3.3 裏込め 3.3.1 共通事項

3.3
裏込め
3.3.1 共通事項
(1) 対象とするリサイクル材料
裏込めへの利用可能なリサイクル材料としては、高炉水砕スラグ、建設発生土、浚
渫土砂、フライアッシュ等がある。
(解説)
この項で記載する裏込めに用いるリサイクル材料は、そのまま粒状材料として使用で
きるものと、安定処理した後に安定処理土として使用するものとがある。
高炉水砕スラグは、粒状材料として、天然の材料との違いに注意しながら天然の砂や
砂利を対象とした方法によって扱うことができる。高炉水砕スラグは、軽量であるうえ
内部摩擦角が大きいため、裏込材として利用した場合には、土圧の軽減による経済的な
断面を得ることが可能である。また、アルカリ刺激のもとで固結する性質があるため、
固結すれば液状化に対する抵抗性が高くなる。高炉水砕スラグの裏込めへの適用につい
ては、利用手引書が既に刊行されており、裏込材としての利用実績が多い。
建設発生土、浚渫土砂及びフライアッシュは安定処理土としての利用となる。このう
ち、建設発生土、浚渫土砂については技術開発が進んでおり利用実績も多く、いくつか
の技術については安定処理後の利用として既に技術マニュアルが刊行されている。
なお、コンクリート塊についても裏込への適用が考えられるが現状では技術開発がほ
とんど進んでおらず、材料特性についての試験が実施された程度である。
(2) リサイクル材料利用の基本方針
リサイクル材料を用いた裏込めの設計は、材料の特性をよく把握した上で、粒状材
料または安定処理土として「港湾の施設の技術上の基準・同解説」に示される方法に
て行うこと。また、利用に際しては周辺環境に十分配慮する。
(解説)
鉄鋼スラグは、粒状材料として扱い、これらを用いた裏込めの設計は、天然の材料と
の違いに注意しながら「港湾の施設の技術上の基準・同解説」に示される天然の砂や砂
利を対象とした方法によって行う。また、利用手引書が刊行されているものについては、
手引書内に示されている値を設計値として用いることができる。ただし、これらの材料
の性質にはばらつきがあり、水硬性等のような天然の砂や砂利には見られない性質を持
つものもあるので、設計においては、実際に使用するリサイクル材料について、事前に
試験等を行って、性質をよく把握しておき、適切な設計定数を用いて設計を行うことが
望ましい。表 3.3.1に、リサイクル材料を粒状材料としての裏込めへの適用の留意事項
を示す。
3-27
一方、浚渫土砂及びフライアッシュは、安定処理した後の利用となり、性状も粒状材
料とは全く異なるため、天然の砂や砂利を対象とした標準的な方法では設計できない。
これらの材料については、それぞれの設計手法に基づいて設計を行うことになる。浚渫
土砂については、
(財)沿岸開発技術研究センターから「事前混合処理工法技術マニュ
アル」
、
「港湾・空港における軽量混合処理土工法技術マニュアル」及び「管中混合固化
処理工法技術マニュアル」が刊行されている。従って、設計に際しては、それぞれにつ
いての技術マニュアル等を、
「港湾の施設の技術上の基準・同解説」の補足資料として
用いることができる。
環境に対する影響としては、矢板の継ぎ目部等から浸み出した溶出水による海水への
影響や、埋立地内への溶出等が考えられる。本項で扱うリサイクル材料は、どれも溶出
水のpHが高い。また、浚渫土砂やフライアッシュのようにセメント系の改良材を用い
て安定処理したものについては、六価クロムの溶出にも注意する必要がある。従って、
いずれのリサイクル材料を用いた場合でも、利用に際しては使用する材料の特性をよく
把握した上で、周辺環境に十分配慮しなければならない。
表 3.3.1 粒状材料としての裏込めへの適用の留意事項
高炉水砕スラグ
3.3.2
(1) 設計の基本方針
高炉水砕スラグを裏込材として利用する場合においては、粒状材料として、材料が
有する性質をよく把握した上で、土圧低減等の設計上の効果を考慮して適切に利用す
ること。
(解説)
高炉水砕スラグの裏込めへの適用は、平成元年に(
財)
沿岸開発技術研究センターより
「港湾工事用水砕スラグ利用手引書」が刊行されており、「港湾の施設の技術上の基
準・同解説」の補足資料として参考にすることができる。
高炉水砕スラグの性品質については 2.6.2(2)高炉水砕スラグについても参照するこ
と。
3-28