20413 日本建築学会大会学術講演梗概集 (北海道) 2013 年 8 月 バイブロボーリングマシンによる バイブロボーリングマシンによる掘削が 掘削が乱れの少ない試料に 乱れの少ない試料に及ぼす影響 ボーリング サンプリング 正会員 正会員 神村 真 1* ○永井優一 1* 土質試験 1.背景 1.背景 住宅の地盤調査は主にスウェーデン式サウンディング 試験(以下、SWS 試験と記す)で実施されている。この 試験手法は簡便かつ廉価であるため、多測点調査が可能 で、住宅にとって重要な不同沈下リスク評価に有効な手 法と言える。しかし、SWS 試験だけでは、液状化の危険 度や沈下量の定量的な評価は困難であるので 、住宅の基 礎地盤は、何らかの地盤対策を実施する場合が多い。 著者らは、掘削速度の速いバイブロボーリング(以下、 VB と称す)で掘削し、乱れの少ない試料を採取できれば、 試料採取コストの低減が図れ、住宅での地盤評価精度の 飛躍的向上が図られると考えた。ここでは、VB による乱 れの少ない試料とロータリーボーリング(以下、RB と称 す)で掘削し採取した乱れの少ない試料の物理、強度、 圧密特性をそれぞれ比較し、掘削手法の影響を確認した。 1) 図 2-1 に、掘削手順を示す。本装置による掘削は、原 則として全長において土試料を採取することとしている ため、ケーシングとインナーチューブ(コアパック)か らなる二重管を振動によって貫入する。なお、地下水位 の高い砂質土層が連続する場合、ボイリングによる孔底 崩壊を防ぐため、泥水をケーシング内に充填する手法を 開発した 。この掘削手法の適用性を検証するために、 RB による標準貫入試験(以下、SPT と称す)と VB によ る SPT の比較を実施した。図 2-2 にその結果を示す。図 から掘削手法によらず N 値はほぼ対応しており、この掘 削手法によれば、ボイリングによる孔底崩壊の影響を抑 制できることが分かる。 疑似不攪乱試料は、このような掘削の後、シンウォー ルサンプラーを静かに地中に押し込むことで採取した。 2) 2.使用設備と掘削手法 2.使用設備と掘削手法 写真 2-1 に、使用した VB マシンを示す。本装置は、バ イブロドリルによる上下運動と回転により掘進を行う。 図 2-1 掘削手順 50 スリット スリット Type-A Type-B 40 N 値 るよ にン30 グン リー ボロ20 ブイ バ 10 0 0 10 20 30 ロータリーボーリングによるN値 40 50 図 2-2 砂質土地盤での掘削手法による N 値の違い 写真 2-1 掘削機(YBM 社製) A Study on influence that differences in boring techniques give to undisturbed sample ― 825 ― KAMIMURA, Makoto, NAGAI, Yuichi 因する地盤定数の変化が懸念されるが、図から、各定数 の平均値は、概ね 1:1 線近傍に分布しており、掘削手法の 違いによる、明確な影響は見られないようである。 3.採取試料の特性 3.採取試料の特性 表 3-1 に、採取した土質とそのサンプル数を示す。本手 法によって 15 現場で粘性土 26 試料を採取した。また、 表 3-2 に、VB および RB で採取した試料の土質試験結果 の比率(V/R 値)を示す。 表から、各地盤定数における V/R 値の変動係数は、物 理定数(間隙比や含水比)が 0.2~0.25、一軸圧縮強さが 約 0.39、圧密定数(圧縮指数・圧密降伏応力)が 0.44~ 0.48 であり、V/R 値のばらつきは、物理定数で小さいもの の、強度・圧密定数では、やや大きいことが分かる。図 3-1 に、掘削手法の違いによる各地盤定数の差異を示す。 図中には、V/R 値の平均値μとμ±σ(ここで、σは標準 偏差)を併記した。VB の場合、掘削時の振動が土粒子構 造に及ぼす影響が危惧されるので、地盤密度の変化に起 4.結論 4.結論 VB および RB で掘削したボーリング孔で採取した乱 れの少ない試料を用いて土質試験を実施した結果、次の ことが確認できた。 ・ 物理定数(間隙比,密度)は、掘削手法によらず、ほ ぼ一定の値を示す ・ 一軸圧縮強さと圧密定数は、V/R 値のばらつきが大き いが、掘削手法による明確な差異は見られなかった ・ 本研究の調査範囲では、VB により採取した乱れの少 ない試料は、掘削手法の影響が小さいと推測される。 400 表 3-1 採取試料の 採取試料の土質と 土質とサンプル数 )300 件数 砂質シルト シルト 砂質火山灰質粘性土 砂混じり火山灰質粘性土 火山灰質粘性土 砂質粘土 粘土 合計 kN/m2 土質名 () ( 度200 強 縮 圧 軸 一100 qu V 4 1 4 8 2 3 4 26 0 0 平均値 標準 偏差 変動 係数 21 0.999 0.196 22 1.022 0.252 u 19 1.123 0.435 0.387 18 1.045 0.497 0.476 c 18 1.098 0.487 0.443 1000 0.196 2.0 ) 800 0.246 ) 1.5 (数 指 縮 圧1.0 )( 600 (力 応 400 伏 降 密 圧200 V 0.5 5.0 200 0.0 0 0.0 4.0 V e V 50 0 0.0 1.0 2.0 間隙比 (i) サムシング * 3.0 間隙比e(R) 4.0 5.0 1.0 1.5 圧縮指数Cc(R) 2.0 2.5 0 200 400 600 800 圧密降伏応力pc(R)(kN/m ) 1000 2 (ii) 1.0 0.0 0.5 圧縮指数 (iii)圧密降伏 圧密降伏応力 降伏応力 図 3-2 強度と 強度と圧密定数 圧密定数 150 )% () (比100 水 含 ) 3.0 ( 比 隙間2.0 400 2 kN/m2 2.5 V c 300 (i) 検体数 間隙比 e 含水比 w 一軸圧縮強さ q 圧縮指数 C 圧密降伏応力 p ’ 200 一軸圧縮強さ 圧縮強さ 表 3-2 掘削手法が供試体に与える影響(V/R 値の比較) 項目 100 一軸圧縮強度qu(R)(kN/m ) 0 50 図 3-1 物理定数 物理定数 100 含水比(R)(%) 150 含水比 (ii) 200 【謝辞】本研究では、兼松日産農林様、ジオテック様に、 様々な面でご指導・ご協力を頂きました。ここに感謝の 意を表します。 【参考文献】 1) 日本建築学会:小規模建築物基礎設計指針, p.73, 2008. 2) 金原他:バイブロドリルによる掘進が標準貫入試験結果に 及 ぼ す 影 響 , 第 48 回 地 盤 工 学 研 究 発 表 会 概 要 集,2013(投稿中) *SOMETHING ― 826 ― 1
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