電磁気学C

電磁気学C
Electromagnetics C
5/22講義分
電磁波の反射と透過
山田 博仁
異なる媒質の界面における境界条件
誘電率 e1, e2 の異なる媒質が接している界面
界面には真電荷が面密度 e にて存在
界面での電束密度 D に対して、どのよう
な条件が満たされなければならないか?
電場に関するGaussの法則を、界面に
存在する高さが無限小の円柱に適用
5.3 (教科書p.64) の復習
単位法線ベクトル
界面 D n S 界面での
1
真電荷密度
e1
e
+
+
+
+
+
+
e+2
D2
-n
 div DdV   D  ndS    dS
e
V
S
S
Gaussの定理
従って、
( D1  D2 )  n S   e S
上式は、任意の面 S に対して成り立つことから、 ( D1  D2 )  n   e
表面電荷 e が存在しなければ、 D1  n  D2  n
異なる媒質の界面における境界条件
誘電率 e1, e2 の異なる媒質が接している界面
界面での電場 E に対して、どのような条
件が満たされなければならないか?
Faradayの電磁誘導の法則を、図のように
界面の一部を囲む高さ h が無限小の長
方形 S に適用
B
rot
E

d
S


S
S t  dS
界面 l t
e1
e2
E1
h
CE t
2
S
t: 単位接線ベクトル
ここで、B/t は境界面の近くで有限であるから、S→0の極限で右辺の積分は
ゼロになる
従って、Stokesの定理を用いると左辺は、
 rot E  dS   E  dr  ( E
1
S
 t  E 2  t )l
C
従って、 ( E1  t  E2  t )l  0
上式は、任意の l の長方形に対して成り立つことから、 E1  t  E2  t
異なる媒質の界面における境界条件
9.4 (教科書p.146) の復習
透磁率 m1, m2 の異なる媒質が接している界面
界面での磁束密度 B に対して、どのよう
な条件が満たされなければならないか?
磁場に関するGaussの法則を、界面に
存在する高さが無限小の円柱に適用
単位法線ベクトル
界面 B n S
m1
m2
 div BdV   B  ndS  0
V
S
Gaussの定理
従って、 ( B1  B2 )  n S  0
上式は、任意の面 S に対して成り立つことから、
( B1  B2 )  n  0
よって、
B1  n  B2  n
1
-n
B2
異なる媒質の界面における境界条件
透磁率 m1, m2 の異なる媒質が接している界面
界面には伝導電流が面密度 ie にて存在
界面 l t
界面での磁場 H に対して、どのような
条件が満たされなければならないか?
m1
m2
Ampere-Maxwellの方程式を、図のように
界面の一部を囲む高さ h が無限小の長
方形 S に適用
D
rot
H

d
S

S
S t  dS  S ie  dS
C
H2 t
ie: 界面での
伝導電流密度
H1
ie
h
S
t: 単位接線ベクトル
ここで、界面に表面電流が存在しない限り、ie も D/t も境界面の近くで有限で
あるから、S→0の極限で右辺はゼロになる
従って、Stokesの定理を用いると左辺は、
 rot H  dS   H  dr  ( H
S
従って、
C
H1  t  H 2  t
1
 t  H 2  t )l
異なる媒質の界面における境界条件
電束密度の法線成分は連続
電場の接線成分は連続
E1  t
E t  E t
1
D1  n  D2  n
2
e1
e2
E1
E2
e1
e2
D2  n
E2  t
磁場の接線成分は連続
H1  t  H 2  t
H1  t 表面電流が
存在しない場合
m1
m2
H1
H2
H2  t
D1
表面電荷が
存在しない場合
D1  n
D2
磁束密度の法線成分は連続
B1  n  B2  n
m1
m2
B1
B2  n
B1  n
B2
界面での反射と透過
2種類の媒質が x-y 平面 (z = 0) を
境に接しており、 z > 0 を媒質Ⅰが、
z < 0 を媒質Ⅱが満たしている。平
面電磁波が媒質Ⅰから媒質Ⅱに
入射角 qi で斜め入射し、その一部
が反射角 qr で反射され、またその
一部が透過角 qt で媒質Ⅱ内に透
過する場合を考える。
z
Er
Hi
Ei
媒質Ⅰ
入射波、反射波および透過波の波 媒質Ⅱ
数ベクトルと角周波数をそれぞれ
(ki, i), (kr, r) および (kt, t) とし、
電場は x-z 平面上に、磁場は y 成
分のみとする。
波の位相
入射波
ki  r  it  ki x sin qi  ki z cosqi  it
反射波
kr  r  r t  kr x sin q r  kr z cosq r  r t
透過波
kt  r  t t  kt x sin qt  kt z cosqt  t t
qi
qr
ki
kr
y
Hr
x
kt
qt
Et
Ht
界面での反射と透過
境界面 (z = 0) 上の全ての点で、任意の時刻に波の位相が等しくなるので、
i  r  t
ki sin qi  kr sin qr  kt sin qt
k

v
この条件が成立しなければならない
の関係より、媒質Ⅰ内で電磁波の速度 v1 は入射波、反射波に共通なので、
r  i ならば、 kr  ki
従って、 q r  qi
ki
(反射の法則)
sin q i kt v1
 
sin q t ki v2
v1
(Snellの法則)
qr
媒質Ⅰ
媒質Ⅱ
v1 と v2 は、それぞれ媒質Ⅰ、Ⅱ
v2
内を進む電磁波の速度
1
e r 2e 0
e m
e2
er2
e1m1
sin qi v1
n
 
 2 2 


 2
1
sin qt v2
n1
e 1m1
e1
e r1e 0
e r1
e 2 m2
qi
kr
 磁性体でなければ、m1  m2  m0
qt
kt
界面での反射と透過
入射波
z
Ei  ( Eix , 0, Eiz )  (Ei cosqi , 0,  Ei sin qi )
 E 
H i  (0, H iy , 0)   0, i , 0 
 Z1 
反射波
Er  ( Erx , 0, Erz )  (Er cosqr , 0, Er sin qr )
q r  qi
Er
Hi
Ei
媒質Ⅰ
媒質Ⅱ


E
H r  (0, H ry , 0)   0,  r , 0 
Z1 

透過波
Et  ( Etx , 0, Etz )  (Et cosqt , 0,  Et sin qt )
 E

H t  (0, H ty , 0)   0, t , 0 
 Z2 
Z1, Z2は、それぞれ媒質1, 2の電磁インピーダンス
qi
Hr
qr
ki
kr
y
x
kt
qt
Ht
Et
界面での反射と透過
次に、電磁波の振幅について考えると、界面での電場 E および磁場 H の接線成分
の連続性より、
Eix  Erx  Etx
Hiy  H ry  Hty
従って、
 Ei cosqi  Er cosqr  Et cosqt
Ei Er Et


Z1 Z1 Z 2
Ei cosqi  Er cosqi  Et cosqt
Z 2 Ei  Z 2 Er  Z1Et
上式から Et を消去すると、
r
Er Z 2 cosqt  Z1 cosqi

Ei Z1 cosqi  Z 2 cosqt
(電界反射係数)
上式から Er を消去すると、
t
Et
2Z 2 cosqi

Ei Z1 cosq i  Z 2 cosq t
(電界透過係数)
界面での反射と透過
因みに、磁界に対する反射係数および透過係数を求めてみると、
 Er
Hr
E
Z1

  r  r
Ei
Hi
Ei
Z1
Et
Ht
Z 2 Z1 Et Z1



t
H i Ei
Z 2 Ei Z 2
Z1
媒質の屈折率 n は、真空中での光の速度 c と媒質中での光の速度 v の比で表され、
ee mm
em
c 1 e 0 m0


 r 0 r 0  e r mr
v 1 em
e 0 m0
e 0 m0
n
特に、媒質1と2が非磁性の場合には m1 = m2 = m0 が成り立ち、それぞれの媒質の
屈折率は真空の固有インピーダンス Z0 を用いて、
n1 
c
 e r1 
v1
m0 e 0 Z 0

m1 e 1 Z1
m0 e 0 Z 0

m2 e 2 Z 2
n2 
c
 er2 
v2
t
2n1 cosqi
n1 cosqt  n2 cosqi
従って、反射係数と透過係数は、
r
n1 cosq t  n2 cosq i
n1 cosq t  n2 cosqi
と表せる。
界面での反射と透過
垂直入射の場合には、qi = qt = 0 とすることにより反射係数と透過係数は、
r
n1  n2
n1  n2
t
i
2n1
n1  n2
r
n1
n2
入射波のエネルギー流に対する反射波と透過波のエネルギー流の
比をそれぞれ反射率 R および透過率 T という。
t
入射波、反射波、透過波のエネルギー流はそれぞれ、
Ei
Ei2 cosqi
Ei H i cosqi  Ei cosqi 
Z1
Z1
 Er 
Er2
Er H r cosq r  Er    cosq r  
cosq r
Z
Z
1 
1

2
t
E
E
Et H t cosqt  Et t cosqt 
cosqt
Z2
Z2
入射波
Z1
反射波
qi
qr
媒質Ⅰ
媒質Ⅱ
Z2
qt
透過波
界面での反射と透過
従って、反射率 R と透過率 T は、
Er H r cosq r
 Er2 cosq r / Z1
Er2
Er
R



Ei H i cosq i
Ei2 cosq i / Z1
Ei2
Ei
2
Et H t cosq t
Et2 cosq t / Z 2 Z1 cosq t Et
T
 2

Ei H i cosq i
Ei cosq i / Z1 Z 2 cosq i Ei
2
r

2
 qi  q r
Z1 cosq t 2
t
Z 2 cosq i
T  1 R
屈折率 n1, n2 で表せば、反射率 R と透過率 T は、
2

n1 cosq t  n2 cosqi 
R
n1 cosqt  n2 cosqi 2
T
4n1n2 cosqi cosqt
n1 cosqt  n2 cosqi 2
完全導体による電磁波の反射
導電率  = ∞ の完全導体による電磁波の反射
完全導体の中には変動電磁場は全く浸透できないため、表面における電磁波の
境界条件は、
電場の法線成
E t  0
電場 E
導体表面に
分 En は必ずし
電荷が現れる
Bn  0
もゼロではない
場合がある
En ≠ 0
完全導体
=∞
E=0
界面での電場の
接線成分 Et はゼロ
磁場の接線成
導体表面に
電流が流れる 分 Ht は必ずし
もゼロではない
場合がある
Ht ≠ 0
完全導体
変動磁場
B  0
静磁場
B0  0
完全導体
静磁場に対
しては必ずし
もゼロでない
E=0
磁場の法線成
分 Bn はゼロ
Bn = 0
完全導体
変動磁場 静磁場
B0  0
B  0
完全導体による電磁波の反射
z < 0 の領域を固有インピーダンス Z の媒質が占め、x-y (z = 0) 平面を境にして
z > 0 の領域の完全導体と接しているとする。さらに、電磁波は x 方向に偏光し
た正弦波とし、その角周波数を  とする。媒質中 (z < 0) から導体界面に対して
垂直に入射した場合を考え、電場と磁場を入射波と反射波の和として表せば、
E x  Eix  Erx  Ei 0 cos(kz  t )  Er 0 cos(kz  t )
1
H y  H iy  H ry  Ei 0 cos(kz  t )  Er 0 cos(kz  t )
Z
k   em は電磁波の波数
x
媒質: Z
Eix
Hiy 入射波
反射波 0
完全導体中への透過波は存在しないため、導体表面で Hry Erx
Ex = 0 であり、
Ei 0  Er 0  0
従って、媒質中の電磁場は、
E x  Ei 0 cos(kz  t )  Ei 0 cos(kz  t )  2 Ei 0 sin kz sin t
Hy 
完全導体
1
Ei 0 cos(kz  t )  Ei 0 cos(kz  t )  2 Ei 0 coskz cost
Z
Z
z
完全導体による電磁波の反射
反射端(導体表面)
l
入射波
反射波
定在波
定在波の腹の位置
定在波の節の位置
出展: http://www8.plala.or.jp/ap2/chishiki/teizaiha.html
電場の節は、kz = np (n は整数)の関係から求められ、
z
np
l
 n 
k
2
(n は整数)
となる。同様にして、磁界の節は kz = (n+1/2)p より、
1  l 

z   n   
2  2 

(n は整数)