銀河中心のX線反射星雲と Sgr A*の過去1000年の活動史

銀河中心のX線反射星雲と Sgr A*の過去1000年の活動史
100 pc
X線マップ (6.4 keV)
信川 正順(京大白眉) 2015年3月24日 天の川銀河研究会2015@東大
銀河中心X線放射
•  ~100pcに広がったX線放射・・・鉄輝線が付随
•  Si, S, Ar, Ca, Fe, NiのHe-­‐(電子が2個) H-­‐状(電子が1個)輝線 +中性輝線
S Ar Ca Si Fe Ni プラズマ(T=107—108 K)
中性成分
6 7 中性鉄輝線 He状鉄輝線
6.4 keV 6.7 keV 鉄輝線強度マップ
中性鉄輝線 6.4 keV
He状鉄輝線 6.7 keV
今回の主題 Sgr A*
高温プラズマ (昨日の山内さん、西山さん 講演ほか)
0.7° = 100 pc
中性鉄輝線放射の起源
すざく 6.4 keV
Sgr A*
分子ガス分布(CS輝線) Tsuboi+99
•  巨大分子雲 (T∼10—100 K) との相関 •  外部粒子(E>7.1 keV, Fe-­‐K吸収端)による鉄原子の電離 → 蛍光放射(中性鉄輝線) 背後に高エネルギー現象が存在
Murakami+00
中性鉄輝線の起源
照射
Sgr B2
2’=5 pc
X線による光電離 (Koyama+96; Murakami+00) –  スペクトル(強い鉄輝線/鉄の吸収端) –  放射ピークのずれ(銀河中心方向) A* が数百年前に 106 倍明るかった?
Sgr Sgr C 電波(20cm) X線 (コントア)
低E 宇宙線 (keV-­‐MeV)による衝突電離 (Valinia+00; Yusef-­‐Zadeh+07) より高感度データが必要 –  非熱的電波フィラメントとの相関 → すざくによる観測
(GeV電子によるSynchrotron) 10 pc
–  分子雲加熱 / TeVガンマ線放射
Yusef-­‐Zadeh+07
鉄以外の重元素の中性輝線
最も明るい分子雲
Fe等価幅 = 1.2 keV 連続成分 Γ = 1.9
Fe
Ni
Ca
Mn
Cr
元素組成量(太陽組成比)
Ar
中性輝線+連続成分 多種類の中性輝線の発見 → 元素組成量 電子モデル
陽子モデル
2 5 10 Energy (keV)
重元素組成量(各モデル仮定) 宇宙線: 3 solar 以上 X線 :プラズマと一致 -­‐> Z = 1.5—3 太陽組成 X線モデル
高温プラズマ
Koyama+07, Koyama, MN+09, Nakajima, MN+09, MN+08, MN
+11, Nakashima, MN+10, etc
他の分子雲
Sgr D Sgr C Sgr B1 Sgr A*
Sgr E Sgr B1 いずれも ・ハードな連続成分: Γ=1.6—1.8 ・強い鉄輝線: 等価幅 1—2 keV 外部からのX線照射 分子雲はどこから照らされているのか?
MN+11
分子雲からのX線強度の時間変動
中性鉄輝線強度
Sgr B2領域
Sgr A*
100pc = 300光年
2005/10
2009/10
10 pc
0 0.5 1 表面輝度
ü 4年間に半減 (照射源の変化) ü 2つの分子雲の同期 → 一つの天体から同時に照射 照射光度(10年間平均) LX = 3x1039 (D/100 pc)2 erg/s これほど明るい天体は未発見 唯一の候補:Sgr A* (M∼4x106 M◎) 他の時間変動
Sgr A*
•  明るいスポットの移動 (Ponc et al. 2010, Clavel et al. 2013) –  フレア面の移動を示唆 •  Sgr C (Ryu, MN+13)でも時間変動が検出 •  照射天体(Sgr A*)は過去に~1年で1桁以上の光度変動
Sgr A*の過去の活動歴史?
Sgr A*の過去の活動史
過去の活動の様子は
意見が一致していない
Nobukawa
+11
Ponti
+10
Cap
+12
時期
~300 yr
~400 & 100yr
~100 yr
光度
erg/s
~1039
~1039
~1038
回数
1 flare
2 flare?
1 flare?
重要な情報の欠如
MC
b (deg)
観測=2D
Sgr B2
Projection
★
300 ly
Sgr A*
l (Deg)
line
of
sight
←Time delay
(unknown)
★
MC
projection
Observer
分子雲の3次元位置が重要
Sgr A*
Ryu, MN+09, 13
X線反射星雲の3次元分布 •  奥行き位置の測定は困難 •  X線観測による新手法 –  分子雲によるプラズマX線の吸収 MC
Ryu, MN+09, 13
分子雲の位置によってプラズマの
X線スペクトルが変化する
0.1
FeXXV
6.7 keV
Cnt/s/keV
GCPE Continuum
MC
– 0.8
– 0.7
MC
– 0.6
R
MC
0.01
MC
Decrease
1
3
Energy (keV)
5
Far
– 0.9
Plasma Emission→
FeI 6.4 keV
Spectral Model
LOS Position
1.0
Observer
– 0.5 Center
– 0.4
– 0.3
– 0.2
– 0.1
0.0 Near
分子雲の3次元位置と Sgr A*の活動史 Ryu, MN+09, 13 MN+ in prep
Sgr A*
Edge on view
分子雲
Face on view
光行差 観測者
→ 過去のライトカーブ
Sgr A*の過去のライトカーブ
Ryu, MN+09, 13 MN+ in prep
With 90% errors
LX
with cme variability
← Past Time (year) Current
•  50—600 年前の平均光度 ~ 1039 erg/s •  その間に激しい時間変動(~1年、1桁以上)があった Central Molecular Zone
まとめ
•  銀河中心のX線を伴う分子雲の観測 –  過去の Sgr A* からのX線を反射 –  奥行き位置測定(X線吸収を使用) –  50—600 年前に現在の100万倍の活動 •  来年度打ち上げ ASTRO-­‐H による観測 –  X線輝線ドップラー => 分子雲位置決定