第4日目第2時限の学習目標

第4日目第3時限の学習目標
 検査の信頼性(続き)を学ぶ。
 妥当性について学ぶ。
(1)構成概念妥当性とは?
(2)内容妥当性とは?
(3)基準関連妥当性とは?
(4)併存的妥当性とは?
(5)予測的妥当性とは?
内部的一致性による
信頼性(係数)の求め方
 複数の小問から成る1つの検査を、一回だけ実施し、
それより信頼性係数を求めたり、その下限値を推定
したりする方法をいう。
 それらは、既に紹介したように、
(1)クーダー・リチャードソンの(第20)公式
(2)(クロンバックの)アルファ係数
である。
クーダー・リチャードソンの(第20)公式
 複数(K個)の2値小問(正答か誤答か)から成
る2つの検査間の相関係数ρXY を考えると、両
検査の小問同士も本質的τ等価測定を持つとす
るとき、

FKR   XY
ここで、
k

p j ( X ) 1 p j ( X )


k  j 1

1 
k 1 
V (X )





  X


クーダー・リチャードソンの公式の註
 V(X) は、X, Y のうちの一方の小問の合
計点の分散、
 pj(X) は、各小問 j の正答率、
 k は、小問の数、
をそれぞれ表す。
クロンバックのアルファ係数
(Cronbach’s coefficient alpha)
 クーダー・リチャードソンの第20公式を、2
値データから定量的データの場合に拡張したつ
ぎの公式は、アルファ係数と呼ばれる (Load &
Novick, 1968, p.93):
k


Vj (X )


k  j 1


1 

k 1 
V (X ) 


アルファ係数の特徴と問題点
 アルファ係数は、一般には信頼性係数そのもので
はなく、その下限値を与える。
 アルファ係数は、必ずしも検査間の平行性を仮定
していない。
 アルファ係数は、k 個の小問がすべて本質的 τ 等
価測定を満たすならば、信頼性係数に一致するこ
とがわかっている。
 本質的 τ 等価測定なる表現は、Load & Novick
(1968, p.50) によるもの。
本質的 τ-等価、平行測定等の定義
 平行測定 (parallel measurement)
Ta=Tb, かつ V(Ea)=V(Eb).
 τ-等価測定 (τ-equivalent measurement)
Ta=Tb, ただし V(Ea) と V(Eb) は必ずしも等しくなくてよい。
 本質的 τ-等価測定 (essentially τ-equivalent measurement)
Tai = Tbi + cab,
ここで cab は2つのテストa, b に関わる定数。
検査の妥当性とは?
 心理検査の妥当性とは、一般に検査が測定しようと
する内容をどれほど測定出来ているかをいう。一般
に、検査の妥当性には以下のようないろいろなもの
がある:
(1)構成概念妥当性 (construct validity)
(2)内容妥当性 (content validity)
(3)基準関連妥当性 (criterion-related validity)
(4)予測的妥当性 (predictive validity)
(5)併存的妥当性 (concurrent validity)
構成概念妥当性とは?
 多くの場合、心理検査が測定しよ
うとする内容(例えば、知能や向
性など)は仮説的構成概念
(hypothetical construct) であり、抽
象的な仮のものである。そのよう
な概念を、当該心理検査が実際ど
の程度測定しているかを、構成概
念妥当性と呼ぶ。
構成概念妥当性とはー続き1
 従来は、構成概念妥当性は、行動
レベルで定義された何らかの外的
基準との相関係数で評価したり、
当該構成概念から理論的に予想さ
れる、条件間での検査得点の差の
検討などにより評価されてきた。
構成概念妥当性とはー続き2
 構成概念妥当性の検討に際して、当該構成
概念に関して妥当性の高い検査や基準とな
る測定が既に存在するときに、それらを含
めた変数間の相関行列を用いて因子分析を
行い、当該構成概念を表す因子上での因子
負荷量を計算し、それを当該検査の構成概
念妥当性係数とすることもある。このよう
な場合における妥当性は、因子的妥当性と
呼ばれる。
内容妥当性とは?
 検査の内容が、その検査により
測定しようとしている範囲をど
の程度代表しているかをいう。
内容妥当性の検討によく用いら
れるやり方は、その検査につい
ての複数の専門家に下位項目の
測定範囲に関する判断をさせ、
判断の一致度を検討する方法で
基準関連妥当性とは?
検査得点が、それとは独立な
他の基準変数 (criterion
variable) とどの程度関連して
いるかをいう。
併存的妥当性とは?
基準関連妥当性のうち、検査得
点と他の基準変数が時間的に同
時に得られている場合を、併存
的妥当性という。
予測的妥当性とは?
基準関連妥当性のうち、検査得
点を他の基準変数の値を予測す
るために用いる場合を、予測的
妥当性という。
演習10
 分散分析、検査の信頼性、妥当性に
ついての小テストを行う。