研究分担報告書 - 日本子ども家庭総合研究所

厚生労働科学研究費補助金(子ども家庭総合研究事業)
研究分担報告書
小児先天性疾 患および難治性疾患における臨床的遺伝子診断の基盤整備
倫理基盤の確立
研究分担者 福嶋義光 信州大学遺伝医学・予防医学講座 教授
研究 要 旨
小 児 先 天 性 疾 患 お よび 難 治 性 疾 患 にお け る 臨 床 的 遺 伝 子 診 断 の 基 盤 整 備 の 一 環 とし
て ,1 ) 本研 究 班 で 作 成 し た 「 臨 床 的 遺 伝 子 診 断 の た め の 同 意 文 書 ( 案)」 の 普 及 ,2 )
「医 療 に お け る 遺 伝 学 的 検 査 ・ 診 断 に 関 す る ガ イ ド ラ イ ン 」 の 周 知 活動 ,3) 倫 理 基盤
の 基 礎 とな る 教 育 ツ ー ル の 普 及 ,4 ) 細 胞 遺 伝 学 的 診 断 の 精 度 向 上 な ど の 取組 み を 行っ
た.
共同研究者
(2)「 医 療 にお ける遺 伝学 的検 査・ 診 断 に 関す るガイドラ
涌井 敬子(信州大学遺伝医学・予防医学講座)
イン」 の作 成と普 及
2011 年2 月 に公 表された[医 療 にお ける遺 伝学 的 検査・
診断 に関す るガ イドライン]の 周 知 活 動を行った .
A. 研 究 目 的
ヒト ゲ ノム 解 析 研 究 の 爆 発 的 進 展 に より,数 多 くの 疾 患
(3)倫 理 基盤 の 基 礎となる遺 伝 医 学 系 統 講 義 の 教 育ツ
の 発 症 に 関 連 す る 遺 伝 子 が 単 離 さ れ, 小 児 先 天 性 疾 患
お よび 難 治 性 疾 患 の 臨 床 的 遺 伝 子 診 断 を 含 む 種 々 の 遺
ー ルの 作成 とe-learningシステ ムの 構 築
遺伝 子 診 断を 臨床 の 場で 適 切 に行っ ていくために は ,
伝 学 的 検 査 が 可 能 に なっ た. これ ら の 遺 伝 学 的 検 査 は ,
難 治 疾 患 の 確 定 診 断, 予 後 予 測 ,早 期 発 見 と 早 期 対 応
これに 関 与す る者 が 急 速に 進 展している遺 伝 医 学を系 統
等 に 極 め て 有 用 な 検 査 で あ る が, 一 方 で は, こ の 遺 伝 学
的 に学 ぶ 必 要 がある.日 本人 類 遺伝 学 会および 全 国 遺
的 検 査 に より明 ら か に さ れ る 遺 伝 情 報 は ,1) 生 涯 変 化し
伝 子 医 療 部 門 連 絡 会 議の 協 力を得 て,18項 目 にわたる
な い 情 報( 不 変 性) ,2)将 来 を 予 測し 得 る 情 報( 予 測 性) ,
遺 伝 医 学 系 統 講 義 の教 育ツ ールを 作成 するとともに, 広
3) 血 縁 者も 関 与し 得 る 情 報( 共 有 性) ,で あ るた め ,新 た
く利 用 できるようにe-learning システムを構 築し, 利 用 促
な 倫 理 的 問 題 が 提 起 さ れ, 通 常 の 臨 床 情 報 とは 異 な る慎
進 を図った.
重 な 対 応 が 求 め られ てい る. 本 研 究 の 目 的 は, 倫 理 的 な
(4) 細 胞 遺 伝 学 的 診 断 の 精 度 向 上
問 題 を 解 決 し つ つ ,遺 伝 学 的 検 査 が 医 療 の 場 で 広 く用
染 色 体 異 常 症 の 診 断 を 目 的 に 開 発 さ れ た マ イ クロ ア レ
い られ るように す るた め の 具 体 的 な 方 法 を 明 らか に す るこ
イ 法( Cytogenet
ic Array 法) は, G 分 染 法 の 約100 倍 の 精
とで ある .
度 で 微 細 な ゲ ノム コピ ー 数 異 常 を 検 出 で き る 新 た な 細 胞
B. 研究 方 法
遺 伝 学 的 解 析 法 で あ る が, copy number variation(CNV)
(1) 臨 床 的 遺 伝 子 診 断 のため の同 意 文 書 の 作成と臨床
い う新 た な ヒト の 多 型 の 存 在 が 明 ら か とな り,そ れ が 臨 床
的 遺 伝 子 診 断と遺 伝 子 解 析 研 究との 連 携 に つい ての 検
的 な 影 響 を 伴 わ な いbenign
討
とし て 応 用 す る 際 の 課 題 とな っ て い るCytogenetic
と
CNV が 臨 床 的 遺 伝 子 診 断 法
Array法 で 検 出 さ れ た ゲ ノ ム コピ ー 数 異 常 が 臨 床 的 に 意
本 研 究 班で 作 成した 臨床 的 遺伝 子 診 断 のため の同 意
味 が あ る か ど うか を 評 価 に は, 公 開 さ れ た デ ー タ ベ ー ス の
文書( 案) につ い ての 普及 活 動 を行った .
デ ー タ に 加 え , 日 本 人 のbenign
CNV デ ー タ ベ ー ス が 必
要 で あ り ,本 研 究 に お い て 昨 年 に 引 き 続 き 日 本 人 一 般 成
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人( お も に 協 力 の 得 られ た 患 者 の 両 親) に つ い て 解 析 を
・ 遺 伝 学 的 検 査・ 診 断 が 行 わ れ る 場 面 を1)
すで に発
追 加 し, 現 時 点 ま で に100 例 に つ い て デ ー タを 評 価 し た .
症 して い る 患 者 の 診 断 を 目 的 とす る 場 合 と2) 患 者 で は
また, ゲ ノムコピ ー 数 異 常 が 検 出 され た 症 例 お よび 両 親
な い 者 を 対 象 とした 保 因 者 診 断・ 発 症 前 診 断・ 出 生 前 診
の 一 部 に 対 して ,当 該 染 色 体 領 域 のBACクロ ーン を 用 い
断 を 目 的 とす る場 合 とに 明 確 に 分 類 し た.1) の 場 合 に は ,
たFISH 解 析 を 行 い, 染 色 体 再 構 成 を 細 胞 遺 伝 学 的 に 確
主 治 医 が 診 療 の 流 れ の 中 で, 臨 床 的 有 卅 哇 があ る場 合
認した.
に は, 積 極 的 に 遺 伝 学 的 検 査.・診 断 の 意 義 を 説 明し, 患
者 からインフ ォ ー ムドコン セ ントを 得 た 上 で 実 施 す べ き で
あ る. 一 方,2) の 場 合 に は, 事 前 に 適 切 な 遺 伝 カ ウン セリ
(倫 理 面 へ の 配 慮)
本 研 究 は 主 に遺 伝 学 的 検 査 に関 係 する倫 理 的 問 題 を
ン グを 行 い, 遺 伝 的 問 題 の 解 決 の た め の 選 択 肢 の 一 つ と
解 決 す るた め に行 われ るもの であり, 種 々 の 検 討 が直 接
し て 実 施 す る.
倫 理 問 題 を生 ず ることは な いと考えられる. 検 査 精 度 の
・ 薬 理 遺 伝 学 検 査は 生 殖 細 胞 系 列 の 遺 伝情 報 で はあ
向 上 のため に行 われる取組 みの 中 で, 患者 検 体を用い る
るが, 診 療 に は 必 須 の 情 報 でもあ るの で, 通 常 の 診 療 情
場合 はけ ヒトゲノム・ 遺伝 子 解 析 研 究に 関す る倫理 指 針」
報 と同 様 に 扱 う.
に則り,倫 理 委 員 会 の 承 認 を得 た上 で, 匿 名 化 す るなど
・ 多 因 子 疾 患 を 対 象 とし た 易 罹 患 性 診 断 に つ い て は ,
個 人 情 報保 護 に 十 分 留 意して 実施 する.
分 析 的 妥 当 性, 臨 床 的 妥 当 性, 臨 床 的 有 用 性 な ど の 科
学 的 根 拠 を 明 確 にした 上 で 実 施 す る.
・ 患 者 の 診 断 を 目 的 とし て 行 わ れ た 遺 伝 学 的 検 査 の 結
C. 研 究 結 果
果 は, 原 則 とし て, 他 の 臨 床 検 査 の 結 果 と同 様 に ,患 者
(1 )臨床 的 遺 伝 子 診 断 の た め の 同 意 文 書 の 作成 と 臨
床 的 遺伝 子 診 断 と 遺伝 子 解 析 研 究 と の 連 携 に つい て
の 診 療 に 関 係 す る医 療 者 が 共 有 す る 情 報 とし て 診 療 録
の検討
に 記 載 す る.
現 在 ,わ が 国 で は ,小 児 先 天 性 疾 患お よび 難 治 性 疾
・ 遺 伝 カ ウン セリン グ は, 情 報 提 供 だ け で は なく,患 者・
患 の 臨床 的 遺伝 子 診 断 の た めに 行 われ る 遺 伝 学的 検
被 検 者 等 の 自 律 的 選 択 が 可 能 とな るような 心 理 的 社 会 的
査 の多 く が,研 究 の一 環 とし て行 わ れて い る .遺 伝 学
支 援 が 重 要 で あ ることから ,当 該 疾 患 の 診 療 経 験 が 豊 富
的 検 査 が有 川 で あ る と考 え た 主 治 医 が, そ の 疾患 め遺
な 医 師 と遺 伝 カ ウン セリン グ に 習 熟 し た 者 が 協 力 し, チ ー
伝 子 解析 を 行 っ て い る国 内 の 施 設 に 検 査 を 依 頼す る
ム 医 療 とし て 実 施 す る .
際 に 用い ら れ るこ とを 想 定 し, 本 研 究班 にお い て ,
「遺
伝 学 的 検 査 の実 施 」 と 「試 料 の 保 存お よび 研 究使 用 」
(3)倫 理 基 盤 の基 礎となる遺 伝 医 学 系 統 講 義 の教 育ツー
につ い て の 同 意 書 ・ 説 明 書 ( 案 ) を 作成 し, 全 国 遺 伝
ル の作 成とe-learningシステムの構 築
子 医 療 部 門 連 絡 会 議 ,日 本 小児 遺伝 学 会 等 を通じて,
日 本人 類 遺伝 学 会 および 全 国 遺 伝 子 医 療 部 門連 絡 会
必 要な場 合 には 利 用 できるように広 報した
議 の 協力 を得 て遺 伝医 学 系 統 講 義DVDを 作成し,HP 上
で視 聴 できるel
earning
システムを構築した.
(2) r医 療 にお ける遺伝 学的 検 査・診 断 に 関 するガイドラ
1.遺 伝医 学 の 過 去・ 現 在・ 未 来 鎌 谷 直 之
イン] の作 成と普 及
2. 遺 伝医 学 総 論 福 嶋 義 光
2011 年2 月 に公 表 さ れ た「医 療 にお ける遺伝 学 的 検
3. ヒトゲノム・遺 伝 子 の構 造と機 能 松 本 直 通
査・ 診 断 に 関するガイドライン」 には, 昨 年 度, 本研 究 班
4. 染 色 体 異 常 症と細 胞 遺 伝 学 玉 置 知 子
で提 案した以 下の 内容 がす べ て記 載され た.HP 上で の
5.単 一 遺伝 子 疾患とメンデ ル 遺伝 学 小 杉 眞 司
公 表 および 英文 化 につ いて 協力した.
6.多 因 子 疾 患の 遺 伝 学 羽 田明
・ 遺 伝 学的 検 査・診 断 に関 与 する医師・ 医 療 者 は, 遺 伝
7. 個 別 化 遺 伝医 療と薬 理遺 伝 学 鎌 谷 直 之
医 学 の系 統 的知 識 をもち,遺 伝 情 報 の特 性 に 配 慮した
8. エピジェネティクス 久 保 田 健 夫
対 応 が求 められる.
9. 生 化学 遺 伝 学 松 原 洋 一
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10, 集 団 遺 伝 学
徳永勝士
欠 失 なの か, そ れとも転座 由 来 であっ て他 の染 色 体 端 部
11. 遺 伝 性 疾 患 の分 子 遺伝 学 的 理 解
高 田史 男
の 重 複を 伴う不 均 衡 転 座 なのか, そして不 均 衡 転 座 の 場
12. 遺 伝 学的 検 査
野村文夫
合 ,突 然 変 異 な の か親 のどちらか が 均 衡 型 転 座 野を 有
13. ミトコンドリア遺 伝
後 藤雄 一
するのか, を評 価をす ることは, 各 家 系 へ の 遺 伝カウンセ
14. 発 生 遺 伝 学と先 天 異 常
/」ヽ崎 健 次 郎
ジング に大 変 重 要 である. さらにloql
15. 出 生 前診 断
平原 史樹
染 色 体 構 造 異 常 症 例 に15qll.2 に264kb のコピ ー 数 増
16. 腫 瘍 遺 伝 学
稲 澤譲 治
加を認 め た耿 この 領 域 は15q
17. 遺伝 性 疾 患の 治療
櫻 井晃 洋
最も近 位 部 領 域 で あり,転 座 に 伴う重 複 な の か, benign
18. 遺伝 カウンセリング
斎藤 加 代 子
CNV なの かの 評 価 にもmetaphase FISH 法 による染 色 体
1.2を切 断 点とする
に設 定されたグローブ の
再 構 成 の確 認 が 必 要であった.
(4) 細 胞 遺 伝 学 的 診 断 の 精 度 向 上
染 色 体 異 常 症 の 診 断 を 目 的 に 開 発 さ れ た マ イクロアレ D. 考 察
イ 法( Cyt
ogenet
ic Array 法) を 用 い て ,日 本 人 一 般 成 人 小 児 先 天 性 疾 患 お よ び 難 治 性 疾 患 の 臨 床 的 遺 伝 子
に つ い て 解 析し, 現 在 ま で に100
例 に つ い て デ ー タを 評 診 断 を 目 的 と し た 遺 伝 学 的 検 査 は, 欧 米 先 進 諸 国 に お
価し た とこ ろ, 136 箇 所 に コピ ー 数 異 常 が 検 出 さ れ た. そ い て は ,2000
のうち 昨 年 度 明 ら か にし た9 領 域(Iq44,
6p25.3, 7q36.2, 種類以上の疾患について臨床検査 とし
て の 実 施 が 可 能 で あ る. し か し , わが 国 に お い て は ,
8pll.23, 12pl3.31, 16pl2.1, 19pl2, Xp22.33, Xq28) に 現 在 , 染 色 体 検 査 を 除 け ば ,15
加 え ,さら に 9 領 域(5q35.3, 7p22.3, 8p23.2[244kb]
8p23.2[2.2Mb],
Spll.l, 8qll.l, 10qll.22,
, 10q26.3, 疾 患 の遺 伝 病 学 的 検
査 が 保 険 診 療 と し て 認 め ら れ て い る の み で あ る .遺 伝
学 的 検 査 に よ り 確 定 診 断 が な さ れ る こ と は, 適 切 な 医
12q24.11) に つ い ては 各 5 名 以 上 が 蓄 積 さ れ 確 実 な 日 本 療 提 供 の た め に 極 め て 有 用 で あ り ,患 者 ・家 族 の 受 け
人benign
CNV と考 え た. また, 現 時 点 で3 ∼4 名 蓄 積 さ る メ リ ッ ト は 計 り 知 れ な い が , わ が 国 に お い て は ,ヒ
れ た の が 4 領 域, 2名 の 蓄 積 は14
領 域 あり, 他 は 単 独 の ト ゲ ノ ム・ 遺 伝 子 解 析 研 究 の 成 果 が 十 分 活 か す こ と の
異 常 で あ っ た .コピ ー 数 増 加 とし て 検 出 さ れ たbenign CNV で 最も 大 き かっ た の は8p23.2
一 数 減 少 で は7q34
に 認 め た452kb
上 の ゲ ノ ム コ ピ ー 数 減 少(
に 認 め た2.2Mb,
で き る 社 会 環 境 が 整 っ て い る と は い え な い.
コピ こ の 閉 塞 的 な 状 況 を 改 善 す る た め の 取 組 み の 一 つ
であ っ た. 200kb 以 と し て ,小 児 先 天 性 疾 患 お よ び 難 治 性 疾 患 の 遺 伝 子 解
染 色 体 欠 失) , あ る い は 析 研 究 を 行 っ て い る 施 設 に, 確 定 診 断 を 必 要 と し て い
400kb 以 上 の ゲ ノ ム コ ピ ー 数 増 加( 染 色 体 重 複) は 患 る 患 者 の 主 治 医 が 遺 伝 学 的 検 査 を 依 頼 す る 際 に 用 い
者 の 臨 床 症 状 に 影 響 し て い る 可 能 性 が 高 い と 考 え ら る こ と の で き る 同 意 文 書・ 説 明 文 書( 案) を 作 成 し た .
れ て い る が , 本 研 究 の 一 般 成 人 の 解 析 結 果 に お い て , 単 独 の 検 出 も含 めると200kb
少 が10
領 域, 400kb
現在 ,わ が 国で は,小 児先 天性 疾 患 お よび 難 治 性 疾 患
以 上 の ゲ ノ ム コ ピ ー 数 減 の 臨 床 的 遺 伝 子 診 断 の た め に 行 わ れ る 遺 伝 学 的 検 査
以 上 の ゲ ノ ム コ ピ ー 数 増 加 が 8 の 多 く が, 研 究 の 一 環 と し て 行 わ れ て い る こ と を 考 慮
領 域 に 検 出 さ れ た こ と は ,ま だ ま だ 一 般 成 人 の デ ー タ し ,「 遺 伝 学 的 検 査 の 実 施」 に つ い て だ け で は な く ,
蓄 積 が 必 要 と 考 え ら れ た . また, コピ ー 数 増 加 とし て 検 出 され た7p22.3 と10q26.3 研 究 推 進 の た め の[ 試 料 の 保 存 お よ び 研 究 使 用] に つ
い て の 同 意 書 ・ 説 明 書 の 試 案 も 作 成 し た . こ れ らの 文
は, 我 々 の 用 い て い る アレ イで7p と10 qに 設 定 され たプ ロ 書( 案) に つ い て, 昨 年 度, 全 国 遺 伝 子 医 療 部 門 連 絡 会
− ブ の 最 も 端 部( サ ブ テ ロメア) 領 域 に 相 当 す るた め, 患 議 に 所 属 す る 臨 床 遺 伝 専 門 医 な ど の 有 識 者 から 意 見 聴
者 に 検 出 され た 場 合 に は, 必 ず 当 該 領 域 の DNA クロー 取 を 行 っ た ところ, 全 く異 論 は な く, 適 切 なも の と判 断 され
ンをプ ロ ー ブ としてmetaphase
FISH 法 による 確 認 が 必 要 た ので, 今 年 度 は, 研 究 班HP に 掲 載 す るな ど 公 表 に 努
な コピ ー 数 異 常 で あ ることが 判 明し た. 特 に ,患 者 に 他 染 め, 広 く利 用 を 促 した. 主 治 医 と 遺 伝 子 解 析 担 当 者 と の
色 体 端 部 の 欠 失 を 認 め て い た 場 合 ,そ れ が 純 粋 な 端 部 交 流 が 円 滑 に 進 み ,多 く の 患 者 ・ 家 族 に 有 用 な 情 報 を
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提 供す るこ とが で きる よ うに な る と と も に, 研 究 推 進
/」
ヽ児 先 天 性 疾 患 お よ び 難 治 性 疾 患 にお け る 臨床 的
遺伝 子 診 断 の 基 盤 整 備 の 一 環 と し て ,I ) 臨床 的 遺伝
に 役 立つ こ とを 期待 し て い る.
2003 年 に 公 表 さ れ た 遺 伝 医学 関 連10 学 会 [遺 伝 学
子 診 断 の た めの 同 意 文 書 (案 ) の普 及 ,2)「医 療 に お
的 検 査に 関す る ガ イ ド ライ ン ](10 学 会 指 針 )の 問 題
け る 遺伝 学 的 検 査・診 断 に関 す るガ イ ド ラ イ ン 」の 作
点 を 解決 し ,広 く 一 般 の診 療 にお い て ,遺伝 学 的 検 査
成 と周 知 ,3 ) 倫 理 基 盤 の 基 礎 と な る 教 育 ツー ル の 作
が有 効に 利 用 され る よ うに す る た め に, 2011 年 2 月
成 と公 表 ,4 ) 細 胞 遺 伝 学 的 診 断 の 精 度 向 上な ど の取
に ,「医 療 にお け る 遺 伝 学 的 検 査 ・ 診 断 に 関 す るガ イ
組 みを 行 っ た .
ド ライ ン 」が公 表 さ れた .こ のガ イ ド ライ ン には 昨 年
度, 本 研 究 班 で 指 摘 し た 記 載 す べ き内 容 がす べて 取 り F. 健 康危 険 情 報 な し
上 げ ら れ て い る . 遺伝 学的 検 査 が行 われる疾 患( 群) ,
領 域, 診 療 科 は 多 様 であり,そ れ ぞ れ に固 有 の留 意 点 が G. 研究 発表
存 在 するが ,さまざまな領 域 にお ける遺 伝 学 的 検 査 にお 1.論 文 発 表
い ても 遵守 す べき 基 本 的 事 項・ 原 則としてこのガイド ライ 福 嶋 義 光 : 遺 伝 医 療 の 基 盤 整 備 ・ 均 て ん 化 .[ 遺 伝 医
ンが広く利 用されることを願っている. 療 と 社 会Vo].4). 医学 の あ ゆ み.237(7):803-805,
遺 伝 情 報 を適 切 に扱 うた めに は, 遺 伝 医 学( 病 気 に 関 2011
係 す る遺 伝 継 承と多 様 性 の 科 学) を 系 統 的 に 学 ぶ 必 要 福嶋 義 光 : 遺 伝子 研 究・ 診 断 ・治 療 の 倫 理( 特 集 :糖
があるが, わ が国 の 医 学 教 育 におい て, 遺 伝 医 学を系 統 尿 病 と 遺 伝 子) .月 刊 糖尿 病3
(4):114-119, 2011
的 に 教 育してい る大 学 は 極 めて 少ない の が現 状 である. 福 嶋 義 光 : 臨 床 遺 伝 医 療. BIO Clinica
今 回 作成した遺 伝 医 学 系 統講 義e一
le
arningシステムは , 26:271-275,2011
インター ネットを介して, 登録した者 はだ れでもどこでも学
習を 進 めることがで きるので, 遺 伝 子 診 断 の 倫 理 基 盤 の 2. 学 会 発 表
確 立 だけで はなく,今 後 ,わ が国 の 遺 伝 医 療 の 発 展 の 基 涌 井 敬子 ,古 庄 知 己, 高 田 史男 ,福 嶋 義 光 .染 色 体端
≒ 淙
淙 百
二
謡
譜 に ⊇ 訌
礎となるものと確 信している. 本 研 究 にお い て, 細 胞 遺 伝 学 的 診 断 の 精 度 向 上 を 目 た 均 衡 型 構 造 異 常 か ら の 考 察 − .第34 回 日 本 小 児
的 とし て 日 本人 一 般 成 人100
例のCytogenetic Array 遺 伝 学 会 学 術 集 会' 横 浜
解 析 結 果 を蓄 積し た. ゲノムニ1
ピ  ̄ 解 析 技 術 の 普及 によ 涌 井 敬 子, 古 庄 知己 ,鳴 海 洋 子, 清 水健 司, 大 橋 博 文 ,
つて,欧 米 で はCytogenetic Array解 析 が 臨床 的 に確 定 福 嶋 義 光. Cytogenetic Array
解 析 に より 検 出 さ れ た
に く万
言
あ 曁 ‰ 鴛 竹 筒 呂
診 断 が困 難 な 染 色 体 異 常 を 疑 う小 児 先 天 性 疾 患 患 者 ぷ
に 実 施 す べ き 最 初 の ス ク リ ー ニ ン グ 検 査 に 会 学術 集 会,第18 回 日本 遺 伝 子診 療 学 会 大 会,第
Cytogenetic Array法 が行 われるようになってきており,わ 17
回 日本 家 族 性 腫 瘍 学 会 学 術集 会)・ 京 都
が 国に おい てもその 方 向 性 が 求められ ている現 状 にお い 涌 井 敬 子, 古 庄 知 己, 鳴 海 洋 子, 大 橋 博文, 清 水 健 司 ,
て, 今後もさらなる 日本 人benign CNV のデ ータ蓄 積 が必 岡 本 伸 彦 , 水 野 誠 司 , 黒 澤 健 司 , 高 田 史男 , 川 目
, 裕 ,福 鵤 義 光 .染 色 体構 造 異常 お よびMCA/MR
患
要と考 兄た . 者を対象 としたマイ クロアレイ染 色体検査 と
また, 遺 伝カ ウンセリング には, 患 者 の ゲノムコピ ー 数 metaphase FISH
法 に よ る 臨床 細 胞 遺伝 学 的 解 析 結
異 常 の検 討 に引 き続 き,患 者 や 両 親 の 染 色 体 再 構 成 の 果・ 日本 人類 遺 伝 学 会 第56 回大 会・ 千 葉
確 認 が 必 要 で ,そ の た め に は 座 位 の 確 認 さ れ て い る
H. 知 的 財 産 権 の出 願・ 登 録 状 況 なし
DNA クロ ー ン を 用 い たmetaphase FISH 解 析 の 実施 体 制
を整える必要がある.
E。 結論
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