ミラ型変光星を用いた銀河系ハロー恒星流の検出II

ミラ型変光星で探る
銀河系ハロー構造
坂本強(日本スペースガード協会)、
松永典之(東大木曽観測所)、
長谷川隆(ぐんま天文台)、
中田好一(東大木曽観測所)
Sextans dSph([Fe/H]~-1.9)にミラ (ダストあり)発見
ミラは矮小銀河及び恒星流に存在
Sgr streamはSgr dSphよりmetal-poor
銀河系概略図
Halo
13Gyrの星が支配的
<10Gyrの星も存在
矮小銀河
(20-30個)
0-13Gyr
~107-10Msun
Thick disk(~13Gyr?)
Thin disk
<10Gyrs
Sun
銀河系ハロー
SDSSにより大規模な恒星流発見(~100kpc)
矮小銀河
恒星流
矮小銀河の星
が銀河系潮汐
場で剥がされ
形成
(寿命数Gyr)
矮小銀河やその恒星流は、矮小銀河の化学力学進化、
銀河系ハローの重力場(密度分布、軸比)を明らかに
する上で重要なプローブ

過去の恒星流探査と問題点


主なトレーサーは古い(~13Gyr) 星(水平分枝星など)
中間的年齢の種族の探査あり(炭素星、red clump星)
(Totten et al. 2000;Ibata et al. 2001;Mauron et al. 2007)
しかし、炭素星の距離の不定性大きい
(大部分はミラ型変光星。しかし周期が得られていない)
 化学組成や年齢にバイアスあり
⇒銀河系ハローにおいて中間的年齢の星がどのように分布
し、階層的銀河形成論の予言と合致するのか不明
 ミラ型変光星:0.5-10Gyr.周期光度関係あり
->ハローの良いトレーサー

我々の観測
銀河系ハローにおいて広域にわたってミラ型変光星を探査し、
3次元空間分布を決定する
 木曽観測所1m望遠鏡+2KCCD 2009年1月-2012年2月
 月に一度程度のモニタリング観測(I-band)
 サンプル219個
-RA=8h-16.5h,b>30°
2MASS J-H>0.7,H-K>0.3,K<13.5
SDSS g’-r’>0.8,r’-i’>0,i’<18.5
を満たす星(stream領域に限定していない)
-Sextans dSph方向の振幅大の1星
(Palmar-Quest Survey)

空間分布
Sextans dSph Mira
16個のミラ発見
 周期光度関係を使い、
距離決定
 100kpc付近まで存在
 大部分はSgr stream
に付随→中間的年齢
の星はSgr dSph起
源?
50kpc以内に降着した
矮小銀河の多くは早期
に星形成が終了?

Sgr stream
に付随
90kpcstream
(Newberg
+ 03)
Sagittarius stream
(Law et al. 2005)
Sagittarius stream(Law+05)
Sextans dSph
[Fe/H]~-1.9(Battaglia et al. 2011)
 2つのミラを発見
これまでミラが発見された環境
の中で最もmetal-poor

#2
#1
tidal radius
距離
視線速度 周期 C-rich or
星周ダスト
(kpc)
(km s-1) (日) O-rich
が存在
+10.0
Sextans dSph 90.0 -10.0 226±8.4 +9.4
#1
72.6 -10.3 202±12 310 C-rich
星周減光=0.2
+11.1
#2
99.3 -11.1 228±2
121 O-rich
天体名
Sgr stream (X<20kpc)
Sgr streamにはSgr
dSphで発見されている
長周期ミラがない
 ミラの周期分布は金属
量が低いほど短い側
へシフト
⇒Sgr streamの中間的
年齢の星はSgr dSph
に比べ、old and/or
metal-poor

Streamに
長周期ミラなし
次のステップへ
~現在の問題点~
2009-2011
のサンプル
探査なし
早期AGB
探査なし
どのような構造か
全く不明
赤いミラのみ探査
化学組成/年齢に
バイアスあり
Sagittarius stream
(Law et al. 2005)
Marigo et al. (2006)
Sagittarius stream(Law+05)
Future work
青色ミラ・遠方赤色ミラ探査
KWFCで
遠方赤色ミラ探査
-青色ミラサーベイ
過去に降着した矮小銀河の
青色ミラ探査
星形成史へ制限
-赤色ミラサーベイ
銀河系ハロー最外縁部の構造解明
・サンプル
Sagittarius stream
613個 (KWFC FOV~3-4個)
(Law et al. 2005)
大規模サーベイの
I=14-19mag
バックアップ観測に最適Sagittarius stream(Law+05)
観測 I-band(R-band)

まとめ




銀河系ハローの広域にわたってミラ型変光星探査を
行った(空間的なバイアスなし)
ミラは恒星流 or 矮小銀河にのみ付随している
Sextans dSphに最もmetal-poorな2つのミラを発見。
Carbon-rich Miraはcircumstellar dustが存在。
Sgr stream領域では、Sgr dSphで発見されている長
周期ミラは存在しない。 Sgr streamがSgr dSphより
も金属量が枯渇していることを示唆した。
Light curve
#1(C-rich,外縁部)
#2(O-rich,内側)