cBN砥粒 - Element Six

ABN
cBN 砥粒
製品群
立方晶窒化硼素(cBN)は、知られている限りダイヤモンドに次いで二番目に硬い物質です。グラファイト
からダイヤモンドを製造するのと同様の条件下で、六方晶窒化硼素から合成されます。cBN砥粒は、高硬度、
耐摩耗性、強度、熱安定性、化学的安定性といった砥粒として望ましい特性を持つ上、使用中鋭い切れ刃を
維持し続けます。また、ほとんどの重要な要求事項において、cBNは炭化珪素やアルミナなどの一般砥粒を
凌ぐ値を示します。高い熱安定性と化学的安定性により、ダイヤモンドが通常使用されない鉄系材の加工に
適しています。( エレメントシックスでは、非鉄系材の加工にダイヤモンド製品群 ― プリマダイヤ ― を供給
しています。)
砥粒にとって硬度は非常に重要な物理的特性です。ほとんどの砥粒は高温では硬度を失いますが、cBNの物
理的利点の一つに、一般砥粒と比較し、室温での高い硬度に加え幅広い温度範囲でこの硬度を維持すること
があります。工具メーカーが、特定の用途に最適な工具を製造できるようエレメントシックスでは5種類の
cBN砥粒を揃えています:ABN200, ABN300, ABN600, ABN800そして粗いサイズのABN605です。
各製品は異なる結晶強度、熱安定性、結晶形態、及び粒子形状を有しています。
用 途
ABN砥粒は一般砥粒と比較し、焼き入れした鉄系材や難削
合金の研削、ホーニング、仕上げ加工に高い生産性をあげ
ます。これらの加工材には下記のものが含まれます ―
ヌープ硬度(GPa)
・
・
・
・
・
・
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
ダイヤモンド
cBN
アルミナ
砥粒タイプ
グラフ 1
各砥粒の室温硬度
炭化珪素
超硬
焼き入れ炭素鋼合金
工具鋼
軸受け鋼
鋳鉄
超合金
硬質ステンレス鋼
これまで、cBNは主に高速度鋼の研削用工具に使われてきま
した。この分野での重要性は今も変わりませんが、また、エン
ジニアリング産業、自動車産業、航空機産業での生産研削に
確固とした地位を築いています。これらの近代産業ではレジ
ン、ビトリファイド、電着及びメタルボンドの4種類のボンド
全てが使われており、エレメントシックスでは、この需要に
対応するためあらゆる種類のABN砥粒を揃えています。
粒子強度
平均粒子強度は工具メーカにとって砥粒選択の上で最も重要
低温
な要素の一つです。ABN200とABN300は同じような粒子
高温
強度を持っていますが、結晶形態と破砕特性が異なります。
平均粒子強度
衝撃負荷下では、共に制御された破砕特性を示し、これによ
りシャープな切削作用が維持されます。しかし厳密には、
ABN200から破砕する粒子の破片は、ABN300からの破砕
片より小さいという事実があります。
ABN600とABN800は同様の粒子強度を備えていますが、
ABN200
ABN300
ABN600
ABN800
結 晶 形 態 は異 なります。ほとんどのc B N 砥 粒 と同 様 に、
ABN200, ABN300, ABN600は高温にさらされると強度を
グラフ 2
下げます。これに対しABN800は非常に高い熱安定性を持
ち、1100℃に加熱された後においても衝撃強度の大きな低
下はありません。
結晶形態
エレメントシックスでは長年、ダイヤモンドとcBN粒子の結晶形態
を確認するために簡便なシステム ― モフォロジーインデックス(結
晶形態インデックス)― を採用してきました。このインデックス
は、合成過程での成長条件の影響を受けて作り出される様々な結
晶形態を表したものです。合成条件は結晶面の相対的な成長速度
に影響を与え、最終的な結晶形態や形状を決定することになりま
す。そして最終的な形態が粒子の物理的及び化学的特性に影響を
与え、その結果、工具として使用されたときの挙動を特徴づける
ことになります。
cBNの結晶形態はダイヤモンドよりも複雑です。ダイ
ABN200
ABN605
ABN800
ヤモンドの結晶形態は主な結晶面の相対成長速度に
よって正 六 面 体 から八 面 体 の範 囲 に存 在 します。
cBNの場合も同様の形態を示しますが、さらに、最適
にコントロールされた合成条件下では四面体形状も製
ABN300
造することができます。
ABN600
エレメントシックスは、5種類のABN製品をその領域
内の結晶形態に合致するよう製造しています。その
ため、各砥粒はそれぞれ異なる破砕メカニズムと表
面化学特性を持ち、さらに、例えば低温及び高温で
の衝撃強度、色及び全体の結晶形状といったその他
の特性でも違いを示します。
グラフ 3
ABN製品群
ABN800
ABN600
ABN600は、黒くブロ
ABN800は、高い強度
ッキーな形状で、熱安定性に優れた
と非常に良好な熱安定性を備えた
高強度砥粒です。主に、粒子にか
濃茶色の砥粒です。粒子形状は鋭
かる衝撃負荷の高いメタルボンドや
く角張っており、稜部が面取りさ
電着工具、またどちらかというと負
れた四面体結晶がほとんどです。
のすくい角で作用する強くてブロッ
こうした望ましい結晶特性のユニ
キーな砥粒を必要とするようなその
ークな組み合わせにより、最も要
他の用途に用いられます。
求の厳しいビトリファイドボンド用途
での使用に最適です。
ABN300
ABN200
ABN300は、澄んだ琥
ABN200は、破砕性が
あり凸凹の多い形状をした黒色の砥
珀色で、表面に凸凹のある形状を
粒です。強度、熱安定性、そしてシ
呈した破砕性のある結晶です。強
ャープな形状は、広範なビトリファ
度的にはABN200と同等ですが、
イドボンド用途に特に適しています。
結晶形態の違いから破砕特性が異
衝撃を受けると、小さな破片が各粒
なります。また、その表面特性によ
子から剥がれ落ちていくという破砕
り、幅広い電着工具での使用に最
特性を持っています。これが切れ味
適です。
の良さとホイール寿命の長さに寄与
しています。
ABN605
ABN605は、30/35か
ら50/60までの粗いサイズで構成
され、大半が黒色で、高い衝撃強
度を有しています。粒子形状は鋭
く角張っていますが、ある程度の凸
凹を有するため電着したときボン
ド内での保持を助けます。
被覆されていないABN砥粒は、主にビトリファイドボンド、電着そしてメタルボンドで
使用されます。
ABN金属被覆製品群
ABN860
ABN260
ABN260は、ABN200
ABN860は、ABN800
に60重 量 % のニッケルを無 電 解
に60重量%のニッケルを無電解メ
メッキしたもので、広範なレジン
ッキした製品です。高い粒子強度と
ボンド用 途での 使用に適していま
鋭い切れ味という二つの特徴を持
す。母材であるABN200の表面組
っており、要求の厳しい高性能レジ
織と形状、そして用いられる被覆
ンボンド用途での高能率加工に理想
方法が、母材と被覆材の密着性
的です。
を確実なものとし、荒い被覆面は
ボンド内での保持性を向上させま
す。湿式及び乾式研削用途に適
しています。
ABN615
ABN615は、ABN600
にチタンを薄く被覆したものです。
この被覆は、粒子を熱的及び化学
的に保護する膜として働きます。こ
こで用いられている被覆技術は粒子
の強度に影響を与えません。ボン
ドによっては、この被覆が破壊的
な化学作用から粒子表面を守り、
適切な条件下ではボンド内での粒
子保持力を向上させます。
MICRON+ ABN
Mic+ABNは、
専有の加工技術で製造されます。
この製品は注意深くサイズ分級さ
れた凸凹のある形状の粒子から成
り、硬質鉄系素材の研削、ラッピ
ングそして高精度仕上げ加工に最
適です。
レジンボンド工具の大半は、金属被覆したABN砥粒を使用します。エレメントシックス
では60重量%のニッケルを無電解メッキしたABNを供給しており、スタンダード製品
としてABN260とABN860が揃っています。さらにABN600にチタンを薄く被覆し
た製品、ABN615もあります。
レジンボンド用
金属被覆ABN砥粒
cBNレジンボンド工具は、産業界で広く使用されています。高速度鋼やある種の超
合金の加工などが代表例で、広範な用途に比較的容易に使用する事ができるからで
す。ほとんどのレジンボンド用途では金属被覆したABN砥粒が使われます。その理
由は次のような利点があるからです:−
・ 熱の拡散性の向上
・ ボンド内での粒子の保持力を高める
これらの利点により、性能が高まり工具寿命が延びます。加工中、粒子と被削材の
間には瞬時に高温が生じます。ABNは室温で銅の二倍近くの高い熱伝導性を持って
います。ABNよりも熱伝導性の低いニッケル被覆層を介すことにより、レジンボン
写真 4
ABN260
ドへの熱の伝搬を和らげます。さらに、被覆していない砥粒と比較して、金属被覆
レジンボンド砥粒はより大きな表面積を持つため、ボンド材との界面で生じる温度
が低くなります。また、被覆表面は組織的に粗くなるように考案されています。これ
は表面積をより一層大きくし、ボンド内での粒子の保持をより強固にする助けをし
ます(写真4参照)
。
無電解メッキのニッケル被覆には、ABN砥粒とニッケルを最適に接合する化学工程
が採用されています。被覆用合金の化学組成は加工中に起きる熱サイクルで脆くな
らないよう考案されています。
ビトリファイドボンド
及びメタルボンド用
金属被覆ABN砥粒
写真 5
ある種のビトリファイド及びメタルボンド用に、
チタン被覆砥粒が用意されています。これは工
具製造中に熱的及び化学的な保護膜となります
(写真5参照)
。
ABN615
標準被覆砥粒
標準被覆砥粒
被覆無し
ABN200
ABN300
ABN600
ABN800
ニッケル被覆
チタン被覆
物理的特性
製品
密度
被覆重量
ABN200
3.48
-
ABN260
5.30
60
ABN300
3.48
-
ABN600
3.48
-
ABN 605
3.48
-
ABN615
3.55
*
ABN800
3.48
-
ABN860
5.30
60
g/cm3
(%)
* チタン被覆は、全サイズで一定の厚みになっています
サイズ供給性
全ての製品はANSI/FEPA国際ふるい規格に適った厳しいコントロール条件下で
サイズ分級されています。下の表はUSメッシュサイズ及びFEPA仕様における供
給可能標準サイズを示しています。これ以外のサイズもご要望により製造いたし
ます。どの場合もサイズは被覆していない砥粒を基にしています。
Mic+ABNはミクロン製品で、厳しく管理された0-0.5から40-80μmまでの各種
サイズがあります。
US mesh
FEPA
30/40
35/45
40/50
45/60
50/60
60/80
80/100
100/120
120/140
140/170
170/200
200/230
230/270
270/325
325/400
B602
B502
B427
B357
B301
B252
B181
B151
B126
B107
B91
B76
B64
B54
B46
ABN 200 ABN 300 ABN 600 ABN 800 ABN 605
ABN260
ABN 615 ABN 860
エレメントシックス株式会社
〒104-0032
東京都中央区八丁堀3-22-13
PMO八丁堀9F
Te l: 03 −3523 −9311
Fax: 03 −3523 −9315
さらに詳しい情報は:
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(株) 東京都中央区八丁堀3-22-13PMO八丁堀9F Tel: 03-3523-9311 Fax: 03-3523-9315
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June.2011