 液 注 入48時
Serum
levels
after
oral
administration
KBT-1585,
ABPC, BAPC and TAPC
mice infected wih E. coli 444
*95%confidence
limits
e)血
清 お よ び腹 腔 内浸 出 液 濃度
E.coli
444感
染 マ ウ ス を 用 い て,薬
よ び 腹 腔 内 浸 出ABPC濃
定 し た 結 果 をFig.16,17に
う に,血
ABPC濃
少 し60分
物投 与 後 の血 清 お
度 に つ い て,Bioassay法
示 し た 。Fig.16に
清 濃 度 で はKBT-1585の
示すよ
薬15分
後 に
度 と し て7.5μg/mlの
ピ ー ク を 示 し,以
後減
後 に3.0μg/ml,120分
後 に1.5μg/ml,240分
後 に0.6μg/mlを
示 し た 。ABPCの
場 合,投
で測
ピ ー ク 値 は4.2μg/
よ
間 後 の 腎 内菌 数 を
of
in
VOL.
Fig. 17
32
CHEMOTHERAPY
S-8
Peritoneal
exudate
levels after
oral admi-
nistration
of KBT-1585,
ABPC,
and TAPC in mice infected with
27
Table
BAPC
E . coli
6
Effect of KBT-1585,ABPC
experimental
urinary tract
and BAPC against
infections
in mice
444
*Mice with kidney counted of less than 104 CFU/kid
were regarded as "effective", and ED50 value was
estimated by LITCHFIELD-WILCOXSON
method.
Fig. 18
Therapeutic
experimental
Fig. 19
Therapeutic
efficacy of KBT-1585,
urinary tract infection
efficacy of KBT-1585,
urinary tract infection
ABPC
ABPC
with P. mirabilis
and BAPC
against
with E. coli 444 in mice
and BAPC
434 in mice
against
experimental
ney
CHEMOTHERAPY
28
判 定 基 準 と し た 場 合,B.coli感
mg/mouse投
例 腎 内 菌 数1×104cells/
kidney以
下 を 示 す の に 対 し て,ABPC投
BAPC投
与 で は80%で
あ り.他
体 間 の バ ラ ツ キが 大
Table
与 で は50%,
の 投 与 濃度 に お い て も
優 れ て い た 。 ま たP.mirabilis感
BAPCと
6は
染 では 個
き い が,KBT-1585の
ほ ぼ 同 等 で あ り,ABPCよ
効 果 は,
り優 れ て い た 。 ま た
腎 内 菌 数1×104cells/kidney以
と した 場 合 のED50を
1984
Fig. 20 Kidney levels after oral administration
of KBT-1585,
ABPC, BAPC and TAPC in
mice infected with E. coli 444
染 で はKBT-1585,3
与 に お い て,全
KBT-1585が
NOV.
下 を"有
効"
求 め た も の で,KBT-1585はBAPC
に 比 べ ほ ぼ 同 等 か,優
れ て お り,ABPCよ
りは 明 ら か に
優 れ てい た 。
b)腎
内薬 物 濃 度
E.coli感
染 マ ウ ス を 用 い て,薬
濃 度 に つ い て,Bioassay法
示 し た 。KBT-1585の
り,ABPC濃
物 投 与 後 の 腎 内ABPC
で 測 定 し た 結 果 をFig.20に
場 合,ピ
ー ク は 投 薬15分
度 と し て10.1μg/kidneyを
5.2μg/kidney,240分
お よ びBAPCで
後2.2μg/kidneyで
は,そ
Fig. 21
り優 れ てお り,BAPCよ
染 マ ウ ス を 用 い て,薬
腎 内 移 行 は,
り劣 って い た。
度 に つ い てBioassay法
and BAPC
on number
B-54
of bacteria
後 に あ り,そ
れ ぞ れABPC濃
示 した 。KBT-1585の
り高 か っ た が,以
に お け るKBT-1585のAUCはBAPCよ
a)肺
内菌 数 の測 定
あ った 。
よ る実 験 的 呼 吸 器 感 染 症 に対 す る効
薬 物 もdose
KBT-1585
dependencyの
10mg/mouse投
示 した。 い ず れ の
劣 りABPCよ
薬 物 と し検 討 を行 な った。
り優 れ て い た。 ま た他 の 投 与 量 にお い て
内薬物濃度
ABPC感
薬15∼240分
間
関 す る細 菌 学
よ びTAPCを
比較
性 の 菌 種 で あ るS.aureus,S.pyogenes,
E.coli,K.pneumoniae,P.mirabilisお
zaeに
後 で1.5
括 お よび 考 察
的 評 価 に つ い て,ABPC,BAPCお
り
度 と し て6.3
り低 い も の で
あ るKBT-1585に
あ る菌 数 減 少 が 認 め られ,
も,治 療 効 果 の優 劣 は 同様 の傾 向 で あ った 。
b)肺
III.総
ABPCのprodrugで
与 群 で は,投 与8時 間 まで 肺
内菌 数 の 滅 少 が 認 め られ た が,そ の効 果 は,BAPCよ
in
ピ ー ク 値 はBAPCよ
後 の 排 泄 が 速 く,投
験 的 呼 吸 器 感 染 症 に対 す る治 療 効 果
果 につ い て検 討 した 結 果 をFig.21に
よ びBAPC
示 し,ABPCは30分
6.実
K.pneumoniaeに
で測 定 した結果 を
by the aerosol method
μg/lung,5.3μg/lungを
μg/lungを
物投 与後 の
示 した 。 ピ ー ク 値 は,KBT-1585お
は 投 薬15分
示 した。 以 上
与 後 のABPCの
ABPC
with K.pneumoniae
後5.2μg/kidney,8.8μg/kidney,
の結 果 よ り,KBT-1585投
ABPCよ
Fig.22に
efficacy of KBT-1585,
240分 後1.5μg/ki面ey,3.2μg/kidneyを
K.pneumoniae感
肺 内ABPC濃
後2.8μg/kidney,
the lung of mice infected
12.8μg/kidney,30分
後
あ っ た 。ABPC
れ ぞ れ15分
Therapeutic
後にあ
示 し,60分
対 す るin
vitro抗
よ びH.influen-
菌 力 で は,KBT-1585はABPC
よ り若 干 劣 る も の の,TAPCと
ほ ぼ 同 等 で あ り,BAPC
VOL.
32
Fig. 22
CHEMOTHERAPY
S-8
Lung levels after oral administration
of
KBT-1585,
ABPC, BAPC and TAPC in
mice infected with K. pneumoniae
B-54
29
って い た。 実 験 的 呼 吸 器 感 染 症 に対 す る治 療 効 果 で は,
KBT-1585はBAPCよ
り劣 り,ABPCよ
り優 れ て お り,
肺 内薬 物移 行 の結 果 か ら も治 療 効 果 を 裏付 け る こ とが で
き た。
以 上 の よ うな 検 討 結 果 よ り,prodrugで
重 要 なin vivo
効 果 に つ い て ま とめ る と,KBT-1585は,投
に各 臓 器 にABPCと
薬後速やか
して分 布 す る が,BAPC,TAPC
投 与 時 よ り も ピー ク値 が低 く,こ の 結 果 は,in
果 に反 映 しBAPC,TAPCよ
ABPCと
vivo効
り若 干 劣 って い た 。 しか し
比 べ る とほ ぼ 同等 か 優 れ て い る とい う結 果 で あ
った 。KBT-1585は
そ の吸 収 過 程 にお い て速 や か にAB
PCとacetoinに
加 水 分解 され る。 このacetoinは 食 物 な
ど に広 く含 まれ る天 然 物 質 で あ る。した が っ てBAPCや
TAPCな
どのprodrugよ
りも下 痢 な ど の副 作 用 が 少 な
い の が,本 物 質 の 特 徴 で あ る と思 われ る。
文
よ り優 れ て い た。
第31回 日本 化 学 療 法 学 会 西 日本 支 部 総 会, 新 薬 シ
ンポ ジ ウムI, KBT-1585。
佐 賀, 1983
2)
Bacamplcillin論 文 特 集 号:
4): 1∼430, 1979
3)
大槻 雅子, 福井 正 憲, 沖 本泰 子, 辻
マ ウス 実験 的 腹 腔 内感 染 症 に対 す る 治 療 効 果 で は,
S.aureus,S.pneumoniaeお
よびE.coli
KC-14感
染
症 に対 して,KBT-1585の
効 果 は,ABPCと
で あ り,BAPC,TAPCよ
り劣 って い た。 ま たB.coli
444,K.pneumoniae感
果 はABPCよ
ほ ぼ 同等
染 症 に対 して,KBT-1585の
り若 干 優 れ,BAPC,TAPCよ
い た。 ま た感 染 マ ウ ス を用 い て,薬
ろ,KBT-1585はABPCそ
5)
りは劣 っ
投 薬後 速 や か に 吸 収 され,ABPCを
ほ ぼ 同等 か 若 干 優 れ てお り,ABPCよ
い た。 またKBT-1585経
はABPC原
7)
り明 らか に優 れ て
口投 与 後 のABPCの
体 投 与 時 よ り優 れ て い た が,BAPCよ
腎 内濃 度
り劣
博 史, 中 沢
関 す る細
T.
&
F.
evaluating
Exp.
WILCOXON:
dose-effect
Therap.
29 (1): 76
A simplified
96:
experiments.
99•`113,
J.
1949
尾 花 芳 樹, 折 笠 義 則, 西 野 武 志, 谷 野 輝 雄:
Acinetobacter
calcoaoeticusに
関 す る研 究
第4
報
マ ウ ス 実 験 的 尿 路 感 染 症 に つ い て 。Chemotherapy
30 (9): 996∼1003,
1982
感 染症 に対 す る治 療 効 果 で は,E.coli,P.mirabilisを
効 果 はBAPCと
J.
of
Pharmacol.
遊 離 し排 泄 され る こ とが 認 め られ た。 実 験 的 上 行 性 尿 路
用 い て検 討 した と こ ろ,KBT-1585の
LITCHFIELD,
method
6)
27 (S-
菌 学 的 評価 。 感染 症 学雑 誌49:
672∼680, 1975
日本化 学 療 法 学会: 最 小 発育 阻止 濃 度 (MIC)
測
定 法 再 改訂 に つ い て。Chemotherapy
∼79 , 1981
の もの の 投 与 時 よ りピー ク
値,持 続 性 で優 れ て い るが,BAPC,TAPCよ
た。KBT-1585は
4)
物 投 与 後 のABPC
の血 清,腹 腔 内 浸 出 液 移行 をBioassay法 で 検 討 した と こ
Chemotherapy
昭 三: 合 成 ペ ニ シ リンTalampicillinに
効
り劣 っ て
献
1)
尾 花 芳 樹,
村 宜 弘,
石 黒 啓 司,
西 野 武 志,
星 合 真 紀 子,
谷 野 輝 雄:
感 染 症 に 対 す るCeftazidime
Chemotherapy
31 (S-3):
平 田 収 正,
山
マ ウス 実験 的局 所
(SN
102∼110,
401)の
1983
効 果。
CHEMOTHERAPY
30
BACTERIOLOGICAL
EVALUATION
NOV.
OF LENAMPICILLIN
TAKESHI NISHINO, YOSHIKI OBANA and
1984
(KBT-1585)
TERUO TANINO
Department of Microbiology, Kyoto Pharmaceutical University
The in vitro and in vivo activitiesof lenampicillin (KBT-1585), a new orally active ester derivative of ampicillin, were compared with ampicillin (ABPC), bacampicillin(BAPC) and talampicillin (TAPC). The following results were obtained.
1. In sensitivity test on clinical isolates, such as Staphylococcus aureus, Streptococcus pyogenes, Escherichia coli, Klebsiella pneumoniae, Proteus mirabilis and Haemophilus influenzae, the activities of KBT1585 were slightlyinferior to those of ABPC and equivalent to those of TAPC, but they were superior to
those of BAPC.
2. The MICs of KBT-1585 against S. aureus were slightly affected by the pH of the medium, the addition of horse serum, and inoculumsize, but they were hardly affectedin E. coli.
3. As for the therapeutic effect in experimental intraperitoneal infections in mice, that of KBT-1585 was
equivalent or slightlysuperior to that of ABPC, but they were inferior to that of BAPC and TAPC. In experimental urinary tract infections in mice, KBT-1585 was equivalent or slightly superior to BAPC and
undoubtedlysuperior to ABPC. In experimental respiratoryinfection in mice, KBT-1585 was inferior to BAPC,
but superiorto ABPC.
4. The pharmacokineticsof KBT-1585 were investigated in infected mice. The absorption of KBT-1585
was superior to that of ABPC, but inferior to that of BAPC and TAPC.