ヘリコバクター・ピロリ除菌療法について (PDF)

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薬の話
ヘリコバクター・ピロリ除菌療法について
ピロリ菌とは?
ピロリ菌は人間の胃の中に住んでいる細菌で、胃の粘膜を好んで住み着き、粘液の下にもぐりこんで胃酸から逃れて
います。
胃の酸度は
1~2と強く、ピロリ菌は生きられないのですが、ウレアーゼという酵素によって胃の中の尿素から
アンモニアを作り出して胃酸を中和し、自分の周りに中性に近い環境を作り出しています。
なぜピロリ菌を除菌するのでしょうか?
H.ピロリを除菌することにより、胃潰瘍、十二指腸潰瘍の再発を予防できることが分かっています。
除菌に使われる薬について
除菌には一次除菌と二次除菌があり、それぞれ三種類の薬が使われます。
一次除菌:初めて除菌すること
二次除菌:一次除菌で除菌できなかった場合におこなわれることがあります
☆一次除菌で使われる薬
次の①②③の薬を一日二回七日間服用します
①胃酸の分泌を強く抑えるプロトンポンプ阻害剤のいずれか一種類を服用します。
オメプラール錠 10mg
一回二錠
パリエット錠 10mg
一回
タケプロン OD 錠 15mg
一回二錠
②
ペニシリン系の抗生物質
一錠
H・ピロリに対して殺菌作用を示します。
サワシリンカプセル 250mg
一回三カプセル
③マクロライド系の抗生物質
H・ピロリに対して殺菌作用を示します。
クラリス錠 200mg
一回一錠(パリエット・オメプラールとの組み合わせ)
一回一錠又は二錠(タケプロンとの組み合わせ)
ピロリ菌は酸性だと生きられないのに、なぜ①を服用して胃酸を抑えるのでしょうか?
除菌に使用される抗生物質②③は酸性環境下では効力が落ちてしまうため、①のプロトンポンプ阻害剤を服用して、
胃の中での抗生物質の安定性を高め、抗菌力を増強させるのです。
上記三種類の薬を一日分ずつ一シートにしたパック製剤(ランサップ 400)もあります。
☆二次除菌で使われる薬
クラリスの耐性菌(薬に抵抗性を示す菌)の場合は
~ %の割合で一次除菌の薬の組み合わせでは除菌できないた
め、クラリスの代わりにフラジールを服用し再度除菌治療を行います。
この組み合わせで
%以上の患者さんで除菌が可能だといわれています。
ピロリ菌に対して殺菌作用・抗菌作用があります
フラジール錠 250mg
一回一錠一日二回七日間服用
服用上の注意
※
三種類の薬を服用することで、薬の効果が高められることが分かっているので、必ず三剤を服用してください。
※
薬は一週間飲みきってください。
※
飲み合わせのよくない薬があるので、飲んでいる薬は必ず先生に伝えて下さい。
喫煙者は非喫煙者よりも約二倍除菌失敗率が高いことが明らかになっています。
また喫煙は潰瘍ができる原因のひとつです。治療中は禁煙しましょう。
※
メトロニダゾールはアルコールを代謝する酵素を阻害するので、この薬を服用中にお酒を飲むと腹痛、嘔吐・ほて
りなどが現れる為,除菌を行っている期間中は飲酒を避ける必要があります。
服用中にでる可能性のある副作用
副作用で最も多く見られるのは「下痢・軟便」です。
症状が軽い場合には整腸剤などを併用することもありますが、ひどい腹痛や頻回の下痢があらわれたら、すぐに主治
医に相談しましょう。他に、過敏症(発疹など)、肝機能異常、味覚異常などが出ることもあります。治療中、体調が
普段と違うことがあれば、自分の判断で治療をやめたり我慢したりせず、主治医に必ず相談するようにしましょう。