サプライ・チェイン最適化における モデリングについて 東京海洋大学 久保幹雄 サプライ・チェインとは IT+ロジスティクス=サプライ・チェイン サプライ・チェイン・マネジメント(定義) • 定義は研究者(所属学会)によって違う! 交通・土木 物流(商学) SCM 機械・スケジューリング 物流IT展示会 ->在庫,輸・配送,生産,調達などの意思決定を支援 するためのシステムの集合体 サプライ・チェイン最適化モデル の意思決定レベルによる階層 原材料 長 期 調達物流 ストラテジック 生産 工場内物流 輸送 配送拠点 配送 需要 地点 ロジスティクス・ネットワーク最適化 資源配分最適化 中 期 短 期 タクティカル オペレーショナル 在庫最適化 生産計画最適化 安全在庫配置 在庫方策最適化 ロットサイズ最適化 スケジューリング最適化 配送計画最適化 配送計画 モデルの抽象度の階層 サプライ・チェイン最適化 統一モデル(なぜ必要か?) • (特に研究者間の)意思疎通のため – 違う研究グループに行くと解釈がまったく違 う! • (研究者は)「統一モデル」が好きだから • 個別モデル間のデータの共有のため • 個別モデルを跨いだ拡張モデルの必要性 商学部 機械・スケジューリング 交通・土木 物流IT展示会 基礎となるモデル1 • Dantzig-Wolfeのモデル すべての線形計画モデルを表現可能 基礎となるモデル2 • 資源制約付きスケジューリングモデル 基礎となるモデル3 • ロットサイズ決定モデル 基礎となるモデル4 • ロジスティクス・ネットワーク設計モデル サプライ・チェイン最適化モデル =資源を時・空間内で生産・消費する活動の集合体 個別問題から融合問題へ • 動機 – 個別最適化の成熟と限界 • 例 – ロジスティクス・ネットワーク設計+安全在庫配置+サイ クル在庫+在庫方策=統合サプライ・チェイン最適化 – 中期生産計画+スケジューリング=MIP/CPアプローチ – ロジスティクス+マーケティング=動的価格付け+生産・ 輸送モデル – 在庫+配送計画=VMI (Vender Managed Inventory)型 配送計画 サプライ・チェイン最適化モデル間の 情報のやりとり 汎輸送モデル 「診断」によって妥当な典型モデルを得るための分類 汎輸送モデルの分類と 帰着される問題 MIP/CP approach 1. MIP (lot sizing) part: 各期の各品目の生産量ならびにブロックへの割 り当てを決める. 期は月(もしくは週)を想定. 2. CP (scheduling) part: 各ブロック内での生産量が与えられたとき,使 用する機械の数と種類,生産順序を決める. 期は時間(もしくは日)を想定. MIP/CPの情報のやりとり MIP (ロットサイズ決定問題) 期・品目ごとに 使用する機械台数 段取りの情報 CP (スケジューリング問題) 期・品目ごとの 生産量 品目のブロックへの 割り当て情報 ブロックとは? • 同じ種類の機械をグループ化したもの.異な る品目を同時に同じブロック内で生産できな い. setup Block A Machine 1 Machine 2 Machine 3 Block B Machine 4 Machine 5 ロットサイズ決定問題(MIP) • 資源がブロックに対応 • 大バケット定式化 • R[r,p,t]:資源 r を用いて品目 pをt期に1単位生 産するときに要する時間(段取り時間を除く) 使用する機械とその種類はCPを解くことによって, 与えられる.機械に優先順序が与えられていれ ば,さらに簡単に計算できる. Machine 1 Machine 2 Machine 3 優 先 順 序 ロットサイズ決定問題(概念図) ブロックA 1期 2期 3期 品目 段取り ブロックB 製造量 4期 5期 スケジューリング問題(概念図) MIPの情報 品目1 を200 units 品目3を400 units 製造 ブロックA 1期(=1ヶ月) 機械 段取り 機械A1,A2,A3を使用して品目3製造 その後に,機械A1,A2を使用して品目1製造 収益管理と動的価格付け • 収益管理(Revenue Management: RM) – – – – – 価格を変数 陳腐化資産に対する在庫管理手法 顧客をクラス分け 研究は多い 航空機産業など実務への応用もさかん(ただし欧米では) • 動的価格付け(Dynamic Pricing) – – – – – 価格を変数 通常の商品を対象 インターネットを用いた直販(E-Business)により注目 研究は少ない 実務と理論の乖離 動的価格付けの研究 • Wagner (1955) 経済発注量モデルに価格を付加 • Thomas (1970) 動的ロットサイズ決定モデル(Wagner-Whitinモデル)に価 格を付加(価格は期によって変化しても良い) • Thomas (1970) 新聞売り子問題の拡張 (s,S)方策の最適性;他にもたくさんの研究 • Swann (2001) 多期間の生産計画モデルに価格を入れたモデルのポリマト ロイド上のLightly 凹費用関数の最大化への帰着 • Heuvel-Wagelmans (2005) 価格が一定のWagner-Whitinモデルに対する多項式時間ア ルゴリズム SCM+収益管理 • 価格を変化させることによって需要をコントロール • データマイニング技術による価格-需要(顧客別の効用)関数のモデル化 需要量 (価格一定) 価格 在庫曲線 需要量 (価格制御) 期 期 価格 新製品 投入 在庫曲線
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