畳製作 (有)イワ・ジョウ 岩堀 次士 さん

たくみ
探訪
「畳」には昔からの日本人の知恵が
込められている。
それを現代に伝えたい。
日本人はなぜか和室が落ち着く。
気軽に横になったり、
あぐら
をかくなどリラックスすることができる。
また、
茶室や床の間な
ど独特の凛とした空間も演出する。
長い伝統を持つ日本の住ま
いの中で、
和室はわたしたちに特別な空間を提供してくれる。
「畳」
は和室に欠かすことのできない優れた床材である。
岩堀次士さ
んは長年この畳の製作を通じて和室の優れた点を伝えてきた。
畳職人といえば、
ひじを畳について糸で畳を縫っていくとい
う姿を誰もが思い浮かべる。
しかし、
畳の製作も近年大きく変化
している。
オートメーション化の波が押し寄せ、
現在では機械に
よる畳作りが主流となっている。
また、
畳の中の素材である
「畳床」
も、
かつては藁による
「藁床」
が主流であったが、
近年はウレタン
素材による
「化学床」
が大きなシェアを占めるようになっている。
しかし、
「どんなに素材が変化し機械化が進んでも、
基本は手縫い。
」
岩堀さんが作った特殊な畳。
畳縁には紋縁が使われている。
と岩堀さんは語る。
畳の製作で最も難しいのが角
(スミ)
と縁
(ヘリ)
の加工である。
角をしっかりと加工していないと丸味が生じ、
メリハリのある
美しい畳にならない。
このため、
藁床などでは、
藁を巻き叩いて
「ひ
ねり」
という芯材をつくり、
それを畳床にいれることによってし
っかりとした角をつくりだす。
縁の加工にも高度な技術を発揮
する。
神社仏閣などで使用されている紋縁畳の縁には紋様が施
されており、
畳をはめ込んだときに2枚の畳の縁が合わさって一
つの紋様ができる。
この
「紋縁の型合わせ」
の技術は非常に難しく、
単に畳に縁を縫い付けるだけでは、
なかなか紋様がうまく合わ
ない。
岩堀さんは出来上がりをイメージし、
畳縁を湿らせたりし
ながら微妙な調整をして、
これを縫い付けていくのである。
近年、
生活の洋風化によって和室も減少しており、
畳の需要も
以前に比べ大幅に減っている。
しかし岩堀さんは
「畳は絶対にな
くならない。
むしろこれからは畳の良さが見直されてくる」
と分
析する。
「湿気を吸収し発散する畳は、
温暖多湿な日本の気候風
土に合っている。
こうした昔からの知恵を受け継いで伝えてい
きたいもんだね。
」
と熱く語る岩堀さんからは、
日本古来の文化
を守っていこうとする情熱が溢れていた。
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2003 APR Chamber
畳
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作
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堀
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さ
ん
岩堀次士さん
1927年福井市生まれ。市内の畳店で修
業の後、独立。畳一筋に50年、有職畳な
どユニークな畳も得意とする。6
'5年、畳
工1級技能士となる。7
'0年より福井県畳
工業協同組合理事長を12年間務める。