愛媛県松山市における PM2.5 の濃度変化 - 愛媛大学農学部

愛媛県松山市における PM2.5 の濃度変化
○小田和洋、高橋司、岡崎友紀代、西川敦、若松伸司 (愛媛大学農学部大気環境科学研究室)
1 はじめに
SPM、PM2.5 の濃度は春季の黄砂飛来時に環境基準値を大幅に超えている。黄砂は地球温暖化など地球全
体の気候に影響を与えていると考えられ、また日本で観測されている黄砂の多くは粒径が数ミクロンの微小
粒子であるため人体への健康影響についても懸念されている物質である。
本研究は、今春、全国的に大規模な黄砂が観測された 4/1(日)、2(月)と 5/26(土)、27(日)を含む 2 つの期間
において、愛媛大学で常時モニタリングにより得られた各大気汚染物質、気象条件との関連性から黄砂飛来
時における SPM、PM2.5、粒子状物質の粒径別粒子数の動態について報告する。
2 方法
愛媛県松山市愛媛大学農学部敷地内で常時モニタリングにより得られた SPM、PM2.5/β線吸収方式(紀本
電子:SPM-613D)、粒子状物質の粒径別粒子数/光散乱式(リオン:KC-01D)、また他の大気汚染物質、気
象のデータを用いて解析した。
3 結果と考察
4/1、2 に観測された黄砂飛来時は、SPM と PM2.5 の濃度上昇(図 1)がみられた。一方、5/26、27 の場合は、
SPM と PM2.5 の濃度上昇に伴い、大気汚染物質(OBC、CO、SO₂、O₃)の濃度上昇もみられた。また、粒子
状物質の粒径別粒子数変化(図 2)については、前期の場合、粒径の小さい微粒子は黄砂飛来以前にピークをむ
かえているが、後期では、ほぼ同時にピークをむかえている。
加えて、環境省黄砂飛来情報(長崎と松江に設置されたライダーによるもの)によると、前期は黄砂の高濃度
帯が地上付近、及び上空にも現れていた。一方、後期では高濃度帯が地上付近に塊となって現れていたこと
から、黄砂の輸送のパターンが異なっていたと考えられる。
60 0
SPM(μm/m³)
PM2 .5(μm/ m³)
50 0
40 0
30 0
20 0
10 0
0
(0.5∼1μm)
20000
(5μm∼)
200
0.5∼1μm
5μm∼
18000
180
16000
160
14000
140
12000
120
10000
100
8000
80
6000
60
4000
40
2000
20
0
3/28
0
3/29
3/30
3/31
4/1
4/2
4/3
5/25
5/26
5/27
5/28
5/29
5/30
5/31
図 1(グラフ上):SPM(μg/m³)、PM2.5(μg/m³)の濃度変化 2007 年 3/28(水)‐4/3(火)、5/25(金)‐31(木)
図 2(グラフ下):粒径 0.5∼1μm、5μm∼の粒子数変化 2007 年 3/28(水)‐4/3(火)、5/25(金)‐31(木)