第七回社会情報システム学シンポジウム(2 0 0 1 . 1 . 3 1 ) 求貨求車e市場の成功要因についての考察 Success Factor of Load Matching e-marketplace 梶田ひかる 太田敏澄 Hikaru Kajita Toshizumi Ohta ㈱日通総合研究所 電気通信大学 Nittsu Research Center, Inc. University of Electro-Communication 要旨: ネット上で輸送需要と供給のマッチングを行なう求貨求車システムについて、ビジネスモデル成功要因の 明確化を試みる。 求 貨 求 車 シ ステ ム は 、 そ の 市 場 が 有 望 で あ る こ と が 想 定 さ れ て お り 、 現 在 、 多 く の 事 業 者 が ビ ジ ネ ス に 参 入している。しかしながら、そのうちの多くは早急に撤退することが予想されている。これは、e市場によ る効果としてあげられているものが正しくとらえられていないこと、e市場成功の要因が明らかでないこと に起因すると思われる。 本稿では、成功要因としてサプライチェーンマネジメント環境における日本のトラック輸送市場の現状に 基づき、成約率に注目した。これを構成する要素に分け、それぞれについて成約率向上のための具体的施策 を検討した。成功しているといわれている求貨求車システムを調査し、その実証を行なった。 Abstract Success factor of load matching system, which is an application of e-marketplace for truck loading service, is discussed in this paper. Resent year, because of its large market size, a lot of firms get enter the market, but it is said that the most of them are discontinued within one or two years. This may be caused both by misunderstanding truck transportation market and by unclear success factor of this business. Based on truck transportation market and Supply chain management environment, matching rate is focused on this paper. In order to make high matching rate, factors which construct it is clarified, and actions which affect on it is discussed. Finally, cases that make profit on load -matching systems are examined from this viewpoint. キーワード: ロ ジ ス テ ィ ク ス 、 e-m a r k e t p l a c e、 l o a d m a t c h i n g 、 求 貨 求 車 、 ビ ジ ネ ス モ デ ル 1 はじめに 輸送市場におけるインターネット活用として求貨求車システムが注目されている。求貨求車システムはそ の市場の大きさに惹かれ、昨年より多くの企業の参入が行われている。米国では100サイト超、日本でも すでに数十が稼動している。しかしながら、それらのうち生き残るのは3分の1程度といわれている。多く のサイトはそれを作るだけで利用者が増えるという安易な計画で参入しているからである。 求貨求車システムは、求貨情報と求車情報を結びつけてはじめて利用者にメリットを与える。求貨側にと っては収入の増加につながり、求車側にとってはコストダウンが実現される。一方で、進展しているサプラ イチェーンマネジメント環境下においては、流通全体での在庫を絞っているため、輸送する量や方面が確定 ― 23 ― してから届けるまでの許容されるリードタイムは短くなっている。着実な成約が求められているのである。 つまり、開始当初に成約率が低いサイトは、時間がたつにつれてさらに使われなくなる可能性が高いのであ る。 本稿では成約率に着目し、それを向上する具体的施策の明確化を試みる。それにより、求貨求車システム におけるビジネスモデル成功要因が明確化される。同様の方法をとることにより、他の類似するe市場にお いても成功要因の明確化が可能となる。 求貨求車の現状とニーズ 2 求貨求車システムを運営するビジネスの成功要因を明らかにする目的で、まず、その現状とニーズについ ての整理を行なう。 2.1 求貨求車の発展段階 求貨求車の歴史は古い。大手企業においては過去から需給調整部門を設け、そこへの電話連絡によりマッ チ ン グ を 行 な う と い う 仕 組 み をと っ て い た 。 ま た 、 組 合 が そ の よ う な 機 能 を 持 ち 、 貨 物 の 発 地 側 の 組 合 に 求 荷求車情報を集めてマッチングさせるということも行われてきた。また、インターネットの普及以前にはパ ソ コ ン 通 信 を 使 用 し た シ ス テ ム も 提 供 さ れ て い る 1。 イ ン タ ー ネ ッ ト に よ り 、 パ ソ コ ン 通 信 と 比 べ て 、 容 易 か つローコストな導入が可能になり、さらに多くの参加者からの情報を収集する効果が見込まれるようになる。 米 国 で の N T E (National Transport Exchange)成 功 を う け 、 2000 年 初 よ り 日 米 と も 多 く の 事 業 者 が こ の サ ービスに進出を開始し、現在に至っている。 2.2 システム概要 ここで簡単に求貨求車の仕組みを紹介する。 求貨求車では求貨情報と求車情報のマッチングを行なう。主なマッチング項目としては、日付、発地、着 地、車種がある。インターネット上での仕組みは、情報のみインターネットに掲示し、詳細条件は電話で確 認・決定する掲示板方式、システム上でマッチングを行なうものにわかれ、後者はさらに価格が事前に取り 決めてある方式、オークション方式にわかれる。 価格については、マッチング項目として入力するケースと予め料率を定めておいてそれを用いるケースが ある。前出のNTEは後者の方式をとっている。 求貨情報は運送会社が入力する。日米双方とも運送会社は小規模事業者が多い。そのため、インターネッ トになり、システム使用に関わるコストが低減したことから、対象となる事業者は広がっている。 求車情報の入力者はさまざまなケースがある。過去はむしろ運送会社が不足分の車を調達したり、倉庫会 社が受託貨物を運ぶ車両を探したりと、物流事業者が使用するケースが中心であった。こちらもやはり、イ ンターネットになり、システム使用のコストが下がったことから、荷物を直接出す荷主(メーカー、卸)も 対象となってきている。 マッチング項目は状況によってはさらに架装、発着時間等も加味する。業種により納入時の商慣行が異な ったり、積み込み/荷卸に装備が必要になったり、また食品等のようににおいや衛生面での成約があること から、当該貨物を扱った経験等も考慮する場合がある。つまり、システム使用者の対象を広げると、より多 くの項目のマッチングを行なわなければならなくなる。 システム使用の料金は、システム上でマッチングを行なうものの場合は成約運賃の一定割合、掲示板方式 の場合は入会費や月極めの会費制としているところが多い。 2.3 システムニーズの誤解 現在のブームを生んだのは、国土交通省(旧運輸省)の統計データを誤って用いた資料が一人歩きしてし ま っ た こ と に よ る 。 輸 送 効 率 を 測 る 指 標 と し て 実 車 率 ・ 積 載 率 2が あ る 。 ト ラ ッ ク が 常 に 貨 物 を 満 載 で 走 っ て いれば、トンキロあたり輸送コストは低減する。インターネットによる求貨求車システムの市場および効果 を実態以上に大きく捉えられたのである。それに魅了され、作れば使う人がでる、という安易なシステム構 ― 24 ― 築が行なわれたのである。 誤りはいくつかの点で指摘できる。一つ目は、求貨求車では自社以外の貨物を運ぶことが認められ ている 営業車が対象となることである。前出の数値では、輸送効率の悪い自家用車も含めた数値で市場規模計算を している。 二つ目は、このようなシステムを使う場合、中長距離の帰り便が対象になることである。システム上での マッチングを行なうためにはある程度の時間を要する。運賃が下落している現在、往路貨物のない車はあま り多くない。そのような車両を持っている運送会社は、事業がシステム使用以前になりたたなくなってしま うからである。むしろ帰り荷があってはじめて収支がとれる運賃となっている。このような制約を入れれば、 当該システムによる実車率向上の余地はあまり多くない。 三つ目は、SCMなど現状の輸送環境に起因する。在庫を流通全体で減らそうとしている企業が増えてい る。午前中の注文が確定した段階で、夕方に積みこむ車両を探すというケースが多いのである。この場合、 車両は着実に見つけなければ翌日の配送に支障がでる。これを前提とした求貨求車システムの使用というこ とになる。 これらを考慮すれば、システムは作れば使われるというものにはならない。既存の人手による市場を奪う ことが必要になる。さらに、システムには高い成約率や、輸送の保証が求められるといえる。 ここでもう一点注意を要するのは、日米の違いである。米国におけるNTEの成功が、日本における求貨 求車ブームの背景にある。しかしながら、安易にまねすることは問題がある。日本はそもそも諸外国と比較 し注文から納入までのリードタイムが短い傾向がある。加えて、国土が狭いため、トラック輸送1日でカバ ーできる範囲が国土に対して広い。したがって、米国と比較すると工場−市場間に中間在庫拠点を配置する 必要性は乏しくなる。中間在庫拠点がある場合は、安価なトラックが見つかった日に輸送するという方法が と れ る が 、 中 間 在 庫 拠 点 が な い場 合 は そ の 日 に 着 実 に 輸 送 し な け れ ば 顧 客 サ ー ビ ス 水 準 を 満 た す こ と は で き ない。ビジネスモデルを検討するには、このような日米の地理的な差、サービス水準の差に加え、輸送市場 の違い等も加味する必要がある。日本独自のモデルを検討することが望まれるのである。 2.4 トランザクションコスト低減効果 インターネットの効果としてあげられているのは、トランザクションコストの低減である。ここで人手と 電話による現状の車両手配を見てみると、次のようになっている。まず、荷主(メーカー、卸)が物流事業 者 ( 元 請 ) に 輸 送 を 依 頼 す る 。 元 請 事 業 者 は 自 社で 手 配 で き な い 台 数 を 、 同 業 他 社 ( 孫 請 け ) に 依 頼 す る 。 各段階では運賃の概ね1割程度を手数料として徴収する。最終的に実際に運ぶ事業者までいくと、荷主が委 託した金額の半額程度で運送するといわれている。 現状のこのような方法は、電話での手配であれば、効率的であるといえる。また仲介手数料も、車両手配、 料金の請求・支払い等の業務コストを考えれば妥当なレベルである。 インターネットによる求貨求車では、荷主あるいは元請と、実運送事業者とを直接つなぐことが可能にな る。これにより、荷主は安い運賃で、実運送事業者は高い運賃で、契 約 で き る よ う に な る の で あ る 。 つ ま り 、 料金低減の原資は実車率・積載率の向上によるものではなく、事務処理コストの低減にあるのである。 これらのことから、求貨求車システムはこれまでなかった市場を作るものではなく、既存の市場のパイを 奪うものということになる。使用者の利便性がこのビジネスの成否の鍵となるのである。 成約率に注目したビジネス成功施策 3 これまで述べてきたように、求貨求車システムは成約率を高めることにより、ユーザーの利便性を向上す る。それがビジネスを成功に導く。当節では、この成約率をさらにそれを構成する要素 に分け、それぞれと 成約率との関係を明確化する。このようなステップを経ることにより、具体的な成約率向上施策が明確化さ れる。 3.1 マッチング比率 成 約 率 の 基 本 は 、 そ れ ぞ れ の 求 貨 ・ 求 車 情 報 が 1:1 で み た 場 合 に ど れ く ら い の 確 率 で マ ッ チ す る か で あ る 。 ― 25 ― これを本稿ではマッチング比率と呼ぶ。マッチング率 が高いほど、成約率が高まることになる。 マッチング項目は前述のように、基本は日付、発地、 着地、車種である。これに車両の架装、積荷の制約、 価格などが加わる場合がある。 マッチング率を高める方法の第 1 は、マッチング項 目 を 減 ら す こ と であ る 。 そ の た め に は 、 定 常 的 に 行 な っている業界を限定する、あるいは加入車両を予め限 定することが効果がある。たとえば、トレーラーに限 マッチング率 求車件数 求貨件数 成約率 求車企業脱会率 求貨企業脱会率 求車企業新規加入率 求貨企業新規加入率 品質 図1 求貨求車成約率モデル ったものにする、精密機器輸送に限ったものにする等 である。また、予め方面別に料金を設定しておき、価格をマッチング項目からなくすという方法もある。 第 2 の 方 法 は 、 発 地 、 着 地 の エ リ ア を 限 定 す る こ と で あ る 。 日 本 に は 約 3,600 の 市 区 町 村 が あ る 。 エ リ ア によって貨物量のバラツキがあるが、すべてを対象とすれば、発地−着地の組み合わせの数としてはその2 乗になる。エリアを絞って営業すれば、組み合わせの数を減らすことができる。 3.2 求車件数 成約率を高めるためには、マッチング比率を高めるとともに、求車・求貨件数を増やすことが必要になる。 これは単純な確率計算で証明できる。特に重要となるのが、求車件数である。貨物があれば、自然と車が集 まるからである。 求 車 の 場 合 、 先 に 述 べ た よ う に 、 そ の 日 に 着 実 に 車 を 手 配 する 必 要 が あ る ケ ー ス が 多 い 。 し た が っ て 、 成 約率が低いと求車件数も低くなるという関係にある。システム開始当初からある程度の貨物を集めることが 必要になる。営業効率という観点からも、最初に貨物を多く出す企業を加入させることがビジネス成功の鍵 となる。 輸送市場の特徴として、スポット的に発生するものはあまり多くないことがあげられる。その条件下で求 車件数を増やすには、定常的に発生する輸送もシステムの対象とすることが望まれる。定常的な輸送につい て は 、 さ ら に 過 去 の 輸 送 実 績 を 加 味 す れ ば 、 後 述 す る 品 質 が 向 上 さ れ 、 成 約 率 向 上 に プ ラス に 働 く よ う に な る。 3.3 求貨件数 成約件数を増やすためには、求車件数より若干多いことが必要になる。帰り荷の確保が主目的の場合、登 録したものすべてが成約する必要はない。 求貨件数は、求車件数がある程度あれば、それに伴い増えると想定される。成約率を高めるためには、求 車企業の希望輸送エリアに強い運送会社に集中的に営業を行なうことは当然ながら必要になる。高い成約率 であるという評判が、自然と新規加入者を増やすことが想定される。 3.4 求車企業脱会率 脱会者があれば、求車件数は減り、成約率が下がる。 脱 会 の 理 由 に は い つ く か あ る。 ひ と つ は 、 輸 送 の 経 路 が 変 わ る 、 あ る い は 輸 送 が な く な っ て し ま う こ と で ある。新規加入がなければ、自然と求車件数は下がるのである。 求貨求車市場の特徴として、通常は行かないエリアにたまたま輸送するというケースはあまり多くないこ とがあげられる。そのため、システムで一旦マッチすると、次からはその会社と直接取引を行なうようにな り、システムを使用しなくなるということが発生する。これが二つ目の理由である。掲示板方式の場合は、 この危険性が高い。 それを防ぐには、そのシステムを用いて常に求車を行なうようにすることが必要になる 。そのための方法 として、配車業務を一括で請け負うことがあげられる。これにより、荷主企業では配車業務が不要になる。 三つ目の理由は、求車企業が着実な配車を求めていることにある。しかしながら、コンピュータ上のみで すべてを成約させることは難しい。したがって、システムでマッチしなかったものについて人間系で探すと ― 26 ― いうことも、対応策として考えられる。可能性のある運送事業者のいくつかに電話をかけ、旧来の方法で探 すのである。 3.5 求貨企業脱会率 求車情報が豊富にあれば、基本的には求貨企業はあまり脱会することはない。一方で、個々の事業者に注 目すると、小規模事業者が多いため、事業者間で成約率のアンバランスが生じる危険性がある。それを防ぐ には、システム上でマッチしたものについて、人間系で調整をかけるという方法が考えられる。 3.6 入会率 求貨・求車システムは、入会者がいなければ自然と求貨・求車登録件数がさがり、それに伴い成約率が下 がるという関係となる。したがって、継続的な営業活動が望まれる。 3.7 品質 いくら成約したものであっても、それが着実に輸送されなければ求車企業の満足は得られず、それが脱会 に 結 び つ く 。 車 両 が 汚 れ て い る 、 時 間 が 大 幅 に 遅 れ る 、 持ち逃げされる等、想定されるケースは多々ある。 類似することは求貨側にもあり、時間どおりに貨物がでない、情報と異なり過積載を強要される、運賃が 支払われないなど、求貨求車ビジネスそのものの品質を問われることになる。 このようなことから、入会審査は不可欠となる。経理状況、品質等のガイドを作成し、それに合格したも ののみを入会させるなどの方策が必要であるといえる。 また、システムの利用者に対し、指導を行なうことも考えられる。運送会社に対しては、ドライバー教育 の支援としてマニュアルの提供も想定される。 3.8 その他の対応策 成約できなかった原因のひとつに価格設定がある。その場合、成約したものの傾向から、平均的な決定料 金を提示し、それに近い金額での再入力を求めるという方法が考えられる。運賃は需給状況等により相場が あり、求車・求貨を行なう企業双方ともが常にそれを把握するために労力を割いている。平均的な金額を提 示することにより、システム利用者の情報検索コストをも低減させることができる。 日本における求貨求車成功事例 4 VANによるものも含めればすでに歴史のある求貨求車システムであるが、日本で現状、成功していると いわれる求貨求車システ ムは多くない。成功しているものを例にとり、成約率の実態およびそれを高める対 応策を紹介する。 4.1 A社 A 社 は 食 品 会 社 の 物 流 子 会 社 で あ る 。 求 貨 求 車 シ ス テ ム は 98 年 よ り 稼 動 し て い る 。 現 状 で は 成 約 率 97% 、 月 間 成 約 件 数 15,000 件 と な っ て い る 。 システム開始当初、貨物は親会社のものに加え、大手家電メーカーも確保した。食品メーカーを中心とし た営業展開を行なっており、運送事業者はそれに精通した者、または食品を運ぶ基準を満たす者に限定され て い る 。 当 初 か ら 、 A 社 の 輸 送 を 中 心 的 に 手 が け て き た 運 送 会 社 の 経 営 支 援 を 目 的 と し て い るた め 、 運 送 事 業者間での成約件数のバランスをとることを心がけている。そのため、システムで完全にマッチングさせず、 担当者が確認をとってから成約プロセスにもっていくという対応をとっている。 4.2 B社 B社は倉庫業である。求貨求車システムはパソコン通信の段階から開始しており、インターネットへの切 り 替 え を 行 な っ た と こ ろ で あ る 。 成 約 率 は 90% 、 1 日 あ た り の 成 約 件 数 は 約 200 程 度 で あ る 。 ― 27 ― 対象エリアは限定していないが、東京−福岡間で全体の6割を占める。 シ ス テ ム は B 社 倉 庫 へ の 寄 託 者 の み な ら ず 、 倉 庫 に 貨 物 を あ ず け て い な い 企 業 も対 照 と し て い る が 、 入 会 の審査は行なっている。寄託者の求車は、予め定めたタリフに基づき代行して行なっている。定常的に発生 する輸送については機械マッチングのみであるが、スポット的に発生したものについては担当者が確認を行 なってから決定している。 4.3 成功事例に見る共通施策 成功しているこれらのシステムには共通点が多い。それらを以下に整理する。 ・ 成 約 率 が 90% 以 上 で あ る ・ 運営母体が物流会社であり、配車業務に精通している ・ システムでマッチングを行なう方式であり、入会審査を行なっている ・ 対象貨物を限定している ・ 自社車両がほとんどなく、中立的な配車が行なわれている ・ 自社で配貨可能な貨物を持っており、それを求車の対象としている ・ 自社貨物以外の求車も対象としている ・ 定常貨物とスポット貨物の双方を対象としている ・ 人間によるマッチング検証をと組み合わせた運用を行なっている 成約率9割はビジネス成否のある程度の目安となる。双方とも、成約率を高めるための工夫を各所で行な っている。それらにより、ビジネスを成功に導いているのだといえる。 今後の課題 5 求貨求車システムはインターネットをベースとした参入ラッシュからまだ日が浅いため、成否が見えてい ないものが多い。今後、成否が見えてきた段階で、成功事例と失敗事例の比較分析が行なえるようになる。 それによりビジネス成否のファクターが一層明らかになるものと思われる。 米 国 で は す で に A S P (Application Service Provider)と 組 み 合 わ せ た も の が 多 く で て き て い る 。 こ れ は ユ ーザーへの利便性をより高めるためのものであるとともに、定常貨物も常にシステムを利用させることによ る件数の増加を確保するとともに、脱会を防ぐという効果も見込まれる。 運送会社へのASP提供は、それらをグループ化するという方 向に働く。それも含め、e−市場の活性化 に伴い、業界内での構造が変わることが想定される。インターネットの進展による輸送業界への影響分析は 今後の研究課題としたい。 [ 注] Information of Transport)がある。 実車率については運輸省『陸運統計要覧』に営業/自家用別、普通車/小型車別に掲載されている。 1 有名なものには全日本トラック協会で運営しているネットワークKIT(Kyodo 2 ― 28 ―
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