急性腹症に対する体外式超音波検査の有用性と課題 ― 三浦 大輔 ほか

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急性腹症に対する体外式超音波検査の有用性と課題
急性腹症に対する体外式超音波検査の有用性と課題
○三浦 大輔,木村 可奈子,山内 真紀子,原田 雅浩,松本 佳隆,﨑田 光人
真紀子,原田 雅浩,松本 佳隆, 田 光人(医療法人 徳洲会 福岡徳洲会病院)
○三浦 大輔,木村 可奈子,山内(医療法人徳洲会 福岡徳洲会病院)
【目的】従来から支持されている体外式超音波検査(以下
【結果】637例中、USでの有所見者は380例(59.7%)で、う
US)の非侵襲性、簡便性に加え、近年その分解能が飛躍的
ち消化管疾患群は240例(63.2%)であった。最終診断との一
に向上したことで消化管病変の評価が可能となり、急性腹
致率は93.0%(360/387)、CT診断との一致率は86.7%
症における消化管病変もUSで十分評価できるということが
(163/188)で、特に消化管疾患群における最終診断との一
次第に明らかとなってきた。しかし、急性腹症においては
致率は95.9%(234/244)と非常に高かった。特に消化管疾患
CT検査に依存が強いのが現状であり、消化管疾患を含めた
では急性虫垂炎、大腸憩室炎では陽性的中率は100%であっ
急性腹症に対するUSの具体的な有用性を示した論文は僅少
た。USでのみ指摘できた症例は、空間及び時間分解能の優
である。そこで、今回我々は消化管疾患を含む急性腹症例
位性を活かした症例が多かった。一方で、深部の病変、壁
において、USの有用性を検証するとともに、CTとの診断不
肥厚に乏しい胃潰瘍、早期の絞扼性イレウスなどが陽性的
一致例を提示し、その問題点を検討した。
中率を下げる一因となっていた。
【対象と方法】対象は2011年4月から2012年10月までに当
【考察】急性腹症に対し、USの有用性が示唆された。ま
院を受診した急性腹症患者637名とし、超音波診断は消化
た、同時に消化管超音波に対する有用性を示唆する結果と
管疾患群及び非消化管疾患群に群分けして後ろ向きに検討
なった。検者が、何がUSで評価できて何が評価できないの
した。USは原則無処置で行い、1.超音波診断と最終診断
かを考え、CTや内視鏡など各モダリティの特性を理解した
との一致率、2.超音波診断とCT診断との一致率、3.超
うえで、次行うべき適切な検査を助言できることが必要で
音波診断と最終診断及びCT診断との不一致例の考察を行っ
ある。さらに、臨床検査技師が急性腹症の超音波診断を行
た。なお、CT読影は放射線科専門医の診断を、最終診断は
うことは、USの価値を高めるとともに臨床検査技師の存在
超音波検査依頼医の臨床診断を引用した。
意義を高めることに寄与すると考える。連絡092-573-6622