解答 番号 解 答 欄 10 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ ⑦ ⑧ ⑨ ⓪ 二月二十七日㈬ (例) 平成二十五年度 金沢学院大学 入学試験問題(一般入試B) (例) 国 語 (注意事項) 国語と記入・マークした解答用紙に解答しなさい。 (解答上の注意) 10 と表示のある問いに対して④ と 解答は、解答用紙の解答欄にマークしなさい。例えば、 解答する時は、下記の(例)のように解答番号 の解答欄の④ にマークしなさい。 10 解 答 欄 解答 番号 問題は次のページからです。 第1問 次の文章を読んで、後の問い(問1~9)に答えよ。但し、設問の都合上、省略した文もある。 老人ホームに入居している父が入院した。呼吸が困難になったというのが理由だ。検査の結果、左肺がまったく機能していないこと が判明した。 それから一〇日ほどたったころ、入院先の病院の医師からもはや老人ホームに帰ることは不可能であることがつげられた。それと同 時に、父のいのちの存続ということを趣旨に、今後の医療方針が提示された。具体的には、三つの栄養補給の処置法のうちどれを望む のか、一つをえらんでほしいというのだ。胃ろう、鼻から胃へのチューブ、右肩の下の部分に穴をあけてそこに静脈と連結した輸液注 ① 入箇所を設置する、この三つである。老人ホームの入居手続きをはじめとして一貫して施設や病院とのあいだのセッ ショウ面で中心 になって働いてくれている次弟は、これらのうちの三番目の処置をとってくれるよう、たのんだのである。 A ものを感じたので、その点を弟に質した。三つのほかにもう一つ、延命措置はとらないと 報せをうけた私は、いささか腑に いう四番目の選択肢もあったのではないか、その点が抜け落ちていることへの疑問である。症状の軽減以外は何もしないということが きょうだい三人のあいだの了解事項であったのではないか、というおもいもそこには込められていた。またそうした処置(手術)が、 ここにいたってはいのちにくわえられる過度な侵襲であるように感じられ、違和をおぼえたということもあった。次弟は、それも考慮 に入れなかったわけではないけれど、医者に三つのうち一つをえらべ、他に方法はないといった態度をしめされ、それに対し面とむかっ て別の案をこちらから提示することはとてもできなかったのだ、と述べた。そして、その場で即答してしまったというのだった。〈a〉 ア 「何 医師の案は処置の仕方はそれぞれちがうようにみえても、「何かをする」という点では共通している。私は、それとは別に、 もしない」という見守り方もありなのだということを医者の口からつたえられてしかるべきではなかったか、という感想を強くもった。 どちらが父の意向に沿ったものか、いまの状態となってはもはや知るよしもない。父はこうした事態にみまわれたときどうしてもら いたいのか、意思をつたえられる時期に家族である私たちに自分の希望を述べていなかった。というより、遺言をふくめた事前の意思 表示(リビング・ウィル)をしておいた方がいいのではないか、などと周りがはたらきかけても耳をかたむけるような人ではなかった。 ② シュウ トウさに欠けていたといえば、いえるだろう。〈b〉そういう性格傾向といえば、いえた。自分が老いて、衰弱し寝たきりに なることはもちろんのこと、自分が死ぬということすらも想像してみようとしない、どこか不死の意識をもっていたのだ。(中略) うしろをふりかえらないという点についても徹底していた。私たちは、父の出自についてあらましとしてさえ本人からつたえられて いないのである。私たちきょうだいも「そういえば、親父は自分の過去や出自をはなさないね」といった程度の興味しかなかった。山 梨県谷村の母の里には私たちきょうだいは子どものころなんども訪れたことがあるけれど、父がどこでだれの間に生まれ、どんな人の もとでどのような育ち方をしたのか、 B の『たけくらべ』にえがかれた吉原周辺で育ったことなど、子どものころのことを断片 的にかたったくらいで、自分の父親母親の名前も彼らの仕事も暮らしぶりについても、いっさい口をつぐんで話さなかった。〈c〉両 ③ 親をなつかしむとか自分が育った家族の カイキュウ談にふけるということには無縁であった。未来についても、たしかな先行きのこ ④ と以外、 ホウフをかたることもしなかった。 むものは自分ひとりとい たの 要するに「いま」だけがすべてであったということだろう。「いま」がすべてということと、父の場合、恃 −1− う感覚とが一つになっていた。この徹底ぶりをかんがえると、ある程度ではあるが、子ども時代の父の内面のよるべなき状態を想像で きるのである。〈d〉 結婚して子どもが三人――私たちきょうだいである――、加えて父の継母が同居していた。私イにとっての継祖母である。その祖母と 母のおりあいが悪く、記憶をさぐってみても子どものころから家族の空気があかるくほどけ、 からりと乾くという日を経験したおぼ えがなかった。 ⑤ カしたライフワークを、奇蹟でもおこらないかぎり、永 老人ホーム入居は、相対性理論をおさらいしてから死にたいという自らに 久にとだえさせることになった。現実は父の思い描いていたようには進まなかったのである。だがそれを嘆いたり、無念におもってい る様子もなかった。〈e〉 のこされた父の最後の願いは母の回復をまって世田谷下馬の自分のたてた小さな家に帰ることであった。それもまた老人ホーム入居 とともに不可能な夢と化した。母がうごけなくなってしまったために、老人ホームへの入居というはこびになったのだが、それを認め ウ つつも 父は母が二度と回復しないという現実を受けいれることだけは頑として拒んだのだった。父の家には、末弟の息子の一人が、 (注) 父と母がもどってくるまでという約束で住んでいた。 だから、実際には家はなくなっていない。けれど、自分の家に、母とともに帰 れないということは、父にとっては「自分の家がなくなる」ことと同じである。それはとりもなおさず自分たち二人がよるべなき状態 へとさまよいでることを意味する。 エ 次弟の選択は、母が生きている以上は、父にまだ生きていてほしいという気持ちがあって ここまで考えがおよんだとき、ふと、 のことだったのかもしれないというふうにとらえなおしてみる視点がうまれたのだった。だとすれば、私にできるのは、弟の選択を C 、この現実を肯定すること、いいかえれば受けとめることだけである。 注 この時点で、母はすでに家を離れ老人ホームに入居していた。 【芹沢俊介『家族という意志――よるべなき時代を生きる』(岩波新書)による】 車と車がショウ突する。 要求が通るように交ショウする。 ショウ面玄関から入る。 友達を家にショウ待する。 婚約者をショウ介する。 ① 選挙でトウ票する。 ② 国家トウ一を成し遂げる。 ③ 銀行がトウ産する。 ② シュウトウ ④ トウ分の間入院する。 ⑤ 目標にトウ達する。 問1 傍線部①~⑤と同じ漢字を含むものを、次の各群の① ~⑤ の中からそれぞれ一つずつ選べ。解答番号は 1 ~ 5 。 ① ② ③ ① セッショウ ④ ⑤ 1 2 −2− 妖カイを描いた絵巻物。 この一年をカイ顧する。 カイ段を上っていく。 戦時中を述カイする。 束縛からカイ放される。 ① ホウ告書を書く。 ② 全体をホウ括する。 ③ 再会した家族がホウ擁する。 ④ ホウフ ④ 建物はホウ壊する。 ⑤ 地域復興のホウ仕活動。 ① ② ③ ③ カイキュウ ④ ⑤ 部長とカ長。 生半カな知識しかない。 ぶどう酒のようなカ実酒が欲しい。 お金をカしてほしい。 責任転カをするな。 A ① ② ③ ⑤ カした ④ ⑤ 問4 B に入る最も適当なものを、次の① ~⑤ の中から一つ選べ。解答番号は 6 。 に入る最も適当な人物名を、次の① ~⑤ の中から一つ選べ。解答番号は 8 。 ① 医学的な治療の一切を拒否し、自然になり行くままに任せながら症状を見守る方法。 ② 命を長らえるための人工的な処置を一切とらず、症状を軽くする以外はひたすら見守り続ける方法。 ③ 栄養補給をして体力をつける以外の治療は一切しないで、ひたすら命を長らえることだけを願って見守る方法。 ④ 医者から示される案を軸としつつも、結局はなるようになるという無心の境地で見守る方法。 ⑤ すべてを父親の意志に任せ、周囲の者はいかなる処置も施さないで症状を見守る方法。 問3 傍線部ア「「何もしない」という見守り方」とはどういうことか。最も適当なものを、次の① ~⑤ の中から一つ選べ。 7 。 解答番号は ① 入れない ② 出せない ③ 落ちない ④ 見えない ⑤ 陥らない 問2 4 ① 夏目漱石 ② 与謝野晶子 ③ 川端康成 ④ 芥川龍之介 ⑤ 樋口一葉 −3− 3 5 家族であるにもかかわらず、相互に何らの愛情も潤いもないあり様。 家族同士がいつも真摯な態度で向かい合いながら、争いをなくしていくあり様。 家族同士が争う以外は何のつながりもなく、互いに孤独であるようなあり様。 家族関係の多少のわだかまりがあっても、いつまでも根に持たずに健全な関係を保てるあり様。 家族の間に何のわだかまりもなく、常に青空のような純粋な思いやりに充ちたあり様。 問5 傍線部イ「からりと乾く」とはどういうあり様を譬えているのか。最も適当なものを、次の① ~⑤ の中から一つ選べ。 9 。 解答番号は ① ② ③ ④ ⑤ 問6 本文中に次の文を挿入するとすれば、〈a〉~〈e〉のどこが適当か。最も適当なものを、次の① ~⑤ の中から一つ選べ。 。 解答番号は 挿入文〈まさか自分がこんな事態に直面することなど想像もしていなかったからにちがいないのだから。〉 ① 〈a〉の箇所 ② 〈b〉の箇所 ③ 〈c〉の箇所 ④ 〈d〉の箇所 ⑤ 〈e〉の箇所 問7 傍線部ウ「父は母が二度と回復しないという現実を受けいれることだけは頑として拒んだのだった」とあるが、その理由として 。 最も適当なものを、次の① ~⑤ の中から一つ選べ。解答番号は ⑤ ① ② ③ ④ 母の病気の回復を信じることが生きる支えとなる父にとって、現実を受けいれることは、死を意味するから。 長年連れ添った母が回復しない現実を受けいれると、夫婦である事実すら放棄することを意味するから。 「家に帰る=母と一緒に帰る」である父にとって、現実を受けいれることは、自分の家自体が消滅するのと同じだから。 たとえ老人ホームに入っても母と一緒であれば満足する父にとって、現実を受けいれると、どこにも住む家がないことを意味 するから。 母と一緒に家に帰ることを最後の願いにする父にとって、現実を受け入れると老後の一人暮らしのわびしさに直面することに なるから。 11 −4− 10 問8 傍線部エ「次弟の選択は、母が生きている以上は、父にまだ生きていてほしいという気持ちがあってのことだったのかもしれな 。 い」とあるが、なぜ私はそう感じたのか。最も適当なものを、次の① ~⑤ の中から一つ選べ。解答番号は 問9 C に入る最も適当な語句を、次の① ~⑤ の中から一つ選べ。解答番号は 。 ① 次弟の選択は「父あっての母、母あっての父という関係が二人にとって生きるということなのだ」という認識に基づいている、 と私には思えたから。 ② 次弟の選択は「これまで母に迷惑をかけてきた父であれば、最後までともに生きてやることが母への義務だ」という認識に基 づいている、と私には思えたから。 ③ 次弟の選択は「夫婦である以上、生死は共にするのが一番だ」という認識に基づいている、と私には思えたから。 ④ 次弟の選択は「父も母も可能な限り生への執着を捨てない人たちだ」という認識に基づいている、と私には思えたから。 ⑤ 次弟の選択は「私たち兄弟の気持ちとして、父と母を切り離すわけにはいかないはずだ」という認識に基づいている、と私に は思えたから。 12 ① 是として ② 是非を越えて ③ 非として ④ 条件付きの是として ⑤ 是非を保留して −5− 13 (新潮社)所収の短編小説「歴史」の全文である。以下の文章を読んで、後の問い(問1~8) 第2問 次の文章は、川端康成『掌の小説』 に答えよ。 げな村でなくて、村の南の山を越えて半島を横切ること その山の村は村に立派過ぎる一本の道を持っていた。この道の目的はその(寒 注1) にあった。この道が出来た時、村にはこんな噂があった。近いうちに戦争がある。これは半島の南の端へ、大砲や軍隊を運ぶための道だ。 変らず岩を越え釣橋を渡って、谷川沿いの温泉に行かなければならなかった。その湯は谷川沿いというよりも、谷川の中 村人達は相 ア せきれい(注2) にあった。 鶺鴒 の 尾が湯船の縁を叩いた。 かねもち 持が来た。金持の老人はこの谷川に多い岩の清らかな白さが気に入ったと言って、別荘 大砲はまだ通らないが、自動車が通って、金 を建てた。元湯から別荘へ湯を取込むついでに、村の真中の山桃の木の下まで湯を引いて、共同湯を造ってやった。そして、 「山桃の湯」 と名附けてやった。夜は山桃の実がトタン屋根に落ちる音で湯の中の娘が飛び上った。 こ みち (注3) すすき 路を造ってやった。元湯を拡げてコンクリイトの湯船にしてやった。その上、谷川べりの野菊と薄しか生 また老人は谷川に沿うて小 なお えていない土地を買ってくれるので、村人達は尚のこと喜んだ。 (注4) もちろん 尺横を爆弾で掘りはじめた。勿論彼の地所だった。元湯は直ぐ出が悪くなり、ぬるくなってしまった。 それから十年、老人は元湯の三 老人の掘った池は地獄の釜のように湯気がもうもうと昇っていた。 ① オンケイを受けた老人のところへ行った。老人は笑った。 村人は顔を見合わせ、また顔を見合わせ、いろんな 湯を千人風呂のような共同湯にしてあげるのだ。」 「そんなこと心配せんでもいい。私は村の湯を掘ってあげているのだ。元 ゆ どの(注5) ② で張りつめられていた。湯殿の天井の上は二十 ジョウ敷きの脱衣場になっていた。 その通りだった。新しい湯船は水色の瀬戸物 ③ ④ センな野菜を愛しながら、別荘でこの谷川の風景を サンビする漢詩や俳句を作っていた。 そして老人は、村人達が運んでくれるシン 古い元湯は椎の落葉に埋れてしまった。 死ぬと、村は彼の記念碑を立てた。 老人が ⑤ ジョマク式に老人の息子がやって来た。半月と経たないうちに、彼は温泉宿を建て始めた。共同湯は石塀の中に奪い取られて、 その 宿の内湯になってしまった。 村人達はまた顔を見合わせ、見合わせした。それを息子は冷笑した。村人が言った。 かげ 「お父様に似ぬ a だ。大旦那のお心も知らない……。」「ふん。俺は親父の子供だ。親父のように弱虫ではないだけだ。お蔭で イ 親父のような詐欺はしないですむのだ。」 ウ もったい 勿体ない。――大旦那の造って下さった路を歩くのも厭になる。」 「 ども わず 虫けら共。僅か自転車が通るくらいの路だ。その路が持っていた b を初めて知って驚いているなら、今のうちに大きい眼を 「 あ(注6) エ 明いて、 自動車の通る街道の意志をよく考えておけ。」 −6− 〔注〕1「近いうちに戦争がある」…この小説「歴史」は、昭和二年に発表された。 2 「鶺鴒」…セキレイ属の鳥類の一グループ。主に水辺に住み、長い尾を上下に振る習性がある。 3 「コンクリイト」…「コンクリート」に同じ。 4 「三尺」…一尺は、303㎜。三尺は、909㎜。 5 「湯殿」…入浴するための部屋。風呂場。 6 「眼を明いて」…動詞「明く」の連用形「明き」がイ音便化したもの。「眼を開けて」と同じ意味。 問1 傍線部①~⑤と同じ漢字を含むものを、次の各群の① ~⑤ の中からそれぞれ一つずつ選べ。 ~ 。 解答番号は、 ① ② ③ ① オンケイ ④ ⑤ ① ② ③ ③ シンセン ④ ⑤ ① ② ③ ⑤ ジョマク ④ ⑤ セン明な画像のテレビ。 セン細な技巧が要求される。 再び役員に推センされる。 大学のセン任講師になる。 奈良から京都へセン都する。 彼はオン和な性格である。 久オンの響きがする。 オン順な気候の地域。 車の騒オンがうるさい。 オン人に心から感謝する。 ① 漢字の辞書を編サンする。 ② 多くの家族が離サンする。 ③ 師匠の芸を礼サンする。 ④ サンビ ④ 悲サンな結果に終わる。 ⑤ 強い相手に降サンする。 ① 今の流行に便ジョウする。 ② 明日の飛行機に搭ジョウする。 ③ 演劇の舞台に登ジョウする。 ② ジョウ ④ 同じ語を繰り返したジョウ語。 ⑤ 芸術で心をジョウ化する。 18 ジョ情的な詩を書く。 内ジョの功に感謝する。 自動車を安全にジョ行させる。 大晦日にジョ夜の鐘が鳴る。 大事な点が欠ジョしている。 −7− 15 17 14 14 16 18 問2 傍線部ア「鶺鴒の尾が湯船の縁を叩いた」という文は、この本文全体に対してどのような意味や効果を与えているか。 ① ~⑤ の中から一つ選べ。解答番号は、 。 最も適当なものを、次の ① ② ③ ④ ⑤ に当てはまる最も適当な語を、次の① ~⑤ の中からそれぞれ一つずつ選べ。 、 b = 。 a =① 利益 ② 意志 ③ 手段 ④ 過去 ⑤ 価値 =① 馬子 ② 弟子 ③ 里子 ④ 鬼子 ⑤ 背子 b = 谷川の風景を伝えるとともに、湯気が昇る温泉の湯船の具体的な様子を描写している。 珍しい鳥の生息を伝えるとともに、谷川沿いの温泉が山奥にあることを感じさせる。 谷川沿いの自然の景色を伝えるとともに、谷川の中にあった温泉の静寂を感じさせる。 実際に鶺鴒の尾が湯船の縁を叩くことはないが、尾が鋭く上下する動きを誇張している。 鶺鴒の珍しい習性を伝えるとともに、谷川沿いの温泉の穏やかな様子を感じさせる。 19 b 問3 空欄 a ・ a 解答番号は 21 老人が死ぬと村は彼の記念碑を立てたが、本当の老人は弱虫で、それほど立派な人間ではなかったということ。 老人は金持だったのに、谷川沿いに住んで村人達が運んでくれる野菜や温泉を愛しながら、質素に暮らしたこと。 老人は村人に感謝されているが、谷川沿いに温泉宿を建てる端緒を開き、結果的には村人をだましたということ。 老人は村人には様々な利益を与えたが、実の息子にはたいしたものも残さず、記念碑には値しないということ。 老人は村人をだますつもりで谷川沿いの別荘にやって来たので、漢詩や俳句を作ったのは嘘だったということ。 −8− 20 問4 傍線部イ「親父のような詐欺」とあるが、どういうことか。その説明として最も適当な次の① ~⑤ の中から一つ選べ。 。 解答番号は ① ② ③ ④ ⑤ 22 問5 傍線部ウ「勿体ない」とあるが、「村人」のどのような気持ちを表わしているか。その心情説明として最も適当なものを、次の 。 老人がせっかく共同湯を造ってくれたのに、息子が宿の内湯にしたのを惜しいと思っている。 老人は自分の本当の父親なのに、弱虫だと笑っている息子に対して、親不孝だと思っている。 村に様々な利益をもたらしてくれた老人に対して、不届きなことを言う息子だと思っている。 老人が漢詩や俳句を作った美しい谷川の風景を、息子が壊してしまったのを残念に思っている。 息子とは言え、父親より悪いことはしていないと開き直っているのは許せないと思っている。 ① ~⑤ の中から一つ選べ。解答番号は ① ② ③ ④ ⑤ 問6 傍線部エ「自動車の通る街道の意志」とあるが、どういう意味か。本文全体を踏まえた上で、その説明として最も適当なものを、 。 次の① ~⑤ の中から一つ選べ。解答番号は ① ② ③ ④ ⑤ 自転車が通るくらいの路ではとるに足りず、自動車の通る街道であれば、村の大きな発展が望めるということ。 街道が立派なのは、半島の南の端へ大砲や軍隊を運ぶためであり、近い将来の戦争の準備であるということ。 自動車の通る街道であれば、金持の老人もやって来るし、彼が死んでもその息子がまたやって来るということ。 村に自動車の通る立派な道があれば、もし近いうちに戦争があっても、村人もすぐに参戦できるということ。 自動車の通る立派な道がある村であれば、温泉客が数多く見込めるので、息子は温泉宿を建てたということ。 24 山の村は、先見の妙のある親子によって開発され、いずれは戦争のときに国の役に立つ街へと発展する。 素朴な村人の与り知らないところで、村や谷川沿いの温泉は次第に開発され、歴史が移り変わっていく。 人の欲望は限りなく発展し、その意志は父親から息子へと受け継がれて、金持の家柄が代々栄えていく。 遠くから人間の営みを観察し、冷たく突き放す客観的な文章で、読む者に批判的な視点を与える表現である。 知的で技巧的な文体であるが、抽象的な言葉や哲学的な用語を使い、読む者を深い思索へと誘う表現である。 場面の展開がはやく、凝縮された短い文を多用し、読む者に視覚的イメージや余韻を感じさせる表現である。 26 −9− 23 問7 この本文全体の内容や表現の特徴の説明として、適当なものを次の① ~⑥ の中から二つ選べ。 ・ 。 解答番号は、 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 25 『十三夜』 ② 『暗夜行路』 ⑥ 『草枕』 ③ 『機械』 ⑦ 『禽獣』 ④ 『雪国』 ⑧ 『杜子春』 『細雪』 ・ 。 − 10 − 問8 川端康成の書いた小説を、次の① ~⑧ のうちから二つ選べ。解答番号は ① ⑤ 27 28
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