植生史研究第11巻第2り・p39−43 2003年9月 J 1 , . J ・ l l i s t o I ・ ・ B o t . 総説 中静透’:冷温帯林の背腹性と中間温帯論 TohruNakashizuka':Reconsiderationofcool-tcmpcratc deciduousfbresttypesinnorthemJapan 要旨森林型の分類と分布に関しては,これまで主として気候条件と優占種の生理生態的特性のみから議論されてきた。 しかし,近年森林動態や更新,長期の植生変化に関する研究が進み,気候条件と関連性を持った動物と植物の相互作用や 人間由来を含む撹乱などが重要であるとする指摘がなされている。日本の冷湿梢藩染広葉樹林については,ブナの優占す る森林梢が代表的とされてきたが,近年の研究を総合すると,ブナが優占する森林はもっとも湿潤(かつ多雪)な気候に 特異的に現れるものであり,Q"eノ℃'パ属などを主体とした混交林が冷加補では卓越していたと考えられる。’'1間湖帯林と して議論されてきた森林型もこれに含まれ,冬季の乾燥した気候,それに伴う山火半,あるいは人間活動などの影響を強 く受けたものである. キーワード:冷洲IWif然葉広葉樹林,中間温帯林,ブナ林,撹乱 Ab§trnctForcstlypcsandthcccologicalprocesseslofbmlthcmhavcbcclldiscusscdmaiI'lybysimplceco‐ physiologicalpropcI・tiesofthedominantspccies、Rcccntstudicsoncool-tcmpcmlclbrcslinJapan,howcver, havcdcmollstmtcdthcimportaI1ceofotherprocesseslikeplant-animalintcraction,natumlalldhuman disturbancc,andgcologicalhistory、Rcviewingthesepape1.s,Iproposethrccmaintypcsofcool-temperate dcciduousibrcs鵬,commonlydistributinginEastAsia;MixcdDcciduousForcsl,BccchForestandMixed Coni化randDcciduousB1・oadleafForest・BeechfbrestdistributesinmoslhumidaI・cas,Theintemlediate temperatcfbl・cst,whichwasconsideredasinterzonalbetweenBeechlbrestandWaImTemperale(Evergreen) lbrcst,shouldbcincludcdintothcMixeddeciduousfbrest,whichcommonlydistributcsinaI・easwithrelatively dry,andconlincn脳lclimaに.Havingdrierclimatc,thcMixcddcciduousfbrcstisa縦ctcdbynI・cdisturbancc, alldhumanlanduscinrecentsevel・allhousandyears,whileBecchfbrcsthasdisturbanccl・cgimconlywithlree fklllgap・Spccicscompositionanddisturbanceregimeoi、themareanalogouslothoscineaslemNorthAmeriCa・ KeyWord5:disturbancc,RJgIパcノで"αIα,tcmperatedeciduouslbresl,inlemledialclcmpcI・alcibresl 日本の植生の背腹性に代表される問題点 日本海側ではブナの優'』i度がT司<,その反面樹木の多様性 日本の植生が,脊梁山脈を境界に日本海側と太平洋側とい 植生が,脊梁山脈を境界に日本海側と太平洋側とい は太平洋側より低い(Nakashizuka&Iida、1995)。また,植 うふたつの明瞭なタイプに分類できることはよく知られてい 生史としても岐終氷期以降に│_│本海側で積雪量が増えるのと る。日本海側の多零な冬と太平洋側の乾燥した冬という明瞭 時を│司じくしてブナの優占度がl棚I1してきたとも言われてい な気候条件の錐は,この気候条件によって植生タイプが形成 る(安田,1985;内山,1998)r1積雪の多寡がこのような森 されることを疑わせない。しかし,これまで植生タイプの成 林の組成や構造を変える原肱│についてはいくつかの仮説があ 因は主に植物の気候条件に対する生理生態学的特性のみから るものの(本間,1992),多くは優占度や分布と気候条件の 説明されてきたため,その論理のみからでは説明のできない 対応関係の解析やそこからの推測にとどまり,その生態学的 点をいくつか残すことになった。冷温帯林の背腹性に関係し メカニズムの検証例は少なかった。 た,このような│M1題点は,1)日本海側と太平洋側のブナ林 従来,日本の植生は降水城による制限を受けることなく, という顕著な違いが生ずるメカニズム,2)太平洋側におけ あたたかさの指数(Kira,1991)のような温度条件の差に るいわゆる中間iM帯林(鈴木,1961)の位置付けとその成 よってほぼ説明できるとされてきた。冷温帯を代表する樹木 因,3)北海道におけるブナを欠くブナ帯の森林の位置付け はブナであり,日本の冷温帯は優占する樹種で代表されてブ などに集約できるだろう。この特集では,とくにl)と2) ナ帯とも呼ばれてきた。しかし,太平洋側の照葉樹林(暖温 について最近の知見をもとに考えてみたい。 帯常緑広葉樹林)とブナ林の間にはブナの優占しないゾーン i〒602-0878京都市上京区丸太通り河原町高島町335総合地球環境学研究所 RcscarChlllstilulcfbrHumanilyandNalure,335Takashima-Cho,Kamigyo-ku,Kyoto,6()2-()878,Japan 4 0 植生史研究 第11巻第2号 があり,吉良(1949)は暖かさの指数では暖温帯に属する 気候条件としては,温度,降水パターン,積雪量が大きく ものの気温の年較差が大きく,常緑樹林が成立しない暖温帯 異なっている。太平洋側はより大陸的気候となり,冬の最低 落葉広葉樹林とよび.寒さの指数を使って分類できるとし 気温が低く,乾燥して,積雪が少ない。このため,太平洋側 た。鈴木(1961),はこれを中IⅧ、i帯と呼び,山中(1979) のブナの種子が冬の乾燥で死亡したり,実生が低温によって もそれを踏襲している。このゾーンが中間ilni帯にほぼ相当 枯死したりすると言われてきたが,太平洋側のブナは発芽時 し,クリ帯,モミ帯などと呼ばれたりもしてきた。しかし, 期などの適応で,実際には乾燥害があまり効かないという実 野'11奇・奥富(1990)では,暖況帯や中間温帯という温度域を 験例もある(Marutaeta1.,1997)。一方,日本海側では大量 越えてさらに低温域まで同様の森林帯を認める見解が提出さ の積雪による雪圧に耐えきれない樹種は生育できない可能性 れている。同じように北海道の平野部では,あたたかさの指 が指摘されている(Homma,1997)。積雪の影響は,このよ 数では冷温帯に属する広い地域でブナを欠く(渡辺、1994)。 うな生理生態的,あるいは物理的な影響にとどまらない。雪 ブナを欠く冷温帯林の成立には柿Al皇史的な要因もあるが(内 があることによって冬の稲j'・捕食活動が制限されたり,病菌 山1992),やはりブナの優占する地域よりはやや乾燥して に対する感染条件が変化するという生物間相互作用の変化も 最低気温の低い冬のある大陸的な気候下にある。 もたらしている(本間,2003)。 また,こうした問題が現在まで残されてきた理由のひとつ 気候条件が異なることは何時に撹乱レジームカ違いを引き として,人間の土地利用がある。|│本海側では比較的遅〈ま 起こす(Nakashizuka&Iida,1995)。冬季から春先にかけて で原生林もしくはそれに近い状態の森林が残されてきたが, 太平洋側ではそのような森林はすでに少なく,原植生を知る の乾燥は.太平洋側の森林で山火事の頻度を高める(井上, 1950)。’11火事の頻度はn本海側のブナの優占する地域と太 手がかり自体が限られている。このような土地利用には,気 平洋側とでは明らかに異なっている(図l)。また、黒ボク土 候条件と結びついた土地利用を考慮する必要もありそうだ は火111灰を基質として草原植生が長期間維持されることで形 (大住,2003) 成されるが(Kawamuro&Toriil986・石塚ほか'999),その このように冷温帯の森林の背腹性には,いまだ解決されな 分布は太平洋側に{llliiっており,土壌形成が起こるような長期 い問題点がある。近年,太平洋側の柚生に対する理解や植生 にわたって草原柿生が維持されていたことを示唆する。この 史の解析が進みつつあり,植堆タイプが形成されるメカニズ 草原は,先史時代の人間活動による山火事の可能性が高い ムなどについて新たな考察が可能となっている。そこで,こ が,日本海側ではこのような火事は起こせない。というの の特集では本間氏に日本海側と太平洋側のブナ林の成立機構 は,山火事は気候的に乾燥する2-4月に起こっており,日本 を,大住氏に太平洋側の冷況帯林の成立に関する人間活動の 海側の地域ではこの時期乾燥もしていないし,標高の高い地 影響を,そして内山氏に中間iM帯とよばれた地域の植生史に 域ではまだ積雪に覆われているからである。 ついてそれぞれ最新の知見を紹介していただくことにした。 太平洋側の冷枇帯ではコナラ,クリ,シデ類などいわゆる 中間温帯要素の樹種からなる発達した林がまれに見られる 日本海側と太平洋側の冷温帯でどんな条件が異なるのか (Masakictal.、1992:NakashizukaetaLl992:野碕・奥 ところで,日本海側と太平洋側で異なる条件,あるいはそ 富、1990)。しかし.これらの樹種の実生は発芽後l‐2年の れらの条件が植生タイプの形成に働くメカニズムを整理して 死亡率が高く,実生バンクはつくらないし,大きな林冠 おこう。両者で異なる条件は,l)歴史性,2)気候条件,3) ギャップや伐採跡地などでない限り旺盛な更新はできない 撹乱レジーム,そして4)人間活動の影響にまとめることが (Nakashizukaeta1..1992:AbeetaLl995,飯田,2001)。 できる。 したがって、これらの樹種は'1本海側におけるブナのよう 歴史的条件としては,大住(2003)が指摘しているよう に,林冠ギャップのような穏やかな撹乱による更新ではな に,山地の成立年代がまず異なっている。太平洋側の北上・ く,大規模な撹乱に依存した樹種ということができる。従 阿武隈山地の成立は中生代に遡るが,H本海側の│」│地は火山 が多いほか第三紀の地層やグリーンタフなど地質学的に新し 来,日本の植生の形成には111火事の影響はあまり論じられな かったが(例外的に本多,1912),太平洋側では重要な役割 い山地が多い。このことは,潜在的な種のプールそのものが を演じてきた可能性がある。 異なっている可能性を示唆し,H本の柿物区系にも反映され このように''1火事頻度の高い太平洋側の気候は,人間に ている(堀田,1974;前川,1977)。さらに,氷期・間氷期 よって容易に改変できたであろう。現在,原生状態に近い森 を通じた気候変動のなかで種が経験してきた歴史も違う可能 林のほとんどが││本海側や高標高地域に限られるのは,この 性がある。たとえば,日本海側のブナは遺伝的には均質で分 ような理由が大きいのではないかと考える。中世から近世に 化していないが,太平洋側のブナは産地ごとに遺伝的分化を している傾向がある(TomaructaLl998)。 おいては,農耕用の馬や牛の産地の多くが太平洋側にある。 また、近代における針葉樹人工林への転換も日本海側より太 冷温帯林の背I雛kとI{」間齢帯論(巾静透) 4 1 0 【。 宜冒 蒋嚇 骸簿 b● “婚 『 〃・ロ 、 禰繊 蕊蕊 ●■巳凸。曙、 号・‘'b・号菟# L ● ‐ ● 、 . I , M l I I I 岬 J 1 ノ ブ ナ 優 占 林 |温帯混交落葉鮒 【 。 . 群《塀, 蓬 河 図1冷温帯落葉広葉樹林の分布と山火事発生地.ブナ優占林は,I│本海側のブナ林をさし,混交落葉広葉樹林はいわゆる中間温帯林 を含む太平洋側の温帯落葉広葉樹林をさす.野嵩・奥富(1990)を参考に描く.山火事の記録は井上(1950)による. 平洋側でより容易であった。大住(2003)にみるように, 明治後期の北上山地にはかなりの面積の草地や無立木地が存 グローバルな視点での冷温帯林 日本の冷温帯林を東アジア全体の視点から見ると,実はブ 在したし,阿武隈山地でも藩営の牧草地が広く存在した ナの優占する森林よりナラ類の優占する森林のほうが一般的 (Suzuki,2002)。現在,これらの草地や無立木地の多くは森 であることがわかる。中国大陸,朝鮮半烏,日本列島などの 林になっている。 森林の種組成と気候条件,自然撹乱を比較すると,東アジア の冷栃滞林は表lのようにまとめることができる。日本で冷 このように,冷温帯林の背腹性を形成する要因は気‘候条件 だけではなく,多くの要因が並行的に関わっている可能性が 高い。また,気候条件が関わるメカニズムも生理生態学的な ものだけでなく,生物間相互作用や撹乱などを通じた間接的 なものである可能性がある。 温帯林の代表樹種と考えられているブナの優占林は,水平的 な成帯分布としては日本の多雪地帯にあるだけである。中国 大陸のブナ林の多くは,水平的には暖温帯の山地にあり,水 平分布帯を形成しない。これらの地域は山地であることに起 因する湿潤な気候をもち,日本海側の気候と共通性がある。 植生史研究 4 2 属レベルでの組成と気候,撹乱レジームの複合体は,東ア 第11巻第2号 や先史時代の人間活動の影響が大きい,と考える。温度条件 ジアと北米の冷温帯林とで共通性がある(Runkle、1990)。 としては,吉良(1991)のいう暖温帯落葉広葉樹林だけで 北米でもブナの優占する森林は五大湖東岸の湿潤な地域だけ なく,野寄・奥富(1990)の論じるように,もっと温かさの であり,その更新は林冠ギャップを'│」心とする。その周辺に 指数が小さくても冬の降水量の少ない地域ではほぼ同様の植 はブナ優占林地域よりずっと広い地域をカバーするナラを中 生タイプが成立する,と見るべきであろう。その意味では, 心とした地域があり,ブナ優占林地域より乾燥し,山火事に このタイプの森林は温帯の温度条件で細分されるべきではな 依存した更新が起こる。属レベルの特性としてナラ属はブナ く,「温帯落葉混交樹林」とでも呼ぶべきなの、も知れない。 属より乾燥した地域に分布し,大規模な撹乱に依存した性質 あるいは,温帯落葉広葉樹林の中で,優占樹種が明確になる を持つことは共通している。’'1火事には人'1Mの影響が強いこ 特異的な森林としてブナ林を位置づけるのがいいのかも知れ とも共通し,ナラ属の繁殖開始がlii.〈萌芽性に富む生活史上 ない。 の特徴は,山火事などの撹乱に対する適応とも考えられる いずれにしても,ブナの優占しない落葉広葉討林の更新は 大きな撹乱に依存している。このような植生の場合には,極 (AbramsetaLl998)。 相林の考え方も微妙である。ナラ類,シデ類,クリなどの樹 「ブナ帯」という分類のもたらした誤解 木はいずれも大きな撹乱を前提として優占してJ1る樹種であ したがって,冷温帯落葉広葉樹林をブナで代表させること り,ブナのように実生バンクを形成して林冠ギャップで更新 は,グローバルな視点からはむしろ一般的でないと考える。 する極相種ではない(MasakictaLl992:Abe,ctal.、 本州の日本海側の気候は.一年を通じて湿潤であり,この緯 1995、飯田2001)。では,この地域で大規模な撹乱を欠い 度や年平均気温では例外的に多雪な気候である。ブナはこの た場合には,どのような樹種が優占するのか?もしかする 気候に特殊化することで例外的な優Ili度を得た樹木であっ と,先史時代の人間活動の弱かった地域には撹乱に対する依 て,水平分布帯としての冷枇帯はこの気候域よりもずっと広 存度の小さな樹種の優占する林分が存在した両.能性がある。 い。したがって,気候変動の中ではこの条件が実現されない 私の個人的な推測になるが,カエデ類が有力だと思う。カエ 時期が生じ,そのときにはilnIJ史的には冷肺│Wでもブナが優占 デ類は太ハ│弾側の落葉広葉樹林にも出現頻度が高く,かつブ しない(内山,1998)◎現イ1;の気候で,|│本州11'1の森林で圧 ナ以上に耐陰性が強いので実生バンク形成も行う(Masaki 倒的にブナの優IIi皮がWiかつたこと,ナラの優占する気候域 eta1.,1992:Abe,etaL1995)◎北米でもサトウカエデ ではすでに開発が進み,原生│'ルな森林が消失してしまってい 側Ce(αccルαノw"?)の優占する場所は広い(Rllnkle’1990)。 たことなどが,冷枇帯=「ブナ術」という誤解を生んだと考 北海道のブナを欠く冷温帯林でも,エゾイタヤやアカイタヤ える。 がある程度優占するのは,このアナロジーとして興味深い。 中間温帯林あるいは暖ilIi'勝落葉広雌樹林とは,実は暖温帯 の北部から冷温帯のやや乾燥する気候下でむしろ一般的に成 立する森林であり,その成立には'11火事などの大規模な撹乱 ただ,カエデ属の場合には花粉化石としてはあまり出現しな いため,花粉分析などによる確認がむずかしい. ついでに根拠の薄い推測を許していただけれま、モミ帯と 表1束アジアの冷湖帯落葉広葉樹林の組成と撹乱レジームに関するまとめ 混交落葉樹林 優占種 g"e(wJ属 Q"p/""s属 ブナ林 及呼ィScノゼ"α/a 針広混交林 g"e庇WS属 P/“α属 “/“属 Pj""s属 AC”属 枕多様性 問い 低い 商い 撹乱レジーム 林冠ギャップ 林冠ギャップ 林冠ギャップ 山火事 111火輔 大規模風倒 11本での分布 本州太平洋側 北海道低地 東アジアでの分布中にl中北部低地 朝鮮半島低地 本州日本海側 北海道渡島半島 本州山地帯上部 北海道低地 中国中部山地 中国北部 朝鮮半島山地上部 冷湿帯林の背腹性と中間湿補論(111静透) いう成帯構造が発想されたのは,太平洋側の暖温帯一冷批梢 域の地質的特性によるのではないかと考えている。モミの史 新は土壌撹乱を受けた場所に限られるため,阿武隈山地の下 部の急l唆な地形をもつ地域には出現するが,1部の土壌が発 達した緩やかな斜面には出現しない。あるいは,仙台周辺で は芳くて地すべりの多発する地形域で州現する。つまり,阿 武隈山地の下部は暖温帯常緑樹林,上部は冷温帯という洲般 的な境界域にたまたま急峻な地形があったために,成帯榊造 のような捉え方になったのではないかと思う。他の地域で兇 ても,モミーツガ帯の成立する温帯域は中央構造帯沿いに あって,地形的に不安定な山地に多いのではないだろうか。 このように,日本の冷温帯林の背腹性という問題点は,気 候条件と樹木の生理生態という単純な説明だけではなく,気 候条件によって生ずる生物間相互作用や,撹乱レジーム,人 間活動の影響,地史などが複雑に関わっている問題である。 まだ仮説の域を出ていない段階であり.今後の研究の方向と して興味深い視点を数多く含んでいる,と考えている。 4 3 6 9 L 8 9 . 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