建築基礎構造講義(3) 地盤について(2) (土の基本的性質と分類) 1 到達目標 z土の分類法、粒径加積曲線の意味、土の構 成を知るための物理量(間隙比、間隙率、飽 和度、含水比、土粒子の比重、土の単位体 積重量)などが理解できる。 z土質柱状図が読める。 テキスト(第2章地盤の性質p.15~20) 2 土の粒径区分とその呼び名 z 土は土粒子の大きさによって,礫,砂,シルト,粘土に分類さ れる。 { 直径が2mm以上の粒子を礫と呼ぶ { 直径2mm~0.075mmの粒子を砂と呼ぶ { 直径75μm(0.075mm)~5μmのものをシルトと呼ぶ { 直径5μm以下の粒子を粘土と呼ぶ { 直径20cm程度の岩石を玉石と呼ぶ { 直径50cm以上の大きな岩石を転石と呼ぶ 3 土の分類法 z 地盤を構成している土粒子の大きさによって土を分類する方 法を粒度分類と呼ぶ。 { 粒度は,土を構成する土粒子の粒径と質量の関係を表し,土粒 子の大きさの分布状態を質量百分率で表したものを粒度と呼ぶ。 { 0.075mm以上の質量調査はふるいによって行い,0.075mm未満 の粒子の調査は沈殿分析法によって行う。 z 沈殿分析法は,Stokesの法則を用いて水中落下する粒径と速度の 関係から粒径分布を求めるもの { ある粒径より細かい粒子の質量百分率を通過質量百分率と呼び,横 軸に粒径,縦軸に通過百分率を取って土の粒度組成を表した図を粒 径加積曲線または粒度曲線と呼ぶ。 4 粒径加積曲線 均等粒度の土 粒度分布のよい土 5 土の粒度分布の特徴 粒径加積曲線から、 {通過百分率10%に相当する粒径→粒径D10 {通過百分率60%に相当する粒径→粒径D60 {均等係数 Uc = D60 / D10 {通過百分率50%に相当する粒径→平均粒径D50 を求める。 均等係数が1に近いほど曲線は立っており、 {Uc が5以下程度の土→粒度が一様(均等粒土)の土 {Uc が10から20程度の土→粒度分布のよい土 と言う。 6 三角座標(日本統一土質分類法) z 粒度分布(粒径加積曲線)の結果から,細粒分,砂分,礫分の質量割合 によって土を分類する方法に三角座標分類法がある。 砂分30% 細粒分25% 礫分45% 7 土の構成 z土は土粒子(固体),水(液体)および空気(気 体)で構成されている z土粒子の間の空間は空気と水で埋められて おり,この空間部分を間隙と呼ぶ z一定の堆積の土に含まれる土粒子,空気, 水の量や重さは,それぞれの土によって異な る 8 土の構成に関する模式図 体積 質量 重量 mw Ww 空気 Vv Vw 水 m V Vs 土粒子の部分 ms W Ws 9 土粒子の密度と土の単位体積重量 体積 質量 土粒子の密度 重量 Gs = 空気 Vv Vw 水 mw m 土粒子の部分 (g cm3 ) Ww V Vs 土粒子の質量 ms = 土粒子の体積 Vs ms W 土の単位体積重量 γ= Ws 砂 Gs = 2.59 ∼ 2.74g cm3 シルト Gs = 2.70 ∼ 2.85g cm3 粘土 Gs = 2.66 ∼ 2.90g cm3 土の重量 W = 土の体積 V (k N m ) 3 乾燥単位体積重量 通常の土の単位体積重量 γ = 14 ∼ 20 kN m3 水中での土の単位体積重量 γ ′ = 4 ∼ 10 kN m3 γd = 土粒子の重量 Ws = V 土の体積 ( kN m ) 3 10 土の状態を表す指標 含水比 体積 質量 w= 重量 水の重量 W × 100 = w × 100 土粒子の重量 Ws (%) 空気 飽和度 Vv Vw 水 mw Ww m V Vs 土粒子の部分 ms W Ws Sr = 水の体積 V × 100 = w × 100 間隙の体積 Vv 間隙比 e= 間隙:水+空気部分の体積 Vv (%) V 間隙の体積 = v 土粒子の体積 Vs 間隙率 n= V 間隙の体積 × 100 = v × 100 土全体の体積 V (%) 11 砂の相対密度 (砂の締まり程度を表す指標) emax − e Dr = emax − emin Dr : 相対密度 e : ある試料の間隙比 emax : その試料を最も緩い状態としたときの間隙比 emin : その試料を最も密の状態にしたときの間隙比 砂の状態 相対密度 N値 地盤工学ではemaxとeminを求める試 験方法について標準化している。 非常に密な 0.8以上 50 相対密度が小さいと砂地盤では沈 下や地震時に液状化の恐れがある。 中くらいの 0.4~0.6 10~30 ゆるい 0.2~0.4 4~10 0.2以下 0~412 密な 非常にゆるい 0.6~0.8 30~50 粘性土と水分の関係 z粘性土は水分量の多少によって,固体から 液体までと状態を変える。土に適当に水があ る状態でこね混ぜると,次第に柔らかくなる が,水分が多い場合は泥水のようになる。ま た,水分が少ない場合はぼろぼろになり,大 きな塊を作ることは困難になる。 { 液性限界 wL:含水比がこの値を超えると流動性 を示す { 塑性限界 wP:含水比がこの値を下回るともろく なる 13 塑性指数と液性指数 流動性 (状態) 塑性状 半固体・固体状 (含水比) 大 液 性 限 界 塑 性 限 界 小 塑性指数: I P = 液性限界 − 塑性限界 = wL − wP 液性指数: I L = ( wn − wP ) I P ここに,wn :自然状態の含水比 液性指数は0に近いほど土は硬く,1に近いほど柔らかい 14 土質柱状図 15 土質記号 16 土性図 17 まとめ z土の分類は粒度分類によって行われる。 z粒径加積曲線から土の粒度分布がわかる。 z土の性質は,土粒子の密度,単位体積重量, 含水比,飽和度,間隙比,間隙率などからわ かる。 z砂の締まり程度を表す指標として相対密度が ある。 z粘土は含水比によって状態が変わり,粘土の 性質は液性限界と塑性限界によって測られる。 18
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