微粒化Vol、6,No.16(1997)140 研究論文 鼠撫嘉 ディーゼル噴霧の初期発達過程と噴霧周辺の粒径分布 lnitialDevelopmentofDieselSpraysandSpatial DistributionofFuelDropsintheOuterLayer 季文哲,鈴木豊彦,落合義孝,小田哲也,、遥征一 (WenzheLI)(ToyohikoSUZUKI)(YoshitakaOCHIAI)(TetsuyaODA)(SeiichiTANABE) 鳥取大学,鳥取大学,鳥取大学,鳥取大学,鹿児島大学 (TottoriUniv.)(TottoriUniv.)(TottoriUniv.)(TottoriUniv.)(KagoshimaUniv.) D i e s e l 血 e l w a s i n j e c l e d i n l o o b s e r v a l i o n v e s s e l w h i c h w a s i m 1 o f h i g h p 1 r e s s u l r e N z g a s a t r o o m ‐ t e m p e r a t u ] r e ・ B y u s i n g t h e p u ] s e l a s e r s o u l r c e a n d b a c k 夢 o 皿 d p h o t o g r a p h y , t h e d i e s e ] s p r a y s w e r e p h o t o g l r a p h e d ・ B a s e d o n t h e s e p i c m r e s , t h e i n t e m a l s t m c t u r e a n d m a c r o s c o p i c c h a r a c f e r i s t i c s o f s p r a y s w e r e d i s c u s s e d ・ M o r e o v e l r , t h e d r o p d i a m e 1 e I s o f t h e s p r a y s w e I e m e a s w e d a t I h e o u 1 e r s i d e o f l l l e s p r a y s , a n d 1 h e h e q u e n c y d i s i r i b u t i o n s o f d r o p d i a m e t e r a i d i 碇 l 〔 e n t s p r a y c o n d i l i o I 1 s a s w e l l a s t h e S a u t e r m e a I 1 d i a m e I e r a t 〔 l i f ( e r e n t i i m e a l i e l r i n j e d i o n w e r e i n v e s i i g a 1 e d . ’ I 1 1 e p r o m e o f S a u l e r m e a n d i a m e t e l r o f s p a t i a l l y d i s I r i b u t e d d r o p s i n a l l i g h p r e s s u r i z e d N 2 g a s w a s d i f f b r e n t f o m l l l e p r o i i l e i n a n o l l p r e s s u r i z e d N 2 g a s . K匂ノw7ds:DieselSpray,Fuellnjeclion,DropImageAI1alysis,DropDiameter, S p a l i a l D i s t r i b l I t i o n , S p m y S h a p e 噴射中期になると両者に差がみられるようになり,雰 1.まえがき 囲気が高圧になるとi薗摂の大きい液滴の個数制令が多 ホールノズルから高圧雰囲気へ噴射した液体燃料の くなることがわかった.噴霧内部では,噴霧の運動に 分散や微粒化は,直接噴射式ディーゼル機関内におけ よって誘起された雰囲気の流れによる液滴のランダム る燃焼や排気ガスの形成過程に大きく影響する.そこ な移動や,液滴同士の合体が起こっており,局所的な でディーゼル噴霧を対象に,多くの可視化や液滴径な 空気と噴霧の混合状態が粒数頻度に影響するものと想 どの測定が行われてきた(1)∼(6).ところが,噴霧と周 像できる. 囲雰囲気との混合過程については充分にわかっておら 本報では,液滴の空間分布と噴霧形状の関連性を探 ず,噴霧の形状と空間的に分布する液滴径との相関に る目的で,まず常圧雰囲気下における噴霧形状と高圧 ついては未解明部分がある. 雰囲気下における噴霧形状の比較を行った.そして, 単孔ホールノズルから燃料液体を定容容器へ1回噴 噴霧側面に存在する液滴のザウタ平均粒径の空間分布 射すると,常圧雰囲気中と高圧雰囲気中とでは,同一 を測定し,噴霧形状と時間的に変化するザウタ平均粒 の噴射圧力であっても噴霧の外観が異る.例えば,常 径の空間分布の関係について明らかにした. 圧雰囲気中では,噴射方向に長く伸びる複数の液滴群 が噴霧を櫛成している.それに対して高圧雰囲気中で 2.実験装置及び方法 は,巻き渦状の輪郭を成す多数の液滴群が噴霧周囲に 形成されている.著者らは,これらの噴霧を対象にし 実験装置の概略を図lに示す。まず,ディーゼルポ て噴霧の影写真を撮影し,独自に開発した方法で得ら ンプによって圧送された燃料の軽油を,噴孔径。=0.24 れた影写真を画像解析して噴霧側面に存在する液滴の 粒数頻度を測定した(7).すると噴射直後では,高圧雰 m,管長比L/d二2.5の単孔ホールノズルから圧力容器 囲気中における噴霧の粒数頻度と常圧雰囲気における 図1からわかるように圧送された軽油は噴射弁の入り 内の窒素で加圧された静止雰囲気中に1回噴射した. 噴霧の粒数頻度とに顕著な差はみられなかった.一方, 口において圧力センサを通過するようになっている. また,ノズルの針弁にはニードルリフトセンサが固定 原袖受付:1997年12月10日 されている.怖内爪センサによる橘内派力と,針介リ ( 5 ) 141微粒化Vol,6,No.16(1997) フトセンサによる針弁のリフト量を図2に示す.今回 はノズルの開弁圧を24MPaとした.なお,燃料の噴射開 始時間を針弁が上昇を開始する時間と定義した. 一方,ノズル入り口における管内圧センサからの圧 力信号を遅延回路に入力し,所定の時間後に波長337. 1nm(紫外光),発光時間I5nsの窒素レーザを発光させ た.そして,この紫外光をローダミン6Gの入ったダ イセルに入射させることによって得た波長550,m(可視 光)のレーザーピームを平行光として噴霧に照射させ て影写真撮影を行った(7). '9,s spr8ych8mb9r 上記の方法によって得られる影写真から雰囲気圧力 が噴霧外形におよぼす影響を定性的に知ることができ Fig.1ScheInaticdiagramof る.このような定・性的な知見に加えて本報では定量的 experlInentalapparatus. な結果を得るため,影写真(ネガフィルム)の各液滴 像に対する写真濃度を解析して液滴径を測定した(7). E I U わち噴霧周辺に存在する液滴のみが解析対象となる. 豊60 3 ー 、 メ 霊 w ヘ 、 I 8 3.実験結果および考察 lOOO Time 3.1噴霧形状に及ぼす雰囲気圧力の影響 FD た ( 7 ) . 雫一一①もの①之 噴霧の影写真に対する本方法の測定誤差は約14%となっ i B、 5 ワ﹂ ①﹄.のの①﹄匹 ので,ネガフィルムの解析過程で焦点面上の液滴像を 焦点面外の液滴像と区別した.このようにすることで Injectionpressure P=24MPa 02 0 4 なお,本解析法では焦点面上の液滴以外は測定不能な d=0.24mm N=600「pm 団 EE ただし,個々の液滴を区別して確認できる部分,すな 2 2000 1 − l S Fig.2Dieselinjectioncharacteristics. 3.1.1噴霧の到達距離,および噴霧角図3に噴霧 形状におよぼす雰囲気圧力の影響を示す.高圧雰囲気 巾と常圧雰囲気中では噴霧形状が異なっているが,こ 減少している.それに対して高圧雰囲気の場合,すな わちP風=2.OMPa,および4.0MPaの場合の噴霧角をみると, 約80胆以前では雰囲気圧力の低いP慰二2.0MPaの場合の のことについて述べる前に,噴霧の到達距離と噴霧角 噴霧角が大きくなっており,約80/』s以降になると雰 囲気圧力の大きいP趣=4.OMPaの場合の噴霧角が大きくな について述べることとする. 図4は図3のような影写真から得た噴霧の到達距離 Lpである.雰囲気圧力P風が増加すると到達距離が小さ っている.しかし,噴霧角の増加,減少の傾向は同様 くなっている.しかも,常圧雰囲気中での噴霧の場合, であるつまり噴射開始直後では噴霧角が増加してい 高圧雰囲気中の噴霧に比べて到達距離の増加割合が大 るが,直ちに極大値をとった後に減少する.この噴霧 きいこのような性質については,従来の研究によっ 角の減少割合は時間とともに小さくなり,約800βs以 て明らかになっている。 降になると一定に近くなっている. 噴霧の到達距離は噴霧先端付近を運動する液体と周 図5で示したような雰囲気圧力による噴霧特性の違 囲雰囲気によって決定されるといえるのに対して,噴 いは,噴霧が固有に持つ乱れや,噴霧周辺に分散して 霧角は噴孔付近で形成された液滴と,その側方の雰囲 いる液滴の直径,噴霧と周囲雰囲気との混合状態に関 気との混合状態によって決定されるということができ 連しているものと想像できる.特に,噴霧と周囲雰囲 る.噴霧角‘も到達距離と同様に図3のような影写 気との混合状態は噴霧外形や噴霧の内部柿造に関係が 真から得ることができ,図5のようになった.この図 あるといえる.そこで,噴霧形状の観察を行うことと では常圧雰囲気,すなわち雰囲気圧力P菖が0.lMPaの場 した. 合,今回の測定期間では噴霧角が時間tとともに単調に 3.1.2噴霧周囲における液滴の分散挙動 (a)噴霧先端における挙動雰囲気圧力P圏が0.1 ( 6 ) 微粒化Vol、6,No.16(1997)142 のようなリガメントはみえていないようである.しか Mpaの場合(図3(a)),時間t=80侭の矢印S'のとこ ろに写真濃度の大きい部分がみえる.t二192胆になる し,図3では噴霧先端を観察することが困難なので, と,写真濃度が大きい部分の先端s2にリガメントが噴 図6に拡大写真を示す. 射方向に伸びているようにみえる.それに対して,雰 常圧雰囲気の場合(図6(a)),t二48膿の矢印A1の 囲気圧力が大きくなると(図3(a),および(b)),こ 部分には先端の形状が球状の液塊がみえる.これは噴 射開始後直ちに噴孔から噴射された液体が周囲の静止 雰囲気中を進むうちに,液塊の側方において反進行方 ロ 向のせん断力を受けたためといえる.この球状液塊の Z 1 0 2 0 30 後方には,A2のような液滴群がみえている.t=96唾 典灘 における噴霧の先端から約3mmまでの輪郭はV字型とな っており,その周辺部分B2に液滴がみえている.この V字の先頭部分にも液塊がみえており,BIのような突 起が出ている.t言128顔の噴霧の先端から約3mmの輪 郭もt=96,usの場合と同様にV字型の輪郭となってい るが,このV字型の先端C,では分裂がそれ以前よりも 灘 進んでいるt=176庫においても噴霧先端から約4mm 40 の施開の輪郭がV字刑になっているが,このV字の角 mmt=80Ust=・1921J1st=292Ust=3971J1s 度はそれ以前よりも大きくなっており,噴霧の幅も大 (a)PユニO-1MPa 1 0 1 #今年 I I i I : 60 “酎一 q②画 E 1 0 蝿 qJ ,人・DL E K O ] E40 ②Pa=0.1MPa 副0 鰯 制涌 oPa=2.OMPa 2 6m P=24MPa 0 4 0 0 8 0 0 1 2 0 0 TimeI-ls 40 mmt:=80Ust=2401Jlst=480Ust=80011s Fig,4Effectsofambientpressure onspraytippenetration. (b)P風=2.OMPa 0 1 0 2 0 令Pa=4.OMPa 30 蝋 Ⅱ P=24‘OMPa●Pa=0.1MPa 。20 の ロ 30 elO 曲課j ...《 矛舞侭捗. 認 DIrectionofA 0常う4008001200 40 TimeUs mmt=8011st=2401」st=480Ust=800us Fig、5Effectsofambientpressureonspray (c)P瓜二4.0MPa coneangle. Fig3Shadowgraphsofdieselsprays. ( 7 ) 143微粒化Vol、6,No.16(1997) きくなっている.V字の先端D,ではt二128ノ』s以前に 度は大きくなっていると考えられる. みえていた液塊が完全に消滅し,噴射方向に伸びてい 以上のことから高圧雰囲気中での初期における噴霧 るリガメントがみえる.このようなリガメントはつぎ の分散過程はつぎの段階を経ているといえるすなわ に述べる高圧雰囲気中のいずれの写真(図6(b))にも ち,まず(i)噴霧先端に巻き渦が現れていない段階 みえていない (雰囲気圧力がP’=2.0MPaの場合には約t三500メ』sまで) 図6(b)の時間t二320顔における噛霧の先端Sをみ が起こり,ついで(ii)噴霧先端に巻き渦が現れる ると輪郭が明瞭にみえており,液滴が高数密度で存在 段階(Pハニ2.0MI)aの場合には約t二500メ1s以降)が起こ していることがわかる.しかも,t-480/侭以降でみえ るといえる. るP1,112,およびP3のような巻き渦がみえていない (b)噴霧の''1程における分散挙動再び図3の噴霧 したがって,噴霧先端の液滴は主として噴射方向に進 の観察を行うこととする.常圧雰囲気中の噴霧である 行しているといえる.噴射開始後t篇イ80ノ1sになると, 同3(a)をみるとL妻292メ侭までは,例えばK,∼K5か 噴霧の先端では矢印で示すような突起が形成されてお らわかるように,液滴の数密度の大きい部分が規則的 り,噴霧の両側にはP'のような巻き渦が生じている. に並んでいることがわかる.液滴の数密度の大きい部 t=640庫以降になると巻き渦が噴霧先端付近において 分は,いずれも噴射方向の長さが大きくなっている. もみられるようになっている(P2,およびPS)・こ 一方,隣り合う液滴の数密度が大きい部分と部分の間 の時期になると噴射方向の速度は,噴射直後に比べる では液滴の数密度が小さくなっている.噴霧の幅は, と大きく減衰しているのに対して,噴霧の幅方向の速 噴霧先端を除き噴孔からの距離が大きくなるにつれて 日白い P4 B 2 A 1 傍481ルS F96iルs Lp=11mm Lp=21mm 仁 1 2 8 1 ル S F 1 7 6 I 凡 s LP=27mm L,=37mm (a)P悪=0.1ハ狸a 季等 目 白 祁嶋削漣』 S F320ps t = 4 8 0 1 凡 S 仁640ILs F 9 6 0 I 1 s L,=28mm Lp=40mm Lp=49mm L,=62mm (b)P3=2.01V⑱a Fig.6Shadowgraphsofspraytips. ( 8 ) 微粒化Vol、6,No.16(1997)144 増加しており,それにともなって.液滴の数密度の小 さい部分の面積が大きくなっている.t=397鰻の噴霧 をみると,液滴の数密度が大きい部分は規則的に並ん でいないこの写真では噴霧下部が写っていないが, 噴霧下部には液滴の数密度の大きい部分が規則的に並 2 0 Eユ んでいた. 高圧雰囲気下の噴霧には図3(b)のP,,P2や図3(c) のP3,P4のような巻き渦が現れている.このような巻 1 5 嗣切宮 き渦は常圧雰囲気中の噴霧にはみえていないこのこ とについてはすでに述べた.噴霧の内部には常圧雰囲 1 0 気下での噴霧にみえていた液滴の数密度の小さい部分 t=128浬s はみえておらず,K,∼K5のように規則的に並んだ高 数密度の液滴群を確認することはできない, 、 以上述べたように,常圧下の噴霧と高圧下の噴霧で 30 1 0 2 0 は噴霧の構造が異なっている.このような噴霧の構造 X m m と空間的に分布する液滴の直径には関連があると考え られる.そこで,次節では噴霧周囲に分布する液滴の 直径について述べることとする. 唖 0 】 Eユ 3.2噴霧側面に分布する液滴の直径 3.21空間的に分布する液滴の直径ザウタ平均粒 1 5 副”ロ 径D32の空間分布を図7に示す.図中には解析した噴霧 の影写真も示している.この影写真では上側と下側が 噴霧の側而であり,その周辺では液滴の数密度が比較 1 0 霞遮墓 …iリ懸謬群 的小さくなっている.本測定法は,第2章でも述べた t=192鯉s ように影写真から個々の液滴の直径を求めるという方 法を採っており,-写真上で重なり合っていない全ての ] O [ 液滴(すなわち噴霧側面に存在する液滴)が測定対象 30 1 0 2 0 X m m となっている.図7では噴霧の周辺に分布する液滴の 中でも,各図の下側に分布する液滴が対象となる.こ の図ではザウタ平均粒径の測定点が2mm毎となっており, 各測定点からAX=±1mmの範囲にある全液滴からザウ 20 E豆 タ平均粒径を求めた.各測定位置に対するザウタ平均 粒径を求めるための液滴の個数は位置ごとに異なって いるが,少なくとも30個以上の液滴が測定範囲に存在 1 5 鱗 国”ロ している.なお,測定範囲に存在する液滴数の最大値 は約160個であった.いずれの図にも噴孔付近,および 1 0 噴霧先端付近の測定結果を戦せていないが,これは著 t=224浬s 者らの方法では測定の困難な非球形の液滴が多く存在 していることや,球形の液滴がわずかしか存在しない ロ ことが理由である. まず,図7(a),すなわち常圧雰囲気下における噴霧 斑q 1 0 X m m のザウタ平均粒径D32をみると,いずれの時間Lにおい ても噴孔から10mmの位置ではザウタ平均粒径が大きく (a)P"=O-lMPa なっているが,12mmになると小さくなっている.そし Fig7Spatialdistributionof て'2mmよりも下流ではザウタ平均粒径が次第に大きく Sall1crmcandiamclc「. ( 9 ) 3 0 145微粒化Vol、6,No.16(1997) 2 0 1 0 Ⅲh︲︲H1fil 1.J︲l︲ 塗 ; 雪 驚 く狸 1 0 1 5 園③宙 劃命面 声鍵鍵鍵 Eユ Eユ 1 5 図 0 1 t=320浬s t=320浬s 0 1 0 2 0 ロ B Ⅲ 1 0 2 0 30 X m m X m m 鍵蕊鐘騒識譲! 蕊議蕊蕊識藩静 Z I I I Hq E望 Eユ 罷 1 5 1 5 識…−… 討画ロ U︲1111画同1口岨Ⅲ且宇pil1f3︲1 叡動ロ :蕊 傘 逮 率 雲 》 態 鍵 1 0 一口。⋮ppDDPB⋮pPトーー 1 0 ソ副君竣垂ざ鐸没鍵声jZ塁‘・少 t=480浬s 、 1 0 2 0 t二480浬s ロ 3 0 1 0 2 0 X m m 30 X m m 20 20 E受 E亘 1 5 1 5 劃③□ 鶴雲M§"鍾一 1 0 Eu Eつ 宙 1 0 t=640浬s t=960牌s E D lI,,, 、 1 0 2 0 0 Mn x m m x m m (b)P八二2.OMPa Fig.7Spatial 1 0 2 0 (c)I'尺言4.0M1〕a 。istributionofSautermeandiameter. ( 1 0 ) 30 微粒化Vol、6,No.16(1997)146 なっている.しかし,各噴霧ともザウタ平均粒径が極 野可'1 '6 r驚謬 窪 ? . 大となっている位置が1カ所ずつある.例えば,時間 醗認職 がt二192順のときには噴孔から26mmのところで,その 識 r守癖危唖霞』 位冊の前後よりも大きな値となっている.この噴霧の 周辺部分をみると,約15mmよりも上流において,写真 濃度の大きい噴霧のコアのような部分が噴霧表面に露 出した格好になっている. ]a 一方,前に述べたザウタ平均粒径の大きい位置x二26 mmに,H1当する部分S!付近を拡大してみると図8のよう 蝿 になる.この写真からわかるように噴孔から26mm付近 9 2 8 2 7 2 6 2 5 2 塑皿 3 2 2 よりも大きくなっている.このように噴霧側面部分に 2X 1 2 0 2 9 1 8 1 の噛霧側而部分では液滴の数密度が,その下流や上流 おける液滴の高数密度領域ではザウタ平均粒径が大き くなっている. Fig.8CloseupofSljnFig,7(a) それに対して噴孔から約15mm∼24mm,および約28mm よりも下流の噴霧側面付近をみると,液滴の数密度が 1 2 E1へ訳ロ っている.このことはt=242醒の場合も同様である. 例えば,噴孔から26mmのところで粒径が極大となって おり,液滴の数密度も大きくなっている.しかし,こ の位遥での極大値は,t=192メβのときの極大値よりも oPa=0.1MPa 84 比較的小さくなっており,ザウタ平均粒径も小さくな t=2241JIS. oPa=2.OMPa t=6401_ls ’? Pa=4,OMPa t=g601JlS P=24MPa 大きくなっている.このことからつぎのことが考えら れるすなわち,図4からわかるように常圧雰囲気下 の場合には噴霧先端の速度が,高圧雰囲気下の噴霧よ ロ りも大きいそして,噴霧に巻き渦がみえないことか 1 0 ら,噴霧周囲の液滴も噴霧の中心軸付近の液滴と同じ 2 0 3 0 4 0 Dum ように噴射方向に大きい速度で進行しているといえる. すると,液滴の受ける空気抵抗が液滴径によって異な Fig.9Effectsofambientpressureonnumber るため,小さい液滴ほど減速の度合いが大きく,大き frequencyofspraydrops. い液滴は減速しにくいこととなる.このように,噴霧 側而に図8のような液滴の数幣度の大きい部分がある みると,ザウタ平均粒係の1W川減少の繰り返しが巻き と,この液滴群に含まれている小さな液滴が時間の経 渦の位置に対応していることがわかる.すなわち,巻 過とともに大きな液滴から次第に取り残されるように き渦P1,P2,P3の付近でザウタ平均粒径が大きく,巻 なり,大きい液滴と小さい液滴の分級が起こるものと き渦と巻き渦の間でザウタ平均粒径が小さくなってい ,思われる. る . 図7(b),(c)の噴霧,すなわち高圧雰囲気下の噴霧 巻き渦が多く存在している噴霧側面では液滴の速度 側而にも,図3と同様な巻き渦がみえている一方, 分布が常圧雰囲気の場合と異なっているということが ザウタ平均粒径D32は常圧雰囲気の場合に比べ大きな空 できる.巻き渦のある噴霧側而には一定の規則性を持 間頻度で増加減少を繰り返している.しかも,ザウタ った液滴の速度分布があると想像され,各巻き渦ごと 平均粒径の瑚加と減少の繰り返しがこの巻き渦の位置 に液滴の分級が行われているものと考えられる.言い に対応しているようにみえる.これらの図のプロット 換えると時間の経過とともにザウタ平均粒径D32の極大 は2mm間隔であり,巻き渦ⅡUの間隔や大きさに比べて充 値が大きくなると考えられる.そこで再び同7(b), 分に小さいとはいえないさらに巻き渦の強度も個々 (c)をみると時間とともにザウタ平均粒径の極大値が次 に異なっていると考えられる.よって,平均粒径の増 第に大きくなっている.このように高圧雰囲気下にお 川と減少の繰り返しが明瞭にはみえないこともあり得 けるザウタ平均粒径の空間分布は,常圧雰囲気下と異 る.しかし,図7(c)のt言960/1sにおける測定結果を なる. ( 1 1 ) 147微粒化VOL6,No.16(1997) Eユ 実験の解析では個別に認識できる液滴(すなわち噴霧 周辺に分布する液滴)であれば液滴径を求めることが P=24.OMPa 05 剣のロ 1 可能である.したがって,図7のような噴霧写真に撮 影されている液滴の直径を集計すると,解析可能な液 52 01 5 2 3.2.2液滴径の時間変化図9に雰囲気圧力が液滴 の粒数頻度qにおよぼす影響を示す.前述のように,木 、Pa=0.1MPa 滴に対する粒数頻度を求めることができる.図9はこ oPa=2.0MPa の方法をノズルからx二10mm∼30mmの領域に存在する噴 ■Pa=4.OMPa 霧両側面の全液滴に適用して得た粒数頻度である. 02004006008001000 測定時刻は雰囲気圧力が大きいほど遅くなっている TimeUs が,これは到達距離Lpが45mm程度の噴霧について比較 したためである.いずれの条件とも15皿程度の液滴 力が大いほど小さい液滴の割合が少なく,大きい液滴 Eユ の割合が多くなっている.この理由にはつぎのことが 考えられる.ここで示した条件の噴霧は図4,および 図5からわかるように到達距離と噴霧角が近い値とな pOpOpO aaa 6凸● ︵Uク﹄4. 1.00 MMM pOp︲pO 噴霧ほど影写真の撮影時刻が遅く,噴霧内に存在する aaa 層 ●O■ っており,噴霧の占める体積も近い値になっていると 考えることができる.ところが,雰囲気圧力の大きい 52 01 5 015 2 (a)Sautermeandiameterversustime. の割合が最も大きくなっている.ところが,雰囲気圧 燃料の最も大きくなる.さらに図7からわかるように 0102030405060 雰囲気圧力は液滴径に影響をおよぼしているとはいえ Lpmm 5皿以下である.このことから雰囲気圧力が大きい ほど,噴霧内における液滴の数密度は大きいといえる. (b)Sautermeandiameterversus よって,液滴同志の衝突頻度が大きくなったと考える spraytippenetration ことができる. Fig、lOEffectsofambientpressure 図9のような粒数頻度から噴霧側方に分布する液滴 onSautermeandiameter、 のザウタ平均粒径D32を求め,このザウタ平均粒径の時 間変化についてまとめたところ,図10(a)のようになっ も到達距離Lpよりも上流側に位置していることとなる. た.なお,前にも述べたように測定対象となる液滴は 常圧雰囲気下の場合,ザウタ平均粒径は到達距離Lp ノズルから10m∼30mmの範囲に存在するものだけであ が約50mmまで減少傾向となっている.そして,到達距 る.各曲線の最初の部分を見ると,時間の経過にとも 離Lpが約40mmよりも小さいところでは高圧雰囲気中の なってザウタ平均粒径が小さくなっている.これは時 場合におけるザウタ平均粒径よりも大きくなっている. 間とともに噴射速度が大きくなっているためである. これは常圧雰囲気の場合,噴射開始後200庫∼600庫 200顔におけるザウタ平均粒径をみると差が数皿程度 においてザウタ平均粒径を測定しているのに対して, とはいえ,雰囲気圧力が大きいものほどザウタ平均粒 高圧雰囲気の場合には200胆以前のごく噴射初期に測 径が大きくなっている.これは,同一時刻では雰囲気 定を行ったためである.言い換えると同時刻であれば 圧力の大きい場合の噴霧体積が小さいため,液滴の数 常圧雰囲気の場合に比べ,高圧雰囲気の場合の噴射速 密度が大きくなり液滴の衝突確率が増したためと考え 度が大きいためである 一方,P風=2.0MPaの場合とP画=4.0MPaの場合,ザウタ られる. 平均粒径の増加減少の傾向がよい一致を示している 図10(a)では,同一時刻の噴霧周囲における液滴のザ ウタ平均粒径D32を比較した.そこで最後に,噴霧の分 特に,到達距離Lpが約35mm以下ではザウタ平均粒径に 散する範囲が近いと思われる到達距離が同一の噴霧に 顕著な差はなく,到達距離の増加とともにザウタ平均 ついて比較してみた.つまり,つぎに示す図10(b)は図 粒径が減少している.しかし,ザウタ平均粒径D32の減 10(a)の横軸を噴霧の到達距離Lpとして描き直したもの 少の度合はl皿∼2皿程度である. 以上で述べたように高圧下と常圧下では,ザウタ平 である.この図では測定対象となる液滴は,少なくと ( 1 2 ) 微粒化VoL6,No.16(1997)148 均粒径が小さくなるところでの減少の度合や,ザウタ 経過とともに大きくなった. 平均粒裸が減少する範囲が大きく異なっている。この (5)高圧雰朋気巾では,燃料の噴射澗後においてザ 原因は現在のところ不明である.しかし,前に述べた ウタ平均粒径が時間とともに減少する.この結果をま ように,高圧雰囲気の場合には巻き渦の影響を受けて とめ直し,到達距離が同一の噴霧について比較してみ 噴霧外部に引き出された液滴が測定対象になっている ると,雰囲気圧力によるザウタ平均粒径の差は顕著で のに対して,常圧雰囲気の場合には噴射方向の速度成 はなかった.しかし,このときにおける平均粒径の減 分が主である液滴が測定対象となっているという違い 少の度合は,常圧雰囲気と比べると小さかった. がある.したがって,噴霧内部の液滴の挙動について 5.文献 詳細な解明を行うと,この原因が解明されるものと考 えられる. (1)津江光洋・服部庚司,斉藤晃,角田敏一:噴射ノ ズル近傍におけるディーゼル噴霧の内部構造,機 4.まとめ 論,59-564,B(1993),2584-2589. (2)高橋秀夫,柳沢洋樹,志賀聖一,柄沢隆夫,中村 噴霧の発達過程と液滴径の時間的,空間的分布の関 連について明らかにすることを目的として,噴霧の影 寿雄:ディーゼルノズルより噴出する間欠噴霧の 写真を観察するとともに,得られた影写真を解析する 初期微粒化過程の観察,機論,61-581,B(1995), ことで噴霧側面に存在する液滴のザウタ平均粒径を測 351-356. (3)石山拓二,三輪恵,鴨川正博,劉育民,宮城勢治 定した.その結果,つぎのことがわかった. :ナノスパーク光源によるディーゼル噴霧の微細 (1)常圧雰囲気中と高圧雰囲気中とでは,ザウタ平 構造の観察,機論,60-570,B(1994),715-721. 均粒径の空間分布の形状が異なる. (4)、端道彦,新井雅隆,広安博之:高圧雰朋気''1に すなわち,それぞれつぎのような分布となっていた. 噴射されたディーゼル噴霧の平均粒径,機論55 (2)常圧雰囲気中における噴霧の場合,ザウタ平均 -518,B(1989),3239-3245. 粒径の比較的小さい領域が広範囲にわたっており,こ (5)竹内貴一郎村I││博美,千田二郎,IlIIIl耕司:高 の領域が噴霧側而における液滴の数密度の小さい領域 圧容器内のディーゼル噴霧の粒度分布について, と一致していた. 機論,48-433,B(1982),’801-1810. (3)高圧雰囲気中における噴霧の場合,ノズル噴孔 からの距離の増加とともにザウタ平均粒径は増加と減 (6)劉育民,石山拓二,三輪恵,大久保智浩,宮城勢 少とを繰り返す.この増加と減少の頻度は常圧雰囲気 治:ディーゼル噴霧における初期燃料液滴の形成 に関する研究,機論,61-587,B(1995),2731−2 中と比べて大きかった. 7 3 7 . さらに,ザウタ平均粒径の時間的な変化を調べた結 (7)李文哲,鈴木豊彦,落合義孝,田辺征一:ディー 果つぎのことがわかった. ゼル燃料噴霧粒子径の解析法とその応用,微粒化, (4)常圧雰囲気の場合,高圧雰囲気の場合とも,ザ 6−15(1997),2-10. ウタ平均粒径の空間分布にみられる最大値は時間の ( 1 3 ) 149微粒化Vol6,No.16(1997) #P., 小爪祈也 季文哲 蕊 鳥取大学。大学院・工学研究科 梢報生産工学専攻 動力工学研究室 〒680鳥取市湖111町南4−lO1 TelO857-31-5203 鳥取大学。工学部。機械工学科 講師 〒680鳥取市湖山町南4-101 Te1.0857-31-520G 略歴:1990年広烏汰自学大学 学研究科博士後期課程に在学. 裂程に在学.ディーゼル噴霧に関 院工学研究科修了 :噴流の微粒化気流中での液 気流を受ける液体噴流の微粒化気流中で する研究に従事. 体燃料の燃焼液滴径に関する測定に従事 略歴:現在,鳥取大学大学院工 鈴木豊彦 鳥取大学・工学部・教授 〒680鳥取市湖山町南4-lOl Tel/FaxO857-31-5202 略歴:1964年名大航空学科卒, 1972年ニューヨーク大学大学院 博士課程修了,液滴燃料噴霧の 群燃焼に関する研究,往復動機関のピストンスラ ップに関する研究,乱流せん断流の研究に従事. 』落合義孝 瀞 I鳥取大学・工学部・機械工学科 I助手 ;〒680烏取市湖山町南4-101 ;TelO857-31-5203 鴬 i略歴:1967年大阪工業大学卒 鳥取大学助手 往復動機関のビスストンスラップ・潤滑に関する研 究に従事. 田辺征一 鹿児島大学・教育学部・技術科 教授 〒890鹿児島市郡元l-20-6 Tel/FaxO99-285-7870 略歴:1964年立命館大学理工学 部卒業,京都大学工学部・助手 鳥取大学工学部・助教授,エンジンシリンダ| 助教授,エンジンシリンダ内ガ ス流動,熱・流体の計測に関する研究に従車. 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