平 成2 4 年 度 事 業報 告書 特定非営利活動法人白ゆり会 1 活動の成果 今年度も引き続き、就労支援事業、地域活動支援事業、相談支援事業の三事業に取り組み、 障害のある方々とともに日中の地域での生活を営んできました。障害があっても働きたいと いう思い、居場所や仲間がほしいという思い、そして就労相談や日常の生活相談など様々な 相談をしたいという思いなどを受け止めながら、その思いにこたえられるような事業展開を 目指してきましたが、現実には利用される方々の思いは様々で、今年度は多くの場面で、現 行の事業では提供できないサービスも課題として残りました。 しかし、どの事業においても基本は、障害当事者がそのご家族とともに住み慣れた地域で 生活し続けることを応援する事業であり、目の前にある一つ一つの課題と向き合いながらそ れぞれの事業に取り組んできました。 その結果、就労支援事業は多機能型事業を整理し、就労継続支援B型事業の利用定員にゆ とりを持たせることで、この事業の利用を希望される方々の意向に沿えるように環境を整え ました。 また、日中の過ごし方の希望に合わせて施設の選択ができるように、地域活動支援センタ ーの役割を明確にして、仲間づくりや居場所づくりを中心に活動してきました。 相談支援事業所では、今年度「指定特定相談支援事業者、指定障害児相談支援事業者」の 指定を受け、引き続き西脇市からは身体・知的・精神の3障害を、多可町からは精神障害を 対象とした相談支援事業の委託を受けて実施しました。 法人理事会では事業の進捗状況の報告を受けて、利用者に対するサービス向上についての 助言、指導を行ってきました。特に今年度は、職員のスキルアップに主眼を置いて、積極的 に研修会を実施したり、講習会等への参加を促したりしてきました。 職員会議は可能な限り月に 1 度実施することで、職員各々が重要事項を確認し、事業全体 を見る機会を持ちました。また、研修会や勉強会、事業所ごとの打ち合わせ会などを実施し てスキルアップを目指しました。 今 年 度 、 当 法 人 の 活 動 に 81 名 と 6 団 体 の 方 々 か ら 賛 助 い た だ き 、 賛 助 会 費 は 161 口 い た だきました。また、事業活動に対するボランティアや、自主製品の販路開拓など法人の活動 を多方面からご支援いただきました。 2 特定非営利活動に係る事業 (障害福祉サービス事業) ・就労移行支援事業 平 成 23 年 3 月 か ら 開 始 し た 就 労 移 行 支 援 事 業 は 、 事 業 実 施 期 間 中 ( 2 年 間 ) 12 名 の 方 が 利 用 さ れ 、 平 成 24 年 12 月 に 利 用 登 録 者 が 0 名 と な り ま し た の で 、 平 成 25 年 2 月 末 を も っ て 廃 業 し ま し た 。 平 成 25 年 3 月 末 現 在 、 一 般 就 労 ( A 型 事 業 所 含 む ) 継 続 中 の 方 が 9 名 、 B 型 事 業 所 利 用 中 の 方 が 2 名 、 残 る 1 名 は 平 成 25 年 3 月 末 付 で 退 職 さ れ ま し た 。 B型事業所とは一線を画し、利用者の就労意欲を損なうことなく支援を継続できたことは、 事業を実施した効果だと考えます。また、法人に配置する職場適応援助者が就労支援員を兼 務し、その職務ならではの、きめ細かな相談支援ができたことは、利用者の方々が就労を継 続していくうえで非常に効果的でした。 ・就労継続支援B型事業 就労継続支援B型事業所では、地域のニーズに沿って利用定員の変更をしながら、継続し て事業を行ってきました。また、多機能型事業所の利点として就労支援員や職場適応援助者 が、就労継続支援B型事業所からも一般就労につながる道を開いてきました。その結果、今 年 度 中 に B 型 事 業 所 か ら 5 名 の 方 が 一 般 就 労 ( A 型 事 業 所 等 含 む ) さ れ 、 平 成 25 年 3 月 末 現在も継続中です。うち、1 名は職場適応援助者の支援を受け、職場内だけでなく生活面の 相談にも対応しているところです。 施設内での内職作業は従前どおり継続して行いました。初めて施設を利用される方や、施 設見学に来られる方にとっては一番取り組みやすい作業と位置付けています。 委託作業として、へそ公園の清掃、花時計の管理、やしろ自然農園の農作業、多可町健康 福 祉 セ ン タ ー ア ス パ ル の 清 掃 、 国 道 175 号 線 交 通 島 の 除 草 、 清 掃 作 業 等 、 従 前 ど お り 継 続 し て実施しました。 自主事業として、従来から取り組んでいる花の苗栽培、弁当・菓子製造、牛乳パック等を 利用した自主製品(手芸品)制作などの作業を継続して実施しました。利用者が自主的に取 り組むことを目指して、作業工程を見直し作業を細分化しました。その結果、一人一人の役 割が明確になり、それぞれの工程で達成感を持つことができるようになって、作業がより効 率的になりました。 また、今年度は、委託販売にご協力をいただくお店が増えたこともあり、できる限り販売 先を訪問して在庫を管理しながら季節に応じた商品の入れ替えをするなど、ていねいな販売 を目指しました。また、多くの商品を販売する「北播磨エコミュージアム道の駅」や「西脇 市旬菜館」、「多可町まちの駅たか」などには、特に適時納品することで売り上げアップを 目指しました。 そ の 結 果 、 委 託 販 売 の 売 り 上 げ が 対 前 年 度 比 170% と 増 加 し ま し た 。 販 売 先 店 が 増 え た こ ともありますが、納品を作業プログラムに組み込み、準備や搬入などが利用者の自主的な取 り組みになったことも大きな要因だと考えます。 ・グループ就労 昨年度末でグループ就労訓練請負型助成金対象の訓練期間が終了予定であったところ、雇 用率の対象となる労働者に 1 名移行したため、今年度も引き続き株式会社SAKURAサー ビスでの請負型助成金対象のグループ就労訓練を行ってきました。事業開始当初からの利用 者にとっては、訓練期間の最終年度となる今年度、目標を一般就労に絞って作業精度や効率 を最優先に訓練を繰り返しました。 そ の 結 果 、 グ ル ー プ 就 労 訓 練 利 用 者 の 作 業 習 熟 度 が あ が っ て き た 平 成 24 年 11 月 に 、 N P O法人ネクストが就労継続支援A型事業所を開所されたことを受け、グループ就労利用者は そのサービスを受けることになりました。これにより、株式会社SAKURAサービスでは グ ル ー プ 就 労 訓 練 請 負 型 事 業 を 終 了 さ れ た の で 、 平 成 24 年 11 月 末 を も っ て 当 事 業 所 も い っ たんこの事業を終了しました。 (地域生活支援事業) ・地域活動支援センターなかよし工房 なかよし工房では、今年度も利用定員を10名として、居場所としての機能を強化するこ とに努めました。プログラムにゆとりを持つことで、幅広いニーズを持った方々の利用につ ながってきました。その結果、居場所を求める方や社会への第一歩の場としての利用につな がり、一年を通して利用を継続する中で、利用日数が徐々に増え、安定していく方も多くあ りました。また、状態の悪化で入院を余儀なくされる方にとっても、ご家族も含めて、退院 後の行き場所がある安心感から治療に専念できることにつながっていきました。 そのほか、地域との交流を目指した紙芝居の公演、メンバー新聞作成、地域へのお便り配 布、ボランティアの方々との交流による書道や工作などの創作活動など様々な活動プログラ ムも継続して実施しました。 なかよし工房が従来から実施してきたふれあい喫茶は、今年度も利用者の自主運営で実施 しました。地域のサークルや近隣の同業事業所、高齢者の介護事業所など毎回参加を楽しみ にしてくださる団体も定着してきて、社会交流の場としてその役割を担ってきました。 ・相談支援センターうぃーぶねっと 24 年 4 月 の 障 害 者 自 立 支 援 法 改 正 を 受 け 、 指 定 特 定 相 談 支 援 事 業 者 、 指 定 障 害 児 相 談 支 援事業者の指定を受けたことで、これまで一般的な相談で対応してきたサービス等を利用す るケースについて、その効果をはかり、また評価を行う必要から、サービス等利用計画を策 定してきました。関係機関との連絡調整や当事者はもとより、家族や支援者の意思の確認な どよりきめの細かな聞き取りが必要となり、これまで以上に丁寧な対応を心掛けてきました。 今 年 度 の 相 談 件 数 は 、 西 脇 市 で は の べ 2,565 件 、 多 可 町 で は の べ 1,054 件 と な り 、 対 前 年 度 比 91% で し た 。 今年度も地域の福祉サービスが充実していくことで、継続した日常生活相談がサービス等 の利用につながり、相談者の生活が安定していくことを目指して、サービス提供事業所等関 係機関との連携をとりながら、より丁寧な対応が大切になってきます。その観点からも、北 播磨自立支援協議会の中で、近隣の事業所と情報交換をしながら、ネットワークの充実に取 り組んできました。 (障害者の就労支援事業) 第 1 号職場適応援助者(ジョブコーチ)による障害者の就労支援事業では、今年度は 2 名 体制で利用実人員 6 名の支援を実施しました。また、兵庫障害者職業センターや、ハローワ ー ク 、 障 害 者 就 業 ・生 活 支 援 セ ン タ ー 等 と の 連 携 も 継 続 し て 行 い な が ら 、 情 報 交 換 を し て 一 つ一つの支援をより充実させていくことを念頭に事業の安定継続に努力してきました。 今年度の支援状況として、昨年度から引き続き職場定着を目指したフォローアップ支援を 継続した方が 4 名、今年度新規に支援を開始した方が 2 名、支援期間が終了した方も 2 名あ りました。支援中の方はもとより、支援期間が終了された方々についても電話相談のみなら ず、家庭や職場を訪問するなど、引き続き丁寧な支援を心がけました。 そ の 結 果 、 平 成 25 年 3 月 末 現 在 離 職 さ れ た 方 は な く 、 支 援 継 続 中 の 4 名 の 方 も 含 め て 、 職場定着に向けて就労を継続しています。 (精神障害者の自立支援事業) 西脇市・多可町から委託を受けて行っている精神障害者生活支援(デイケア)事業を、精 神障害者の地域生活での自立をめざす事業と位置づけ、今年度も昨年度同様に心理教育を目 的に臨床心理士の指導によるプログラム、音楽療法、創作活動、レクリエーションや社会体 験活動などを行いながら、定期的に開催しました。 特に今年度はプログラムを工夫し、外部から特技を有する講師を招いて創作活動をしたり、 季節に応じた行事を取り入れたりして内容を充実させることを心がけてきた結果、徐々に利 用者も増えてきました。 ま た 、 今 年 度 新 た に 多 可 町 で 毎 月 一 回 、 精 神 障 害 者 を 対 象 と し た 「 や す ら ぎ Café」 に 取 り 組 み ま し た 。 就 労 継 続 支 援 B 型 事 業 所 ワ ー ク ス テ ッ プ は ー も に ぃ に Café の 運 営 を 委 託 し て、ピアカウンセラーと相談員を配置し、気軽に足を運んでいただけるように心がけた結果、 毎月定着して通ってこられる当事者の方ができました。 (精神保健福祉等の啓発事業) 相談支援センターが多可町の相談支援事業所との合同で啓発講演会を開催しました。 と き : 平 成 25 年 3 月 16 日 ( 土 ) ところ:多可町文化会館ベルディ―ホール 内 容:「けっこうガマンしてんねんで!~満足な暮らしは十人十色~」 講 師:西宮市社会福祉協議会 障害者生活相談・支援センター「のまネット西宮」 相談支援専門員 玉木 幸則氏 (N H K E テ レ 障 害 者 情 報 バ ラ エ テ ィ ー 「 バ リ バ ラ 」 M C ) 参 集 者 : 106 名 ご自身も障害を持ちながら、地域で生活される方々の相談に対応されているご経験から、 障害があっても住み慣れた町で生活したいと願う当たり前のことに、正面から取り組んで いらっしゃる話を伺いました。西脇市、多可町から多くの方々が会場いっぱいにご参集く ださり、障害がある人もない人も暮らしやすい地域づくりの啓発に努めることができまし た。 また、イオン㈱の社会貢献活動として行われている「幸せの黄色いレシートキャンペー ン」にマックスバリュ寺内店、小坂店、中町店及びイオン社店でレシートボックスを配置 さ せ て い た だ き 、 毎 月 11 日 に は イ オ ン 社 店 で 呼 び か け を し て き ま し た 。 そ の 結 果 、 24 年 度 は マ ッ ク ス バ リ ュ 三 店 で 合 計 12,800 円 、 イ オ ン 社 店 で 52,600 円 の 寄 付 を い た だ き ま し た。 そのほか、今年度もホームページの定期更新、ブログでの日々の活動報告など情報発信 を継続しました。 同じく継続した事業として毎月の「白ゆり会通信」、利用者が取材・編集・制作まで全 て行う「メンバー新聞」を定期発行し地域や関係機関に広く配布しました。 また、地域イベントやバザーなどの機会を通じて他団体との交流や自主製品等の販売を 行うなど、様々な形で啓発活動を行いました。 以上の活動のほか、白ゆり会家族会、ボランティアグループはなの会の事務局を担当して その活動を側面から支援しつつ、ふれあい喫茶や親睦旅行などで交流しました。 今年度も引き続き、精神保健福祉士を目指す学生の実習を受け入れて、共に学ぶ時間を得 ました。また、北はりま特別支援学校の職場体験実習を受け入れることで、進路説明会に参 加する機会を得て、保護者や学校の生徒に対する思いを直に伺うことができました。 3 平 成 24 年 度 事 業 実 施 体 制 通常総会 平 成 24 年 5 月 28 日 出 席 者 : 正 会 員 37 名 ( う ち 委 任 状 6 名 ) 理事会 ・ 平 成 24 年 5 月 14 日 ( 職 員 合 同 ) ( 23 年 度 の 決 算 ・ 事 業 報 告 、 24 年 度 予 算 ・ 事 業 計 画 、 総 会 打 ち 合 わ せ 他 ) ・ 平 成 24 年 5 月 28 日 (総会後新体制の確認) ・ 平 成 24 年 7 月 2 日 (就労系事業所定員増、相談支援事業所新設情報他) ・ 平 成 24 年 10 月 10 日 (就労移行廃業、人員配置・増員、規則改正他) ・ 平 成 24 年 12 月 10 日 (事業縮小に伴う修正予算見込み案、人員配置他) 職員会議・研修 ・ 平 成 24 年 4 月 27 日 総会資料準備、今後の予定、連絡事項、個別支援会議他 ・ 平 成 24 年 6 月 4 日 就労支援事業所職員会議 工賃規定について ・ 平 成 24 年 6 月 7 日 就労継続支援 A 型事業所への移行について、理事長から説明会 ・ 平 成 24 年 7 月 27 日 相談支援事業所、就労移行支援事業所の今後の方向性、今後の予定、 連絡事項、個別支援会議他 ・ 平 成 24 年 9 月 21 日 諸規則改定案、理事会への要望とりまとめ、各所属別業務内容確認、 今後の予定、連絡事項、個別支援会議他 ・ 平 成 24 年 10 月 6 日 人員増に伴う理事会への要望確認、各所属別業務内容確認、今後の予定、 連絡事項、個別支援会議他 ・ 平 成 24 年 11 月 5 日 諸規定改正の説明、人員配置理事会承認案報告、各所属別業務内容確認、 今後の予定、連絡事項、個別支援会議他 【研修】西脇市人権教育協議会主催 市民じんけんセミナー 「障がいのある方の就労支援について」 講師:北播磨障害者就業・生活支援センター 森一人氏 ・ 平 成 24 年 12 月 25 日 年末年始の予定確認、各所属別業務内容確認、今後の予定、連絡事項、 個別支援会議他 ・ 平 成 25 年 1 月 31 日 各所属別業務内容確認、今後の予定、連絡事項、個別支援会議他 【研修】セルフケア研修 講 師 : Office KURIHARA 栗原紀代美氏 ・ 平 成 25 年 2 月 22 日 節目の年を迎えて、各所属別業務内容確認、今後の予定、連絡事項、 個別支援会議他 ・ 平 成 25 年 3 月 29 日 各事業所の課題と新年度の運営方針、今後の予定、連絡事項、個別支援会議他 【研修】安心して暮らせる地域を目指して 講師:精神保健福祉士 藤田修美氏
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