「経営システム工学入門実験A」 ロジスティクス 第1回 ビールゲーム 担当: 森戸 晋・本間 裕大 担当助手: 村田 康一 2010年6月28日(月) 協力: 逆瀬川研究室・森戸研究室(修士,4年) 1 「経営システム工学入門実験A」 ロジスティクスの狙い • ロジスティクス、サプライチェーンマネジメント の側面を「体感」 • ロジスティクス・システムの計画・管理に役立 つ技法を「体感」 – 在庫管理 – シミュレーション – 最適化(数理計画) 2 サプライチェーン(Supply Chain) 製品の流れ サプライヤー メーカー 配送業者 卸売業者 小売業者 顧客 需要情報の流れ 3 ロジスティクスシステム 工場立地 スケジューリング 生産計画 原材料 輸送 生産 工場内物流 調達物流 輸送計画 輸送 施設配置計画 配送拠点 配送 販売物流 材料の調達から、生産、最終ユーザー への製品の配達、廃棄/回収までのトー タルなものの流れの計画・管理・制御 需要予測 在庫管理 需要 地点 配送計画 静脈物流 サプライチェーンマネジメント • 問題の発見と構造を学ぶ – 問題はなにか – キーパラメータはなにか – パラメータ間の関係はどうなっているか • 「サプライチェーンをどう制御したらよいか」 に関する洞察を得る – パラメータをどう制御すればよいか • 在庫管理技法を勉強する • シミュレーション分析に基づいてシステムの 特性や制御方法を明らかにする 5 実験で注目してほしい点 1.サプライチェーンの問題点の把握 どういう現象が発生しているか? どういう問題が生じそうか? 2.問題の整理と構造化 影響を与える主な要因や評価尺度は何か? 問題の発生原因は何か? 主な要因と問題や評価尺度との定量的関係 はどうなっているか? 6 MIT ビールゲーム • システムダイナミックス(System Dynamics: SD)を学習する ロールプレイングゲームとして、MITで開発 • 当初は,「生産流通システムゲーム(production distribution game)」と呼ばれていた • ゲーム盤には「工場」・「一次卸」・「二次卸」・「小売店」の役割 があり,参加者はチームとなって各ビールゲーム盤に向かい 勝敗を競う • ゲームの目的は、勝つこと • 参加者が,1つのシステムの意思決定を分担し,相互に圧力を 感じながら自らの意思決定を遂行するロールプレイングを通し て,実社会における意思決定の雰囲気や意思決定がどのよう な結果を起こすかを体感する • 「システムの内的構造が行動を生む」というSDの大原則と共に、 システム思考とはどういうものかを体験的に学習する 7 ビールゲームのボード 情報(注文)の流れ もの(ビール)の流れ 8 ビールゲームの重要なポイント • 工場→一次卸→二次卸→小売店と、もの(ビー ル)が流れる • 各コンポーネントで、 – 在庫発生→在庫管理費用がかかる – 品切れ発生→機会損失費用がかかる • 小売店で発生する需要量は未知 • 在庫を持ちすぎず、かつ品切れがないように ものを流したい! • 各コンポーネントが、全体の流れを考えながら、 うまく発注数を決めなければならない 9 ビールゲームの基本ルール(1) 1.ゲームの目的:チームの総費用最小化 費用の計算方法: ・各役割分担者が、各週に在庫および受注残を 計算し、全期間にわたって合計 ・在庫=0.5ドル、受注残=1ドルをかけて費用 を計算し、各役割の総費用を求める. ・全期間・全役割の費用合計を集計. 2.社名を決め、記録シートに記入 3.成績優秀チームは表彰 10 ビールゲームの基本ルール(2) 4.(同一役割担当者以外は)お互いにコミュニケー ションはしない! (これは、お互いに他人の活動は分からない、 という実世界を反映する). ゲームボード盤を見渡すことだけが許される. 5.顧客からの受注量は「小売店」だけが知る. 「小売店」は、他に情報を伝えてはならな い! 11 発注 BEER GAME 手順① 配送遅れの移動 発注 注文中 注文票 遅れ 在庫 注文中 生産要請 遅れ 遅れ 『在庫』に近い『遅れ』のチップを在庫に移す 12 発注 BEER GAME 手順① 配送遅れの移動 発注 注文中 注文票 遅れ 在庫 注文中 生産要請 遅れ 遅れ 『在庫』から遠い『遅れ』のチップを近い『遅れ』に移す 13 発注 BEER GAME 手順② 注文表の開示と配送発注 注文中 注文中 4 注文票 遅れ 在庫 生産要請 遅れ 遅れ 『注文中』の付箋をめくって、書かれた数と同数のチップを 左隣の『遅れ』に移す。 受注残があるとき:(書かれた数)+(受注残数)を移す。 14 BEER GAME 手順③ 在庫・受注残の記入 週 在庫 1 12 受注残 注文 0 2 3 記録シートに現時点での在庫数・受注残数を記録 (他のコンポーネント担当者に見せないこと!) 15 発注 BEER GAME 手順④ 注文票の移動 発注 注文中 注文票 遅れ 在庫 注文中 生産要請 遅れ 遅れ めくった付箋を廃棄し、右上の『発注』の付箋を、右隣の 『注文中』に移す 16 発注 BEER GAME 手順⑤ 注文数の決定 発注 注文中 4 注文票 遅れ 4 4 在庫 生産要請 遅れ 新たに付箋を用意し、自分の注文したい数を 書きこみ、裏返しにして『発注』に貼り付ける 注文中 遅れ 17 発注 BEER GAME 手順⑤ 注文数の決定 発注 注文中 注文票 遅れ 4 4 在庫 生産要請 遅れ 新たに付箋を用意し、自分の注文したい数を 書きこみ『発注』に裏返しにして貼り付ける 注文中 遅れ 18 BEER GAME 手順⑤ 注文数の記録 週 在庫 1 12 受注残 0 注文 4 2 3 記録シートに注文数を記録 (他のコンポーネント担当者に見せないこと!) 19 BEER GAME 発注 発注 注文中 注文票 在庫 遅れ 注文中 生産要請 遅れ 遅れ 始めに戻るので、これを繰り返す 20 ビールゲーム:再確認(1) • ビールのサプライチェーンを想定 • ゲーム期数=50週 • サプライチェーンは,それぞれ1施設からなる 「小売店」、「一次卸」、「二次卸」、「工場」で構 成 • 工場の生産能力は無制限 • 各コンポーネントの在庫保有量は無制限 21 ビールゲーム:再確認(2) • 各コンポーネントは直下の需要を可能な限り満足しよ うとする • 満足できなかった需要はバックオーダーとして記録さ れ,可能な限り即座に満たす • オーダーが無視されることはなく、最終的には必ず満 たされる • 需要を満たせなかったときは受注残(品切れ)となり, ペナルティとして1個当り1ドル/週の費用がかかる • 在庫保持には1個当り0.5ドル/週の費用がかかる 22 ビールゲーム:再確認(3) • 各コンポーネントは,週ごとにオーダーを出す • 発注リードタイム(左のコンポーネントがすぐ右 隣のコンポーネントに注文を出し,注文が届くま での期間)は2週間 • 納入リードタイム(発注を受けてから商品を届け るのにかかる期間)は2週間; つまり全体として 発注から納入まで4週間かかる 23 満たすべき注文 1.満たすべき注文量 =今週の注文量+前週の受注残量 2.A)在庫で注文が満たせるときは、満たすべき 注文量すべてを出荷し、残りの在庫を記録する B)満たすべき注文が手持ち在庫でまかなえ ないときは、手持ちの在庫をすべて出荷し、 満たすことのできなかった注文量 (つまり、不足量)を受注残として記録する 24 ゲーム終了後... • • • • 依然として、コミュニケーションは控えて 各チーム毎に記録シートで総費用を計算 TAを通じて、総費用を連絡→勝者決定! 各チーム毎にグラフ作成 – 在庫と受注残のグラフ – 注文量のグラフ • チーム内でゲームを振り返って検討 • 来週、各チーム7分間の発表 25 Excelシートで集計 • 実験のホームページから、集計シートをダウン ロード • 紙の集計シートから各コンポーネントのデータを 移す • 各コンポーネントの在庫量の推移グラフ・発注量 の推移グラフが自動で作成される • 集計シートを作成したら、メール添付で提出する こと アドレス [email protected] 26 「経営システム工学入門実験A」 ロジスティクス 第1回宿題 • 班単位で 次回 7/5(月)の発表の準備 パワーポイントでスライドを作成 発表用pptファイルをメール添付で提出 締切:7/2(金)午後5時 [email protected] • 個人単位で ビールゲームの結果の分析・考察やプレイして 考えたことをA4三枚以内にまとめる。考察に際 して、配布の英文資料を読み、結果との関連に 言及すること。 実験室レポートボックスへ提出 アドレス 締切:7/5(月)午後1時 27 個人レポート・検討項目例 できるだけ「系統的」にまとめること • ゲーム結果の集計 • ゲーム結果の評価(具体的な結果を活用) – どういう方針でプレイしたか – ゲームは思ったようにプレイできたか • ゲームで学んだこと – ゲームからどのようなことを学んだか – ゲームで体感したことと、現実の意思決定との関連 • ゲームそのものについての意見 – ゲーム自体をどう思ったか – ゲームのよくできているところ、非現実的なところはどこか – 不具合があるとするとどう修正するのがよいかに関する意見 28 速報: 集計結果(各班の総コスト) 班 1 2 3 4 5 6 7 8 9 総コスト 班 10 11 12 13 14 15 16 17 18 総コスト 29 班単位の宿題の ファイル名とメールタイトル名 班単位の宿題提出にあたっては, 集計シートExcelファイルの名称 班番号.xls (例 12.xls) 集計シート送付メールのタイトル名 集計シート提出○班 (例 集計シート提出12班 ) 発表スライドの名称 班番号.ppt (例 12.ppt) 発表スライド提出メールのタイトル名 発表スライド提出○班 (例 集計シート提出12班 ) 30
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