原子炉の運転制御

第 53 回
原子炉主任技術者試験(筆記試験)
原 子 炉 の 運 転 制 御
6問中5問を選択して解答すること。
(各問20点:100点満点)
(注意)
(イ)解答用紙には,問題番号のみを付して解答すること。
(問題を写し取る必要はない。)
(ロ)1問題ごとに1枚の解答用紙を使用すること。
平成 23 年 3 月 15 日
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第1問 以下の用語について簡潔に記述せよ。
(6問中5問を選択して解答せよ。6問を解答した場合は全て無効とする。
)
(1) 残留熱除去系(または余熱除去系)
(2) 三体核分裂
(3) 燃焼度クレジット
(4) 解放基盤
(5) サーマルライナ
(6) プレストレスト・コンクリート製格納容器
第2問 今後,我が国においても使用年数の増加した原子炉施設は確実に増えていくが,これらの原
子炉施設を,安全を確保しつつ安定に運転していくためには,高経年化対策が必要不可欠であ
る。この高経年化について,原子炉施設で発生する原因またはメカニズムを5つ挙げ,それぞ
れについて具体的な例を簡潔に記述せよ。
第3問 発電用軽水型原子炉の安全保護系について,
「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査
指針」における要求項目として,例えば「多重性」が挙げられるが,これ以外のものを5つあ
げ,それぞれについて概説するとともに,原子炉施設で実際に採用されている例を記述せよ。
第4問 原子炉の運転に伴う反応度フィードバック効果をもたらす下記の現象について,各々が反応
度フィードバック効果をもたらすメカニズムを概説するとともに,各々のおおよその時定数を
下欄の記号より選択して記述せよ。
① 0.1秒以下
② 0.1秒~数秒程度
③ 数秒~1000秒程度
④ 1000秒以上
(1) 圧力の変化
(2) 燃料温度の変化
(3) 減速材温度の変化
(4) 燃料の燃焼に伴う燃料組成の変化
(5) 構造材温度の変化
第5問 高出力熱中性子炉における135Xeの毒作用について以下の問いに答えよ。
(1)
135
Xeの生成過程と消滅過程をそれぞれ2つ記せ。
(2) 熱中性子束があるレベル以下では,平衡状態の135Xe濃度と熱中性子束との間に比例関
係が成り立つ。しかし、熱中性子束がこのレベルを超えると比例関係は成り立たなくなり,
平衡状態の135Xe濃度はある値に飽和する。この理由を簡潔に記述せよ。また,上記比例
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領域と飽和領域の境となる熱中性子束のレベルを記せ。ただし,簡単のために,135Xeの
崩壊定数を3×10-5(s-1)
,135Xeの微視的熱中性子吸収断面積を4×10-18(㎠)
,
熱中性子に対する燃料の巨視的核分裂断面積を1(㎝-1)とする。計算には必ずしもすべての
数値を用いる必要はない。
(3) 高出力運転中の原子炉を停止した場合,135Xe濃度は停止後増大し続けるが約10時間
後には,減少に転じる。135Xe濃度がこのようにピークを有する時間分布となる理由を簡
潔に記述せよ。
(4) 原子炉の停止後に再起動する場合に注意すべき事項を簡潔に記述せよ。
第6問 原子炉周期法(ペリオド法)による制御棒校正に関して,以下の問いに答えよ。
(1) 原子炉周期法による制御棒反応度価値の測定と評価の手順を簡潔に記述せよ。ただし,必
ずしも数式を示す必要はない。
(2) 原子炉周期法を用いる場合には,例えば,制御棒操作により反応度を与えてから炉周期の
高次モード成分が基本モード成分に比べて十分小さくなるまで待ち時間をとらなければなら
ない。この他の注意事項を2つ記述せよ。
(3) 原子炉周期法を大きな負の反応度測定に使用することはできない。この理由を簡潔に記述
せよ。
(4) 原子炉周期法は,核発熱が無視できない高出力領域では原理的に使用できない。この理由
を簡潔に記述せよ。
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