Biochem-III file 01

生化学Ⅲ 第1回
必須
教科書について
生化学Ⅲ
バイオインフォマティックスとコンピューターを用いる生物学(p105)
始めに講義の概要について
解説します
核酸の構造と機能(p396)
遺伝子の構成、複製、修復(p408)
RNAの合成、プロセシング、修飾(p434)
2年生配当科目 後期・木曜日1&2限
タンパク質生合成と遺伝暗号(p456)
遺伝子の発現制御(p475)
担当:高松
分子細胞生物学
分子遺伝学、組換えDNA、ゲノム工学(504)
参考書について
参考書について
必須
スタンダード薬学シリーズ4
日本薬学会編
生物系薬学
Ⅱ.生命をミクロに理解する
illustrated
基礎生命科学
(第2版)
京都廣川書店
参考書について
参考書について
薬剤師国家試験対策参考書
3生物
薬学ゼミナール編集
期末試験について
細胞の分子生物学
出版社:ニュートンプレス
BruceAlberts(著),JulianLewis
(著),MartinRaff(著),PeterWalter
(著),KeithRoberts(著),Alexander
Johnson(著),中村桂子(翻訳),中塚
公子(翻訳),宮下悦子(翻訳),&5そ
の他
学習のコツ
ノートの例
100点満点の試験で、60点以上が合格です。
試験範囲は、講義で解説した内容、課題、小テスト(練習問題)の全て
(英語名)
___________
みんなの出席率が悪かっ
たら難しくしようか
な・・・
教科書p□□参照
意味_________
重要!
物質B
Y反応
___________
分かってるから出席しないん
でしょう?
___________
物質C
物質A
X結合
___________
つまんな いって言われてる
みたいだし 英単語も出します
メモ________
の説明図
(真核生物の場合)
生化学Ⅲ授業計画
日程
テーマ
1回目
イントロダクション
遺伝子研究の歴史
2回目
核酸の種類・構造と特徴
学習到達目標(SBOs)
生化学Ⅲ授業計画
日程
テーマ
学習到達目標(SBOs)
講義の概要を理解する。
DNAの構造について説明できる。
RNAの構造について説明できる。
DNA鎖とRNA鎖の類似点と相違点を説明できる。
7回目
RNAの種類と働きについて説明できる。
DNAからRNAへの転写について説明できる。
遺伝子発現に関するセントラルドグマについ
て説明できる。
染色体の構造を説明できる。
8回目
転写の調節について、例を挙げて説明できる。
ゲノムと遺伝子の関係を説明できる。
遺伝子の構造に関する基本的用語(プロモー
ター、エンハンサー、エキソン、イントロン
など)を説明できる。
9回目
4回目
5回目
DNAの複製の過程について説明できる。
3回目
遺伝情報を担う分子
遺伝子の複製・変異・修復
6回目
遺伝子の変異(突然変異)について説明でき
る。
DNAの修復の過程について説明できる。
転写と翻訳のメカニズム
10回目
RNAからタンパク質への翻訳の過程について説
明できる。
11回目
リボソームの構造と機能について説明できる。
生化学Ⅲ授業計画
日程
テーマ
12回目
学習到達目標(SBOs)
質問などについて
質問や相談などがある人は、微生物学研究室(1号館
5階西側)に来て下さい。
ヒトゲノムの構造と多様性を説明できる。
ゲノム情報
13回目
RNAのプロセシングについて説明できる。
公衆衛生学研究室
バイオインフォマティックスについて説明で
きる。
環境保健学研究室
低温室
トイレ
生化学研究室
微生物学研究室
←東側 1号館5階 西側→
公衆衛生学研究室
環境保健学研究室
階段
生化学研究室
微生物学研究室
ココにいます
メールもOKです
生化学Ⅲ 第1回
イントロダクション
遺伝子研究の歴史
introduction課題(予習&復習)-1
遺伝子研究の歴史に関連する基本的な用語の意味につ
いて確認し、ノートにまとめること。
形質、純系、表現型、遺伝子型、優性、劣性、ホモ接
合、ヘテロ接合、生殖、配偶子、減数分裂、受精、交
配、中間雑種、世代、単相、複相、細胞周期、遺伝、
遺伝子、対立遺伝子、複対立遺伝子、補足遺伝子、抑
制遺伝子、条件遺伝子、染色体、連鎖、染色体の乗換
え、染色体地図、核酸、タンパク質
introduction課題(予習&復習)-2
遺伝学に関する歴史上重要な研究(研究者・実験方
法・研究結果・定説など)について確認し、ノートに
まとめること。
introduction小テスト-1
多細胞生物の場合、体細胞の核相は2nで、配偶子の
核相はnである。
メンデル(GregorMendel)の研究
サットン(WalterSuttonn)の研究
モーガン(ThomasMorgan)の研究
グリフィス(FrederickGriffith)の研究
エイブリー(OswaldAvery)の研究
ハーシーとチェイス(A.Hershey&M.Chase)の研究
Yes
No
生化学ⅢSBO-特別
遺伝学の始まりについて説明できる
遺伝子とは何か
遺伝子の概念を理解しよう
遺伝学の祖
グレゴール・ヨハン・メンデルはエンドウの交配実験
を行い、遺伝に関する法則を発見した。
GregorJohannMendel(1822-1884)
復習・基礎生命科学p134-136
遺伝の多様性
復習・基礎生命科学p129-134
メンデルの法則
1 エンドウと対立遺伝子
2 遺伝学用語
3 メンデルの法則
メンデル以前の考え方
ピンク色に
なったね
ピンク色になったね
1 不完全優性
2 致死遺伝子
3 複対立遺伝子
遺伝子は液体のような存在?
メンデル以前の考え方
融合説:遺伝子は液体状で、親の形質は混ざり
あって子孫に伝わる。
例:赤い花と白い花
をかけ合わせると、
子孫はピンクとな
り、ピンク同士をか
け合わせてもピンク
の子孫しか生まれな
い。
メンデルの実験
1853年から1868年にかけて、メンデルはエンド
ウマメのうち、形質が安定している22種類の品
種(純系)を選び、7つの対立形質について交
配実験を行った。
対立形質
対立形質
対立形質とは、互いに対をなす遺伝形質(個体の
特徴や性質)のこと。
青鬼一族
青鬼一族
赤鬼一族
例:色は青か赤しか存在しない
=青と赤は対立形質
赤鬼一族
交配
青か赤
メンデルの発見
メンデルの仮説-1
1866年、エンドウマメを用いた実験により、遺
伝物質が混じり合わない「粒子状の物質」であ
ることを示唆する結果を得た。
細胞内に形質を決定する2つで1組の粒子状物
質が存在し、交配によって混じり合うことなく、
次世代に引き継がれる。
1、緑と黄の純系エンドウマメを交配
2、交配第1世代(全て黄)を交配
3、交配第2世代(黄と緑が3:1)
↓
液体状の因子が混じり合うな
ら、子孫に「緑」がでないは
ず?
3:1
メンデルの仮説(F1雑種の交配)
親
(倍数体)
Y g
Y g
黄
遺伝物質を探せ!
メンデルの死後、彼の研究成果が認められるよ
うになり、彼が提唱した「倍数体と奇数体に変
化する粒子状の遺伝物質」の探索が始まった。
黄
配偶子
(奇数体)
Y
g
Y
g
F2雑種
(倍数体)
Y Y
Y g
Y g
g g
黄
黄
黄
緑
Q.どこにある(どこを
探せば見つかる)と
思いますか?
黄3:緑1
遺伝物質を探せ!
既に顕微鏡が発明されており、細胞学が発展し
ていたので、細胞内のどの物質が遺伝を司るの
か明らかにしようとした。
染色体説
1902年、ウォルター・S・サットンは、バッタの
一種を用いて減数分裂の細胞学的な研究を行い、
配偶子形成における染色体の挙動がメンデルの
法則に従うことを見いだした。
バッタの精母細胞は、光学顕微鏡を用いた染色
体の観察に適していた。
体細胞と配偶子
体細胞
多細胞生物の成体を構成する細胞には、体細
胞と配偶子があります。
体細胞は個体(成体)を構成する2倍体の細胞
で、1世代限りで使い捨て。
身体を構成する
細胞
真核生物の有性生殖
生殖細胞
配偶子は次世代に遺伝子を伝える1倍体(半数
体)の細胞。
次世代に命をつな
ぐ細胞
精子
ヒトの場合
約60兆個
真核生物には性があり、有性生殖を行う。
♀
♂
卵
親
親
子
有性生殖では、親と違う遺伝子を持つ子が産まれる。
原核生物と真核生物:核相について
1つの細胞の核に含まれる染色体の組数(n)を核
相とよぶ。
染色体3本x1組=1n
原核生物と真核生物:核相について
原核生物は核相の概念がなく、真核生物は単相世
代(n世代)と複相世代(2n世代)がある。
染色体3本x2組=2n
原核生物 真核生物
n
常に1つの染色体
真核生物の染色体DNA
真核生物の遺伝子(染色体)の数は、世代交代(ライ
フサイクル)により変化する。
成体
(!) (")
精子 卵
受精卵
2n世代
n世代
2n世代
n
2n
「n」&「2n」世代
有性生殖と遺伝子の数の変化
単相世代(配偶子)の遺伝子は各細胞に1つずつ。
複相世代(体細胞)の遺伝子は各細胞に2つずつ。
1倍体
2倍体
染色体:1セット
染色体:2セット
ABCD
ABCD
遺伝子
A'B'C'D'
配偶子(精子や卵)
体細胞
体細胞分裂と減数分裂の違い
体細胞分裂
娘細胞
受精
1つの精子(n)と1つの卵(n)が受精して
1つの受精卵(2n)になる。
2n 4n 2n2n
n
(一時的)
配偶子
減数分裂
2n 4n
(一時的)
n n
n n
メンデルの仮説と減数分裂の比較
単相世代
2n
複相世代
復習・基礎生命科学p141-145
遺伝子と形質
1 遺伝子研究の歴史
2 グリフィスとアベリーの研究
サ
勏
ト
ン
の
発
見
n
受精(合体)
サットンらは、減数分裂や受精の際の遺伝子と
染色体の動きを比較して、両者の行動の一致性
に気付き、遺伝子が染色体上に存在すると考え
た。
メ
ン
デ
ル
の
発
見
生殖細胞
(配偶子)
染色体説の実証
トーマス・モーガンらは、ショウジョウバエを
用いた交配実験により染色体説を実証した。
ショウジョウバエの交配実験
X染色体上に眼の色を決定する遺伝子がある
赤眼♀ 白眼♂
赤眼♀ 赤眼♂
F1世代
染色体地図
モーガンらはショウジョウバエの突然変異体を
用いて染色体地図を作成した。
染色体を構成する物質
染色体はデオキシリボ核酸(DNA)の他、ヒス
トンなどのタンパク質から構成されている。
F2世代
赤眼♀ 赤眼♀ 赤眼♂ 白眼♂
遺伝子の正体は?
染色体の構成成分であるDNAとタンパク質の
どちらが遺伝情報を持つか?新たな論争が始
まった。
どっちなの?
遺伝子の正体は?
グリフィスの実験:肺炎球菌の形質転換
染色体の構成成分であるDNAとタンパク質の
どちらが遺伝情報を持つか?新たな論争が始
まった。
肺炎球菌S型株
(病原性株)
マウス
感染&死亡
DNAは4種類のヌク
タンパク質は20種
レオチドから構成
類のアミノ酸から
構成される高分子。 される高分子。
複雑
↓
本命
単純
↓
対抗
肺炎球菌
肺炎球菌(Streptococcus pneumoniae)はグラム
陽性の双球菌で、肺炎などの呼吸器の感染症や
全身性感染症を引き起こす。
形質転換の発見
参考
1942年、グリフィスは肺炎球菌の形質転換(遺伝
形質の変化)を発見した。
@@
◇
+?=
非病原性
肺炎球菌
なぞの
生体物質
><
へ
病原性
肺炎球菌
病原性のないR型株に加熱殺菌したS型株を混ぜ
ると、S型株の性質がR型株にうつる。
細菌の形質転換
アベリーらの実験
細菌は、特定の条件下で外部からDNAを取り込む
ことにより、遺伝形質を変化させることがある。
@ @
X X
XX
DNAの取り込み
DNAとタンパク質のう
ち、どちらが遺伝物
質かを確かめるには、
どうすればよいか?
XX
形質転換
*遺伝子組換え技術として重要。
アベリーらの実験
遺伝物質を確かめる実験
S型株
抽出液
無処理
R型株 S型株
DNA
分解酵素
R型株 R型株
タンパク質
R型株 S型株
分解酵素
p398参照
遺伝物質は核酸である
アベリーらが、肺炎球菌を用いた実験で核酸が
細菌に形質転換を起こさせる物質であることを
証明したことにより、以後、核酸(DNA)が遺
伝物質と考えられるようになった。
ファージ(バクテリーファージ)
ファージ(バクテリーファージ)
細菌に感染するウイルスをファージと呼ぶ
ファージは宿主の合成系を利用して増殖する
宿主細胞
宿主細胞
宿主細胞のDNA
細菌に感染する
宿主細胞のDNA
細胞内で増殖
ファージ(バクテリーファージ)
ハーシーとチェイスの実験
子ファージが生産され、宿主細胞が破壊される
DNA
32Pで標識
宿主細胞
タンパク質
35Sで標識
宿主細胞のDNA
宿主細胞を破壊
ハーシーとチェイスの実験
同位体標識ファージを大腸菌に感染させた場合、
核酸が標識された子ファージのみが得られた
親ファージ
32P-DNA
35S-Protein
子ファージ
32P-DNA
35Sは硫黄(32S)の放射性同位体、半減期87日・ベータ崩壊
32Pはリン(31P)の放射性同位体、半減期14.3日・ベータ崩壊
遺伝子の正体:結論
遺伝子の本体はDNAである。
これではっきりしたね!
みんな納得してくれたかな?
大腸菌
感染
増殖
子孫(子ファージ)に伝えられたのはDNAのみ!
ここまでのまとめ
復習・基礎生命科学p90-93
1.遺伝子研究はメンデルによるエンドウの交
配実験から始まった。
4-5核酸
2.モーガンらはショウジョウバエを用いた実
験により染色体の遺伝子地図を作成した。
1 核酸とヌクレオチド
2 DNA
3 RNA
3.アベリーらによる細菌の形質転換実験に
よって、DNA(核酸)が遺伝子の本体であることが
分かった。
核酸
DNAの抽出
細胞を破壊した後、タンパク質・脂質・RNAを除
き、DNAのみの溶液を得る。
核酸はヌクレオチドが多数結合した高分子。
細胞破壊
↓
フェノール処理
↓
エタノール沈殿
↓
RNase処理
↓
フェノール処理
↓
エタノール沈殿
ヌクレオチドの構造
糖、塩基、リン酸から
構成される物質だヨ
ヌクレオシドとヌクレオチド
塩基
五炭糖の1位に塩基が結
合したものをヌクレオ
シドと呼ぶ。
ヌクレオシドの五炭糖
の5位にリン酸基が結合
したものをヌクレオチ
ドと呼ぶ。
リン酸
ヌクレオチド
糖+塩基+リン酸
サン
糖
核酸の役割
核酸(DNA、RNA)は、遺伝物質(遺伝情報の媒体)
として全ての生物に存在する。
遺伝子とDNA
全ての生物において、AとT、CとGの量は等
しく、A+TとC+Gの比率は生物種によって
異なる。
ヌクレオシド
糖+塩基
DNAのX線構造解析
ロザリンド・フランクリンらのX線構造解析は、
DNAの構造を明らかにする上で重要な役割を果た
した。
わずか4種類のヌクレオチドで構成されるDNAと
生物の多様性との関係を説明するためには、DNA
の構造を明らかにする必要があった。
ErwinChargaff
1905-2002
DNAの2本鎖らせん構造
1953年、ジェームズ・ワトソンとフランシス・
クリックは、DNAの逆平行2本鎖らせん構造モデ
ルを発表した。
DNAの構造
DNAは4種類のヌクレオチドが重合した繊維状
の物質で、細胞内では主に2本鎖らせん構造を
とり、必要に応じて1本鎖構造に変化する。
DNAと遺伝子
DNAは4種類のヌクレオチドが重合した繊維状の物質
遺伝子
物質
DNA
情報
ヌクレオチド
の結合順序
音楽CDと遺伝子
遺伝子は、DNAの4種類のヌクレオ
チドの並ぶ順序で働きが決まるよ。
SBO-1小テスト-1
DNAはデオキシリボヌクレオチドがホスホジエステル結
合でつながったひも状の分子である。
SBO-1小テスト-2
音楽CD=CD(プラスチック)+デジタル情報
遺伝子=DNA+4種類のヌクレオチドの配列情報
相補的な塩基配列を持つ2分子のDNAは、塩基間の水素
結合によって逆平行二重らせん構造を取る。