Title Author(s) Citation Issue Date URL Publisher Rights Truck Loading Taskを用いた知的障害者のプランニング( fulltext ) 中島,好美; 池田,吉史; 奥住,秀之 東京学芸大学紀要. 総合教育科学系, 65(2): 275-281 2014-02-28 http://hdl.handle.net/2309/134678 東京学芸大学学術情報委員会 東京学芸大学紀要 総合教育科学系Ⅱ 65: 275 - 281,2014. Truck Loading Task を用いた知的障害者のプランニング 中島 好美*・池田 吉史**・奥住 秀之*** 発達障害分野 (2013 年 9 月 13 日受理) Ⅰ.はじめに 題 の 成 績 に 相 関 が あ る こ と を 報 告 し た。Hartman, Houwen, Scherder, & Visscher(2010)は,61 名の知的 プランニング(planning)とは,一連の時間や行動 障害児に対してロンドン塔課題を実施し,境界線知的 の流れの中で,時間の区切りを見出し,特定のある区 障害児群(71 < IQ < 79)と軽度知的障害児群(54 < 切 り の 中 で, どの行動を実行に移すかを考 え る 力 IQ < 70)で比較検討した。その結果,健常児(先行 (McCormack & Atance, 2011) ,すなわち,ある目標の 研究データ)と比較すると,境界線知的障害児群と軽 達成に向けて事前に行動の手順を計画する力のことで 度知的障害児群はともに低い成績を示したが,境界線 ある。有名な Miyake らのモデルによれば,プランニ 知的障害児群と軽度知的障害児群の差は明瞭でなかっ ングは実行機能の重要な構成要素とされる抑制機能, たとしている。 シフティング,アップデーティングに基づく高次な機 このように先行研究で,知的障害児・者のプランニ 能として位置付けられているが(Miyake, Friedman, ングの弱さが指摘されているのだが,その様相は十分 Emerson, Witzki, Howerter, & Wager, 2000), こ れ 以 外 明らかにされているとは言い難い。この背景として, にもプランニングと実行機能の各要素の関連性につい 知的障害児・者のロンドン塔課題の成績は,パーソナ て は 様 々 な 見 解 が あ る(Goel & Grafman,1995; Bull, リティや態度の変容に大きく影響されること(Masson Espy, & Senn, 2004; Asato, Sweeneey, & Luna, 2006; et al, 2010),内言などのプランニングと異なる認知ス Albert & Steinberg, 2011) 。 キルの発達の程度に影響されていること(Danielsson 近年,知的障害児・者の実行機能の問題への注目が et al, 2012)などが指摘されている。また,ハノイの 高まる中で,知的障害児・者のプランニングに関する 塔やロンドン塔では最終目標に到達するための前段階 研究がいくつか見られるようになった。それらの研究 の 目 標、 す な わ ち サ ブ ゴ ー ル の 設 定 が 必 要 な た め の多くは,ハノイの塔やロンドン塔といったタワー課 (Berg & Byrd, 2002) ,知的障害児・者にとっては難易 題を用いている。知的障害児群,CA マッチ群,MA 度が高いことも考えられる。それと関連して,先行研 マッチ群でプランニング課題の成績を比較した研究で 究で対象とされている知的障害者の多くは IQ50 以上 は,知的障害児群の成績が CA マッチ群と MA マッチ で,それより低い IQ の知的障害者はほとんど検討さ 群よりも低いことが示されている(Danielsson, Henry, れていない。 Messer, & Ronnberg, 2012)。Masson, Dagnan, & Evans そこで本研究の目的は,多くの知的障害者で取り組 (2010) は, 平 均 年 齢 40.58 歳(SD = 11.34) ,平均 みやすいと考えられる課題である Truck Loading Task IQ58.2(SD = 4.2)の知的障害者 43 名を対象に,ロン を取り上げて,知的障害の程度が重い人まで含めた知 ドン塔課題を実施した。その結果,課題を最後まで遂 的障害者のプランニングについて検討することであ 行できたのは 43 名中 9 名であり,IQ とロンドン塔課 る。 * 東京学芸大学大学院教育学研究科 ** 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科・日本学術振興会特別研究員 *** 東京学芸大学特別支援科学講座 − 275 − 東 京 学 芸 大 学 紀 要 総合教育科学系Ⅱ 第 65 集(2014) Truck Loading Task はルートプランニング課題の 1 a)色のマッチング課題 つであり,幼児を対象に知見が積み重ねられている 5 色の家と手紙を用いて,青色,紫色,オレンジ (e.g., Fagot & Gauvain, 1997; Carlson, Moses, & Claxton, 色,ピンク色,黄色のマッチング課題を行なった。実 2004; Atance & Jackson, 2009; Karpinski & Scullin, 験参加者の前に 5 色の家と手紙が提示された。教示は 2009)。実験参加者は郵便トラックの運転手となり, 「それぞれの手紙を,同じ色の家に入れて下さい。 」で 家々にパーティーの招待状を配達する。このときの ある。 5 色の手紙すべてを同色の家に配布できた場合 ルールとして,家々が並ぶ道は一度しか通れず一方通 を,課題通過と見なした。 行であること,招待状は招待状と同じ色の家に配達す ること,トラックに積まれた招待状は一番上のものか b)Truck Loading Task のルール説明と理解の確認 ら順に取り出して配布することがあり,実験参加者は 道路が描かれたシートと郵便トラックを提示し,参 このルールに従ってトラックに招待状を積むことが求 加者に「これから郵便トラックの運転手になって,お められる。つまり,手紙を積む時点でこれから先の時 手紙を同じ色の家に届けてもらいます」と課題の導入 間の流れを見通して行動できるかを調べる課題なので を行ない,青色の家と手紙 2 つを用いて見本を見せな ある。この課題は,家の数や配置によって難易度が調 がら,実験参加者の手元に置かれた手紙を郵便トラッ 節しやすく,タワー課題と異なって時間的な構成要素 クに積んでから配達に出発し,家が並んでいる順番に が可視化されているなど,比較的重度の知的障害者で 手紙を入れていくという課題の一連の流れを説明し も取り組みやすい課題だと考えられる。 た。この際,家が並ぶ道は一方通行で一度しか通れな いこと,手紙は手紙と同じ色の家に配達すること,ト ラックに積まれた手紙は一番上のものから取り出すこ Ⅱ.方 法 とというルールを強調した。課題のルールの説明後 に,実験参加者に青色の家と手紙 2 つを用いて練習課 ( 1 )実験参加者 実験参加者は知的障害者 40 名(男性 30 名,女性 10 題を実施し,正しい流れで課題を遂行できていること 名)で,平均年齢は 33 歳(SD = 9.8,range = 19 ∼ 59), と, 「トラックの荷台の手紙を下から取ってもいいで 平 均 IQ は 24. 8 (SD = 12.2,range = 9 ∼ 52) で あ る。 すか」という確認質問によって,実験参加者が課題の 自閉症を伴う知的障害者は 14 名(平均 IQ = 20, SD = 7.5, ルールを理解しているかどうかを判断した。 range = 9 ∼ 36) ,自閉症やその他の障害を伴わない知 的障害者は 26 名(平均 IQ = 27.4,SD = 13.1,range = 9 c)Truck Loading Task ∼ 52)であった。全員がある福祉支援機関のサービ Fagot & Gauvain(1997)の Truck Loading Task の道路 スを利用する成人であり,測定の承諾が得られた者で の形状と家の配置を簡略化して用いた。Fig. 1 に 6 つ ある。 の条件の課題を示す。道路は直線形を用い,家の配置 を直列配置と交互配置の 2 種類,家の個数を 2 個, 3 ( 2 )実験用具 個, 5 個の 3 種類, 2 × 3 の 6 条件を実施した。実施 実 験 用 具 は, 直 線 道 路 が 描 か れ た シ ー ト(72× 順序は,難易度が低い順である。すなわち,①直列配 54cm) ,手紙を入れる荷台がついた郵便トラックのミ 列: 2 個(直列 2 ),②直列配列: 3 個(直列 3 ),③ ニ カ ー, 5 色 の 家( 4 × 6 × 8 cm) , 手 紙( 3 . 5 × 直列配列: 5 個(直列 5 ),④交互配列: 2 個(交互 7 cm)である。家と手紙の色は,青色,紫色,オレン 2 ),⑤交互配列: 3 個(交互 3 ) ,⑥交互配列: 5 個 ジ色,ピンク色,黄色であった。家は箱型で,手紙を (交互 5 )の順で行った。 入れることができた。手続きの説明で用いるため,青 各条件における家と手紙の色はランダムとし,実験 色の家と手紙は 2 つずつ準備された。 参加者の手元に置かれた手紙は配置された家の色に対 応する手紙だけである。実験参加者は,各条件 2 試行 ( 3 )手続き まで実施することができ,トラックが出発する前に手 本 研 究 で は 色 の マ ッ チ ン グ 課 題 を 通 過 し Truck 紙を正しい順番に積むことができた場合を通過とし Loading Task のルールを理解した対象者のみ,Truck た。各条件において,何回の試行で通過したか(もし Loading Task を実施した。実験者と実験参加者は机を くは不通過だったか)を記録した。 挟んで向かい合って着席した。実験参加者の机上の操 作を VTR で撮影した。 − 276 − 中島,他 : Truck Loading Task を用いた知的障害者のプランニング ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ Fig. 1 各条件における家の数と配置 ①直列配列:2 個(直列 2) ,②直列配列:3 個(直列 3) ,③直列配列:5 個(直列 5) ④交互配列:2 個(交互 2) ,⑤交互配列:3 個(交互 3) ,⑥交互配列:5 個(交互 5) Table 1 に示した通過群 22 名に対して Truck Loading ( 4 )結果の処理 Task を実施した。Table 2 は,各条件において 1 試行 得られた結果はパソコンデータベース化した後, 2 SPSS を用いて,分散分析,χ 検定,Kruskal-Wallis 検 目(最初のトライアル)で通過した群, 2 試行目で通 定,Mann-Whitney 検定を行なった。 過した群,不通過だった群の人数,及び IQ の中央値 と四分位偏差である。χ2 検定により, 1 試行通過人 Ⅲ.結 果 数と 2 試行通過人数を比較したところ,直列 2 を除い たすべての条件で 1 試行通過人数が有意に多いことが Table 1 は,40 名の参加者のうち,色マッチング課 2 2 =15.636,p<.01,直列 5:χ(2) 示 さ れ た( 直列 3:χ(2) 題と Truck Loading Task のルール理解のいずれも通過 2 =16.455,p<.01, 交 互 2:χ(1) =16.200,p<.01, 交 互 3: した色マッチ・ルール通過群と,通過しなかった色 2 2 =12.800,p<.01,交互 5:χ(2) =19.900,p<.01) 。つ χ(1) マッチ・ルール不通過群の人数と IQ について示した まり,最初の課題である直列 2 では通過者と非通過者 ものである。通過群と不通過群の IQ について 1 要因 はほぼ同数であるが,それ以降に実施した課題では多 2 水準の分散分析を行った結果,通過群の IQ が有意 くの者が第 1 試行で通過した。 に高かった(F ( 1 , 38) = 4 .625,p<.05)。 第 2 試行まで実施しても通過しなかった不通過者の Table 1 色マッチング課題とルール理解の通過群と不通過群の人数と IQ の平均及び SD 群 N 色マッチ・ルール不通過群 色マッチ・ルール通過群 IQ M SD 18 20.4 8.3 22 28.3 13.7 − 277 − 東 京 学 芸 大 学 紀 要 総合教育科学系Ⅱ 第 65 集(2014) 人数をみると,直列 2 では 0 人であるのに対し,直列 IQ は 28 であった。半数弱の 18 名の実施が困難であっ 3 では 2 人,直列 5 では 5 人,交互 2 と交互 3 では 0 たという課題は残るが,この課題を用いることで先行 人であるのに対し,交互 5 では 3 人となっている。こ 研究と比較し、知的障害が重度の者も含めた検討がで のことから, 1 側のみに家が配置される直列課題と左 きると考えられる。 右の側に配置される交互課題において,それらの難易 この 22 名について,第 1 試行通過者と第 2 試行通 度の差はあまりないが(むしろ直列の方が難易度が高 過者の人数を比較したところ,最初に行った直列 2 で いようにも見てとれる),配布する手紙と家の数が増 は第 1 試行通過者 12 名,第 2 試行通過者 10 名とほぼ えると不通過者が増える傾向が読み取れる。 同数であった。しかしそれ以降に実施した課題では, 次に,Kruskal-Wallis 検定 Mann-Whitney 検定により, ほとんどの者が第 1 試行で通過した。このことは,最 1 試行通過者と 2 試行通過者の IQ を比較した。その 初の試行で失敗した場合,その遂行を通して実験参加 結果も Table 2 に示した。交互 3 で 1 試行通過者の IQ 者が課題解決に関係する方略を学習し,次の試行に生 が 2 試 行 通 過 者 よ り も 有 意 に 高 く(U = 2.500, かすことができたことを示唆する。第 1 試行と第 2 試 p<.05) ,また直列 2 で 1 試行通過者の IQ が 2 試行通 行では言語的教示は同じであり,また課題を遂行を助 過者より高い傾向が得られたが(U = 4.319,p<.05), けるような環境調整がなされたわけではないにもかか 他の条件では両者の間に有意差はなかった。 わらず,それ以降に続く類似するが難度は高くなる課 題に多くの者が正答となった。この第 1 試行の中でど のような学習がなされたのかの検討は今後の課題であ Ⅳ.考 察 るが,その分析の視点として第 1 試行における手紙や 難易度を調節しやすく時間的な構成要素が可視で トラックの操作の定性的分析などが今後必要と考えら き,幼児を対象とする研究が近年なされている Truck れる。また,手紙と家の数が増えると,わずかではあ Loading Task を用いて,IQ の程度が重度の人まで含め るが不通過者が増加するのは,獲得した方略を全ての た知的障害者のプランニング能力の検討を試みた。そ 者が適用できるわけではないことも意味する。こうし の結果,実験参加者 40 名のうち,Truck Loading Task た課題の質は大きくは変わらないが,量的な難易度の のルールを理解し実施しえた者は 22 名で,その平均 影響も検討する必要があるだろう。 Table 2 各条件における 1 回目通過,2 回目通過,不通過の人数,中央値,四分位偏差,及び検定結果 1 回目 2 回目 不通過 12 10 0 中央値 33.9 19.5 ― 四分位偏差 12.1 5.3 ― 16 4 2 中央値 24.8 16.9 30.5 四分位偏差 12.8 6.0 17.5 16 1 5 中央値 22.5 20.0 28.6 四分位偏差 13.5 0.0 15.8 19 1 0 中央値 26.0 21.0 ― 四分位偏差 13.5 0.0 ― 18 2 0 中央値 27.5 14.5 ― 四分位偏差 13.1 0.5 ― 16 1 3 中央値 22.5 49.0 29.0 四分位偏差 11.8 0.0 18.5 人数 直列 2 IQ 人数 直列 3 IQ 人数 直列 5 IQ 人数 交互 2 IQ 人数 交互 3 IQ 人数 交互 5 1 IQ 2 3 chi-square test, Mann-Whitney test, Kruskal-Wallis test ** * † p<.01, p <.05, .05<p<.10 − 278 − χ 2 (1) = 0.182 = 4.319 χ 2 (2) χ χ 2 (2) χ χ = 16.200 2 (1) χ 2 (2) χ ** 1 ** 1 * 2 = 19.900 2 (2) 3 2 = 12.800 = 2.500 3 ** 1 = 1.229 = 7.000 χ ** 1 = 2.608 = 16.455 2 (2) 2 (1) † 2 = 15.636 2 (2) 1 ** 1 = 2.499 3 中島,他 : Truck Loading Task を用いた知的障害者のプランニング 次に IQ との関連である。 2 課題目の直列 3 以降は Berg, K. W., & Byrd, D. L. (2002). The Tower of London spatial 第 1 試行で成功する群が圧倒的多数となり,第 2 試行 problem-solving task: Enhancing clinical andresearch で通過する群,第 2 試行でも通過しない群(失敗群) implementation. Journal of Clinical and Experimental の人数は少なく,またそれぞれの群間の IQ の差は明 Neuropsychology, 24, 586-604. 瞭ではなかった。61 名の知的障害児を対象にロンド Bull, R., Espy, K, A., & Senn, T, E. (2004). A Comparison of ン塔課題を検討した Hartman et al.(2010)は,課題の Performance on the Towers of London and Hanoi in Young 成績に IQ の高低が無関係であるという結果を示して Children. Developmental Cognitive Neuroscience Laboratory, おり,その知見を 1 つの側面からは支持するものであ 11. るだろう。一方,最初に行った直列 2 において,第 1 Carlson, S, M., Moses, L, J., & Claxton, L, J. (2004). Individual 試行で課題解決に至る群と第 1 試行では失敗するけれ differences in executive functioning and theory of mind: An ども第 2 試行で成功する群では,有意傾向ではあるが investigation of inhibitory control and planning ability. Journal 第 1 試行通過群の IQ が高くなっている。また,そも of Experimental Child Psychology, 87, 299-319. そもこの課題のルールが理解できた群 22 名とできな Danielsson, H., Henry, L., Messer, D., & Ronnberg, J. (2012). かった群 18 名の IQ の差も有意である。これらから, Strengths and weaknesses in executive functioning in children プランニング課題においては,IQ のような全般的な with intellectual disability. Research in Developmental 知的発達に関係する側面と,それだけでは説明されな Disabilities, 33, 600-607. い側面の両者があることが示唆される。それぞれがど Fagot, B, I., & Gauvain, M., (1997). Mother-Child Problem Solving: のような側面なのか,更なる検討が必要であろう。 Continuity Through the Early Childhood Years. Developmental 最後に手続き上の課題についてであるが,本研究で Psychology, 33, 480-488. は配置する手紙と家は同数にした。これはできるだけ Goel, V., & Grafman, J. (1995). Are the frontal lobes implicated in 多くの者を対象にしたいがゆえに手続きを簡便にした “planning” functions? Interpreting data from the Tower of いという理由によるのであるが,結果,手紙を 2 通配 Hanoi. Neuropsychologia, 33, 623-642. る課題の正答率は 1 / 2 となってしまい,通過者の中 Hartman, E., Houwen, S., Scherder, E., & Visscher, C. (2010). On に偶然成功した人が含まれたか可能性は否定できな the relationship between motor performance and executive い。今後はその点を改善した手続きで検討する必要が functioning in children with intellectual disabilities. Journal of あるだろう。 Intellectual Disability Research, 54, 468-477. Karpinski, A, C., & Scullin, M H., (2009). Suggestibility under pressure: Theory of mind, executive function, and suggestibility 付 記 in preschoolers. Journal of Applied Developmental Psychology, 30, 749-763. 測定にご協力頂きました実験参加者の方々,福祉支 援機関のスタッフの皆様に心から感謝申し上げます。 Masson, J, D., Dagnan, D., & Evans,J., (2010). Adaptation and なお、この研究の一部は The IASSIDD Asia-Pacific validation of the Tower of London test of planning and problem 3rd Regional Conference で 報 告 し た(Nakajima, Ikeda, solving in people with intellectual disabilities. Journal of & Okuzumi, 2013) 。 Intellectual Disability Research, 54, 457-467 McCormack, T., & Atance, C, M., (2011). Plannning in young 引用文献 children: A review and synthesis. Developmental Review, 31, Albert, D., & Steinberg, L., (2011). Age differences in strategic planning as indexed by the tower of london. Child development, 1 -31. Miyake, A., Friedman, N, P., Emerson, M, J., Witzki, A, H., 82, 1501-1517. Howerter, A. & Wager, T. D. (2000) The unity and diversity of Asato, M, R., Sweeneey, J, A., & Luna, B. (2006). Cognitive executive functions and their contributions to complex “frontal processes in the development of TOL performance. lobe” tasks: A latent variable analysis. Cognitive Psychology, Neuropsychologia, 33, 2259-2269. 41, 49-100. Atance, C, M., & Jackson, L, K., (2009). The development and Nakajima, Y., Ikeda, Y., Okuzumi, H., & Kokubun, M. (2013). coherence of future-oriented behaviors during the preschool Planning in people with intellectual disabilities as measured years. Journal of Experimental Child Psychology, 102, 379- using the truck loading task. Journal of Policy and Practice in 391. Intellectual Disabilities, 10 (2), 153-154. − 279 − Truck Loading Task を用いた知的障害者のプランニング Planning in People with Intellectual Disabilities as Measured Using the Truck Loading Task 中島 好美*・池田 吉史**・奥住 秀之*** Yoshimi NAKAJIMA, Yoshifumi IKEDA and Hideyuki OKUZUMI 発達障害分野 Abstract People with intellectual disabilities (ID) have been reported to have difficulty in planning. Among tasks that tap planning ability, the Truck Loading task has been used for children in preschool age recently. This study was conducted to assess the planning ability of adults with ID using the Truck Loading task. Participants were 40 adults with ID (30 men and 10 women; mean age = 33, SD = 9.8; mean IQ = 24.8, SD = 12.2). The Truck Loading task used in this study had house arrangement of two types : arranged in a straight line along a street and arranged by turns across the street. In each case, there were three levels: from two houses to five houses on the street. Participants were given two trials at each level, and it was checked by which it have attained between the first trial or second trial. Participants who were able to understand the rule and perform the truck loading task were 22 out of 40. The results were as follows: (1) The first level (two houses) showed little difference in the number of participants between first and second trials. However, at other subsequent levels, the number of participants who passed at the first trial was greater than those who passed at the second trial. (2) At the first level, the IQ of those who passed at the first trial tended to be higher than that of those who passed at the second trial. However, at other levels, no differences were apparent between the IQ of the first trial and second trial. Therefore, it was suggested that the first trial guides the participants and leads to a success in the second trial, even if the correct answer was not shown. The relation between task performance and IQ were also considered. Key words: Planning, Truck Loading Task, Intellectual disability, IQ Department of Special Needs Education, Tokyo Gakugei University, 4-1-1 Nukuikita-machi, Koganei-shi, Tokyo 184-8501, Japan 要旨 : 知的障害者のプランニングの問題が最近注目されている。その課題のうち Truck Loading Task は ,実験 参加者が郵便トラックの運転手となり ,家々にパーティーの招待状を配達するルートプランニング課題の1つ である。本研究の目的は Truck Loading Task を用いて知的障害者のプランニングについて検討することである。 実験参加者は知的障害者 40 名( 男性 30 名 ,女性 10 名 )で ,平均年齢 33 歳( SD=9.8 ),平均 IQ24.8( SD=12.2 )で * Graduate School of Education, Tokyo Gakugei University ** The United Graduate School of Education, Tokyo Gakugei University *** Tokyo Gakugei University (4-1-1 Nukuikita-machi, Koganei-shi, Tokyo, 184-8501, Japan) − 280 − ある。家の配置を直列配置と交互配置の 2 種類 ,家の個数を 2 個 ,3 個 ,5 個の 3 種類 ,2 × 3 の 6 条件を実施 した。40 名の実験参加者のうち 22 名がルールを理解していると判断され ,分析対象となった。その結果 ,最初 に行う課題では ,第 1 試行で正答した者と誤答した者が約半数ずつであり ,誤答者は同じ課題の第 2 試行で全 員正当に至った。次の課題からはほとんどの者が第 1 試行で正答に至った。IQ との関連については ,最初の課 題において ,第 1 試行で正答した群と第 1 試行では誤答したが第 2 試行で成功した群では ,第 1 試行通過群の IQ が高い傾向が示されたが ,その他の課題では IQ の影響はほとんど見られなかった。これらの結果から ,最 初の試行で方略を学習できる可能性 ,IQ の影響する側面などについて考察した。 キーワード : プランニング,Truck Loading Task,知的障害,IQ − 281 −
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