電磁気学C

電磁気学C
Electromagnetics C
5/14講義分
波動方程式から導かれる電磁波の姿
山田 博仁
自由空間でのMaxwell方程式
自由空間でのMaxwell方程式 (自由空間では、真電荷および伝導電流がゼロ)
B( x, t )
t
D( x, t )
rot H ( x, t ) 
t
rot E ( x, t )  
等方性、かつ線形、かつ非分散性の媒質中
D( x, t )   E ( x, t )
B( x , t )   H ( x , t )
div D( x, t )  0
真空中
D( x, t )   0 E ( x, t )
div B( x, t )  0
B( x, t )  0 H ( x, t )
ε, μ は、非等方性媒質ならテンソルになる
非線形媒質なら電場や磁場の強さの関数( ε(E), μ(H) )になる (非線形光学で扱う)
分散性媒質なら電磁波の周波数の関数( ε(ω), μ(ω) )になる
等方性かつ線形かつ非分散性の媒質中として上の方程式を解くと、以下の波動方程式
 2 E ( x, t )
E ( x, t )  
0
2
t
 2 B( x, t )
B( x, t )  
0
2
t
が得られる
波動方程式の解
波動方程式
 2
2
2 
 2 E ( x, t )
0
 2  2  2  E ( x, t )  
2

x

y

z

t


 2 E ( x, t )
E ( x, t )  
0
t 2
ここで、 v 
1

と置くと、
1  2 E ( x, t )
E ( x, t )  2
0
2
v
t

1 2 
   2 2  E ( x, t )  0
v t 

□ E ( x, t )  0
v は電磁波が物質中を伝わる速度
v
1
1 2
□   2 2
v t
真空中の場合に v は通常 c で表記され、
c

ダランベルシアン
1
 2.998108 m/s
0 0
(真空中の光速度)
波動方程式の解は、 E ( x, t )  X1 (k  x   t )  X 2 (k  x   t ) で与えられる。
+ k 方向に進む波
X1, X2は任意のベクトル関数
- k 方向に進む波
kは波の伝搬方向を示す波数ベクトル
 は波の角周波数
参考) 伝送線路と電信方程式
R
L
送電端
受電端
E
R: 線路単位長当りの抵抗 (W/m)
L: 線路単位長当りのインダクタンス (H/m)
C: 線路単位長当りの容量 (F/m)
G: 線路単位長当りのコンダクタンス (S/m)
ZL
x
x=0
C
G
上記の伝送線路に対して、以下の線路方程式が得られる
 2v
v
 2v
 RGv  ( RC  GL)  LC 2
2
x
t
t
電信方程式あるいは伝送方程式
 2i
i
 2i
 RGi  ( RC  GL)  LC 2
2
x
t
t
右辺の最後の項に着目すると、この波(線路上での電圧と電流)の伝搬速度 v は、
v 1
← 無損失線路(R = G = 0)の場合はこれで良い
LC であることが分かる
平面電磁波
波面が平面からなる波が、波面に垂直方向に伝搬していく
k  x  t  
波面
(等位相面)
z
x3
x2
x1
k
0
x
k・x –  t を波の位相と呼ぶ。
これがある一定値  を保持し
たまま(等位相)、時間発展して
いく様子は、等位相面(波面)
が平面からなる波が波面に垂
直方向に伝搬する様子を表す
k  x3   t3  
k  x2   t 2  
k  x1   t1  
y
k: 波数ベクトル(波の進行方向を向いている)
平面電磁波
今、自由空間を伝搬する電磁波(進行波)の中で、特別な場合として正弦波で表さ
れる電磁波を取り上げる。 角周波数  で振動しながら、+ z方向に伝搬する電磁波
Ex  Ex0 sin(kz  t )
H x  H x0 sin(kz  t   )
Ey  Ey 0 sin(kz  t )
H y  H y 0 sin(kz  t   )
Ez  Ez 0 sin(kz  t )
H z  H z 0 sin(kz  t   )
kは波数で、
x
k
2



v
E
Ex0
z
Ey0
Ez0
y
平面電磁波
x, y 方向には一様
+ z方向に伝搬する電磁波
Ex  Ex0 sin(kz  t )
H x  H x0 sin(kz  t   )
Ey  Ey 0 sin(kz  t )
H y  H y 0 sin(kz  t   )
Ez  Ez 0 sin(kz  t )
H z  H z 0 sin(kz  t   )
rot E ( x, t )  
電場の波と磁場の波
の間には位相差φが
あると仮定している
B( x, t )
に代入、
t
B
 Ez E y 
 E E 
B
B
 E E 

e x   x  z e y   y  x e z   x e x  y e y  z e z

z 
x 
y 
t
t
t
 z
 y
 x
0
E y
0
0
0
φはゼロでなければならない
B
 x
z
t
kEy 0 cos(kz  t )  H x0 cos(kz  t   )
kEy 0  H x0
By
Ex

z
t
kEx0 cos(kz  t )  H y 0 cos(kz  t   )
kEx0  H y 0
Bz
0
t
 H z 0 cos(kz  t   )  0
H z 0  0
平面電磁波
同様に、 rot H ( x, t )  D( x, t )
t
に代入、
Dy
 H z H y 
 H y H x 
Dx
Dz
 H x H z 





e


e


e

e

e

ez


y
x
y
 x
 x
 z

y

z

z

x

y

t

t

t






0
0

H y
z

Dx
t
H x Dy

z
t
0
0
φ=0
 kH y 0 cos(kz  t )  Ex0 cos(kz  t   )
kH y 0  Ex0
kHx0 cos(kz  t )  Ey 0 cos(kz  t   )
kHx0  Ey 0
Dz
0
t
 Ez 0 cos(kz  t )  0
以上の関係より、
Ey
Ex



Hy
Hx

Ez 0  0
ここで、
Ez  H z  0 となる
k

v
   の関係を用いた
平面電磁波
Ey
Ex



Hy
Hx

Ez  H z  0
E と H (ベクトル)は、波の進行方向に垂直な平面
内に存在し、互いに直交する。また、 E と H の大
きさの比は一定
x
Ex E
媒質中での電場と磁場の大きさの比を、媒質の
インピーダンスという


Z
H

E
真空のインピーダンス Z0は、
0
1.2566371 10 6
Z0 

 377 [W]
0
8.854185 10 12
z
Ey Hy
H
y
平面電磁波
インピーダンス Z の媒質中を伝搬する電磁波に関して、E と H との間
には以下の関係が成り立つ
E  Z (H 
k
),
k
H 
1
k
(E  )
Z
k
x
k
E
z
y
H
電場の波と磁場の波は同相(同じ時刻に共に節や腹となる)
平面電磁波
電場が e(1) 方向に偏り、正弦関数的に振動する平面電磁波を考える
E( x, t )  e (1) E0 sin(k  x   t )
1  2 E ( x, t )
波動方程式 E ( x, t )  2
 0 に上式を代入すると、
2
v
t
 2
2 
2
2
(k x  k y  k z )  2  E ( x, t )  0
v 

0
上式が、任意の場所 x、任意の時刻 t で成立するためには、
つまり、 k 
2
2
v2
k  k  k x2  k y2  k z2
角周波数  を、正の値と定義すると、   v k
これを分散 (dispersion) 関係という。
  2 f
f は波の周波数(振動数)
k
2

と置けば、  
v
f
T
1
f
T は波の周期
平面電磁波
電場が e(1) 方向に偏り、正弦関数的に振動する平面電磁波
E( x, t )  e (1) E0 sin(k  x   t ) を、
電場に関するガウスの法則 div E ( x, t )  0 に代入する




div E ( x, t )   ex(1)  e(y1)  ez(1)  E0 sin(k x x  k y y  k z z  t )
y
z
 x

 (k x ex(1)  k y e(y1)  k z ez(1) ) E0 sin(k x x  k y y  k z z  t )
 (k  e (1) ) E0 sin(k x x  k y y  k z z  t )  0
上式が常に成り立つためには、 k e (1)  0 でなければならない
即ち、電場の偏りの方向 e(1) は、その波の進行方向のベクトル k に直交する
つまり、電場の波は横波である
e(1)
E( x, t )  e (1) E0 sin(k  x   t )
k
平面電磁波
磁場に対しても e(2) 方向に偏り、正弦関数的に振動する平面電磁波
B( x, t )  e (2) B0 sin(k  x   t ) を考え、
磁場に関するガウスの法則 div B( x, t )  0 に代入する




div B( x, t )   ex( 2)  e(y2)  ez( 2)  B0 sin(k x x  k y y  k z z  t )
y
z
 x

 (k x ex( 2)  k y e(y2)  k z ez( 2) ) B0 sin(k x x  k y y  k z z  t )
 (k  e ( 2) ) B0 sin(k x x  k y y  k z z  t )  0
上式が常に成り立つためには、 k  e ( 2)  0 でなければならない
即ち、磁場の偏りの方向 e(2) は、その波の進行方向のベクトル k に直交する
つまり、磁場の波も横波である
B( x, t )  e (2) B0 sin(k  x   t )
従って、
k
電磁波は横波 !!
e(2)
平面電磁波の性質
媒質中での電場と磁場の大きさの比を、媒質の電磁インピーダンスという


Z
H

0
1.2566371 10 6
真空中では、 Z 0 

 377 [W]
0
8.854185 10 12
E
インピーダンス Z の媒質中を伝搬する平面電磁波に関して、E と H との間には
以下の関係が成り立つ
k
1
k
E  Z ( H  ),
H   (E  )
k
Z
k
つまり、電場および磁場の偏りの方向(偏波方向)は、波の進行方向に対して垂
直。(電場および磁場ベクトル E, B は、波の進行方向に対して垂直面内に存在
する。) また、電場および磁場の偏波方向( E, B の向き)は互いに直交する。
x
k
E
z
y
H