労働市場 Okajima.K Kubo.T Kubo.R Haga.Y Yamamoto.S バブル期以降の労働情勢から企業の “競争的”な条件を分析 人員・人件費の圧縮⇒常用労働者の削減 と非常用労働者の活用 人員・人件費圧縮に関る問題点の克服と 企業の生産性の向上⇒人材育成・雇用環 境の整備 就業・失業率 バブル崩壊後、就業失業 構造はどのような変化を みせたか? 就業者数と完全失業率 需要の減少 企業の人件費抑制 雇用過剰感の高まり 雇用のミスマッチ ⇒完全失業率は高水準で推移、就業者数は減少 97年に好転感、しかし翌年から更に悪化 就業者数と完全失業率の推移 6,600 6,550 6,500 6,450 6,400 6,350 6,300 6,250 6,200 6,150 6,100 6,050 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 19 90 19 年 91 19 年 92 19 年 93 19 年 94 19 年 95 19 年 96 19 年 97 19 年 98 19 年 99 20 年 00 20 年 01 20 年 02 年 就業者数 失業率(%) 暦年 資料出所 総務省統計局統計調査部国勢統計課「労働力調査」 就業者 失業率 産業別動向 就業者数 製造業(△200万人)を筆頭に減少傾向が主流 就業者減、失業率上昇に大きく寄与 サービス業に限り増加(200万人増) 要因 全体で98~99年に強い雇用過剰感を示す 全期間を通して製造業、建設業は雇用過剰気味 サービス業などは雇用不足気味 98年以降、過不足状況は二分化する 労働者の過不足状況 30 雇用判断D.I.(ポイント) 19 94 .2 20 10 20 03 .2 20 00 .2 -10 19 97 .2 0 -20 -30 -40 資料出典 厚生労働省大臣官房統計情報部雇用統計課「労働経済動向調査」 産業計 建設 製造 運輸・通信 卸売・小売業,飲食店 金融・保険業 不動産業 サービス業 過不足状況に応じて就業者も減少(増加) 産業別の就業者数の推移 建設業 2000 1800 製造業 就業者数(万人) 1600 1400 1200 電気・ガス・ 熱供給・水 道、運輸・通 信業 卸売・小売 業、飲食店 1000 800 600 400 200 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年 1997年 1996年 1995年 1994年 1993年 1992年 1991年 1990年 0 暦年 資料出所 総務省統計局統計調査部国勢統計課「労働力調査」 金融・保険、 不動産業 サービス業 就業形態別・男女別動向 正規雇用者減少 非正規雇用者増加 →正規雇用から非正規雇用への転換 女性労働者の増加 男性労働者は減少 →女性労働者の非正規雇用者割合の高 さが増加に影響 女性労働者の半数近くが非正規雇用者 男女雇用形態別雇用者数(’97と’02の比較) 第6図 35000 30000 ’97男 ’02男 ’97女 ’02女 20000 15000 10000 5000 資料出所 他 そ の 約 遣 総務省統計局統計調査部国勢統計課労働力人口統計室「就業構造基本調査」 契 バ ル ア 雇用形態 派 イ ト ト ー パ 規 正 非 正 規 外 以 役 員 役 員 雇 用 者 0 全 雇用者数(千人) 25000 正規雇用者に対し、距離を保って非正 規雇用者への需要が高くなっている 常用雇用者と非常用雇用者の労働者過不足 20 常用雇用 者 15 10 雇用判断D.I. 19 94 .2 5 20 03 .2 20 02 .2 20 01 .2 20 00 .2 19 99 .2 19 98 .2 19 97 .2 19 96 .2 -5 19 95 .2 0 -10 -15 -20 -25 資料出典 厚生労働省大臣官房統計情報部雇用統計課「労働経済動向調査」 非常用雇 用者(パー トタイム) 専門・技術職と管理、事務職が対照的 技能工、単純工は波線状に推移 20 03 20 00 19 97 25 20 15 10 5 0 △5 △ 10 △ 15 △ 20 △ 25 △ 30 19 94 雇用判断D.I. 職種別雇用判断D.I. 調査年月(2,5,8,11月) 資料出典 厚生労働省大臣官房統計情報部雇用統計課「労働経済動向調査」 管理 事務 専門・技術 販売 サービス 運輸・通信 技能工 単純工 専門・技術職は共に失業率が低い 専門的・ 技術的職業従事者 4 職種別失業率(2002年度) 3.5 労務作業者 3 2.5 事務従事者 2 1.5 1 0.5 0 失 業 率 技能工・ 製造・ 建設作業者 販売従事者 運輸業・ 通信業 保安業・ サービス業 資料出所 厚生労働省「労働経済」白書 賃金・労働時間 賃金が下がる傾向にはど のような背景があったの か? 賃金増加率・増加額は減少傾向 賃金の増加率の動向 円 % 7.0 6.0 5.0 4.0 3.0 2.0 1.0 0.0 年 資料出所 厚生労働省「賃金引き上げ等の実態に関する調査 」 2003 2002 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 18,000 16,000 14,000 12,000 10,000 8,000 6,000 4,000 2,000 0 増加額 増加率 90年代以降、労働時間は減少 労働時間の推移 時間 175 170 165 160 155 150 145 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 年 資料出所 厚生労働省統計情報部雇用統計課「毎月勤労統計調査」 賃金・労働時間 企業の人件費圧縮を背景に賃金は減少傾向に あった。 業況を反映して、労働時間は減少傾向。 労働時間の減少により、賃金も比例して減少し た。 業況を反映した厳しい賃金推移 円 800,000 建設業 産業別賃金の推移 製造業 700,000 600,000 電気・ガス・ 熱供給・水 道業 運輸・通信 業 500,000 400,000 300,000 卸売・小売 業、飲食店 200,000 100,000 サービス業 19 90 19 91 19 92 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 0 資料出所 厚生労働省統計情報部雇用統計課「毎月勤労統計調査」 年 各産業ともに労働時間は減少 時間 産業別所定内労働時間の推移 建設業 180 170 製造業 160 150 運輸・通 信業 140 130 卸売・小 売業、飲 食店 サービス 業 120 110 19 90 19 91 19 92 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 100 資料出所 厚生労働省統計情報部雇用統計課「毎月勤労統計調査」 年 人員削減に伴い所定外労働時間は横 ばい 時間 産業別所定外労働時間の推移 24 22 20 建設業 18 製造業 16 14 運輸・通信 業 12 10 8 卸売・小 売・飲食業 6 サービス業 4 2 0 19 90 19 91 19 92 19 93 19 94 19 95 19 96 19 97 19 98 19 99 20 00 20 01 20 02 20 03 年 資料出所 厚生労働省統計情報部雇用統計課「毎月勤労統計調査 労働時間の動向 人員削減の影響を受け、所定外労働時間 は所定内労働時間より減少せず、横ばい であった。(雇用者の追加ではなく残業の 増加で生産を賄った。) 主に所定内労働時間の減少が賃金を下 げる要因となった。 パート労働者による影響 所定内給与の増減要因 パートタイム労働者の 構成比の寄与 100% 80% 60% パートタイム労働者の 給与の寄与 40% 20% 0% -20% 2001年Ⅳ 2001年Ⅲ 2001年Ⅱ 2001年Ⅰ 2000年Ⅳ 2000年Ⅲ 2000年Ⅱ 2000年Ⅰ 1999年Ⅳ 1999年Ⅲ 1999年Ⅱ -60% 1999年Ⅰ -40% 一般労働者の給与の 寄与 全常用労働者所定内 給与伸び率 -80% -100% 資料出所 厚生労働省「労働経済」白書 まとめ 常用労働者の所定内労働時間は減少⇒賃金を 下げる要因に 非常用労働者の増加⇒常用労働者の所定内労 働時間は減少 人員削減を背景に所定外労働時間は横ばい 近年のパートタイム労働者増加が正社員の賃 金に影響し、減少させる効果を持っていた。 人件費圧縮と人員削減 動向と効果、また問題点 はなにか? 人員削減の動向と影響 動向 直接的な解雇・採用抑制 常用労働者の過剰感の上昇 影響 生産性の向上・収益率の改善 人材流失・雇用者の士気の低下の懸念 人員削減の傾向2 20-24歳の若年層と40-54歳の高給層が 就業者数減少 新卒求人の減少⇒採用抑制 高給層の削減⇒非自発的失業者の割合 は年齢を追うごとに上昇 悪化する新卒者の求人倍率 第9図 大卒求人数、倍率 900,000人 3.50 800,000人 3.00 700,000人 500,000人 2.00 400,000人 1.50 300,000人 1.00 200,000人 20 05 20 03 20 01 19 99 19 97 19 95 0.00 19 93 0人 19 91 0.50 19 89 100,000人 19 87 求人倍率 600,000人 求人数 求人 総数 2.50 求人倍率=求人総数/民間企業就職希望者数 卒業年(3月) 資料出所 総務省統計局統計調査部国勢統計課「労働力調査」 求人 倍率 40-54歳、20-24歳が目立って減少 30代は横ばいで推移 第7図 2,500 年代別就業者数 20- 24歳 25- 29歳 1,500 30- 34歳 1,000 35- 39歳 500 40- 54歳 暦年 資料出所 総務省統計局統計調査部国勢統計課「労働力調査 2003年 2002年 2001年 2000年 1999年 1998年 1997年 1996年 1995年 1994年 1993年 1992年 1991年 0 1990年 就業者(万人) 2,000 55- 64歳 45歳以上の失業者は大半が非自発的失業 第10図 年齢別非自発的失業の割合 80 非自発的失業の割合 70 60 15~24歳 25~34歳 35~44歳 45~54歳 55~64歳 65歳~ 50 40 30 20 10 0 2000 2001 2002 暦年 2003 雇用調整のため企業は採用抑制へ 雇用方針 雇用調整が行われた正社員 雇用調整の方法(別実施事業所割調査産業計) 業況により柔軟に対応される非常用労 働者 いわゆる非正社員を雇用・活用する理由(産業計) 増加するパートタイム労働者 産業別非正規雇用者の推移 資料出所 厚生労働省 「平成13年雇用構造調査」 企業の主な雇用調整方法 採用抑制・解雇 労働時間の調整 常用労働者の抑制に対応するための非 常用労働者の活用 人員削減の影響 90年代以降の人員削減実施理由は、経営上の リスク回避を上げる企業が多数であるが、様々 なメリット・デメリットがある。 ・人権費抑制 ・労働時間の増加 ・生産性向上 ・人材の流失 人員削減による生産性の向上 人員削減の影響 リストラによる人材流失の懸念 非正社員の活用により現在生じている影響(就業形態計) “競争”の影響としての人員削減 人員削減を行った(行う予定の)企業が影響を受けている経営上の背景 まとめ 近年の人員費の抑制の背景には企業間の“競 争”と景気が影響を与えていた。 バブル期以降、企業によって採用抑制や希望退 職・解雇などの雇用調整が行われ、概してプラ スに働いたが、人材流失などの問題が発生。 今後、人材の流失に代表される人員削減の弊 害の克服が企業の“競争”にとって課題となる。 労働生産性 バブル期以降、日本の労働 生産性はどのように推移した か、また、国際的にみた日本 の労働生産性の特徴とはな にか? 産業別の労働生産性 資料出所 厚生労働省「労働経済」白書 主要国の労働生産性 労働生産性の推移 160 日本 140 120 アメリカ 100 イギリス 80 フランス 60 ドイツ 40 20 0 1980年 1990年 1995年 実質労働生産性 資料出所 厚生労働省「労働経済」白書 1999年 単位労働コストの国際比較 単位労働コストの推移 250 200 日本 アメリカ イギリス フランス ドイツ 150 100 50 0 1980年 1990年 1995年 単位労働コスト 資料出所 厚生労働省「労働経済」白書 1999年 労働生産性の動向と国際比較 製造業、金融・保険業は技術の導入・リストラを 受け労働生産性の伸ばした。 単位労働コストは製造業では減少傾向、貿易財 部門は労働生産性を上げる傾向。 (国際的な競争が企業活動を活発にさせる?) 労働生産性の動向と国際比較 労働集約的な産業を除き、技術革新やリストラ によって労働生産性は緩やかに上がる傾向が ある。 国際間の競争が激しい製造業は特に労働生産 性を高めている⇒国際間の“競争”は労働の面 を超えた“競争”を促進させる効果もあるので は? 就業形態の多様化と 企業の雇用戦略 就業多様化の進展 非正規雇用者数の増大 – 第三次産業による非正規雇用の吸収 パートタイム労働者、アルバイト、派 遣社員 卸売・小売業、飲食店に集中 – 正社員数の削減 – コスト削減、費用調整の柔軟性 就業者全体の就業形態別構成比 産業別に非正社員の占める比率 企業アンケートによる 「パート」の雇用理由別事業所数割合 就業形態別の賃金 非正社員の中の就業形態別賃金 – 短時間パートや臨時雇用者は低い – 専門知識を有する契約社員、派遣労働者は 非正社員の中では比較的高賃金 パートタイム労働者が賃金の低い職種に集中す る傾向が進んでいることがうかがえる。 士 護 士 ・看 婦 者 護 護 助 看 ー 看 補 ・准 タ 護 婦 ー 看 護父 レ 看 ペ 准 ・保 ・オ 母 保 プロ 工 ー ー 製 タ ワ ン縫 ー シ ミ 士 員 ペレ 理 客 オ 工 調 接 機 造 楽 算 製 ) 娯 計 工 子 立 子 く。 電 組 菓 除 を 械 生 員 機 ・洋 者 店 ン 事 店 パ 従 貨 仕 給 工 (百 濯 員 洗 店員 売掃 販清 員 ー カ ル 店 ビ 店 習 ッ 貨 見 チェ 百 士 店 理 ー 調 パ ー ス -5.0 % 上昇率 パートタイム労働者割合 (女性労働者) パートタイム労働者の割合-上昇幅(1995-2001) 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 パートタイム労働者賃金額 01年 パートタイム労働者の時間当たり賃金額(2001) ミ シン 縫製工 洗濯工 スーパー店チ ェッ カー 販売店員 調理士見習 調理士 機械組立工 ビ ル清掃員 給仕従事者 百貨店店員 パン ・洋生菓子製造工 電子計算機オペレ ーター 保母・保父 看護補助者 娯楽接客員 ワープロ ・オペレ ーター 准看護婦・准看護士 看護婦・看護士 0 500 1,000 円 1,500 2,000 パートタイム労働者割合と時間当た り賃金額(女性労働者) 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. パート労働者割合ー上昇幅 (順位)95-01年 スーパー店チェッカー ビル清掃員 電子計算機オペレーター 百貨店店員 調理師見習い 販売員 娯楽接客員 給仕従事者 パン・菓子職人 洗濯工 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 時間当たり賃金額(逆順位) 01年 ミシン縫製工 洗濯工 販売員 スーパー店チェッカー 調理師見習い 調理師 機械組立工 ビル清掃員 給仕従事者 百貨店店員 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 10.0 0.0 企業割合 人材育成 ~企業意識~ 求められる人材能力 力 能 用 活 力 力 能 学 器の 理 語 機 ・管 連 関 企画 IT ム 用力 テ 活 ス シ 集・ 収 報 情 案力 立 プ ス ッ 略 ン シ 戦 セ ー 務 ダ 財 ・ ー リ 識 意 ト 力 ス 画 コ ・企 力 送 業 発 ・営 売 販 研究・開発に適した労働時間制度 1 研究・開発に適した労働時間制度 2-1 仕事の効率 企画業務型裁量労働制の場合 かな り効率的にな った やや効率的にな った ほとんど 変わらな い やや非効率にな った 非効率にな った 無回答 研究・開発に適した労働時間制度 2-2 仕事の効率 企画業務型裁量労働制の場合 かな り効率的にな った やや効率的にな った ほとんど 変わらな い やや非効率にな った 非効率にな った 無回答 資料出所 厚生労働省「労働経済」白書 人材育成の強化と確保 人材育成の強化と確保 人材育成 強化 確保 OJT 職場内教育 計画的、段階的 新人研修 昇進研修 off-JT 職場外教育 階層別教育 自己啓発 タイトル 職能別教育 ケーススタディ モデルとなる競争的な企 業とは? TOYOTA 派遣社員を生産ラインに組み込むことが できるようになった事により、労働力不足 を補える。 生産台数の変化にあわせて労働投入量 を柔軟に変えることが可能になる。→無駄 な労働コストを出さずに済む。 「柔軟な雇用調整を行う環境の整備」 シャープ 雇用方針・・・「終身雇用」 競争力となるもの 「労働者流失の抑制」 ・終身雇用制度 「人材育成」 ・シャープ・リーダーシッププログ ラム ・成果主義人事制度 キヤノン 精度の高い成果主義 高いインティブを与えるマイスター制度 ⇒質の高い労働者の育成 終身雇用制度の採用 ⇒労働者の流出防止 この要素がキヤノンの持つ労働資本面での 競争力 “競争的”な企業の課題 人件費圧縮の背景には、企業が業況に応じた 人員を弾力的に変化させようとする傾向があっ た。(労働資本が固定費用から可変費用へ以降 する傾向) 弾力的に変化する雇用環境のなか、人材流失 などの弊害の克服として、人材の育成の強化・ 確保が企業の“競争力”にとって課題となる おしまい
© Copyright 2024 ExpyDoc