(3) ―発生源(ディーゼル自動車) - 三重県の科学技術

三重保環研年報
第 10 号(通巻第 53 号),
41-47 頁(2008)
ノート
浮遊粒子状物質の大気汚染について(3)
―発生源(ディーゼル自動車)寄与について―
塚田
進,
西山
亨,
小山
善丸
Current Condition of Air Pollution By Suspended Particulate
Matter (SPM) (Ⅲ)
−Evaluation of Source Contribution from Diesel Vehicles –
Susumu TSUKADA,Tooru NISHIYAMA ,and Yoshimaru KOYAMA
粒子状物質の発生源寄与率を推定するため,ケミカルマスバランス法(Chemical Mass
Balance Method)という解析手法を用いてディーゼル自動車による寄与率を 2 つの異な
る発生源データを使用して推定した結果,浮遊粒子状物質(SPM)では,それぞれ幹線道
路近傍で平均 17.5%と 29.0%,一般住宅地で平均 12.6%と 22.3%,バックグラウンド
で平均 7.5%と 11.9%であった.また、微小粒子(PM2.5)では,それぞれ幹線道路近傍
で平均 36.4%と 36.1%,一般住宅地で平均 22.6%と 27.4%,バックグラウンドで平均
12.7%と 16.9%であった.
使用する発生源データによって推定結果が大きく変動することから,今後はデータの
精度向上がいっそう望まれる.
キーワード:発生源寄与,ケミカルマスバランス法,幹線道路近傍,微小粒子(PM2.5)
はじめに
前々報 では,自動車 NOX・PM 法の対象地域
である県北部地域において,汚染の程度が異なる
3つの地点(幹線道路近傍,一般住宅地,バック
グラウンド)で浮遊粒子状物質(SPM)
(粒径 10µ
m以下)のうち粒径の小さい微小粒子(PM2.5)
(粒径 2.5µm以下)の濃度について報告した.
また,前報2)では,同地点における浮遊粒子状
物質(SPM)や微小粒子(PM2.5)中の炭素成分,
金属成分,イオン成分等の含有成分について報告
した.
今回は,浮遊粒子状物質(SPM)と微小粒子
(PM2.5)のそれぞれの濃度に影響を与える発生
源の寄与度(発生源寄与率)について試算した結
果を報告する.
1)
調査方法
1.調査地点
前報と同様に,表 1 に示すとおり汚染の程度が
異なる 3 地点(幹線道路近傍,一般住宅地,バック
グラウンド)で調査を行った.
2.発生源寄与率の推定
粒子状物質の発生源寄与率を推定する方法と
して,ケミカルマスバランス法(Chemical Mass
Balance Method:以下「CMB 法」という。)と
いう解析手法が用いられている3∼5).
CMB 法は,各種発生源から排出される粒子状
物質の含有成分組成(発生源データ)と大気中の
粒子状物質濃度及びその含有成分から発生源寄
与濃度・寄与率を推定する方法で,今回は早狩ら
6)
が開発した CMB8J ソフトを用いて解析を実施
した.
また,発生源寄与率を簡易に推定する方法とし
て,元素状炭素(EC)の測定結果から寄与率を
推定する方法についても実施した7).
なお,CMB 法では使用する種々のデータ(発
生源データや推計に利用した粒子中の含有成分
項目及び2次生成粒子の推計方法)により報告さ
れている.今回は,ディーゼル排気微粒子低減対
策総合調査(1998 年度環境庁報告)8)(以下「A
法」という.)と山神ら(名古屋市環境科学研究
所報)9)(以下「B 法」という.)の発生源デー
タ及び解析手法を用いた.
表 2 に推計に使用した発生源データを,表 3 に
推計に利用した粒子中の含有成分項目及び 2 次
表1
地
点
生成粒子の推計方法を示した.
調査地点
備
考
1
幹線道路近傍
自動車排出ガス測定局(国道 23 号線沿い)
2
一般住居地
一般環境大気汚染常時監視局
3
バックグラウンド
保健環境研究所屋上
表2
CMB法に利用した発生源データ
単位:%
発生源データ1 ※1
道路堆積物
海塩粒子
鉄鋼業
石油燃焼
廃棄物焼却
自動車
タイヤ&ブレーキ
成分
実測値
実測値
実測値
実測値
実測値
実測値
実測値
Na
1.04
30.4
1.36
1
12
0.1
0.92
Al
5.25
0.000029
0.999
0.21
0.42
0.24
4.9
K
1.02
1.1
1.32
0.085
20
0.09
0.806
Ca
5.45
1.17
4.51
0.085
1.1
0.2
1.2
Br
0.00089
0.19
0.0144
0.00085
0.083
0.0038
0.017
Sc
0.00125
0.0000001
0.000132
0.000009
0.000046
0.000036
0.00023
Ti
0.45
0.0000029
0.1
0.074
0.09
0.019
0.3
V
0.012
0.0000058
0.0125
0.46
0.0027
0.00096
0.011
Cr
0.04
0.0000002
0.316
0.021
0.085
0.0012
0.034
Mn
0.115
0.0000058
2.2
0.012
0.033
0.0044
0.141
Fe
5.77
0.000029
15.7
0.46
0.61
0.11
7.66
Co
0.002
0.0000015
0.0044
0.0031
0.0021
0.00007
0.002
Ni
0.0084
0.0000015
0.29
0.49
0.026
Cu
0.184
0.0000017
0.37
0.0001
0.36
0.87
Zn
0.21
0.0000029
5.15
0.04
2.6
0.047
0.3
As
0.00092
0.0000029
0.0103
0.0023
0.015
0.00028
0.01
Se
0.0002
0.000012
0.00511
0.0048
0.002
Rb
0.0037
0.00035
0.00768
0.0002
0.026
0.00019
0.0034
Ag
0.00016
0.0000087
0.00542
0.015
0.0042
Cd
0.00045
0.0000002
0.0252
0.024
0.05
0.0084
Sb
0.0031
0.0000014
0.009
0.00069
0.061
0.00047
0.42
Ba
0.053
0.000086
0.05
0.1
0.039
0.002
1.88
La
0.0021
0.0000009
0.000975
0.004
0.00077
0.00011
0.00075
Ce
0.0054
0.0000012
0.00687
0.07
0.017
0.00021
0.0024
Sm
0.00028
0.0000001
0.0000212
0.00076
0.000046
0.000013
0.000043
Pb
0.0000001
1.44
0.033
1.7
Th
0.00051
0.000002
0.00004
0.000038
0.00005
0.000011
0.00025
EC
4.78
0.0000028
0.5
75
0.5
76.6
51.7
OC
8.26
10.7
8.7
0.016
0.77
3.4
SO420.018
0.78
0.48
NO30.061
55.1
3.41
0.092
27
1.73
Cl0.097
0.0097
NH4+
発生源データ2 ※2
成分 道路堆積土壌 海塩粒子
石油燃焼
鉄鋼工業 都市ごみ焼却 廃棄物焼却
ディーゼル車
EC
3.36
22.77
0.5
1.64
4.355
65
OC
5.12
2.72
1.49
9.83
20
K
1.4
1.1
0.023
1.32
2.83
16.885
0.43
Na
1.19
30.42
1.65
1.36
3.32
11.967
Fe
6.1
0.000029
2.23
15.7
0.397
1.186
Zn
0.203
0.0000029
0.07
5.15
0.735
3.024
0.56
Al
4.72
0.00003
0.129
0.999
1.67
0.786
Ca
4.33
1.2
0.079
4.51
29.3
3.459
Mn
0.157
0.0000053
0.008
2.2
0.0355
0.016
0.023
V
0.0083
0.0000058
0.538
0.0125
0.0016
0.0001
0.01
出典:※1・・・ディーゼル排気微粒子低減対策総合調査(1998年度環境庁)
※2・・・名古屋市内における大気中PM2.5調査結果、名古屋市環境科学研究所報(2003)
表3 発生源寄与率推計に利用した粒子中含有成分及び
2次生成粒子推計法
推計に利用した粒子中の含有成分
A法
B法
Na
Cr
As
La
Al
Mn
Se
Ce
K
Fe
Rb
Sm
Ca
Co
Ag
Pb
Sc
Ni
Cd
Th
Ti
Cu
Sb
V
Zn
Ba
EC
Na
Al
OC
Fe
Ca
K
Zn
Mn
2次生成粒子推計法
OC、SO42-、NO3-、Cl-、NH4+
の実測値から一次粒子と想
定される分を差し引いた値
V
SO42-、NO3-、Cl-、NH4+の合
計量
結
果
1.A 法による発生源寄与率の推定結果
1)
浮遊粒子状物質の発生源寄与率
図 1 に,幹線道路近傍における浮遊粒子状物質
(SPM)の発生源寄与率の代表例を,表 4 にディ
ーゼル自動車による浮遊粒子状物質への地点別
平均寄与率を示した.なお,図 1 中に示した数値
は寄与率(単位:%)を,表題の後に記したカッ
コ内の数値は,採取期間(年月日)を示す.
(050128 は 2005 年 1 月 28 日を表す.以下,同じ)
表 4 から,ディーゼル自動車排ガスによる浮遊
粒子状物質の平均寄与率は,幹線道近傍で 17.5%,
一般住宅地で 12.5%,バックグラウンドで 7.5%で
あった.
ディーゼル自動
車, 22.5
不明, 22.5
鉄鋼業, 1.1
タイヤ&ブレー
キ, 1.9
道路堆積物,
10.7
海塩粒子, 2.1
廃棄物焼却, 2.7
石油燃焼, 3.4
図1
2次生成, 33.1
図 21-1 S P M 納 屋 0 5 0 1 2 8(050128-050214)
−0214
線道路近傍のSPM寄与率
表4
A法によるディーゼル自動車排ガスによる
浮遊粒子状物質(SPM)への平均寄与率
地 点
幹線道路近傍
一般住宅地
バックグラウンド
平均寄与率(%)
17.5(9.6∼22.5)
12.6(8.9∼16.3)
7.5(6.1∼ 9.5)
測定回数
6
2
3
2) 微小粒子(PM2.5)の発生源寄与率
図 2-1∼図 2-4 に,幹線道路近傍における微小
粒子(PM2.5)の四季別発生源寄与率を,表 5 にデ
ィーゼル自動車による微小粒子(PM2.5)への地
点別寄与率を示した.
タイヤ&ブ
不明, 6.8
レーキ, 2.2
海塩粒子,
0.79
石油燃焼,
3.1
廃棄物焼却,
0.83
ディーゼル自
動車, 22.2
不明, 32.5
タイヤ&ブ
レーキ, 0.78
廃棄物焼却,
1.3
海塩粒子, 1
表 5 から,ディーゼル自動車排ガスによる微
小粒子への平均寄与率は,幹線道路近傍で
36.4%,一般住宅地で 22.6%,バックグラウンド
で 12.7%であった.
ディーゼル自
動車, 45.5
2次生成,
40.8
2次生成,
35.2
石油燃焼, 7
図2−1 幹線道路近傍のPM2.5 寄与率
図 2 2 - 1 P M 2 .5 納 屋 0 5 0 5 0 9 - 0 5 2 3
(050509-050523)
図2 2 -幹線道路近傍のPM2.5
2 PM2 .5 納屋0 5 0 8 0 2 - 0 8 1 5 寄与率
図2−2
(050802-050815)
不明, 15.3
,
不明, 18.7
海塩粒子, 0.37
海塩粒子, 1.7
廃棄物焼却, 1.2
石油燃焼, 1.2
2次生成, 38
デ ィー ゼル自動
車, 40.6
,
デ ィー ゼ ル自
動車, 37.1
,
石油燃焼,
0.079
道路堆積物,
2.9
2次生成, 40.8
道路堆積物, 2
2 - 3 P M 2 .5 納 屋 0 5 1 1 2 4 - 1 2 0 4
図2−3図 2幹線道路近傍のPM2.5
寄与率
(051114-051204)
表5
図2−4 幹線道路近傍のPM2.5 寄与率
(051209-051222)
A法によるディーゼル自動車排ガスによる
微小粒子(PM2.5)への平均寄与率
地 点
幹線道路近傍
一般住宅地
バックグラウンド
平均寄与率(%)
36.4(22.2∼45.5)
22.6(13.6∼30.4)
12.7( 7.8∼22.1)
2.B 法による発生源寄与率の推定結果
測定回数
4
4
4
表 6 から,ディーゼル自動車による浮遊粒子状
1) 浮遊粒子状物質の発生源寄与率
図 3 に,幹線道路近傍における浮遊粒子状物質
物質への平均寄与率は,幹線道路近傍で 29.0%,
一般住宅地 22.3%,バックグラウンドで 11.9%
(SPM)の発生源寄与率の代表例を,表 6 にディ
であった.
ーゼル自動車による浮遊粒子状物質への地点別
平均寄与率を示した.
道路堆積
物, 9.9
2次生成,
38.7
ディゼル自
動車, 34.8
廃棄物焼
却, 3.1
不明, 9.5
石油燃焼,
1.8
鉄鋼工業,
0.9
図3
海塩粒子,
1.2
図23−1 SPM 納屋 0 5 0 3 0 3 - 0 3 1 4
幹線道路近傍のSPM寄与率(050303-050314)
表6
B法によるディーゼル自動車排ガスによる
浮遊粒子状物質 (SPM)への平均寄与率
地
点
平均寄与率(%)
測定回数
幹線道路近傍
29.0 (12.9∼40.8)
6
一般住宅地
22.3 (17.9∼26.8)
2
バックグラウンド
11.9
3
2) 微小粒子(PM2.5)の発生源寄与率
図 4-1∼図 4-4 に,幹線道路近傍における微小
粒子(PM2.5)の四季別発生源寄与率を,表7にデ
ィーゼル自動車による微小粒子(PM2.5)への地
点別寄与率を示した.
( 7.7∼15.3)
表 7 より,ディーゼル自動車は排ガスによる微
小粒子への平均寄与率は,幹線道路近傍で 36.1%,
一般住宅地で 27.4%,バックグラウンドで 16.9%
であった.
道路堆積
物, 2.7
ディゼル自
動車, 30.9
ディゼル自
動車, 31.9
2次生成,
35.1
廃棄物焼却,
0.6
海塩粒子, 1
2次生成,
62.1
廃棄物焼
却, 1.1
石油燃焼,
9.7
不明, 20.1
鉄鋼工業,
1.4
図4−1 幹線道路近傍のPM2.5 寄与率
(050509-050523)
鉄鋼工業,
0.3
海塩粒子,
0.5
石油燃焼,
6.9
図4−2 幹線道路近傍のPM2.5 寄与率
(050802-050815)
道路堆積
物, 1.4
不明, 6.3
ディゼル自
動車, 37.3
2次生成,
38.9
都市ゴ ミ,
0.5
不明, 18.4
鉄鋼工業,
0.3
廃棄物焼
却, 0.5
海塩粒子,
1.9
石油燃焼,
0.7
図4−3 幹線道路近傍のPM2.5 寄与率
(051124-051204)
表7
地 点
幹線道路近傍
一般住宅地
バックグラウンド
デ ィゼル自動
車, 44.6
2次生成, 43.1
廃棄物焼却,
0.9
石油燃焼, 1.5
都市ゴ ミ, 1.8
図4−4 幹線道路近傍のPM2.5 寄与率
(051209-051222)
B 法によるディーゼル自動車排ガスによる
微小粒子(PM2.5)への平均寄与率
平均寄与率(%)
測定回数
36.1 (30.9∼44.6)
4
27.4 ( 7.9∼41.1)
4
16.9 ( 7.6∼33.1)
4
3.元素状炭素(EC)濃度からの寄与率の推定
元素状炭素(EC)を指標元素としてディー
ゼル自動車による粒子状物質への寄与率を推
定したものを図 5 に示した.
この場合,EC の排出源は,大部分がディーゼ
ル自動車によるもの(ディーゼル車排出ガス中
の EC 含有率(68%10)))と仮定しているた
め,推定されたディーゼル自動車による粒子状
物質への寄与率は最大に見積もった値となる.
なお,データは微小粒子(PM2.5(FRM 採取
装置による.)
)の値を使用した.
図 5 より,幹線道路近傍におけるディーゼル
自動車による平均寄与率は,44.5%であった.
60
平均寄与率
寄
与
率
鉄鋼工業, 1.6
44.5%
40
(N=7)
20
(%
0
05.5.9-5.23
年月日
06.12.04-1218
05.11.24-12.4
06.7.20-8.3
05.8.2-8.1
06.9.28-1012
05.12.9-12.22
図5 幹線道路近傍におけるディーゼル自動車による微小粒子(PM2.5)への寄与率
まとめと考察
自動車 NOX・PM 法の規制対象地域である
県 北 勢 地 域 に お い て ,デ ィ ー ゼ ル 自 動 車 か
ら排出される粒子状物質が環境大気中の浮
遊粒子状物質(SPM)と微小粒子(PM2.5)
の濃度への影響(発生源寄与率)を試算し
た結果,次のとおりであった.
1)発 生 源 寄 与 率 の 推 定 を CMB 法 に よ り 実
施 し た と こ ろ ,デ ィ ー ゼ ル 自 動 車 に よ る 浮
遊粒子状物質(SPM)への寄与率は,幹線道
路近傍で A 法では平均 17.5%,B 法では平均
29.0% で あ っ た .ま た ,一 般 住 宅 地 で A 法 で
は平均 12.6%,B 法では平均 22.3%であり,
バックグラウンドで A 法では平均 7.5%,B
法では平均 11.9%であった.浮遊粒子状物質
(SPM)へ の寄与率の推定では,A 法と B 法
で大きな差異がみられた.
2)ディーゼル自動車による微小粒子(PM2.5)
への寄与率は,幹線道路近傍で A 法 で は 平 均
36.4%,B 法では平均 36.1%であった.
また,一般住宅地で A 法では平均 22.6%,B
法では平均 27.4%であり,バックグラウンド
で A 法では平均 12.7%,B 法では平均 16.9%
で あ っ た .微 小 粒 子 ( PM2.5) へ の 寄 与 度 の
推定では,A 法と B 法で比較的よく似た結果
が得られた.
3)微小粒子(PM2.5)中の元素状炭素(EC)
濃 度 か ら ,デ ィ ー ゼ ル 自 動 車 の 最 大 の 発 生
源 寄 与 率 を 推 定 し た と こ ろ ,幹 線 道 路 近 傍
で平均 44.5%であった.
4)種 々 の 発 生 源 デ ー タ を 使 用 し て CMB 法
による発生源寄与率の推定を行った結果,
微小粒子(PM2.5)では A 法と B 法とも比
較 的 よ く 似 た 結 果 が 得 ら れ た が ,浮 遊 粒 子
状 物 質 ( SPM) で は 比 較 的 大 き な 差 異 が み
られた.
こ れ は 粒径 の 差 異によ る も のと考 え ら れ,
さらに精度の高い結果を得るためには粒径
を考慮した正確な発生源データの数値を得
ることが重要と思われる.
5)ま た ,微 小 粒 子 ( PM2.5) の 人 体 へ の 健 康
影 響 が 懸 念 さ れ て い る こ と か ら ,今 後 も 継
続して微小粒子(PM2.5)濃度の測定を実施
するとともに微小粒子(PM2.5)に多く含ま
れる多環芳香族炭化水素類等の有害物質の
調査研究も併せて進めていく必要がある.
文
献
1)塚 田 進 ほ か : 浮 遊 粒 子 状 物 質 の 大 気 汚
染 に つ い て ( Ⅰ ), 三 重 県 保 健 環 境 研 究
所 年 報 , 第 8 号 ( 通 巻 第 51 号 ),
67-73(2006)
2)塚 田 進 ほ か : 浮 遊 粒 子 状 物 質 の 大 気 汚
染 に つ い て ( Ⅱ ), 三 重 県 保 健 環 境 研 究
所年報,第 9 号(通巻第 52 号),41-48(2007)
3)S.K.FriedlAnder:ChemicAl element BAlAnces
And identificAtion of Air pollution sources ,
Environ,Sci.TEChnol.7,235-240(1973)
4)溝畑 朗ほか:堺における大気浮遊粒子状物
質中の諸元素の発生源の同定(Ⅰ),大気汚
染学会誌,15,198-206(1980)
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