平成 25 年度 中南米日系農業者連携交流委託事業 第 2 回 日系農業者団体連携強化会議議事録 要旨 日時:2014 年 2 月 12 日 9:00~19:00、2 月 13 日 8:00~11:45 会場:サンパウロ州イビウナ市イビウナ農協(CAISP)講堂 参加者:ブラジル、パラグアイ、ボリビア、アルゼンチン各国日系農協等代表 45名 在サンパウロ総領事館 遠藤諭副領事、文協RURAL (株) 旺方トレーディング 中央開発㈱海外事業部 内容:2月12日:午前の部 午後の部 桂川トミオ 幸田伸一・西村陽平、(NPO) 地球の心・日本 伊藤修 余川達郎、大森麗裕、正岡エレーナ、本多泉美、白石京子 イビウナ水耕栽培及び有機栽培生産者視察 今年度事業の研修結果報告及び事業紹介 2月13日:イビウナ農協施設見学 次年度事業への意見交換(グループディスカッション) 今年度事業の研修結果報告 ○リーダー研修 パラグアイの非日系の農協視察。組織のレベルは想像以上であり、大変有意義な研修だった。農 協が医療、教育、安全、研究、福祉、スポーツ、レジャー、老人ホームなど、様々な面で行政に 替わって移住地の近隣のコミュニティへ援助の手を差し伸べている。農業者が次世代により良い 社会を残すためにブラジルでは見ることの出来ない面で資金を出していることに感心した。 ○専門家派遣研修(オオタバコガ防除対策) オオタバコガ被害対策のため、日本から河合章専門家を招聘したが、専門家によると見つかった 幼虫は我々が思っているオオタバコガ Hericoverpa armigera ではないという意見であった。今後も 害虫の駆除のために適切な方法を見つけていきたい。 ○専門家派遣研修(竹細工) ラーモス移住地には約 60Ha の竹林があり、竹細工の専門家を招聘して、うちわ作りの講習を行っ た。必要な用具などは簡単な物であり、竹は一度植えれば次々に増えるため経済的に見ても有効 である。同地の工芸品として日本での研修も含め、今後継続して発展させていきたい。 ○日系農業者の中堅リーダー育成交流研修 品質安全管理研修と同様の期間で日本での約 1 か月間の研修に参加。興味深かった点は、閉鎖空 間で温度管理しながら栽培する植物工場、果物を宅急便で届ける直売(e コマース)、みかんの全 てを利用するフードランドなど。ディスカッションを通して、参加者の共通の課題である組合の 団結のためには、組合員・職員の教育が必要であり、交流や視察旅行が有効であると話し合った。 ○日系農業者の農産物品質安全管理交流研修 学んだ内容を 5 つに大別すると、①日本農業の現状、②農業技術の向上と変革、③食の安全と社 会環境に対する責任、④農牧畜の生産地の訪問、⑤組合運営、といったテーマであった。特に、 食品残渣の飼料へのリサイクル、グローバル GAP への取り組み、植物工場の室内環境管理、消費 者がすぐに利用できるカット野菜などが印象に残った。 ○日系農業関係女性部の地域活性化交流研修 主に岩手県、群馬県、三重県を訪問し、農村地域の女性と様々な情報交換をして交流を深め、ま たリンゴジュース、こんにゃく、寿司工房といった加工品の施設を見学した。さらに農山漁村女 1 性・生活活動支援協会やパソナアーバンファームの訪問、横浜の移民資料館での移民の歴史の学 習、宮城県山元町の復興地域の視察、埼玉県でのグリーンツーリズムなども行った。 ○日系農業関係者の移住地交流研修 日本から 3 名がブラジルを訪問し、サンジョアキンでの第 3 回南米婦人会の集いに参加し、南米 4 か国の女性たちと交流を深めた。その後レジストロ、カッポンボニート、ピラールドスル、カウ カイアドアウト、ジャカレイなどの日系移住地を訪問。料理や手芸など様々なことを教えてもら ったが、日本文化の再発見、新しい風を入れてもらうという意義があり、今後も継続を希望する。 事業紹介 ○インテグレーションネットワークプロジェクト サンパウロ州内で流通専門の組合(インテグレーションネットワーク)を組織し、独自の流通セ ンターから消費組合や市場への販売を行うようにするプロジェクト。現行の販売システムには、 流通経費が高い、組合員の生産物の流通と販売が困難、規格外の生産物もしくは過剰生産によっ て発生する損失といった問題がある。米、フェイジャン豆、牛乳、砂糖などの基礎的な食材を生 産して、適正な価格で販売するために、市区町村をはじめ大学・商工会議所・公的銀行などをす べて統合し、販売ルートを構築する。 ○日本・南米の農業ビジネス創出に向けた交流 1) 種子油(NPO法人「地球の心・日本」伊藤修理事長) 種子油プロジェクトの説明。廃棄される種子の有効利用のため、ブラジル産の果実種子油を日本 で販売することを目標としている。 2) 中古農業機械(株式会社旺方トレーディング幸田伸一社長) 日本の中古農業機械を海外に輸出している。日本の農業機械は狭い面積でも使用可能な小型であ り、欧州はじめ世界での生産が希少であり、南米にも販路を広げたいと考えている。すでにボリ ビア、ウルグアイへの販売実績がある。中古機械であるため、アフターサービスとして必要な部 品の販売も行う。 次年度事業への意見交換(グループディスカッション) ○野菜・果樹グループ ・ 連携強化会議について、講演と意見交換を組み合わせた会議形式を希望 ・ 日本研修の人数としては現在行われている 7~8 人でよい ・ リーダー育成に関する研修期間は現行の 3 週間でよい。これ以上の期間で組合などを離れる のは難しい ・ 日本から招聘する専門家としては、組合運営に関するコンサルタントや専門家を希望 ・ 専門家招聘に関しては、農産物の残渣を利用した肥料といった専門家の招聘の希望もある ・ アグリビジネスの創出について関心はあるが逆に日本側のニーズを知りたい。日本が食料の 輸入が必要となった場合、なにが必要なのか。例えば大豆なのか、野菜なのか、または果物 か。形式は生のままか加工品としてか。これらの情報を元にビジネスの実現がどうすれば可 能かを組合内部で議論するために知りたい。 ○アルゼンチン・ボリビア・パラグアイグループ ・ 研修については野菜・果物栽培中心でよい。 ・ サカタのタネによるトマト、ピーマン、キュウリについての講演。研修期間としては最低 1 週間を希望。 2 ・ 日本での研修についての提案は、各自のテーマに沿った小規模なグループを作って活動した ほうが、日本での研修がより効果的ではないかと思う。 ・ 研修の内容として e コマースがある。野菜・果物などを地域レベルでネット販売を行うには どうすればよいかなど。 ○穀物グループ ・ 公的機関訪問などは全員が一緒に行動すればよいが、テーマ別(野菜・果物グループ、穀物 グループなど)の研修を 2 週間取ることを提案する。 ・ 日本からの専門家招聘については、国際ビジネスに関するテーマを希望。日本及び南米各国 とのビジネスが実現するための必要事項などを指導してくれる専門家を志望する。 ○女性グループ ・ 残念なことに日本から南米に行く移住地交流プログラムがなくなっている。日本から来て新 しい風を入れてもらう意義は大きい。 ・ 南米婦人会の集いの継続や、農産品加工での専門家要請の可能性を検討してもらいたい。 ○PMC グループ ・ すでに本事業の研修や会議に出席している若手を PMC メンバーとして入れ、世代交代を図る ・ 研修の報告書作成について、個人に加えて、研修最終日にグループでの報告書作成を提案 ・ さらに帰国後、研修生全員がブラジルに集まり、PMC も同席して発表会をすることを提案。 経費は各自で負担。これにより自分たちが享受した成果を見直すことができる。 3
© Copyright 2024 ExpyDoc