第1高射群創立50周年記念式典における総隊司令官訓示 第1高射群の

第1高射群創立50周年記念式典における総隊司令官訓示
第1高射群の諸官、創立50周年おめでとう。先ずは、その歴史の積み重ねに深甚なる
敬意を表するとともに、心よりお祝いを申し上げる。
さて、本日ここに第1高射群が創立50周年記念式典を挙行するにあたり、航空総隊司
令官として、そしてBMD統合任務部隊指揮官として、一言申し述べたい。
今年は、航空自衛隊創立60周年の年である。航空自衛隊が誕生してから10年後の、
昭和39年4月、第1高射群は航空総隊に新編された。これは、航空自衛隊が、初めて地
対空誘導ミサイル部隊、
いわゆる高射部隊を保有したことを意味し、
航空総隊にとっては、
戦闘機部隊及び警戒管制部隊とともに、わが国の防空戦力の「第3の矢」を得ることとな
り、現在の防空態勢の原形が整ったと言える。
それ以来、高射部隊は、不意急襲的な航空侵攻に備えるため、防空待機を維持してきた。
また、平成21年4月に北朝鮮が人工衛星と称する弾道ミサイルを発射した際には、初
めてBMD統合任務部隊が編成され、第1高射群はその構成部隊として市ヶ谷基地に展開
し首都圏の防空という重要な任務を完遂した。第1高射群はそれ以来、BMD統合任務部
隊の重要な一翼を担ってきた。BMD統合任務部隊指揮官として、第1高射群は誇らしい
部隊であり、その精強さを力強く思う。
現在、わが国を取り巻く安全保障環境は、冷戦時代とはまったく異なり、北朝鮮では弾
道ミサイル発射実験や核開発が継続して行われ、東シナ海周辺では、わが国領空及び領海
への度重なる接近や侵犯が続く他、中国による防空識別区の一方的な設定等、力を背景と
した現状変更を試みる各種活動が拡大・活発化している。また、ロシアにおいても、ソ連
崩壊後、低下していたわが国への接近飛行や周回飛行が、近年再び頻繁に繰り返される状
況になってきており、まさに自衛隊の真価が問われていると言える情勢にある。
このような中、航空総隊は「我々がやらずして誰がやる」「今やらずして、いつやる」
という気概を胸に真摯に任務と向き合い、即応態勢を維持し、不断の警戒監視及び厳正な
対領空侵犯措置等に全力を尽くしているところである。第1高射群をはじめとする高射部
隊は、弾道ミサイル等破壊措置行動において完璧な任務遂行を実施したことにより、国民
から高い評価と多くの信頼を寄せられている。
しかしながら、経空脅威は弾道ミサイルのみならず、巡航ミサイル及びステルス性を有
する航空機等、多種多様なものであり、今後は戦闘機とともにこれらの脅威へも的確に対
処していくことが必要となる。特に、第1高射群は、わが国の政経中枢即ち日本の総人口
の約3割が集中する首都圏の防空を担任する部隊である。その責任の重さは他に比べよう
もない程大きく、任務の失敗は許されない。
第1高射群がこれまで諸先輩が営々と築き上げた歴史を礎とし、良き伝統を継承しつつ
も、従来の概念に拘泥することなく、戦術・戦法、訓練要領等を積極的に改革していき、
これからの弾道ミサイル等対処はもちろんのこと防空をもリードするという強い決意を持
って更に奮闘努力することを切に要望し訓示とする。
平成26年6月29日
航空総隊司令官
空 将
中 島 邦
祐