PowerPoint プレゼンテーション

子どもの笑顔あふれる地域をめざして
(社)地域医療振興協会
ヘルスプロモーション研究センター
藤 内 修 二
次世代育成支援対策推進法制定の背景
• 少子化の更なる進行
合計特殊出生率 1.29 (2003年)
予測を上回る少子化の進行
年金改革もまた見直しが必要!
• 今までは晩婚化,未婚化が少子化の要因
と考えられてきたが・・
夫婦出生力の低下が顕著になった
結婚した女性の生む子どもの数が減った
妻の年齢別 平均出生子ども数
2.5
人
40~44歳
2.0
35~39歳
30~34歳
1.5
1.0
0.5
結婚した女性の
出生力の低下が
顕著になった!
25~29歳
20~24歳
0.0
1977年
1982年
1987年
1992年
1997年
2002年
ほとんどの事業が目標値をめざして順調に整備されているのに,虐
待など子どもや親をめぐる課題は増えるばかり・・
新エンゼルプランの数値目標
事項
0~2歳児の受入れ枠の拡大
延長保育の推進
平成15年度
平成12年度
67.4万人
59.3万人
平成16年度
68万人
11,500ヶ所
8,052ヶ所 10,000ヶ所
500ヶ所
152ヶ所
300ヶ所
乳幼児健康支援一時預かりの推進
425市町村
132市町村
500市町村
多機能保育所等の整備
1,912ヶ所
333ヶ所
2,000ヶ所
地域子育て支援センターの整備
2,700ヶ所
1,376ヶ所
3,000ヶ所
一時保育の推進
4,500ヶ所
1,700ヶ所
3,000ヶ所
休日保育の推進
11,600ヶ所
放課後児童クラブの推進
9,401ヶ所 11,500ヶ所
総合的な更なる取り組みが必要になってきた!
(平成15年7月9日成立)
次世代育成支援対策推進法について
 我が国における急速な少子化の進行等を踏まえ,
次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ,かつ,
育成される環境の整備を図るため,次世代育成支
援対策について,基本理念を定めるとともに,国に
よる行動計画策定指針並びに地方公共団体及び
事業主による行動計画の策定等の次世代育成支
援対策を迅速かつ重点的に推進するために必要な
措置を講ずる。
概 要(1)
基本理念
次世代育成支援対策は保護者が子育てについ
ての第一義的な責任を有するという基本的認識の
下に,家庭その他の場において,子育ての意義に
ついての理解が深められ,かつ,子育てに伴う喜び
が実感されるように配慮して行われなければならな
いこととする。
ねえ,ママ聴いてるの?
毎朝、ワタシは保育園に、ママは
会社に行く。朝ごはんを用意して
から、ママは急いで支度を始める。
お洋服着たり、ワタシのお弁当
作ったり、朝のママは忙しいんだ。
だけどワタシは、ついママに話し
かけちゃう。お話に夢中になると
お箸がとまって、ママに食べさせ
てもらうことになる。オシャベリさ
えしなきゃ、ワタシだって1人で
ちゃんと食べられるんだけど・・
でも、ワタシ、ママにお話ししたい
こと、いっぱいあるんだもん。
東京ビデオフェスティバル2004
優秀作品:滝澤 厚子 (埼玉)
http://www.jvc-victor.co.jp/
tvf/27th/archive/yu_d17.html
行動計画 について
 行動計画策定指針
主務大臣は,基本理念にのっとり,地方公共団体
及び事業主が行動計画を策定するに当たって拠る
べき指針を策定すること。
 地方公共団体の行動計画
市町村及び都道府県は,行動計画策定指針に即
して,①地域における子育て支援,②親子の健康
の確保,③教育環境の整備,④子育て家庭に適し
た居住環境の確保,⑤仕事と家庭の両立等につい
て,目標,目標達成のために講ずる措置の内容等
を記載した行動計画を策定すること。
事業主の行動計画
 一般事業主行動計画
事業主は,従業員の仕事と家庭の両立等に関し,
行動計画策定指針に即して,目標,目標達成のた
めに事業主が講じる措置の内容等を記載した行動
計画を策定すること。
 事業主へのメリット
適切な行動計画を策定して,実施し,その目標を
達成するなど,厚生労働省令で定める基準に適合
した事業所は認定を受けることができる。
認定を受けた一般事業主は,商品または役務,そ
の広告または取引に用いる書類もしくは通信などに
厚生労働大臣の定める表示を付することができる。
地域行動計画の基本的な視点
(行動計画策定指針)
①子どもの視点
②次代の親づくりという視点
③サービス利用者の視点
④社会全体による支援の視点
⑤全ての子どもと家族への支援の視点
⑥地域における社会資源の効果的な活用の視点
⑦サービスの質の視点
① 子どもの視点
• 子どもにとっての「幸せ」とは何だろうか?
• 保育サービスの充実に伴い,親と子が一緒に過ごす
時間が減ってしまう
就労環境を改善して,親子一緒の時間を増やす
ことを検討することも必要
• 親が「早く帰って子どもの顔を見たい」と思えることも
親の自己実現と子育てについて考えることも必要
• 親子一緒の時間を増やすだけでなく・・
親子一緒の時間を質の高いものにする支援も
② 次代の親づくりという視点
• 「目先」の子育て支援だけでなく,長い目で見た
子育て支援が必要
今の子どもが親になった時に,子育ての喜び
を味わいたいと思えるために
• 思春期保健は「次世代の親」を育むという点では,
きわめて重要ということになる
• 学校だけでなく,地域や家庭との協働が不可欠
③ サービス利用者の視点
• 多様な個別のニーズに柔軟に対応できるよう,
利用者の視点を大切にという趣旨だが・・
• 住民をサービスの利用者と決めつけてしまわな
いことが大切
• 地域づくりを進めるパートナーという視点も重要
④ 社会全体による支援の視点
• 子育てについては,親が「第一義的責任」を有す
るが・・・(基本理念)
• 虐待など家族機能の低下した家庭へは,家族の
再統合や家族の養育機能の再生・強化を目指し
た支援が必要!
• 家族が子育てに自信を取り戻すこと(エンパワー)
をめざした支援を
⑤ 全ての子どもと家族への支援の視点
• 「保育に欠ける」子どもと家族への支援ではなく,
全員を支援の対象にする
• サービスを希望しない家族等へのアプローチも
視野に入れることが必要
「申請主義」から脱却できるか?
• 母子保健に限らず,保健活動に共通の視点
要請がなくても必要な親子に関わる
「お節介」と言われても・・・
⑥ 地域における社会資源の
効果的な活用の視点
• NPOや子育てサークル,PTA,子ども会など,
地域の住民組織・団体を活用
• 計画策定を機に地域の資源を掘り起こして共有
することが大切
• 子育てをするうえで,地域の強みを明確に
⑦ サービスの質の視点
• 保育サービス量のような供給量だけでなく,
サービスの質を評価すること
サービスの「質」は,利用者の満足度?
保育サービスも「愛着形成」の支援が重要
• 「質」の議論を深めていくと,サービスの目的,
すなわち「めざす子どもと親の暮らし」を当事者
や関係者と確認することになる!
• 今回の計画策定で 「めざす子どもと親の暮らし」
を関係者と確認しよう!
どんな子育てができたらいいのでしょうか?
• それを皆で確認することが大切です!
• ゆったりとした気持ちで子どもと接する時間を持つ
ことができる母親が増える
「健やか親子21」(21世紀の子どもと親の健康
づくりの基本計画)に盛り込まれた目標
• これらの目標を達成するために,母子保健事業や
保育サービス,職場での取り組みが必要
親子の「愛着」の形成
• 本来,弱いはずの人間が,地球上で生き延びて
こられたのは,親子の「愛着」のおかげ
• 人間は「愛着」による安心感があるとき,最も心
のエネルギーが発揮される
• それが,子どもも親も成長していく大きな原動力
になってきた
• 失敗しても,辛いことがあっても,「愛着」によって
勇気が得られる
親子の「愛着」の形成
• わが子とうまく「愛着」を形成できない母親が増えた
子育ての喜びを感じられず,子育てに自信を失い,
虐待につながることも・・
• 親子の間に「愛着」がうまく形成されないと・・・・
手の掛からない児になる
あるいは,泣きわめいて,落ち着きのない子
成長や発達に障害をきたすことも
思春期の心身症など
• 結婚して親になっても,自分の子どもとうまく「愛着」
が形成されない
この悪循環を「好循環」に変えるためには
• 父親や保育士などと「愛着」が形成されることで,
子どもが人になつくことを覚える
• すると,自分の母親ともうまく「愛着」が形成でき
るようになる
• 母親も自分の親や夫と「愛着」を形成することで,
わが子ともうまくいくように
• 妊娠中の過ごし方や「その人らしい出産」も大切
• 思春期に乳幼児と接する機会を持つことも大切
親が自信を取り戻すために
• 子育ては失敗の連続
自信を失うこともしばしば・・
• そんなときに,自信を取り戻すこと(エンパワー)
が重要
•
「傾聴」→「対話」→「実践」が基本
「傾 聴」
• 単に耳を傾けて聞くだけでなく,「聴」という文字
の成り立ちを考えよう
• 十四の心(辛い,悲しい,さびしい,悔しい,怖い,
嬉しい等々)で聴くこと
• 母親が思うような子育てができずに悩んでいると
きに,こうした共感を持って話を聞いてくれるだけ
で,母親の気持ちは軽くなるもの
• 悩みを聞きだし,整理をして,その悩み解決のた
めに何が必要かを一緒に考える
• 育児サークルやサロンがこうした場を提供!
「対 話」
• 対等な立場で話し合うことが重要
• 専門職などが「こうしなさい」と指示を出さない
• 専門職としてアドバイスはしても,あくまで本人に
決定してもらうことが重要
• 本人に何ができるのか,どんな資源(家族や友
達などの人的資源も含む)が活用できるのかを
考えてもらうことがポイント
「実 践」
• 実践することによって,自信を回復する
• 簡単なことからまず取り組んで,実践を重ねて,
自信を深めることが重要
子どもの笑顔あふれる地域をめざして
子育ての楽しさ,素晴らしさに
ついての情報発信を
• 子育ての大変な部分や子どもや親をめぐる事件な
どがクローズアップされている
• 若い人たちには子育てに対してマイナスのイメージ
を持っていることも多い
• 子育ては失敗の連続で大変だが,素晴らしい作業
であるというメッセージを送ろう
• 口コミも大切だが,マスメディアの役割も重要
思春期の子ども達が
子どもと触れ合う機会を作ろう
• 地域の子育てに関わる各職種,関係者の協働に
より,様々な機会を提供できるはず
赤ちゃんとのふれあい
児童館でのボランティア活動など
父親も育児を楽しもう
• 一般事業主行動計画の策定と推進
事業主の団体を「次世代育成支援対策推進
センター」として指定し,行動計画の策定や
実施を支援する
• 育児を父親の「義務」と考えるよりも,子育てを
楽しむ「権利」と考えることも
子どもの育ちを通して,
人と地域との「絆」を再生しよう
• 人と人との関係が希薄になってきている現実
「関係性の喪失」が日本に暗い影を投げかけている
• 地域における「育児サロン」などの運営に皆で取り
組もう!
商店街の空き店舗の活用,老人クラブなどの新たな
活動としても注目されている
• 「食育」の推進は,学校や幼稚園・保育所と地域(生
産者)との協働で取り組める!
「食」を通しての命の大切さも学ぶことができ,効果
が期待される
子育ての喜びが実感されるために
親子のエンパワー
自 助
住民組織のエンパワー
共 助
子どもの育ち 自助
を支援する 共助
環境づくり
公助
(島内 1987,吉田・藤内 1995を改編)
子ども自身,親,そして,地域が「子どもの育ち」を
通して,自信を回復することをめざそう