発達障がいの理解 適切な支援，指導を行うためには， 障がいを正しく理解することから 始まります。 大分県教育センター 特別支援教育部 発達障がいとは? 知的な発達は境界域や正常域にあります 運動，言語，対人関係，情緒発達などに アンバランスが目立ち，著しく困難なと ころがあります 不適応行動が見られることもあります 注意 発達障がいが疑われても，専門家ではない人が憶測で言わないようにしましょう。 診断されても，家族の承諾なしに，安易に他人に言わないことが大切です。 発達障がいに対する理解と支援モデル 心の困り 学習上の困り 本人の困難な状態 行動上の困り 周囲の人の困り 学習面への支援 精神面への支援 支援の在り方 行動面への支援 周囲の人の理解・啓発 実は生徒は困っている 話が聞けず，すぐに私語を始める 個別に指導するとわかるのに，学 級で指導すると分からない 熱心に取り組む教科とそうでない 教科に偏りが大きい 板書どおりに視写出来ない 乱暴な言葉を発する。乱暴な行 動も見られる 体育の授業で，バスケの試合で 負けてカッとする 友だちがいない。 一人で過ごすことが多い 名称によるくく りよりも具体的 な対応を重視！ 教室での指導で何らかの 困難を伴う子ども 6.3％ 分かっているんだけど， できないなぁ･･･ ADHD（２．５％） 行動面の困難性 ADHDや高機能 自閉症は，注意 が散漫，知覚に 偏りがあるなどの 特徴が学習に支 障を来しやすい。 LD全体から見て，行動面に 困難のある子どもはかなり たくさんいる。しかし，そ うでないタイプは「おとな しいLD」として見落とされ がち。目立ちにくいので発 見が遅れる場合がある。 分からないよぉ。 できないよぉ･･･ LD(学習障がい） ・コミュニケーションがうま くとれない ・対人関係がうまくいかない ・決まった行動やこだわった 行動をしてしまう 高機能自閉症等（０．８％） （知的に遅れのない自閉症） （４．５％） 学習面の困難性 アスペルガー障がい 知的に高くて，自閉 的な障がいの特徴を もち，言語能力に遅 れがない。 ADHDとは？ 小中学校の2．5％の子ども Attention Deficit Hyperactivity Disorder 注意 欠陥 多動性 のび太型 ・気が散りやすく，とっさにどうす ればよいか分からない ・最初からできないと，決めつけ てしない ・宿題を全くせず，忘れ物が多い ・現実ではあり得ないような空想 にふける など 障がい ジャイアン型 ・思い通りにならないと急に怒り出し，パニックになる ・ルールや順番を守れない ・自分中心で，面倒なことは嫌う ・危険なことが好きで，エネルギーの固まり ・興味のない学習はせず，しゃべりまくる ・相手の立場を考えず，しゃべりまくる ・相手を傷つけるようなことをいつも言う など ・そわそわしている ・離席する ・高いところに登る ・じっとしていない ・おしゃべり ＡＤＨＤの子どもとは？ ・ぼんやりしている ・忘れ物が多い ・片付けができない ・掃除をしない ・こつこつする課題 は苦手 興味のあるものが変わりや すく，目的もなくあちらこち らを動き回る 多動性 ・質問の途中で答える ・順番が待てない ・気に入らないと暴力 をふるう 注意や集中力が続かない 目的を持って行動すること が難しい 思いついたり，外部の刺激を 受けると押さえきれずに，す ぐに行動してしまう 不注意 衝動性 家庭と学校などの２つ以上の場で見られる ７歳以前に発症 高機能自閉症（ ＨＦＡ ）とは？ High-functioning Autism 小・中学校の ０．８％の子ども ◎ 中枢神経系に機能不全があると推定 ◎ 知的発達に遅れはない ◎ ３歳くらいまでに現れる 相手に応じたやりとり が苦手，ことばどおり に受け取る 等 ・目で合図するなどが苦手 ・一人で行動することが多い ・共感することが苦手 コミュニケーション の障がい （ことばの発達の遅れ） 社会性の障がい （対人関係） ・こだわり ・気に入ったものから 離れられない ３つ組の障がい 興味や関心の偏り （想像力の欠如） ＬＤ（学習障がい）とは？ Learning Disability ◎知的発達に遅れはない ◎聞く，話す，読む，書く 「計算する」又は「推論する」 の能力のうち，特定のものの 習慣と使用に著しい困難 小・中学校の4．5％の子ども ◎集団の中で話が聞けない ◎遅れて行動する ◎落ち着きがないように見える ◎何度も聞き返す ◎忘れやすい ◎たどたどしい読み 原因として，中枢神経系に 何らかの機能障がいがある と推定されるが，視覚障が い，聴覚障がい，知的障が い，情緒障がいなどの障が いや，環境的な要因が直接 の原因となるものではない。 ◎文字を書けない ◎筆算の桁がずれる ◎位置関係を捉えにくい ◎状況にそぐわない対応 ◎運動，細かい作業が苦手 客観的な視点で対応を 1. 本来の障がい特性による行動特性，認 知特性，本人にできることできないこと 2. 本人の気持ち，思い，考え 3. 本人を取り巻く人（担任，保護者など）の 気持ち，思い，考え 適切な支援のためには 正確な実態把握を 本人の気持ち，思い，考え（ADHDの場合) ～困難な状態を抱えていることに対して～ 自分ではどう にもならない 自分は できが悪い 自分でも努力し てみようと思う 努力してみたも ののできない 何とかしようとし てもダメな自分 自分でも 何とかしたい 自分は何をやって もうまく続かない， うまくできない 本当はみんなと 同じように勉強や 遊びをしたいけど， できない 先生や親のいうよう にできたらいいのに， できない 本人の気持ち，思い，考え（ADHDの場合) ～本人を取り巻く人たちの対応に対して～ 友だちからも，注 意されたり，文句 を言われたりする ことばかり 自分は変わろ うと思っても 変われない 親も先生も 注意したり， 叱ってばかり 将来は真っ暗 みんなから嫌 われている みんなの言うこ とに応えたいの に，できない。 気持ちを誰もわ かってくれない 自分は 性格が悪い 先生も親も 友だちも， みんな嫌い 自分はどうに もならない 自分なんかい ない方がいい に違いない 生まれて こなければ よかった 本人の気持ち，思い，考え（自閉症の場合) ～困難な状態と周囲の対応に対して～ よくわからないか ら，一緒に行動 するのが怖い 大勢人がいる と不安になる 独りにしておい てほしい みんな（同世代） 何をしているの だろう，よくわか らないから不安 みんなと一緒に行 動しないといけな いみたいだが，ど うすればよいのか よくわからない 休み時間は嫌 い。混乱状態 だから 言われたとお りにしたのに 叱られる 周りの人が何をする かわからないから 不安で怖い 人が言っている ことがよくわか らない 集団行動は不安に なるし，とても疲れる 面白い話をして も話が合わない 他の人の話 は筋が通っ てなかったり， めちゃくちゃ なことが多い 一人でいる 方が安心 大人の方が一緒にいて も安心。（行動が把握 しやすい） 本人の気持ち，思い，考え（LDの場合) ～困難な状態を抱えていることに対して～ 自信をなくす 読み（または書き， 計算など）は，で きないから嫌いだ。 わかってもらえない苦しさ 「一所懸命努力 すればできる」と 言うけれど･･･ 不安感が増すばかり 自尊感情をなくす 自分は頭が悪い， 不器用だ，いいと ころなんかない。 教室にいても，先 生の話はわから ないし，すること がなくてつらい。 本人の気持ち，思い，考え（LDの場合) ～周囲の人たちの対応に対して～ 親も先生も，でき ないことをことさら やらせようとする。 嫌いなことばかり やらされるから， 勉強なんか嫌い だ，やりたくない。 親の期待にも，先生の 期待にも応えられない。 自分はこれからど うすればよいだろう。 教室にいてもつら いし，先生や親の 期待にも応えられ ない，学校に行き たくない。 つらいので，気持 ちも落ち着かない。 引用・参考文献 特別支援教育研究 （日本文化科学社） （ 2008 No.611 No.617） LD（学習障害）のすべてがわかる本 上野一彦 監修 講談社 学習障害（LD)及びその周辺の子どもたち －特性に対する対応を考える－ 同成社
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