経済学入門

国際経済の基礎
絶対優位と比較優位
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2006年11月26日
1
復習
前々回に交換-この場合は貿易-は双方に
利益があることを学びました.
 前回は日本の産業構造と貿易パターンの変
化を見てきました.
 各国で貿易の利益がどのように定まるか
 貿易パターンはどのように決まるかを考えて
いきます

2
比較優位と絶対優位
絶対優位とは他の国々に比べてほとんどの
財をより効率的に生産できることを意味しま
す.
 それでは絶対優位にない劣位にある国はど
のように貿易をすればよいか
 それを解き明かすのが比較優位です.

3
比較優位
ある財が他国と比べ相対的な費用が低い場
合にその国はその財に比較優位があると言
います.
 つまり貿易の利益は相対的な費用の大小で
決まる.

4
比較優位の例
日本と中国は今川焼きと杏仁豆腐のみを
作っているとします.
 その国でのその財の生産量一単位あたり
の生産費を表します.

今川焼き
杏仁豆腐
中国
10
10
日本
20
30
5
比較優位の例/2
今川焼きも杏仁豆腐も中国の方が安く生
産できます.
 つまり中国は絶対優位にあります.
 それでは絶対優位を持っていない日本は
どのように貿易を行えば成功を収めること
ができるでしょうか?
 その答えを提供する概念が比較優位です.

6
比較優位の例/3
ここで杏仁豆腐の相対費用を比較してみ
ましょう.
 中国の杏仁豆腐の相対的な費用=10/10=1
 日本の杏仁豆腐の相対的な費=30/20=1.5
 中国の杏仁豆腐の生産費は今川焼きの
生産費の1倍
 日本の杏仁豆腐の生産費は今川焼きの
1.5

7
比較優位の例/4
 1<1.5
中国は杏仁豆腐の生産に比較優を持って
いる
 ある国のある財が他国と比べて相対的に
安く作れる場合,その国はその財に比較
優位を持っていると言います.
 各々の国が比較優位にある財に特化して
貿易することによって両国は利益を得る

8
比較優位の例/5
特化とはその財のみを作ることをさしま
す.
 生産に必要な費用を負担できる金額の存
在量は各国で次のようになっている

金額
中国
600
日本
1200
9
比較優位の例/6

各国で半分ずつのお金で今川焼きと杏仁
豆腐を作ったとします
今川焼き
杏仁豆腐
中国
30
30
日本
30
20
世界全体
60
50
10
比較優位の例/7

それぞれが比較優位にある財に特化した
としましょう
今川焼き
杏仁豆腐
中国
0
60
日本
60
0
世界全体
60
60
11
比較優位の例/8
そうすると今川焼きの量は同じです
 しかし,杏仁豆腐の量は10単位増加してい
ます.
 これが比較優位による特化の利益です.
 ここで両国が貿易を行います
 日本が今川焼きを輸出し中国から杏仁豆
腐を輸入することによって両国が利益を得
ます.

12