自然エネルギーを活用した事業モデルについて - 中野区議会

平成 21 年(2009 年)12 月7日
区 民 委 員 会 資 料
区民生活部環境と暮らし担当
自然エネルギーを活用した事業モデルについて
Ⅰ
事業モデル構築の目的
「自然エネルギーを活用した事業モデル」は、中野区環境基本計画及び新しい中野
をつくる10か年計画(第2次)に掲げる、区内のCO2を平成31年度(2019
年度)に平成17年度(2005年度)比で約13.9万トン(約15%。平成2年
度(1990年度)比で約6%)削減する、という目標の効果的かつ持続的な達成に
向け、自然エネルギーの活用や省エネルギーの促進などの取組み全体の関連や枠組み
を明らかにするものである。
Ⅱ
CO2削減のための施策の枠組み
1
CO2の削減目標
区内のCO2排出量は、家庭部門から5割弱、業務・産業部門から約3割、運輸部
門から約2割、廃棄物部門から約2パーセントとなっている。
目標約13.9万トンの削減内訳は、
家庭部門で
約6.6万トン
業務・産業部門で 約4.1万トン
運輸部門で
約2.9万トン
廃棄物部門で
2
約0.3万トン
基本的な削減方策
(1)家庭部門
家庭部門における削減については、区民等が自らの意思で、太陽光・熱などの
自然エネルギーを利用する設備の設置や、省エネ家電への買い替え、冷暖房温度
の調節などの省エネ行動を日々実践する生活へ転換していくことが必要である。
これらの取組みを促進するため、次の方策を講じる。
① 太陽光・熱利用設備への助成
② 省エネ家電の買い替えや冷暖房温度の調節など、家庭の電気・ガス使用量の削
減に向けた省エネ努力を促す動機づけ
③ 啓発PRや(仮称)地球温暖化対策地域協議会を通じた普及拡大 等
④ ごみ発生抑制・リサイクルの推進
等
- 1 -
(2)業務部門
業務部門における削減については、小規模事業所の多い中野区にあっては、家
庭と同様に、自主的な省エネの努力等の取組みが重要となるとともに、経済活動
に伴い排出するCO2に対する削減対策を進めることが必要である。
これらの取組みを持続的に促進するため、次の方策を講じる。
① (仮称)地球温暖化防止条例等による各事業所等のCO2の削減対策や排出量
の把握
② 省エネ診断やISO等取得助成、省エネ設備に係る低利融資など、省エネ対策
の支援
等
(3)運輸部門
運輸部門の削減対象は、家庭での自家用車の使用や事業所での営業車等の運行
によるものであるので、家庭部門と業務部門においてそれぞれ取り組めるよう、
次の対策を講じる。
① ハイブリッドカーや電気自動車等の普及促進
② エコドライブの普及、公共交通の利用促進
3
等
方策実現のための財源確保のしくみ
新しい10か年計画の最終年次である平成31年(2019年)ないし平成32年
(2020年)までの10か年間、あるいは、国際的な目標年次である平成62年(2
050年)まで、温暖化対策は長期間に亙り継続する必要がある。このため、安定的
かつ持続的な財源を用意していけるよう、区立施設等における省エネと自然エネルギ
ーの活用を進める。
(1)風力発電(自然エネルギー)の活用による売電
出力 2,000kwクラスの風力発電設備3基の稼動により年間約6900万円、平
成27年1月から平成31年度までで約3億6000万円(20年間では約13億
8000万円)の収入を見込む。
(2)区立施設等の省エネや太陽光・熱など自然エネルギー活用による経費節減
区立施設の太陽光・太陽熱利用や省エネ型蛍光灯への交換、街路灯のLED化
により、年間約1000万~2000万円、合せて10年間で約1億8000万
円の節減を見込む。
(3)(仮称)環境基金の創設
以上の売電収入や節減相当額あるいは区民等からの寄付等を基金に積み立て、
家庭等での取組みを促進するための助成制度の原資を恒常的に確保する。
積立合計
約
5億4000万円(10年間分)
- 2 -
Ⅲ
家庭での取組みを促進するための事業モデルの概要
区内CO2 排出量の半分近くを占める家庭等における削減の取組みを促進するた
め、以下のようにCO2削減量に応じてポイントを付与する地域エコポイント制度を
創設する。
エコポイントの財源には、区立施設の省エネや太陽光・熱あるいは風力発電などの
自然エネルギーの活用によって得られる節減相当額や売電収入等を積み立てる(仮
称)環境基金を創設し、ここから充当する。
a
太陽光発電等の自然エネルギーの利用
太陽光発電や太陽熱利用設備などの新たにエネルギーを生み出す自然エネル
ギーの利用に対しては、削減できるCO2量に応じたポイントを初期投資段階で
付与する。
b
家庭等でのエコチャレンジ
CO2削減目標を設定し、家庭等で以下のような様々な取組みを通じて節約し
た電気・ガスの使用量を自己申告する「なかのエコチャレンジ」により、前年比
で削減できたCO2量に応じてポイントを付与する。
・省エネ型エアコン、電球型蛍光灯などの省エネ機器への買い替え
・家電のコンセントを抜く
・冷暖房温度の調節 ・・・など
1
エコポイントによる削減促進効果の見込み
地域エコポイントによる家庭部門におけるCO2 削減の取組みの促進効果を概
ね次のとおり見込む。
平成31年度の家庭部門のCO2削減目標
a
△約66000トン
太陽光発電等の自然エネルギーの利用
△ 約5300トン
●太陽光発電設備 △約5100トン
1戸当たり3kw 400戸/年
10年間で延べ
4000戸以上
●太陽熱利用設備 △ 約200トン
1戸当たり6㎡
25戸/年
10年間で延べ
250戸以上
b 家庭等でのエコチャレンジ
△約55000トン
1世帯当たり年間CO2排出量(約3300kg)の2割(660kg)削減
8300世帯/年
10年間で延べ
83000世帯以上
小計 △約60300トン
※ その他の取組み(ポイント付与の対象外)
公共交通の利用促進
ごみ発生抑制リサイクル
合
- 3 -
計
△
△
約2300トン
約3600トン
△約66200トン
2
ポイント経費の見込み
目標達成に必要となるポイントに要する経費は概ね次のとおりである。
a
太陽光発電等の自然エネルギーの利用
約3億5000万円
b
家庭等でのエコチャレンジ
(申請率を約7割と想定)
約1億9000万円
計
約5億4000万円(10年間分)
※ 1年間に削減できるCO2量1kgに対して1ポイントの付与を原則とする。
例 a:太陽光発電 3kw/戸
1.2t削減/年 :1200ポイント
b:家庭の電気・ガス等年間 660㎏削減/年 : 660ポイント
使用量の2割節減
※ ただしポイントの金銭的価値への換算は、自然エネルギーの普及を重点的に促
進するため、aを高くする。
a:1ポイント=70円相当、b:1ポイント=
3
5円相当
環境基金の収支見込み
家庭でのCO2削減の取組みに要する、地域エコポイントによる年次ごとの必要
経費と、収入の見込みは、概ね、次のとおりである。
万円
22 年度
23 年度
24 年度
25 年度
26 年度
27 年度
28 年度
29 年度
30 年度
31 年度
合計
収入
1,000
1,400
1,600
1,800
3,700
8,900
8,900
8,900
8,900
8,900
54,000
支出
1,000
1,400
1,500
1,700
3,700
8,800
8,900
9,000
9,000
9,000
54,000
※ 平成27年度以降に年次別経費が大きくなっている理由は、風力発電による売電収入が得
られる平成27年度を境に、取組み件数を増加させているためである。
Ⅳ
今後の予定
本事業モデルで示した、(仮称)なかの地域エコポイント制度や事業所などのCO2
削減義務等に係る(仮称)地球温暖化対策条例などの各施策の詳細を検討し、制度化
するとともに、風力発電や区立施設の省エネ対策など財源確保の方法を構築していく。
- 4 -
家庭での取組みを促進する事業モデルのイメージ
区民等家庭でのCO2削減の取組みを、持続的に促進するためのしくみ
CO2削減
CO2削減
区 民
○省エネの取組み
●省エネ機器の購入
●省エネ行動の実施
◎自然エネルギーの利用
●太陽光・熱設備導入
地域エコポイント
(仮称)環境基金
売電、節電相当額分積立
売電、節電相当額分積立
○省エネの取組み
●LED街路灯の設置
●高効率蛍光灯の設置等
区
◎自然エネルギーの活用
●風力発電
●太陽光・熱利用
CO2削減
CO2削減
- 5 -
CO2削減目標を達成するための方策と持続させるためのしくみの概要
CO2削減目標
取組みの方向
家庭部門
平
成
31
年
度
自然エネルギーの利用拡大
万
t
削
減
(
平
成
17
年
度
比
15
%
)
●太陽光・熱利用設備の利用
・・・など
約 0.5 万t
削減
●省エネ機器の買い替え
省エネルギーの促進
●地球温暖化対策地域協議会を
約 5.5 万t
削減
通じた普及活動
・・・など
約 2.8 万t
●公共交通の利用促進
※運輸部門
削減目標
約 2.9 万
t
●ごみ発生抑制リサイクル
地域エコポイント制度
○太陽光・熱利用機器設置へ
省エネ行動による電気・ガス
使用量の削減(=CO2削減
量)に応じたポイント付与
約 0.6 万t
削減
約 2.8 万t
削減
●エコドライブの普及促進
・・・など
●エコカーの普及促進
約 0.1 万t
省エネ行動への支援
業務部門
削減目標
自然エネルギーの利用拡大
約4.1万t
●太陽光・熱利用設備の利用
・・・など
○省エネ相談・診断
○環境マネジメントシステム取得助成
○設備資金の低利融資
●省エネ設備への更新
●省エネに配慮した機器の運用
省エネルギーの促進
●環境マネジメントシステムの取得
※運輸部門は、家庭部門、業
・・・など
(仮称)地球温暖化防止条例
○CO2削減対策
務部門のそれぞれの取り
●エコカーの普及促進
組みの中で削減を行う。
○CO2排出量報告
●エコドライブの普及促進・・・など
●区立施設への太陽光・熱利用設備の設置
区
ためのしくみ
○省エネ機器の買い替えや
●省エネ行動
約
13.9
主な取組みを進める制度
主な取組み
のポイント付与
削減目標
約6.6万t
方策を持続させる
目標達成のための方策
自然エネルギーの活用
●風力発電の活用
売電・節電相当額の積立
●LED街路灯や区立施設への高効率
省エネルギーの促進
蛍光灯の設置
●環境マネジメントシステムの推進
・・・など
6
節電相当額の積立
ポイント交換
原資の供給
(
仮
称
)
環
境
基
金