スライド 1

全国共同研究センター専任教員会議
福岡(九州大学)大会2005
独立行政法人事業を支援するロゴマーク作成に
関する共同研究と知財移転
湯本長伯 九州大学産学連携センターデザイン総合部門
CI
事業イメージ
ロゴマーク
著作権
商標権
知財移転
1.はじめに
平成16年度に、法人の事業を推進するため広くCI
活動を共同研究で行い、その中間成果として事業施
設のロゴマークを共同研究開発し、『著作権』として
の知的財産権を大学から法人に移転するという試
みを行ったので、大会にて報告する。
共同研究者の構成
(学)九州大学
①芸術工学研究院(視覚情報学部門)
②産学連携センター(デザイン総合部門)
(産官)中小企業基盤整備機構(中小機構)九州
2.研究期間
平成17年2~3月(~平成17年4月)
(平成16年度中に、主たる作業は終了)
3.研究の概要と目的
1)全体テーマ
共同研究全体のテーマは、
起業・ベンチャーインキュベーション促進組織のためのCI研究
である。
中小機構は、中小企業総合事業団・地域振興整備公団、
産業基盤整備基金の業務を統合し、2004年7月に発足し
たもので、ベンチャー支援、経営支援、共済等を行ってい
る。今回の共同研究は、全体計画の第一歩として、機構
が持つ『クリエイションコア福岡』という、起業・ベンチャー
インキュベーション促進施設にフォーカスして、その事業
を促進・支援するための様々なイメージ要素をアイデン
ティファイした。
また資料印刷や看板等の掲出予定
日程から、前述したようにかなり期間
を限定した共同研究となったので、当
初から最終出力はロゴマークに絞り、
その他は今後の継続研究に送ることと
した。
2)研究目的
知的基盤社会への変化と共に、新しい知の生産を行な
い、よってもって産業構造を更新して行く方策として、産学
連携によるベンチャー創出とその支援が求められている。
支援機関としての中小企業基盤整備機構が、これまでの
実績を踏まえて更にその活動を促進活発化して行くため
に、存在同一性(CI)研究の中で、どのようなイメージ作り
を進め、また形にして行くのが良いか、芸術工学研究院
視覚情報部門の蓄積・知見を踏まえて共同研究し、また
産学連携センターデザイン総合部門の感性評価技術を適
用して今後の新しい活動を導出し、ひいては成果を社会
的に還元することを目的とする。
今回の共同研究では、目的に沿った『ロ
ゴマーク』の設計に的を絞り、これを作成し
た後に様々な波及効果や施策拡大効果な
どを踏まえ、更に良好なイメージ形成を研
究することとした。
3)研究概要
前記のようなフォーカスに沿い、以下のような段
階分けで研究を進めた。
①中小企業基盤機構が社会的に求められる働
き・概念を枚挙検討
②それを踏まえてベンチャーインキュベーション
事業の最適イメージを検討
③以上からイメージマークを設計
④複数の被験者により、評価実験を行なう。
また後年度に可能ならば、制作されたマーク等の
使用状況とイメージ推移を追跡研究する(⑤)。
○マーク設計の手順
マークを設計/デザインする手順を、以下のよ
うに設定する。
関連情報 ⇒ キーワード ⇒ 絞込み ⇒ 2系
統のマーク試作
この際、クリエイションコア福岡(CCF)という言葉
を使い、違和感が無いこと。
また、当然のことながら、分かり易く良いイメージ
であること、などが条件である。
作品としては、2系統くらいを想定していた。
【ccfというロゴの変換系】
【イメージに基づく図形の転換系】
4)マーク制作工程
▽2月10日△ 中小企業基盤整備機構よりヒアリング。ク
リエイション・コア福岡に関する、求められるイメージ要件
を得る。
2月14~23日△ 情報収集⇒整理⇒分析 ⇒要素の相
互干渉⇒総合⇒評価⇒変換
以上の螺旋状・作業進行
▽2月24日△ プレゼンテーション
2月25日~3月7日△
最終デザイン ⇒成果物2案の清書
▽3月8~16日△ SD法による心理的評価
▽3月17~24日△ 評価データの多変量解析
3月31日△
最終プレゼンテーション2案⇒ 採用案決定
▽4月5日△ 版下入稿
▽ 心理的評価の母集団 △
(九州大学芸術工学研究院) 15名
(中小企業基盤整備機構) 20名
なお心理的評価には後述の17の形容詞対を用いた。
これまでの研究によって整理した3つのグループから、冗
長性を考慮し重複させると共に、少しずつ特徴を持たせ
たもの(一方のみ示している)。
4.研究内容の考察
多変量解析の結果、第3因子まで抽出さ
れた。
第2因子までで83%を説明、十分である。
因子
負荷量
累積%
1
11.038
0.649
2
3.148
0.834
3
2.814
1.000
回転(強調・先鋭化)後の因子負荷量
FACTOR FACTOR FACTOR
1
2
3
『力動性』
3つまらない0.995
0.0
0.0
2洗練された -0.966 -0.251
0.0
4女性的な 0.953
0.0
0.0
14冷たい
0.934
0.336
0.0
6統一された -0.920 -0.353
0.0
5滑らかな -0.877 -0.480
0.0
13スマートな -0.827 -0.432 -0.359
15さっぱりした 0.806
0.0
0.585
8親しみ易い -0.754
0.621
0.0
12東洋的な 0.671
0.643
0.369
『お澄ましで洗練されて女性的』
『動きや面白みはなく東洋的』
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
7質素な 0.258
9軽い 0.393
16閉鎖的な 0.0
17目新しい -0.520
0.951
0.912
0.816
-0.745
0.0
0.0
0.574
0.419
『質素で軽く見たことのない印象』
『重厚で見慣れた感じ』の反対
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
11単純な 0.323
10自然な 0.345
1静的な 0.572
0.0
0.0
0.0
『自然で単純で静的』
『人工的で複雑・動的』
0.943
-0.936
0.787
8.まとめ
以上の1・2因子により、4つのマークの心理
的評価量を布置してみると、綺麗に特徴が
分かれることが分かった。これを踏まえ、最
終案が決定した。
このプロジェクトは、さらに方式を検討した上
で、中小企業へのデザイン支援やその他の
事業として、展開を続けて行く計画である。
(マーク、及び、その評価の布置)
FACTOR FACTOR FACTOR
1
2
3
1 1.081 -0.190 -1.022
2 0.056 1.401 0.533
3 0.200 -0.972 1.125
4 -1.337 -0.240 -0.636
1
第2因子
2
11
4
第1因子
3
①案-1(最終案)
②案-2(不採用)
③湯本案
④中小機構全体のマーク