診断プロセスシート症例1

血液症例1
診 断 プ ロ セ ス シ ート
① 検査データで認められる異常所見を挙げて下さい。
末梢血液に異常リンパ球が25%(1748/μL)出現している。
血液像では核の分葉、切れ込み、皺などがみられる。
細胞質に顆粒はみられないが一部の細胞に空砲を認める。
皮膚に紅皮症がみられる。
②
検査データから予測される病態を挙げて下さい。
リンパ球の形態(核の分葉、切れ込み、皺)から、T細胞の腫瘍性増殖が考
えられる。
疾患としては慢性リンパ性白血病やリンパ腫の白血化が疑われる。
T細胞性の慢性リンパ性白血病のFAB分類には以下の4つが含まれる。
1.大顆粒リンパ球性白血病(LGLL)2.前リンパ球性白血病(T-PL
L)3.成人T細胞白血病/リンパ腫(ATLL)4.セザリー症候群(SS)
細胞形態と紅皮症から ATLL とセザリー症候群が最も疑われる。
③
確定診断に必要な追加検査項目を挙げ、疾患を予測して下さい。
追加検査として以下の検査を行う。
1.皮膚生検 2.免疫マーカー 3.染色体・遺伝子検査
4.抗HTLV-1抗体・プロウイルス DNA 検査
皮膚生検で皮膚の T 細胞リンパ腫なら、白血化(1000/μL 以上)と紅
皮症(全身の 80%以上)が認められることよりセザリー症候群が最も疑わ
れる。
抗HTLV-1抗体が陽性で DNA にプロウイルスが単クローン性に組み
込まれていれば ATLL と診断される。