非上場株の評価損で損金要件を満たさず

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税務
非上場株の評価損で損金要件を満たさず
東京地裁、回復可能性がない旨の判断を納税者が行ったとは認められず
非上場株式の評価損をめぐり、法
人税法上の損金算入要件を満たし
ていないと判示。納税者の請求棄
却(平成 26 年 4 月 25 日判決)。
東京地裁、会計指針に基づき回復
可能性がない旨の判断を行ったな
どと主張する納税者の訴えを一蹴。
評価損は損金算入要件 2、4 を満たしてい
ないなどと判断し、嘆願には応じられない
旨を告知した。この告知を受け、納税者
は、損金算入要件を満たしているにも関わ
らず減額更正に応じなかったとして、国に
対して国家賠償請求訴訟を提起した。
訴訟において納税者は、本件非上場株式
について、1 株当たりの純資産額が取得時
法人税法上、非上場株式の評価損を損金
と比べ 50% 以上下落しているため、損金
計上するためには、損金経理による帳簿価
算入要件 2 を満たしていると主張。また、
額の減額(損金算入要件 1)
、株式発行法人
「金融商品会計に関する実務指針」に準拠
の 1 株当たりの純資産価額が取得時と比べ
して、帳簿価額の 50% 程度までの回復が
概ね 50% 以上下落(損金算入要件 2)
、事
見込めないと判断したのであり、損金算入
業年度終了時の価額が帳簿価額の概ね 50%
要件 4 も満たしていると主張した。
以上下落(損金算入要件 3)
、近い将来価額
この主張に対し東京地裁民事第 39 部の
の回復の見込みがない(損金算入要件 4)
、
小野洋一裁判長は、会計指針では回復可能
という 4 つの要件をすべて満たす必要があ
性が減損処理の除外事由として例外的な定
る(法法 33 ②、法令 68 ①二号ロなど参照)
。
めがされているため、会計上評価損を計上
東証一部上場企業である納税者は、当初
すべきとの判断がなされたからといって、
の申告で本件非上場株式の評価損を会計上
回復可能性の判断がされたと直ちに認める
特別損失に計上する一方で、法人税確定申
ことはできないと指摘。納税者が会計上の
告では課税所得へ加算
(自己否認)
していた。
減損処理をした際に、回復可能性がない旨
その後、納税者は、本件非上場株式の評
の判断を行ったと認定できる証拠もないた
価損は法人税法上の損金算入要件をすべて
め、本件非上場株式の評価損につき、損金
満たしていると判断。このとき、更正の請
算入要件 4 を満たしていると認めることは
求の期限が経過していたため、減額更正を
できないと判断した。
求める旨の嘆願書を数回に渡り、税務当局
そのうえで、小野裁判長は、減額更正を
に対して提出した。
すべき理由があるとは認められないとし
しかし、税務当局は、本件非上場株式の
て、納税者の国家賠償請求を斥けた。
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No.555 2014.7.21
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