夏休み課題図書紹介 杉山仁志 紹介図書 ・超常現象をなぜ信じるのか ・世界一おいしい火山の本 著 菊池聡 UFO、超能力、心霊、占星術などの超常現象を簡単に信じてしまう人が多 数存在する。その理由を主に認知心理学の面から解明し、解説する。 1 2 3 4 5 6 「信じる心」はどこからうまれるのか? 「自分の目で見たもの」は信じてよいのか? 体験していないことをなぜ「体験」できるのか? その考え方は正しいのだろうか? それは本当に「めったにないこと」なのか? 「信じる心」を生む「体験」のあやうさ 上記の六章からなる 第1章「信じる心」はどこから生まれるのか? そもそも「信じる」とはどういうことか? 何かを疑わずに、本当のことと思いこむ心の働き つまり、 あることが事実であると想定する心理状態である この心理状態に至る要因には次の二つの情報源がある ・自分が見聞きしたりする経験から、推論した結果信念を生みだす推論的信念 ・整理済みの知識を他者から受け取り、それを事実とし自らの信念とする情報的信念 信念の形成において推論的信念は特に強力であるが、見間違い、覚え違い、 思い違いなどにより、誤った信念である可能性がある。 信念形成における誤りには要因があるのではないか? 認知的バイアス(認知的な偏り)の観点から見てみる。 第2章「自分の目で見たもの」を信じてよいのか? 視覚は写真のように外界の物理的な情報を脳の中に忠実に映 し出すシステムではない あらかじめ持っている知識・経験・期待など トップダウン処理 仮説からの解釈、無意識的推論 見えたもの の決定 認識 ボトムアップ処理 特徴抽出、取捨選択 網膜に入力された視覚情報 視覚から得た情報に双方の処理が作用して、外界の情報が変容して「見える」ことがある 例えば、ただのまだら模様が「ダルメシアンの絵」と教えられてから見るとそう見えるなど その人の持つ知識や考え、また、身を置く環境にも影響される。 第3章体験していないことをなぜ 「体験」できるのか? 「記憶」は次のように三つの段階がある 情報 記銘 保持 想起 「目撃談」が語られる時、必ず上記の工程を踏むことになる 記憶は平気で嘘をつく まず第2章より、「記銘」の段階で情報が変容している可能性がある。 それだけでなく、「保持」の段階で記憶が薄れ、「想起」の段階で事後 情報に誘導されたり、事後情報と混同してしまうことがある。 記憶の曖昧さ、ねつ造については ・「百円玉を見ないで正確に書ける人はほとんどいない」 ・「盗難事件の目撃者に実在しない盗難品の情報を与えると、実在しない 盗難品の特徴を語りだす。」 などの実験結果が示唆している。 第4章その考えは正しいのだろうか? 「夢に出てきた人が次の日に亡くなった」「黒猫が前を横切った数日後事故 に遭った」などのジンクスや「虫の知らせ」と呼ばれる「予知能力」の類は 超常現象の代表としてよく引き合いに出される。 これらの多くは思考バイアスによって生み出された誤信念であると考えられる 関連性の錯誤 例えば、「特定の人物の夢を見ること」と 「特定の人物に事件が起こること」はそれ ぞれ珍しいことなので印象に残る。しかし 「夢を見たのに何も起きない。」「夢を見て いないのに事件が起こる」「夢も見ないし 事件も起こらない」のそれぞれの場合は 印象に残らないので考えていない。 事件あり 事件なし 夢あり 夢なし A C B D A、B、C、D 全てを考えなければ理論的とは言えない 第5章それは本当に「めったにないこと」なのか? 第4章のように関連性の錯誤によって誤信念が生まれることもあるが、奇跡 的な偶然の一致もあるのではないか? 一見偶然の一致に見えることは、実はよくあることである ・1クラス40人の中で同じ誕生日の組み合わせが少なくとも1組ある確率 ・夢に出てきた友人が次の日に亡くなる確率 これらを考えるとき、大抵の人は自分1人に置き換えて考えるため、一見かなり低い確 率のように思える。しかし、実際は考慮しなければいけない組み合わせや、人数を無 視してしまっていることが多い。 ・例えば誕生日の組み合わせなら39組の組み合わせが39人同じようにある ・夢に出てくる可能性のある友人の数や、夢を見る日にち、体験をする可能性のある 人の人数などを考えると偶然とは言い切れない また、葬儀の時に親戚のうちの一人が「そういえば3日前カラスが鳴いてた」 のように後付けでそれらしいことに因果関係を見出してしまう思考バイアスを 人は持っている。 第6章「信じる心」を生む「体験」のあやうさ 「体験」は信念形成において強い影響力を持つ 思考的バイアス 認知的バイアス 「体験」は必ずしも絶対ではない かといって人間の認知システムは欠陥があって錯誤を起こすわけではない 認知情報処理に利用する処理資源の節約のため次のような処理を行う ・認知的な負荷を減らす ・認知的な不協和を減らす ・認知的な矛盾を緩和する バイアス(偏り)が生まれる 最も重要なのは 自分の認知的な体験を客観的に把握し、自分が体験していな いところや感性の及ばないところに目を向ける想像力を養うこと 著 林 信太郎 チョコやココアなどの食品を使って、火山の仕組みをわかり やすく実験し、解説する。 1 2 3 4 火山って、何だろう? 火山は噴火する キッチン実験でたしかめよう、いろいろな噴火 人びとのくらしと火山の噴火 上記4章からなる 第1章 火山って、何だろう? 火山の起源 地球は「プレート」と呼ばれる厚い岩の板で覆われている。「プレート」は 10枚以上もあり、たがいにゆっくりと動いている。プレート同士の接点では 片方がもう一方の下に沈み込むように動く。ここには強大な力が加わり、 様々な物質の流れを生じ、やがてマグマを生みだす。 火山を構成するもの 溶岩、火山灰、火山弾、軽石、 スコリアなど噴火によって噴 出したもの = マグマが固まったもの (ドロドロに溶けた熱い液体の岩石) 長い時間をかけて、同じ場所で何千回も噴火を繰り返し、大きく積み重なる そして 火山の完成 第2章火山は噴火する 噴火の破壊規模 ここでは噴火の破壊規模を「ガメラ」の「プラズマ火球」と比較している。 映画「ガメラⅢ」での渋谷駅周辺の被害は推定1万平方メートルである。 それに対して、火山噴火の中では小から中規模の入戸火砕流は約300倍、 雲仙普賢岳の火砕流は約100万倍の被害規模と考えられる。 噴火の原因はマグマにある。マグマは高温でドロドロしており、地下深くにあるときは 二酸化炭素や、水素、硫黄などのガスが多く溶け込んでいる。 噴火の爆発はコーラの噴出と同じ原理だ。 マグマ コーラ 地中深くではガスが溶けている 密閉状態で圧力がかかって二酸化炭 素が溶けている。 地上に近くなり圧力が減ってガスが 気化し始める 振ってからふたを開けると一気に泡が 増える ガスとともにマグマが噴火 コーラが飛び出す 第3章キッチン実験でたしかめよう、 いろいろな噴火 この章では食品を使って次の実験を行っている。 実験内容 実験の狙い チョコレートを使って潜在溶岩 ドーム実験 粘り気の強いマグマが地下に入り込んでできる潜在 溶岩ドームをココアとチョコレートで作る 牛乳による火砕流実験 火砕流の流れ方について、牛乳で実験する コンデンスミルクでカルデラ実験 コンデンスミルクとココアを使ってカルデラを作る 麩を使った降下火山灰実験 火山灰が風に乗って飛んでいく様子を確認する アイスクリームで火山泥流実験 火山噴出物の熱によって雪が解け、火山泥流が発生 する様子を、熱いごはんとアイスクリームで再現する スポンジケーキとココアを使った 土石流実験 火山灰の代わりにココアを、山地の斜面の代わりにス ポンジケーキを使って土石流を再現する 実験道具は大抵家にあるものか、簡単に手に入るものでした 第4章人びとのくらしと火山の噴火 火山とつきあう 火山は一度噴火すると周辺に甚大な被害をもたらす 厳しい一面をもつが、実は私たちはその恩恵を受けている 火山の周りは住みやすい 火山の土砂が水によって運ばれ 火山のふもとに流れ、たまる。 これらは火山の周りの谷を埋め、 平らな土地を作り出す。 火山の周りは水が多い 火山は噴火の噴出物によって構成 されているため、隙間だらけである。 これが天然のダムとなって、少しずつ 水を流している。 火山の周りには温泉が湧く 火山の地下深くのマグマの熱が 浅いところに運ばれ、地下水が 温められて温泉ができる。 火山の周りは風景がよい 火口湖、高山植物、尾根の間の湿原 火口原、溶岩ドームなど変化が多い のが特徴。 このような恩恵だけを受け、噴火の被害を減らすためには 住民、行政機関がともに火山噴火についての科学的知識と噴火の危険性 のイメージの両方を持っていることが重要である。
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