ソフトカプセル製剤の軟化と保管について(医療機関向け)

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ソフトカプセル製剤の軟化と保管について
夏場の高温多湿の時期には、ソフトカプセル製剤は
軟らかくなる場合があります。
開封後や患者さんのお手元での保管は、出来るだけ
湿気や高温を避けるようご注意下さい。
ソフトカプセル(軟カプセル)は、油状あるいは懸濁状の薬剤を、ゼラチン・グリセリンなどからなる、
塑性を持ったカプセル剤皮で包み込み成型した製剤です。エーザイの医療用医薬品では「インフリーS
カプセル 200mg」「グラケーカプセル 15mg」
「ユベラNソフトカプセル 200mg」が該当します。
インフリーSカプセル 200mg
グラケーカプセル 15mg
ユベラNソフトカプセル 200mg
ユベラ N ソフトカプセル 200mg の温度,湿度による硬さ変化
各温度、湿度条件に 3 日間保存した後のソフトカプセルの硬さを、ゴム硬度計(デュロメーター)で測定
評価しました。
100
100
PTP
は安定
80
60
硬
さ
40
80
無包装
軟化
P 無
T 包
P 装
60
硬
さ
40
20
両包装
軟化
P 無
T 包
P 装
20
0
0
保存前
30
50
75
90
保存前
25℃,相対湿度(%)
50
75
90
40℃,相対湿度(%)
図 1.ユベラNソフトカプセル 200mg の硬さ変化(25℃)
出典
30
図 2.ユベラNソフトカプセル 200mg の硬さ変化(40℃)
高野克彦他,ソフトカプセルの硬さの数値化と温度,湿度の影響,医療薬学,34,530~537,(2008)
PTP包装 25℃では、軟化(硬さの値
減少)はほとんど認められませんでしたが、
40℃/30%RH(相対湿度)以上では軟化が
認められました。
無包装では、25℃50%RH 以上で軟化し、
高温高湿度では軟化の程度が著しく、
40℃/90%RH では、変形して硬さを測る
ことができませんでした。
高温多湿の環境に置くと、PTP包装のアルミ袋
(ピロー)開封後は、ソフトカプセルが軟化すること
があります!
PTP内にわずかな湿気がこもり、シートへのカプ
セルの貼りつきなども起こりやすくなります。
一包化して(無包装)患者さんに調剤された後は、更
に温度湿度の影響を受け軟化しやすくなります。
2
PTP 包装 カプセルポケットの小さな傷にご注意!
Housouno
100
服用中やPTPを鋏で分割
したときなどに、誤ってカプ
硬さ徐々に
戻る
80
PTP穴開きの例
セルポケットに小さな傷や破
軟化
れ、切り込みを作ってしまった
60
硬
さ
ケースを想定して、保存試験
を行いました。
40
カプセルポケット切り込みの例
ユベラNソフトカプセル 200mg のPTP包装
(正常品)、カプセルポケットアルミ箔面に直径
1mm の針穴を開けたPTP包装(穴開き)、無包装
の3形態で保存条 件 を段階的に変えて硬さを測
定しました。
PTP(穴開き)では、正常品に比べ硬さが大き
く変化し、高温高湿度では無包装と同程度に軟化しま
した。また一旦軟らかくなったカプセルを室温の低湿度
環境に置くと、徐々に硬さが戻ることがわかりました。
20
P
T
P
正
常
品
P 無
T 包
P 装
穴
開
き
0
保存前
40℃75%RH 室温 30%RH
3 日目
2 日目
室温 30%RH
5 日目
図 3. ユベラNソフトカプセル 200mg の硬さ戻り試験
出典
高野克彦他,ソフトカプセルの硬さの数値化と温度,湿度の影響,
医療薬学, 34,530~537,(2008)
→できるだけ切り離さずシートごとの保管を
お願いします
軟らかくなったソフトカプセルの成分安定性は?
ユベラNソフトカプセル 200mg 及びグラケーカプセル 15mg について、PTP包装で、高温での安定性試験
を行いました。この結果、それぞれカプセルの軟化は認められましたが、薬剤成分の含量低下はほとんど認め
られませんでした。
表1. PTP包装中ソフトカプセルの成分安定性(含量%)
保存温度
60℃
80℃
製剤
3 時間
6 時間
ユベラN
ソフトカプセル 200mg
100.3
100.6
グラケーカプセル 15mg
98.6
99.0
ユベラN
ソフトカプセル 200mg
100.3
100.2
グラケーカプセル 15mg
99.1
97.9
ソフトカプセルは日本の夏が苦手
ユベラNソフトカプセル 200mg は、防湿のため
PTP包装にはアルミ袋(ピロー)、バラ包装には
乾燥剤付きキャップを用いています。
開封後は引き続き湿気や高温を避け、
「未使用の
PTPはアルミ袋に入れる・バラ包装ポリ容器の
蓋はしっかりしめる」など保管環境、形態に
ご留意下さい。
エーザイ(株)社内データ
防湿性アルミ袋
乾燥剤付きキャップ
ソフトカプセルの保管は
高温と湿気にご注意下さい
チャック付きポリ袋で保管の例
保管
患者さんのお手元にあるソフトカプセルは、チャック付きポリ
袋やしっかりした缶などに入れ、風呂場や洗面所、窓辺、車中
などを避け、涼しい場所に保管いただきますようお願いします。