PowerPoint プレゼンテーション

と畜場の衛生管理責任者及び作業衛生責任者講習会
鹿児島県県民交流センター 9月1日 9~14時
食肉の安全性確保に必要な公衆衛生学の基礎
鹿児島大学獣医公衆衛生学教授 岡本嘉六
Part 1
食肉の安全性を脅かす危害要因
微生物、化学物質、物理的因子
Part 2
一般的衛生管理
と畜場法施行規則、トレーサビリティー
Part 3
HACCPシステムと第三者認証
Part 1
食肉の安全性を脅かす危害要因
食中毒事故の概要
微生物
食中毒菌:サルモネラ、腸管出血性大腸菌、黄色ブド
ウ球菌、 カンピロバクター、ウェルシュ菌、リステリア
人畜共通感染症:結核、炭疽、 ブルセラ病、BSE、豚
丹毒、トキソプラズマ、旋毛虫、包虫症、条虫症
化学物質
残留物質(動物薬、農薬、放射性物質)、殺鼠剤、
消毒剤
物理的因子
注射針などの金属片、ガラス片
主な食中毒菌による事故件数の推移
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
サルモネラ
腸管出血性大腸菌
カンピロバクター
黄色ブドウ球菌
堺市学校給食事故
雪印乳業事故
食中毒菌は適温条件で増殖するため、大規模な事故を
起こすことがある。加工・流通段階での制御が一層重要
800
700
600
:事故件数
:患者数(1/10)
Enteritidisが占める割合(%)
◆
■
:事故件数
:患者数(1/10)
Enteritidisは1980年代後半にヒナを
介して日本に侵入し、鶏卵を汚染す
ることで食中毒の多発を招いた。
100
80
500
60
400
300
40
200
20
100
0
0
2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009
サルモネラ食中毒の発生状況
食中毒患者由来サルモネラの血清型
2007年
2011年
Enteritidis
585
Typhimurium
98
Thompson
85
Montevideo
83
Saintpaul
75
Infantis
72
Braenderup
52
Litchfield
29
Newport
22
Schwarzengrund 21
Agona
20
Stanley
17
I 4:i:17
Bareilly
17
Hadar
17
Others
292
Infantis
Enteritidis
Thompson
Schwarzengrund
Typhimurium
Saintpaul
Braenderup
Agona
Heidelberg
Manhattan
Hadar
Derby
Stanley
Paratyphi B
I 4:i:Others
Total
Total
1502
40
32
15
13
8
8
4
3
3
3
3
2
2
2
2
41
181
た型 清 サ
、は 型 ル
病、 が モ
原種 あ ネ
性々 り ラ
もの 、 に
異要 食 は
な因 中 二
るに 毒 千
。よ を 五
っ起 百
て
変こ 種
化す 類
す主 以
るな 上
。血 の
ま清 血
食品安全委
員会資料
2000~03年に国内の健康な家畜の糞便から分離された主な血清型
動物種
検査結果
陽性率
主
な
血
清
型
Infantis
Typhimurium
Agona
Thompson
Enteritidis
Virchow
Dublin
Brandenburg
Hader
Anatum
Mbandaka
牛
16/650
2.5%
19
豚
20/527
3.8%
2
17
4
ブロイラー
57/283
20.1%
採卵鶏
15/444
3.4%
65
2
4
2
3
4
2
4
2
1
4
3
3
4
2
動物種によって主な血清型が異なる
JVMA Vol. 68, ASAI et al
患者等から分離されたサルモネラ属菌の血清型別割合(%)
2000年
2003年
2006年
2009年
54.0
5.9
4.4
2.9
1.7
1.5
58.3
7.4
4.3
2.2
2.5
0.7
32.6
6.6
6.1
8.9
5.9
1.8
28.6
6.0
11.1
7.9
7.9
2.8
Enteritidis
Typhimurium
Infantis
Thompson
Saintpaul
Braenderup
と畜場におけるサルモネラ検出率
牛
陽性数/検体数
陽性率
Brandenburg
Derby
Infantis
Ohio
Enteritidis
Dublin
10/174
5.7
4
3
1
0
1
1
豚
19/246
7.7
6
2
9
2
0
0
Infantisによる食中毒の増
加は鳥刺ブームと関係してい
ると考えられている。ただし、
他種動物からもInfantisは検
出されるので、Infanti=ブロ
イラーと決めつけてはいけな
い。同様に、Enteritidis=卵
と決めつけてはいけない。あく
までも、主要な保菌動物として
考慮する必要がある。
家畜伝染病予防法では、 Enteritidis、 Typhimurium、
Choleraesuis、Dublin感染による牛、水牛、しか、豚、いのし
し、鶏、あひる、七面鳥、うずらの疾病を届出伝染病の「サ
ルモネラ症」と定義している。それ以外の血清型は家畜に対
する病原性が弱く、保菌しても顕著な症状を示さない。すな
わち、病原性の強い血清型はと畜検査で病変を見つけて排
除できるが、糞便中にいる病原性の弱い血清型は解体処理
過程で肉を汚染する可能性がある。
農場において下痢症や肺炎の治療に抗菌物質を使用す
るが、それらに抵抗性を獲得した多剤耐性菌が増加してい
る。多剤耐性菌が肉に付着し、抵抗力の低い老人や子供が
感染した場合、抗菌剤による治療が奏功しないことが危惧さ
れている。
食肉センターにおける解体、カット工程において消化管内
容物や被毛に付着した糞便による汚染を防ぐことが重要。
Typhimuriumによる家族内食中毒( 1999年9月宮崎県)
2歳と7歳の兄弟が水様性下痢、腹痛、嘔吐、発熱のため入院し、弟が
死亡。その父母も下痢、腹痛を訴えた。発症前日の夕食ビーフカレー
の残りから菌が検出されたが、加熱調理後に二次的な汚染が起きた
と考えられる。
Infantisによる食中毒事例( 2004年8月堺市)
仕出し弁当を喫食した85グループ609名の内366名が胃腸炎症状を
発症。冷凍保存されていた一次加工食品から菌が分離されたが、揚
物や焼物として加熱調理されるものであり、これらが原因食材ではな
い。盛り付け作業を素手で行っており、健康保菌者の調理従業員を
介して、仕出し弁当が汚染された可能性が高い。
多剤耐性Typhimuriumによる大規模食中毒( 2003年9月京都府)
一日当たり18,681食、28施設の幼稚園に1,100食の弁当を配達して
いた大阪府豊中市のA給食会社が原因施設。患者数は事業所 144
名、幼稚園 214名。症状は下痢(99%)、腹痛(83%)、発熱(72%)。
薬剤感受性試験ではABPC、SM、TC、CPに耐性を示す多剤耐性菌で
あり、ではいずれもDT104でった。
多剤耐性 Typhimurium DT104
英国の牛で最初に見つかった新型の菌で、アンピシリン、 クロラム
フェニコール、 ストレプトマイシン、 スルフォナミド、 テトラサイクリンに耐
性である。1990年代に他の家畜に広がり、 ヒトにも年間4000名を超え
る感染例と多くの死亡例が発生した。欧州や米国に広がり、日本では
97年の1件(患者数11人)が最初で、牛生レバーを食べて感染した。
新たに出現し
Typhimurium
英国とアイルランド
感染者の内
たDT104が急
DT104が占め
速に広がった
る割合
西欧
東欧
のは、環境中
での菌の生
北米
残力が強かっ
たこと、農場
東アジア
で使用薬剤に
よる選択圧が
南米
加わっている
Au & Nz
ためである。
CDC
多剤耐性 Newport 感染: 2003年、福井県、 7 歳男児
アンピシリン、ストレプトマイシン、テトラサイクリン、クロラムフェニコール、
スルフィゾキサゾール、アモキシシリン・クラブラン酸、セファロチン、スペクチ
ノマイシン、スルファメトキサゾール・トリメトプリムに耐性
米国で発見された菌と遺伝子レベルで類似
感染症誌
INFO SHEET 2002
1997年から1999年ま
で農場で分離された
1997
1998
1999 2000 サルモネラ株の内、
0
11
70
122 多剤耐性Newportは
分離総数
0
8
54
109 5.3%であったが2000
牛からの分離数
0
0
17
2
内多剤耐性
年には9%になった。
2002年1月~4月、5州において47名(ニューヨーク 34名、ミシガン 5
名、ペンシルベニア 4名、オハイオ 2名、コネチカット 2名)の患者(2
~81歳)が発生。感染源:生あるいは加熱調理していない牛肉。
2006年3月~2007年4月、未殺菌乳から作られたチーズによりスペ
イン系住民多数が罹患し、少なくとも85名から多剤耐性Newportが分
離された。
米国と畜場でのNewportの分離状況
腸管出血性大腸菌の感染様式
非加熱の食肉
レバー刺し
発酵不十分な堆肥
調理時の交差汚染
子供には
食べさせない!
細切れ生牛肉
用便後の便器、ドアノ
ブには、下痢便中の大
腸菌が付着する。
その後に利用する子供
は・・・
大人は腹痛・
下痢程度で
終わるが・・・
この感染経路を断つのは
難しい!
飲食チェーン店での腸管出血性大腸菌食中毒の発生
厚生労働省食品安全部監視安全課
【ユッケ食中毒】
自治体
現在の入院者
(重症者)
有症者
死亡者
総数
男
女
総数
男
女
総数
男
女
富山県
富山市
石川県
福井県
横浜市
139
24
1
4
1
70
13
1
3
0
69
11
0
1
1
14
1
5
0
9
1
3
1
2
1
1
0
0
1
1
1
1
0
合計
169
87
82
17
5
12
4
2
2
厚生労働省は、原因究明調査、生食用食肉を取り扱う営業施設に対する緊急監視
を行っている。生食用食肉を提供する飲食店において、
○ どの施設において適正な生食用の加工を行っているかを店内等に掲示し、
○ 営業者間の取引の際に衛生基準に基づく生食用の加工を行っているか否かを
文書で確認するよう、都道府県等に指導を依頼しています。
食のリスク: 伝統的調理法がない中で「牛肉細切れ」を
生で食べる「ユッケ」問題
●
食肉は無菌ではあり得ない
ハイリスク者は、加熱不十分な肉を食べてはならない
15歳未満の子供、70歳以上の高齢者、妊婦、免疫低下
を伴う基礎疾患のある方
● 子供に生肉を食べさせ、死亡させた親や大人は、殺人罪
で処罰されるべきである(消費行動の法規制はできない)。
● 一般健康成人が生肉を食べて食中毒(下痢、嘔吐、腹
痛、発熱)を起こしても、自己責任である。
● あらゆる食品には健康リスクがあることを理解するための
学校教育、成人教育を推進する必要がある。
栄養過多によるメタボが最も重大な健康リスクである。
●
腸管出血性大腸菌食中毒 *病原大腸菌
患者数
事故数
患者数
1996*
1997*
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
179
176
15
8
16
24
13
12
18
24
24
25
17
26
27
14488
5407
182
46
113
378
273
184
70
105
179
928
115
181
358
l1996年に起きた堺市学
死者数 校給食事故では、児童・教職
員の家族など約9500人が発
8 症し、うち3人が死亡した。管
0 直人厚生大臣がカイワレ大根
3 を灰色扱いしたため生鮮野菜
0 などに対する風評被害が広
1 がった。
0
2002年に9名の死亡者を
9
出したのは病院給食であり、
1 食肉は使われていなかった。
0
毎年、牛のレバー刺や
0
0 ユッケによる中毒が多発し、
0 厚労省から注意喚起が行わ
0 れてきたが、本年になって死
0 亡者が出たことによりメディア
0 に大きく取上げられた。
1996~2010年における腸管出血性大腸菌食中毒の概要
割合
死者数
%
割合
%
致命率
患者1万人当り
年齢区分
患者数
0~4
5~9
10~14
15~19
20~29
30~39
40~49
50~59
60~69
70以上
不詳
583
7,426
4,678
1,442
2,147
1,540
1,809
1,796
728
431
429
2.5
32.3
20.3
6.3
9.3
6.7
7.9
7.8
3.2
1.9
1.9
1
4
2
0
0
0
0
2
0
13
0
4.5
18.2
9.1
0.0
0.0
0.0
0.0
9.1
0.0
59.1
0.0
17.2
5.4
4.3
0.0
0.0
0.0
0.0
11.1
0.0
301.6
0.0
計
23,007
100.0
22
100.0
9.6
70歳以上
不詳 0~4歳
60~69歳
高の 健
いあ 康
のる 弱
で方 者
、) (
一は 高
般、 齢
健食 者
康中 、
成毒 若
人で 齢
よ死 者
り亡 、
注す 妊
意る 婦
が危 、
基
必険 礎
要性 疾
。が 患
50~59歳
内円
患者数の割合
5~9歳
40~49歳
30~39歳
10~14歳
20~29歳
外周
死者数の割合
15~19歳
10~14歳
50~59歳
70歳以上
食中毒事の全死亡事例( 22例)の概要からは、牛肉は浮かび上
がってこない。ただし、「表13 原因食品別腸管出血性大腸菌食中毒
発生件数」では、肉類及びその加工品が全体のほぼ半分を占めてお
り、生または加熱不十分な牛肉等が主原因であることは間違いない。
食品安全委員会: 生食用食肉(牛肉)の食品健康影響評価
表20 と畜場搬入牛の月別保菌状況
月 O157 O26 月 O157 O26
月 O157 O26
1
2
3
7 18.9
8 20.8
9 24.6
1.6
4.1
0
1.6
0
0
4 7.1
5 12.5
6 25.0
0
7.5
0
4.1
0.8
0.5
月 O157 O26
10 11.1
11 13.6
12 13.6
6.1
0
0
2004年7月~2006年3月の調査。平均はO157:14.4%、O26:1.5%
表21 牛枝肉の腸管出血性大腸菌汚染状況
検体採取時期
1996~1998 ⁄ 4~3月
2003~2004 ⁄ 6~8月
2004~2005 ⁄ 7~2月
2005~2006 ⁄ 4~3月
血清型 分離率(%) 分離数
検体数
O157
O157
O157
O26
O157
47,138
230
288
288
338
0.2
5.2
3.8
0.3
1.2
90
12
11
1
4
日本における食肉の調査結果の推移
腸管出血性大腸菌陽性%/大腸菌陽性%
「厚生労働省指定品目の調査結果の推移」より抜粋
2006
2007
2008
2009
2010
0/58
ミンチ肉(牛)
0/71
ミンチ肉(牛豚混合)
7.1/71
牛レバー(生食用)
牛レバー(加熱加工用)
0/59
カットステーキ肉
0/74
牛結着肉
0/26
牛たたき
0/ 5
ローストビーフ
0/64
0/67
0/20
0/28
0/54
0/51
0/20
0/13
0/64
0/74
0/82
0/65
0/63
0/71
0/14
0/ 7
0/61
0/74
0/77
1.0/70
0/59
0/74
0/16
0/13
0.9/61
0.8/76
0/81
1.0/65
1.7/54
0/69
0/16
0/ 3
腸管出血性大腸菌が検出される割合はわずかだが、大腸菌の検
出率は高い。このことは、食肉は糞便によって汚染されており、O157
が検出されなかったのは、牛が保菌(5~10%)していなかっただけで
ある。 トイレがなく、床に寝そべる家畜の体表が糞便汚染するのは避
けられない。消化管結紮だけでは解決できない。
生産
加工
流通
小売
達成
目標
達成基準
達成
目標
調理・消費
摂食時
安全目標
病気
公衆衛生
上の
目標値
達成基準
微生物
規格
微生物
規格
微生物
規格
数的指標から微生物規格設定への流れ
公衆衛生上の目標値: 年間死者数を1人未満とする
ヒト・ヒト感染を防ぐ対策は?
摂食時安全目標値: 0.04cfu/g未満
加工時の達成目標値: 上記の1/10(0.004cfu/g未満)
成分規格(案): 腸内細菌科菌群を微生物検査の対象と
し、1検体25gで25検体以上が陰性
パブリックコメント
8月5日~8月16日
加工基準(案)
原料肉: 加工に使用する肉塊は、凍結させていないものであっ
て、衛生的に枝肉から切り出すこと。
加熱又は同等の措置: 上記処理を行った肉塊は、速やかに、気
密性のある清潔で衛生的な容器包装に入れ、密封した後、肉塊の
表面から1cm 以上の深さを60℃で2 分間以上加熱する方法又は
同等以上の効力を有する方法による加熱殺菌を行った後、速やか
に10℃以下に冷却すること。
加熱の記録: 加熱処理に係る殺菌温度及び殺菌時間の記録は、
1 年間保存すること。
保存基準: 4℃以下で保存すること。ただし、生食用食肉を凍結さ
せたものは、-15℃以下で保存すること。
Q38 腸管出血性大腸菌は人からうつるのですか?
腸管出血性大腸菌は100個程度の菌数でも感染すると言われていますが、感
染するのは菌に汚染された飲食物を摂取したり、患者さんや無症状病原体保有者
の糞便で汚染されたものを口にした場合だけで、職場や学校で話をしたり、咳・くしゃ
み・汗などでは感染しません。ヒトからヒトへの感染を予防する基本は手洗いです。
排便後、食事の前、下痢をしている子どもや高齢者の排泄物の世話をした後など
は、せっけんと流水(汲み置きでない水)で十分に手洗いをしましょう。
厚労省
感染症法 「三類感染症」全数把握疾患
感腸
染管
症出
の血
発性
生大
状腸
況菌
49名が死亡
1
7
5
7
3
4
7
6
4
5
1999~2008年における腸管出血性大腸菌死亡数
死亡数
割合
%
0~4
5~9
10~14
15~19
20~29
30~39
40~49
50~59
60~69
70以上
12
1
1
0
1
0
2
5
1
26
24.5
2.0
2.0
0
2.0
0
4.1
10.2
2.0
53.1
計
49
100.0
年齢区分
死亡はHUSが引金になるが、2008年
の死亡数は5名であり、その全てがHUS
だったとしても5%程度が亡くなったこと
になる。また、70歳以上の死亡にはHUS
が関与していない例もあるだろう。
食品安全委員会
割合
人数
5
腸管出血性大腸菌感染症の都道府県別発生状況
感染研: 感染症発生動向調査
O157
O26
2009 2010 2009 2010
全国
東京都
大阪府
福岡県
佐賀県
長崎県
熊本県
大分県
宮崎県
鹿児島県
2371 2732
215
161
237
35
34
27
55
17
41
242
211
186
33
29
51
15
20
25
計
O111
2009 2010 2009 2010
697
564
75
85
18
10
9
146
16
12
17
30
17
34
16
16
1
4
11
5
4
13
2
2
4
1
0
2
0
0
4
2
0
4
0
1
9
0
0
13
3143 3381
235
173
250
182
50
41
72
47
62
278
227
206
34
34
71
20
24
51
食品安全も大事だが、感染症を防ぐ個人衛生も重要!
年
間
発
生
件
数
大腸菌O157が産生するベロ
調査の精度強
化と規模拡大
毒素により腎臓の毛細血管
が破壊され、溶血性尿毒症
症候群に陥った子供達が死 食肉センターへ
のHACCP導入
亡する痛ましい事故の防止
に努めたが、流行の勢いは
止まらない。
西部諸州に
おける大規
ハンバーガー・
模発生
チェーン店での
米国とカナダに
跨る広域事故
米国における大腸菌O157による年間事故件数
(1982~2002年)
米国の市販牛ひき肉の大腸菌O157調査成績
年
検査数
1994
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
891
5407
5703
6065
8080
7785
6375
6770
6708
6392
7603
10975
10510
陽性数 陽性率
0
3
4
4
14
32
55
59
55
20
14
19
20
0.0
0.05
0.07
0.07
0.17
0.4
0.86
0.87
0.82
0.31
0.18
0.17
0.19
FSIS: Meat Animal Research Center
米国では牛群の88%に大
腸菌O157が侵入し、汚染群
の22%の個体が保菌していた
という調査結果がある。
食肉センターへのHACCP
システムの導入により、解体
時の消化管結紮とトリミングで
食肉汚染は減少したが、調査
精度強化により完全ではない
ことが判明した。
皮膚や毛に付着した糞便が
食肉センターを汚染しているこ
とに気付き、と殺前の牛体の
洗浄と消毒を徹底したところ
再び汚染が軽減してきた。
それでもゼロ汚染は達成さ
れていない。
食文化・食習慣
生焼けハンバーガー(pink hamburgers)を好む: 34 %
高所得(>=$60,000) 45 % > 低所得(<$60,000) 30 %
大卒以上 38 % > 高卒以下 25 %
他の人種 36 % > 黒人 12 %
カリフォルニアとコネチカット州 43% > 他の州 27 %
未殺菌生乳を好む: 1.5 %
スペイン系 4.9 % > 他の人種 1.4 %
FoodNet Presentations, 1996-1997
取材人数: 7493人
実施時期: 96年7月-97年6月
生産から流通までは法規制できるが、消費行動を法規制すること
はできない。分厚いステーキをレアで注文する生肉を食べる風習が、
大衆化社会の中で「生の挽肉を食べる」ように歪んでしまった。
米国における腸管出血性大腸菌感染の発生状況
Estimates of foodborne
illness 2010
検査室
確認症例
O157
3,704
O157以外
1,579
患者総数の推定
値(信頼限界)
96,534
(26,982–227,891)
168,698
(17,163–428,522)
内食中毒の割合
推定症例数
(信頼限界)
68%
63,153
(17,587–149,631)
82%
112,752
(11,467–287,321)
入院割合
推定入院数
死亡割合、推定死亡数
内食中毒
42.6%
3,268
0.5%、 31
20
12.8%
405
0.0%、 0
0
米国における食品媒介性疾患の発生状況
Estimates of foodborne
illness 2010
サルモネラ
検査室
確認症例
41,930
患者総数の推定
値(信頼限界)
トキソプラズマ
1,229,007
173,995
(772,129–2,008,076) (134,593–218,866)
94
内食中毒の割合(%)
1,027,561
推定症例数
(644,786–1,679,667)
(信頼限界)
入院割合(%)
推定入院数
死亡割合(%). 推定死亡数
内食中毒
50
86,686
(64,861–111,912)
27.2
23,128
2.6
8,889
0.5, 452
378
0.2, 656
327
米国における大腸菌O157感染源の概要(1982~2002)
事故件数
割合(%)
患者数
割合(%)
牛挽肉
未特定の媒介食品
農産物
その他の牛肉
その他の媒介食品
乳製品
75
42
38
11
10
7
21
12
11
3
3
2
41
23
21
6
5
4
1,760
646
1,794
563
206
300
20
8
21
7
2
3
33
12
34
11
4
6
小計(食品媒介性)
183
52
100
5,269
61
100
74
50
21
11
10
1
21
14
6
3
3
<1
812
651
280
319
1,265
2
9
8
3
4
15
<1
小計(食品以外)
167
48
3,329
39
計
350
100
8,598
100
感染経路不明
ヒトからヒト
レクリエーション用の水
動物との接触
飲用水
実験室感染
汚染食品の
喫食
発病
糞便サンプ
ルの採取
大腸菌
O157の特
定
研究機関が
菌株を入手
症例の確定
診断
CDC: Timeline for Reporting of E. coli Cases
こ
の
間
に
流
行
が
拡
大
す
る
恐
れ
通
常
、
2
~
3
週
間
を
要
す
る
黄色ブドウ球菌
ヒトおよび動物の体表などに常在し、傷口から侵入して化膿の原因と
なる。汚染食品中で増殖して腸管毒(エンテロトキシン)を産生する。
2000年6~7月: 関西を中心とした広域・大規模食中毒
原因食品: Y乳業製の低脂肪乳などの加工乳
喫食者: 14,780名
製品の喫食と発症の関係がほぼ確実: 4,852名
製品喫食と発症に関係があると推定 : 13,420名
牛の乳房炎の主要な原因菌
脱脂粉乳製造過程で発生した停電の際に、生乳中叉は製造
ラインに滞留した乳中に由来する黄色ブドウ球菌が増殖した。
傷があれば無数の黄色ブドウ球菌がいる!
解体・カット過程で化膿巣を見つけたら・・・
食肉が直接原因食とならなくとも、調理場を黄色ブドウ球菌で汚す
ことになる。他の調理済み食品を汚染し、喫食までの温度管理が悪
いと増殖してエンテロトキシンを産生する。
カンピロバクター
カンピロバクター食中毒の原因食品: 鶏肉が疑われるもの(鶏の
レバーやささみなどの刺身・タタキ・半生製品・加熱不足の調理品な
ど)が60件、牛生レバーが疑われるものが11件( 2008 年)。
健康な牛の肝臓: 胆嚢内胆汁 25.4%、胆管内胆汁 21.8%、肝臓
11.4% 肝臓の処理作業は、消化管と同様に、交差汚染を
防ぐための作業工程・作業導線を明確化する。
700
600
500
400
300
200
100
0
◆: 事故件数
◆: 細菌性食中毒に占める割合(%)
100
80
60
40
20
1985
1990
1995
1996
1997
1998
1999
2000
2001
2002
2003
2004
2005
2006
2007
2008
2009
2010
事故件数は
不規則な増加
を示してきた
が、細菌性食
中毒に占める
割合を計算す
ると着実に増
加している。制
御方法に工夫
が必要。
0
ウェルシュ菌
健康なヒトの便からも検出され(成人
0.7%、幼児0.5%) 、保菌率は加齢とと
もに高くなる。家畜の保菌率は50%以上
とされ、環境中に広く分布する。ただし、
食中毒の原因となるエンテロトキシンを
産生する菌株はその一部である。
ウェルシュ菌は煮沸しても死滅しな
い芽胞を形成する。そのため、生肉だけ
でなく、加熱工程を経たハム・ソ-セ-ジ類
やカマボコなどの魚肉練り製品からも検
出される。
温度 ℃
80
90
100
110
D値
50~120
3~15
0.3~13
0.5
D値:菌数が
1/10に減るま
での時間(分)
製品
汚染率(%)
36.3
市販牛肉
25.0
冷凍牛肉
豚胸肉(と畜場) 45.8
47.2
市販豚肉
23.8
冷凍豚肉
52.0
市販鶏肉
42.4
冷凍馬肉
12.5
市販ハム類
65.8
市販ソ-セ-ジ類
23.6
市販生魚
100.0
生かき
50.0
冷凍タラすり身
5.2
魚肉練り製品
協和商会 資料