『傷んだ雇用・労働条件』の復元と すべての働く者のディーセント・ワーク実現 連合 総合男女平等局 世界経済は、不透明感 欧州の債務問題の長期化、米国の「財政の崖」問題、 新興国経済の減速、原材料価格の高騰 日本経済は、予断を許さない 復興需要を背景に回復傾向、個人消費は穏やかに増加、企業収益も 3期連続で回復、円高の進行、電力需要のひっ迫も相まって 雇用と生活は、依然として厳しい状況 失業率4.2%(2012年9月) 特に24歳以下の完全失業率は6.9% 生活保護世帯・受給者〔153万世帯、211万人(2012年3月) 非正規労働者率〔35.1%(2011年)〕 過去最高 世帯当たりの平均所得は538万円〔94年比126万円(19%)減少〕 所得の低迷や格差拡大に歯止めがかかっていない 労働時間は、2000時間超 基本的な考え方 「『傷んだ雇用・労働条件』の復元とすべての働く者の ディーセント・ワーク実現」に向けた取り組み 最低賃金の引き上げ ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現 パート・非正規労働者の均等・均衡処遇の実現 就業率向上につながる職業訓練・就労支援の実現 ワークライフバランスの推進 「個別賃金」を重視 「格差是正」の実効性を高める 賃金水準の開示 ⇨ 個別賃金水準の社会的波及力の向上 2013年度 政策・制度実現の取り組みと一体的に 改正労働者派遣法、改正労働契約法、改正高年齢者雇用安定法 すべての労働組合が共闘して取り組む課題として以下の 5項目を「ミニマム運動課題」として設定し、労働組合運動 の求心力を高め、交渉結果の社会的波及をめざす 1. 賃金制度の確立・整備 2. 賃金カーブ維持分の明示と確保 3. 非正規労働者を含めたすべての労働者を対象とした処遇改善 4. 企業内最低賃金協定の締結拡大と水準の引き上げ 5. 産業実態をふまえた総実労働時間の縮減、時間外・休日労働の 割増率の引き上げ等 すべての労働組合は、賃上げ・労働条件改善の目安を1%とする すべての労働者の処遇改善のため、企業内最低賃金の協定の締結拡大、 水準の引き上げをはかるため、すべての組合は最低賃金の要求を行い 協定化 一時金は、年収確保・生活防衛の観点を含め、水準の向上・確保 「中小共闘」と構成組織の力を合わせ、格差是正・底上げの取り組みを強化 大手組合はグループ・関連企業の闘争を積極的に支援 全構成組織参加の「非正規共闘」とし、「非正規共闘担当者会議」を設置、 体制と取り組みを強化 1. 2. 3. 4. 非正規労働者に関するコンプライアンス(法令順守)の徹底 派遣も含めた非正規労働者の労働条件改善 時給の引き上げとともに、福利厚生、安全管理など総合的な労働条件の向上 「誰もが時給1000円」「県別リビングウェイジ超」「賃金カーブ維持+1%」のい ずれかの取り組みを展開 1,200 (万世帯) 1,114 1,100 1,013 1,012 1,000 900 800 797 男性雇用者と無業の妻からなる世帯 700 614 雇用者の共働き世代 600 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 資料出所:1980年から2001年は総務省「労働力調査特別調査」(各年2月。ただし、1980年から1982年は 各3月)、2002年以降は「労働力調査(詳細集計)」(年平均)より作成 注)「男性雇用者と無業の妻からなる世帯」とは、夫が非農林業雇用者で、妻が非就業者(非労働力人口及び完全失業者) の世帯で、雇用者の共働き世帯」とは、夫婦とも非農林業雇用者の世帯 増え続ける共働き世帯 (年) 90.0 (%) 77.2 75.7 72.6 76.9 72.0 71.0 75.5 67.6 72.5 67.0 71.4 63.8 69.1 69.2 72.7 70.1 66.1 71.1 67.7 63.2 68.2 62.3 58.8 58.4 45.8 2011年 45.7 80.0 70.0 60.0 50.0 40.0 2010年 30.0 20.0 10.0 17.5 2001年 16.0 15.0 39.5 13.2 13.3 13.8 0.0 15~19歳 20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳 50~54歳 55~59歳 60~64歳 65歳以上 資料出所:総務省統計局「労働力調査」(2001、2010、2011年) 注)2010年及び2011年の比率は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果 ※総務省統計局「労働力調査」の2011年統計については、2011年3月11日に発生した東日本大震災の 影響により岩手県、宮城県及び福島県を除く全国結果である。2010年との比較の歳には、前年の値とし て、遡及集計した当該3県を除く全国の2010年の数値を用いた。 女性の労働力人口 2753万人(2011年) M字型の底の値(35~39歳)は0.9P上昇 100% 不詳 80% 3.1 妊娠前から無職 3.4 35.5 出産退職 就業継続(育休なし) 就業継続(育休利用) 3.8 4.1 5.2 34.6 32.8 28.5 24.1 37.7 39.3 40.6 43.9 60% 37.4 40% 出産前有職 61.4% (100%) 20% 0% 18.3 5.7 継続就業率 24.0% (39%) 16.3 13.0 8.1 11.2 11.9 14.8 出産前有職 70.7% (100%) 9.7 17.1 継続就業率 26.8% (38%) 1985~89年 1990~94年 1995~99年 2000~04年 2005~09年 資料出所:国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基礎調査(夫婦調査)」(2010年) 注)書混同し夫婦について、第12回~第14回調査の当該児が1歳以上15歳未満の夫婦を併せて集計 出産前後の職業経歴:就業継続(育休利用)-第1子妊娠前就業~育児休業取得~第1子1歳時就業 就業継続(育休なし)-第1子妊娠前就業~育児休業取得なし~第1子1歳時就業 出産退職 -第1子妊娠前就業~第1子1歳時無職 妊娠前から無職 -第1子妊娠前無職~第1子1歳時無職 出産前後の就業継続率は依然として低く、40%以下で30年前から横ばい 76 73.3 74 72 70.6 68.7 70 68 66 64 62 60 59.7 女性一般労働者のうち正社員・正職員 58 女性一般労働者 11年 10 09 08 07 06 05 04 03 02 01 00 99 98 97 96 95 94 93 92 91 90 89 88 87 86 56 資料出所:厚生労働省「賃金構造基本統計調査」 注)1一般労働者とは、短時間労働者以外の労働者をいう。 2短時間労働者とは、1日の所定労働時間が一般の労働者よりも短い又は 1週の所定労働時間が一般の労働者よりも少ない労働者をいう。 男女間賃金格差は改善しつつあるが、25年で約10ポイントの改善に留まる 若年・男女別失業率の推移 (%) 11.0 若年(15~24歳) 10.0 9.0 8.0 7.0 6.0 1900 5.0 1800 1700 4.0 1600 1500 3.0 1400 1300 2.0 1200 (万人) 男性 非正規雇用… 女性 1 4 7 101 4 7101 4 7101 4 7 101 4 7101 4 7101 4 7 101 4 7101 4 7101 4 7 101 4 7101 4 7. (月) (年) 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 資料出所:非正規雇用者数=総務省「労働力調査」 全体の失業率は高止まり、若年層の失業率は深刻 60.0 50.0 40.0 30.0 20.0 % 52.5 52.8 53.5 53.6 53.3 53.8 51.7 49.3 50.6 54.4 32.6 33.0 33.5 34.1 33.7 34.4 31.4 29.4 30.4 35.1 18.3 19.2 18.4 18.9 17.9 17.7 15.0 15.6 16.3 19.8 10.0 女性 男女計 男性 0.0 2002 03年 年 04年 05年 06年 07年 08年 09年 10年 資料出所:総務省統計局「労働力調査(詳細集計)」 注)2011年の□内の比率は、岩手県、宮城県及び福島県を除く全国の結果 2010年女性労働者 正規雇用 1051万人(2002年比±0.0%減) 非正規雇用1223万人(2002年比19.8%増) 11年 1.男女雇用機会均等法の定着・点検と改善 処遇格差の是正、ポジティブ・アクションの推進と女性が働き続け られる環境整備の点検・改善 ① 配置や職務内容などに男女偏差はないか ② 昇進・昇格など基準の運用で男女に不利益が生じていないか ③ 婚姻・妊娠・出産等を理由とする不利益取り扱いの有無はないか ④ セクハラ防止措置の実効性は担保されているか 男女間賃金格差の背景と状況を点検し、 女性に対する研修の実施や女性が少な い部署への優先配置など積極的差別是 正措置(ポジティブ・アクション)により改 善を図る 生活関連手当の支給等にあたっては、世 帯主や筆頭者を支給要件とせず、どちら か申請者に対し支給 【参考:賃金プロット図】 総実労働時間の短縮 1. 年間所定労働時間2000時間超は2000時間以下に 2. 初年度有給付与日数15日以上とし、取得促進を図る 3. 上限規制の徹底とインターバル規制等の設置により過重 労働を是正 4. 所定労働時間の短縮、労働時間管理の徹底など産業実態 に合わせた取り組みの推進 5. 時間外労働割増率が法廷割増率の場合は上積み 両立支援の促進(育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法) 1. 改正育児・介護休業法の周知について点検し、これを上回る内容へ 労働協約を改定 2. 妊産婦保護制度や母性健康管理を点検し、制度利用による不利益 取り扱いの禁止を徹底 3. 改正育児・介護休業法の定着 ① 有期契約労働者への適用要件の拡充 ② 対象者が解雇や人事考課、転勤配慮を含め、不利益取り扱いとならないよ う労使で確認・徹底 ③ 3歳以下の子どもの養育に関する短時間勤務および所定外労働免除制度、 介護休業制度の適用範囲拡大(100人以下も)に伴う制度の周知・点検と ルール化 ④ 改正次世代育成支援対策法における一般事業主行動計画策定・届け出義 務拡大(301人企業から、101人企業へ)に伴う計画策定を労使で取り組む A)一般事業主行動計画の策定 B) ワーク・ライフ・バランス推進についての組合方針の明確化と、労使協議 を通じた行動計画の策定 1. 労働関係法令の順守 ① 正規、パート、有期契約、派遣、請負などすべての労働者に労働関係法改正の趣旨を 踏まえた対応の徹底 ② 障害者雇用促進法に定める法定雇用率引き上げ(1.8%から2%へ)への対応と、障 がい者が働きやすい職場づくり 2. 改正労働者派遣法 ① 法令順守の点検・周知、労働協約の整備 3. 改正高年齢雇用者安定法 ① 希望者全員を対象とした65歳までを継続雇用とする労働協約の締結 4. 改正労働契約法 ① 無期転換の促進、無期転換後の労働条件の対応、クーリング期間の悪用防止、労働 条件の是正 5. 快適な職場づくり ① 労災リスクの低減と快適職場づくりの推進 ② 労働安全衛生法などの法令順守と安全配慮義務の履行 ③ メンタルヘルス対策と受動喫煙防止対策の義務化に対する対応状況確認と改善
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